【完結】【R18】あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜

鷹槻れん

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24.土井恵介という男

シスコン

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「そっか、そっか。柚子ちゃんにももう……。女嫌いで奥手。そんなたいちゃんが自分からそんな風に動くとは。しかも恋人を飛ばして婚約とか。基本でクソ真面目なたいちゃんなのに……これはまたやけに飛躍ひやくしたねぇ。伯父さんびっくりだよ。きっと柚子ちゃんは相手のお嬢さんのこと、気に入っちゃってるんでしょう?」

 そこでわざとらしく肩をすくめて見せながら、「あの子を味方に付けるとか……たいちゃん、そんなにその子のことが欲しかったの?」とか付け加えてくる。

「ちょっ、伯父さん、言い方!」

「だってそうでしょう? そこまでしたいくらいその子に惚れ込んじゃったってことだよね? 僕や両親に何の相談もなくプロポーズまで済ませて、柚子ちゃんまで味方に付けちゃうとか。伯父さん、気を付けてないと顔がニヤけちゃいそうなんだけど……」

 ニヤけてしまいそうだとか言いながら、散々笑いまくった挙げ句、今もしっかりニヤニヤしてますよね!?と思った大葉たいようだったけれど、面倒なのでそこは言わずにおいた。

 母の三つ上の兄である恵介は、屋久蓑やくみの三姉妹弟さんきょうだい七味ななみ柚子ゆず大葉たいようの名付け親だったりする。

 シスターコンプレックスな恵介伯父が、大葉たいようらの父に、妹との結婚を許す条件として、生まれてくる子供達の名付けの権利を主張したのだとか何とか。

 恵介伯父としては、半分冗談のつもり。父の覚悟を見極めたかっただけらしいのだが、妹である母の方が、逆に兄である恵介伯父に有言実行を迫ったのだと言う。

 長女七味ななみの候補名を告げた時点で却下されるものだと恵介伯父は思っていたらしいのだが、母はその名をいたく、そのまま父に出生届を出させてしまったらしい――。

 以後も柚子ゆず大葉たいよう、と母と伯父との攻防が続いた結果が、自分たちの何とも奇妙な名なのだ。

 もともと農家の出だった母としては、本気で恵介けいすけ伯父から提案された我が子らの名を気に入っていると言うことだったが、大葉たいようとしてはマジか!と思ったことは否めない。

 とはいえ、幼い頃から共働きで不在がちだった両親に代わって、この恵介伯父さんがよく面倒を見てくれたから。
 大葉たいようはこの伯父のことがどうしても憎めないし、頭が上がらないのだ。


***


「――で、どんな子なの?」

「え?」

 いともアッサリと見合い写真を引き取ってしまった恵介伯父に、大葉たいようは逆に拍子抜けしてしまった。

「せっかく持って来て頂いた見合い話を反故ほごにするって言ったのに……怒らないんですか?」

「だってたいちゃんの意志を尊重しなかったら七味ななみちゃんと柚子ちゃんの報復が怖いもん。――それにね、知ってると思うけど僕、果恵かえに恨まれるのだけは死ぬほど嫌なんだよ」

 果恵とは大葉たいようらの母の名、つまりは目の前の伯父にとっては実の妹の名だ。

「伯父さん、めちゃくちゃシスコンですもんね」

「失礼だなぁ。妹愛が強いと言って?」

 クスクス笑う伯父の表情は、やはり母に似ている。

 妹への愛を惜しみなく語る恵介伯父を見ていると、母・果恵の結婚の障壁が、両親であった祖父母よりも、この伯父だったと言うのにもうなずけたのだけれど。

 果たして自分にとってこの伯父は、羽理うりとのことの障壁になるだろうか?

 恐らくそんなことにはならないと思いつつもちょっとだけ構えてしまうのは、さっき倍相ばいしょう岳斗がくとおどされたからかも知れない。
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