【完結】【R18】あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜

鷹槻れん

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12.苦しい言い訳

さすが営業マン?

 五代ごだいに死ぬほど苦しい言い訳をしている羽理うりだって、化粧品売り場でファンデーション片手にそんなことを言っている時点で、相当無理があるではないか。

(生鮮食品はあっちの方ですよ、♪)

 そんなあれやらこれやらをせわしなく考えながら意地悪く生鮮食品売り場の方を指さした大葉たいように、羽理が、『分かってます! 分かってますけど……ごり押しで誤魔化すしかないじゃないですかぁっ!』と懸命に訴えてくる……。

「うっ」

 そのやや釣り気味の潤んだ目に一瞬で心を奪われてしまった大葉たいようだ。
 
(くそぅ! 困り顔の羽理、めちゃくちゃ可愛いじゃねぇかっ!)

 惚れた弱みというべきか。オロオロする羽理の様子に、大葉たいようは愛する彼女のため、一肌脱いでやらねば!という方向へ、ぐらりと天秤てんびんかたむけた。

「営業のくせに知らないのか。ドラッグストアにも最近は生鮮コーナーがある」
 ――しかも下手したらスーパーより安い、と心の中で付け加えつつ。
(卵とか牛乳とかお買い得品も多いからな)
 などと、ついつい主夫目線でものを考えてしまった大葉たいようだ。

「マジですか」

「ああ、大マジだ。嘘だと思うならキミも後で見てみるといい。――案外近所のスーパーより安い食材とかあるぞ」
(おすすめは卵や牛乳だが、そこまでは教えてやらん)

「へぇー。俺、料理しないんであんま関係ないっすけど……」

 そこでちらりと羽理うりに熱い視線を送った懇乃介こんのすけが、「けど……彼女が出来た時、飯作ってもらう際の参考にさせてもらいます!」とにこやかに笑う。

(残念だったな。そいつは食うの専門だぞ?)
 その視線が憎たらしく感じられて、つい悪態をついた大葉たいようだ。

「うん、うん。そうするといいよぉ~。前に仁子じんこが卵とか牛乳なんかがお買い得だって話してたから。――参考にして?」

(バカっ! あえて伝えなかったを簡単にバラすな、荒木あらき羽理うり!)

 大葉たいようが羽理を恨みがましい目で見詰めたと同時。

五代ごだいくんに一日も早くが出来るようね!」

 鈍感娘羽理がヘヘッと笑いながら、懇乃介こんのすけの好意に満ちた視線をいとも簡単に叩き潰してしまう。

 それでもさすが、断られるのには慣れっこ。マイナススタートからの相手でも上手く取り入り粘って何ぼのバイタリティあふれる営業職と言うべきか。

「あ、あのっ。荒木あらき先輩は料理とか……」

 懲りない懇乃介こんのすけがさらに食い下がって来て。
 大葉たいようは内心、(こいつ、すげぇな)と思わずにはいられない。
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