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41.見る目がないのはどっち?
もっと言えば
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倍相岳斗の姿を見た杏子は、中村経理課長に少しだけ離席する旨を相談しに行ったのだが、杏子の思いに反してすぐさま退社することを強く勧められてしまった。『さっきも言ったけど私がうまくやっておくから。有給の手続きは後日で構わないよ』とさえ言われてしまっては取り付く島もないではないか。
笹尾との一件以来、社内に身の置き所がなかったのは事実。
最近は書類の回り方もおかしくて、本来ならば周知されているべきはずのことが杏子の耳にだけ入ってこないということもままあるのだ。何とか自分でフォローを入れて仕事に大きな穴をあけることだけは未然に防いできた杏子だったけれど、今のままだといつか必ず大きなミスをしてしまうだろう。正直それがとても怖い。
課長の、臭いモノにはふたをしてしまえと言わんばかりの事なかれ主義な態度に、杏子は小さく吐息を落とした。ひょっとして、先程課長の〝不埒な提案〟を突っぱねたからいけなかったんだろうか。
でも……どう考えても妻帯者の課長と変な関係にはなりたくない。
(やっぱり私、辞め時……なの?)
杏子としては例え結婚したとしても出産の直前までは身体が許す限り仕事をしていたいと思っていたのだけれど、このままでは寿退社ですら危うい。
日々、他の社員らからの自分への当たりが強くなってきているのを感じている杏子である。
男性社員の中での人気ナンバーワンの笹尾と、女性社員の中での人気ナンバーワンの安井から敵認定されてしまったのだ。恋人同士としても社内公認の彼らに憧れる人たちから、〝お似合いのふたりの関係に水を差す悪者〟として杏子が制裁を加えられるのも致し方ないことなのかも知れない。
もちろん、杏子としてはやってもいないことで責められているのだからたまらないのだけれど、真実が必ずしも正しくて、それが立証されるとは限らないのだということを身をもって実感させられた。
世の中は、周りからの支持を得たものが正義なのだ。
今や社内での杏子の評価は、〝非モテ女子のくせに無謀にも社内人気ナンバーワンの笹尾さんに言い寄った末、断られて逆上した挙句、彼に怪我をさせた愚かな女〟以外の何者でもない。
杏子としては笹尾は自分の好みのタイプではなかったし、そもそも相手のいる男性に言い寄る趣味だってないのに。
(そんな人間だったら私、笹尾さんなんかじゃなくてたいちゃんに言い寄ってるよ)
よっぽど笹尾なんかより屋久蓑大葉の方がハンサムだ。
それに……もっと言えば最近は――。
笹尾との一件以来、社内に身の置き所がなかったのは事実。
最近は書類の回り方もおかしくて、本来ならば周知されているべきはずのことが杏子の耳にだけ入ってこないということもままあるのだ。何とか自分でフォローを入れて仕事に大きな穴をあけることだけは未然に防いできた杏子だったけれど、今のままだといつか必ず大きなミスをしてしまうだろう。正直それがとても怖い。
課長の、臭いモノにはふたをしてしまえと言わんばかりの事なかれ主義な態度に、杏子は小さく吐息を落とした。ひょっとして、先程課長の〝不埒な提案〟を突っぱねたからいけなかったんだろうか。
でも……どう考えても妻帯者の課長と変な関係にはなりたくない。
(やっぱり私、辞め時……なの?)
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世の中は、周りからの支持を得たものが正義なのだ。
今や社内での杏子の評価は、〝非モテ女子のくせに無謀にも社内人気ナンバーワンの笹尾さんに言い寄った末、断られて逆上した挙句、彼に怪我をさせた愚かな女〟以外の何者でもない。
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(そんな人間だったら私、笹尾さんなんかじゃなくてたいちゃんに言い寄ってるよ)
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それに……もっと言えば最近は――。
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