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18.飛ばしすぎ?
突飛な申し出
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「私は、大葉のことが……好き?」
「俺が他の女とどうこうなるのが嫌だって思うんならそうだな」
大葉の言葉に、羽理はギュゥッと胸元を押さえる手指に力を入れた。
柚子と一緒にいる大葉を見た時。柚子から「たいちゃん」と親し気に呼ばれている大葉を見た時。柚子のことを大葉が同じように呼び捨てした時。
美男美女にしか見えない二人が、お似合いだと思ってしまったのと同時に湧き起こってきた、何とも言えない遣る瀬ない気持ち。
そんな時に大葉から告げられた約束反故の連絡は、羽理を完膚なきまでに叩きのめしてズタボロにしたのだ。
そう言うのを一気に思い出した羽理は、またあんな想いをさせられるのは耐えられないと思って。
小さく「イヤ……」と答えてポロリと涙を零した。
「そっか……。だったら話は早い」
大葉が羽理の涙をそっと指先で拭って微笑する。
「え……?」
「羽理、俺を独り占めしたくないか?」
「ひとり、じめ?」
「ああ、そうだ。その代わりお前も俺だけのモノになる。そう言う夢のような関係を、俺はお前に与えてやれる。――なぁ、羽理。お前はそれが欲しくないか?」
「……そんな関係が……本当に得られるの?」
「ああ、得られる。しかも、今から俺が言うことに『はい』か『イエス』か『うん』のどれかで答えればいいだけだ。――出来るよな?」
羽理が涙でアーモンド型の瞳を潤ませたままコクッと頷いたのを確認して、大葉は静かに問いかけた。
「――荒木羽理さん、俺と結婚してくれますか?」
***
突然大葉から結婚して欲しいと乞われた羽理は、ヒュッと息を吸い込んだまま身体を固まらせた。
「え……?」
(この人、今……何て仰いましたかね?)
もちろん大葉は羽理に何度も好きだと言ってくれていたし、先ほど彼のマンションでは『自分はすでに羽理の恋人のつもりだった』みたいなことも言っていた。
でも――。
こんな風に面と向かって二人の関係性をハッキリさせるような文言を投げ掛けられたのは初めてで。
しかもその問いは恋人をすっ飛ばして結婚の申し込みな上、「する」「しない」の決定権が羽理に委ねられているとか。
何だか色んな意味でとっても滅茶苦茶。無理難題ではないか。
(え、えっと……大葉、さっき私に何て返事しろって言ってたっけ?)
余りに突飛過ぎて他力本願。
大葉から言われた言葉を全サーチ能力を上げて思い返した羽理は、与えられていた選択肢が結婚の申し出を了承するものしかなかったことに今更のように気が付いて……。
その途端、何だかふっと肩の力が抜けて、緊張の糸がほろほろと綻んでいくのを感じた。
(ああ、そっか……)
考えてみれば、確かに恋人よりも婚姻という法律上の後ろ盾が得られる分、夫婦という関係はより確実にお互いを独り占め出来る合理的な制度ではないか。
お見合いならば〝結婚前提〟でお付き合いをすることが基本だろう。
だったら……結婚した後に絆を深めていく、どこか頓珍漢な自由恋愛があってもいい気がしてしまった羽理だ。
だってそれはまるで――。
「俺が他の女とどうこうなるのが嫌だって思うんならそうだな」
大葉の言葉に、羽理はギュゥッと胸元を押さえる手指に力を入れた。
柚子と一緒にいる大葉を見た時。柚子から「たいちゃん」と親し気に呼ばれている大葉を見た時。柚子のことを大葉が同じように呼び捨てした時。
美男美女にしか見えない二人が、お似合いだと思ってしまったのと同時に湧き起こってきた、何とも言えない遣る瀬ない気持ち。
そんな時に大葉から告げられた約束反故の連絡は、羽理を完膚なきまでに叩きのめしてズタボロにしたのだ。
そう言うのを一気に思い出した羽理は、またあんな想いをさせられるのは耐えられないと思って。
小さく「イヤ……」と答えてポロリと涙を零した。
「そっか……。だったら話は早い」
大葉が羽理の涙をそっと指先で拭って微笑する。
「え……?」
「羽理、俺を独り占めしたくないか?」
「ひとり、じめ?」
「ああ、そうだ。その代わりお前も俺だけのモノになる。そう言う夢のような関係を、俺はお前に与えてやれる。――なぁ、羽理。お前はそれが欲しくないか?」
「……そんな関係が……本当に得られるの?」
「ああ、得られる。しかも、今から俺が言うことに『はい』か『イエス』か『うん』のどれかで答えればいいだけだ。――出来るよな?」
羽理が涙でアーモンド型の瞳を潤ませたままコクッと頷いたのを確認して、大葉は静かに問いかけた。
「――荒木羽理さん、俺と結婚してくれますか?」
***
突然大葉から結婚して欲しいと乞われた羽理は、ヒュッと息を吸い込んだまま身体を固まらせた。
「え……?」
(この人、今……何て仰いましたかね?)
もちろん大葉は羽理に何度も好きだと言ってくれていたし、先ほど彼のマンションでは『自分はすでに羽理の恋人のつもりだった』みたいなことも言っていた。
でも――。
こんな風に面と向かって二人の関係性をハッキリさせるような文言を投げ掛けられたのは初めてで。
しかもその問いは恋人をすっ飛ばして結婚の申し込みな上、「する」「しない」の決定権が羽理に委ねられているとか。
何だか色んな意味でとっても滅茶苦茶。無理難題ではないか。
(え、えっと……大葉、さっき私に何て返事しろって言ってたっけ?)
余りに突飛過ぎて他力本願。
大葉から言われた言葉を全サーチ能力を上げて思い返した羽理は、与えられていた選択肢が結婚の申し出を了承するものしかなかったことに今更のように気が付いて……。
その途端、何だかふっと肩の力が抜けて、緊張の糸がほろほろと綻んでいくのを感じた。
(ああ、そっか……)
考えてみれば、確かに恋人よりも婚姻という法律上の後ろ盾が得られる分、夫婦という関係はより確実にお互いを独り占め出来る合理的な制度ではないか。
お見合いならば〝結婚前提〟でお付き合いをすることが基本だろう。
だったら……結婚した後に絆を深めていく、どこか頓珍漢な自由恋愛があってもいい気がしてしまった羽理だ。
だってそれはまるで――。
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