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49.ぞくぞくと集合
みつぎもの
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「ねぇ猫ちゃん、今日は御守屋さん、来てないのかな?」
ふくよか三毛猫のそばへしゃがみ込むと、羽理は杏子たちが買ってきてくれたばかりの焼きカツオパウチを開封しながら猫に声を掛ける。
みんなであげなきゃ意味がないので、鶏ささみくらいの大きさのカツオの端っこをちょっぴり千切り取って手のひらに乗っけたら、猫は大元の方の塊を恨めし気にじっと見つめてきた。
「ダーメ! これは他の人からもらってね」
言いながら、すぐ横にしゃがみ込んだ仁子に開封済みのカツオパウチを渡すと、猫は羽理の手にある一口サイズのカツオ肉をウニャウニャ言いながら瞬く間に平らげて、すぐさま仁子へすり寄った。
その現金さにクスッと笑いながら羽理が立ち上がる。そんな羽理を真似て、仁子がちょっとだけカツオを千切り取ったら、すぐ横から「そのちっこい欠片、私に下さいね」と杏子が仁子の手から爪先サイズのカツオを奪うのだ。
「え、ちょっと杏子!?」
そのことに驚いた仁子へウィンクすると、「残りを五代さんと半分にわけっ子して猫ちゃんへ」と杏子が言って。
「何で私と五代くんのだけ大きいの?」
当然というべきか、仁子は明らかに戸惑っている。
「そりゃー私も杏子もお願い事、もう叶ってるからだよ? 今から叶えてもらわなきゃいけない二人からの貢物の方が大きいのは当然でしょう?」
そんな仁子へ羽理がクスクス笑いながら答えたら、杏子が「そうそう」と相ずちを打った。
そうこうしてるうち、杏子の手の中の小さな魚肉を食べ終えた猫が、ぼんやりしたままの仁子(が手にしたパウチ)へターゲットを切り替えた。
「仁子さん、貸して?」
三毛猫が、仁子が手にしたパウチへ今にも猫パンチを食らわせようとしているのを察して、仁子の手を引いて立ち上がらせると、華南部長がお供え物を奪い取った。
手が汚れるのを気にした風もなくカツオをギュッと握って真っ二つに折り千切ると、片側を懇乃介へ「ほら」と差し出す。
「え、あの……これ」
「そこのポヨポヨ三毛猫にやるんだよ。そうしたらきっと、お前にも恋人が出来る」
突然突き出されたカツオにまごつく懇乃介へ、大葉がククッと笑って猫神様のご利益を説けば、大葉の横にいる羽理も恋人を後押しするみたいに「そうそう」とうなずくのだ。
「この猫が俺にも彼女を……」
二人に言われるままふくふくニャンコへ視線を落とした懇乃介は、見詰め返してきた三毛猫から「ニャーン」と鳴かれて、突如「よっしゃぁ!」と謎の気合を入れる。その勢いのままにいきなりしゃがむと、「来い!」と猫へ向けて手渡されたばかりのカツオを突き出した。
猫は一瞬だけ懇乃介の激しい動きに驚いたみたいにビクッとしたけれど、すぐさま「ニャニャーン♪」と嬉し気に鳴いてウニャウニャ言いながら差し出されたカツオをむさぼり始める。
「こいつ、絶対『うまうま』って言ってますね」
頬を紅潮させて喜ぶ懇乃介を見て、仁子が前へ出ようとしたら、「か、噛まれたらいけないので俺がっ」と華南部長が大きな掌の上に残りのカツオを乗っけた。
「仁子さんは俺の横で一緒に」
仁子を優しい目で見下ろす華南部長を見て、羽理は(こっちにはもう、お参りは要らないかも?)と思った。
ふくよか三毛猫のそばへしゃがみ込むと、羽理は杏子たちが買ってきてくれたばかりの焼きカツオパウチを開封しながら猫に声を掛ける。
みんなであげなきゃ意味がないので、鶏ささみくらいの大きさのカツオの端っこをちょっぴり千切り取って手のひらに乗っけたら、猫は大元の方の塊を恨めし気にじっと見つめてきた。
「ダーメ! これは他の人からもらってね」
言いながら、すぐ横にしゃがみ込んだ仁子に開封済みのカツオパウチを渡すと、猫は羽理の手にある一口サイズのカツオ肉をウニャウニャ言いながら瞬く間に平らげて、すぐさま仁子へすり寄った。
その現金さにクスッと笑いながら羽理が立ち上がる。そんな羽理を真似て、仁子がちょっとだけカツオを千切り取ったら、すぐ横から「そのちっこい欠片、私に下さいね」と杏子が仁子の手から爪先サイズのカツオを奪うのだ。
「え、ちょっと杏子!?」
そのことに驚いた仁子へウィンクすると、「残りを五代さんと半分にわけっ子して猫ちゃんへ」と杏子が言って。
「何で私と五代くんのだけ大きいの?」
当然というべきか、仁子は明らかに戸惑っている。
「そりゃー私も杏子もお願い事、もう叶ってるからだよ? 今から叶えてもらわなきゃいけない二人からの貢物の方が大きいのは当然でしょう?」
そんな仁子へ羽理がクスクス笑いながら答えたら、杏子が「そうそう」と相ずちを打った。
そうこうしてるうち、杏子の手の中の小さな魚肉を食べ終えた猫が、ぼんやりしたままの仁子(が手にしたパウチ)へターゲットを切り替えた。
「仁子さん、貸して?」
三毛猫が、仁子が手にしたパウチへ今にも猫パンチを食らわせようとしているのを察して、仁子の手を引いて立ち上がらせると、華南部長がお供え物を奪い取った。
手が汚れるのを気にした風もなくカツオをギュッと握って真っ二つに折り千切ると、片側を懇乃介へ「ほら」と差し出す。
「え、あの……これ」
「そこのポヨポヨ三毛猫にやるんだよ。そうしたらきっと、お前にも恋人が出来る」
突然突き出されたカツオにまごつく懇乃介へ、大葉がククッと笑って猫神様のご利益を説けば、大葉の横にいる羽理も恋人を後押しするみたいに「そうそう」とうなずくのだ。
「この猫が俺にも彼女を……」
二人に言われるままふくふくニャンコへ視線を落とした懇乃介は、見詰め返してきた三毛猫から「ニャーン」と鳴かれて、突如「よっしゃぁ!」と謎の気合を入れる。その勢いのままにいきなりしゃがむと、「来い!」と猫へ向けて手渡されたばかりのカツオを突き出した。
猫は一瞬だけ懇乃介の激しい動きに驚いたみたいにビクッとしたけれど、すぐさま「ニャニャーン♪」と嬉し気に鳴いてウニャウニャ言いながら差し出されたカツオをむさぼり始める。
「こいつ、絶対『うまうま』って言ってますね」
頬を紅潮させて喜ぶ懇乃介を見て、仁子が前へ出ようとしたら、「か、噛まれたらいけないので俺がっ」と華南部長が大きな掌の上に残りのカツオを乗っけた。
「仁子さんは俺の横で一緒に」
仁子を優しい目で見下ろす華南部長を見て、羽理は(こっちにはもう、お参りは要らないかも?)と思った。
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