【完結】【R18】あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜

鷹槻れん

文字の大きさ
317 / 342
50.Epilogue

素敵なご縁がありますように――♥

しおりを挟む
 その音を聴きながら、(猫にはもっと兄弟姉妹がいるのでは?)とふと思った羽理うりだったが、まるでその心を読んだみたいに「猫みたいに見えちょるんじゃろうが、わしら、厳密には猫じゃニャいけぇの。その子は若い容姿なりをしちょるがニャ」とおばあさんが答えてくれて、オクラがコクコクうなずく。

「アタシはそこの神さんの〝ワケミタマ〟ニャ」

 大葉たいようたちにはよく分からない単語を並べるのにはお構いなし。キュウリがオクラに『遊ぼう!』と尻尾を振って誘いかけると、オクラもソワソワと神主姿の猫神様を振り返った。

「あの、アタシ……」

「ええよ、ええよ。楽しみは大事ニャけ。行くがええよ。たまには気晴らしもせんとニャ」

 ニヤリと笑った猫神様おばあさんを見て、(確かにこの神様かみさんも、よく猫の姿で境内けいだいをうろついてるもんな?)と思ってしまった大葉たいようである。


 オクラはそんな猫神様の言葉にキラキラと目を輝かせると、大葉たいようたちに「アタシ、一足お先にお家へ帰っちょくけん、ニャるべくはよぉ、キュウリちゃん連れて帰ってきてね?」と言うなりスゥーッと霞んで消えてしまった。


 それをの当たりにした大葉たいようと羽理が、思わず「オクラ!?」と呼びかけた時には後の祭り――。

 巫女姿のオクラは蒸気のように姿をかき消した後だった。


***


 そういうことがあって、不思議な存在を信じざるを得なくなった大葉たいようは、ふと思い立って神様について色々と調べてみることにした。


 初宮参りの際、オクラの口から「ブンレイ」だの「ワケミタマ」だの、わけの分からない単語がたくさん出てきたのが気持ち悪かったというのもあったし、居間猫いまねこ神社にはすでにおばあさんの姿をした猫神様がたてまつられている。だとしたらオクラはどういう扱いになるんだろう? と気になったからというのもある。

「ブンレイって……もしかしてこれか?」

 ネットで調べてみたら、どうやら神様には分霊ぶんれい(わけみたま)というのがあって、本社の祭神を他所よそまつる際に神様の神霊しんれい霊験ちから)を分けられるらしい。

 分けた側も分けられた側も、御神力は同等。そのようにして、同じ神を祀った神社が全国各地に本社・分社といった形で複数存在出来るようになるらしい。


「なぁオクラ、お前、どっかのおやしろで新しく祀られるのか?」

 大葉たいようがいくら聞いてみても、あれ以来〝飼い猫〟を貫いているオクラは「ニャ?」と首を傾げるばかりで、何も答えてはくれなかった。


 でも――。

 なんとなく大葉たいようは思うのだ。

 いつか何かのタイミングでオクラはふっと自分たちの前から姿を消すのではないか? と。

 そうしてどこかの神社で『居間猫いまねこ神社』の分社として、新たな縁結びの神様として祀られる日がくるに違いない。

 そういうのを繰り返して、居間猫神社は繁栄していくんだろう。


***


 あなたの町のどこかの神社の裏手に、猫みたいなアーモンドアイをした、不思議な喋り方をする売り子さんがいる御守おまもりの露店はありませんか?


『あニャたに良縁引き寄せます♥』

 そんな文言の書かれた神符しんぷを並べた神社を見かけたら、もしかしたらそこは居間猫いまねこ神社の分社かもしれません。


 もし見かけたら是非、並べられた御守を手に取ってみてください。


 そうすれば、あなたにもきっと。とっても不思議でちょっぴり(?)恥ずかしい、だけどすっごくすっごく素敵なご縁が訪れるはず。


 あニャたにも、大葉たいよう羽理うりたちのような、素敵なご縁がありますように――♥



 END
(執筆期間:2022/06/25~2025/01/27)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...