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10.夕方は予定をあけておくように!
本気を出すべきかも知れない
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「……お誘い凄く嬉しいんですけど、今日はこの後予定があるんです。すみません」
「もしかして……デート?」
ほわんと聞かれた羽理はその春風のような雰囲気に流されて、「実は屋久蓑部長とお買い物に行く約束をしてまして」と素直に答えそうになってから、ハッとして「えっと……………、お、お友達とお買い物の約束をっ」と答えた。
さすがに上司と二人きりで化粧品を買いに行くだなんて、会社の人にバレるのは良くないだろう。
***
(あれ? 何だろ、今の間……)
荒木羽理がこの課に配属されてきてからずっと。
人畜無害な上司を装いながら、虎視眈々と羽理との距離を少しずつ詰めてきた倍相岳斗は、どこか歯切れの悪い部下の物言いに違和感を覚える。
思わず『お友達って、男の人?』と問い掛けそうになって……そもそもデートか否かと探りを入れてしまったこと自体やり過ぎだったし、これ以上突っ込んで聞くのはパワハラやセクハラだと警戒されかねないとグッとこらえた。
折角いつも羽理にべったりくっ付いて離れない法忍仁子を、昼間一緒にランチへ行った際、「コレ、今日までなんだけどもしよかったら。あ、けど実は一枚しかないんだ。……荒木さんには内緒にして?」とにっこり微笑んでそそのかして、ケーキバイキングの無料チケットを渡して引き離しに成功したと言うのに。
まさか昼だけでなく、夕方にまで羽理からフラれるとは思ってもみなかった。
今までの羽理ならば、長い期間かけて培ってきた春風のような仮面の効果で、警戒心なくついて来ていたというのに。
(何かおかしい……)
ずっと羽理を……というより羽理だけを見てきた岳斗には分かる。
羽理の中で何かが変わり始めているのが。
(これは今までのやり方じゃ、マズイかも知れない)
何せ荒木羽理という女性は、少々のアプローチでは本意を汲んでくれない鈍い女性だから。
そのお陰で他の男たちからの好意にも全く気付かなかったから、――裏工作はともかくとして――表向きはのほほんと構えていられたのだけれど。
倍相岳斗はほわんとした笑顔で羽理と話しながら、そろそろ本気を出すべきかも知れない、と思った。
「もしかして……デート?」
ほわんと聞かれた羽理はその春風のような雰囲気に流されて、「実は屋久蓑部長とお買い物に行く約束をしてまして」と素直に答えそうになってから、ハッとして「えっと……………、お、お友達とお買い物の約束をっ」と答えた。
さすがに上司と二人きりで化粧品を買いに行くだなんて、会社の人にバレるのは良くないだろう。
***
(あれ? 何だろ、今の間……)
荒木羽理がこの課に配属されてきてからずっと。
人畜無害な上司を装いながら、虎視眈々と羽理との距離を少しずつ詰めてきた倍相岳斗は、どこか歯切れの悪い部下の物言いに違和感を覚える。
思わず『お友達って、男の人?』と問い掛けそうになって……そもそもデートか否かと探りを入れてしまったこと自体やり過ぎだったし、これ以上突っ込んで聞くのはパワハラやセクハラだと警戒されかねないとグッとこらえた。
折角いつも羽理にべったりくっ付いて離れない法忍仁子を、昼間一緒にランチへ行った際、「コレ、今日までなんだけどもしよかったら。あ、けど実は一枚しかないんだ。……荒木さんには内緒にして?」とにっこり微笑んでそそのかして、ケーキバイキングの無料チケットを渡して引き離しに成功したと言うのに。
まさか昼だけでなく、夕方にまで羽理からフラれるとは思ってもみなかった。
今までの羽理ならば、長い期間かけて培ってきた春風のような仮面の効果で、警戒心なくついて来ていたというのに。
(何かおかしい……)
ずっと羽理を……というより羽理だけを見てきた岳斗には分かる。
羽理の中で何かが変わり始めているのが。
(これは今までのやり方じゃ、マズイかも知れない)
何せ荒木羽理という女性は、少々のアプローチでは本意を汲んでくれない鈍い女性だから。
そのお陰で他の男たちからの好意にも全く気付かなかったから、――裏工作はともかくとして――表向きはのほほんと構えていられたのだけれど。
倍相岳斗はほわんとした笑顔で羽理と話しながら、そろそろ本気を出すべきかも知れない、と思った。
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