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*嫌がることはしないから
思っていた以上に綺麗だ
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「ねぇ、菜乃香。――さすがにそんな格好でしがみつかれたら、我慢できなくなるんだけどな……?」
ふっ……と溜め息混じりに眉根を寄せられて、私は慌てて彼から離れる。
けれど、それと同時にベッドへ押し倒されていた。
「お、がわ……さ……っ!?」
横たわった拍子にブラがずり上がって、胸の膨らみがホロリと転び出る。
それを隠そうと咄嗟に持ち上げた手が、そっとベッドに縫いとめられて。
「隠さないで?」
懇願するように強請られた私は、どうしたらいいのか分からなくなる。
緒川さんは私の嫌がることはしない、と約束してくれた。
だったら今の状況は……どうなの?
緒川さんはすぐに手を解いてくれたけれど、1度シーツの上に固定された手を、動かしてはいけないような気がして。
隠そうと思えば隠せるはずなのに、それはいけないことなのだとぼんやりとした頭で思う。
どうしてそう思ってしまうのか、分からない。
分からないから余計に混乱して。
そわそわと出口のない思考に陥り戸惑っているうち、いつの間にかショーツのサイドの紐が解かれていて、急に腰骨の締め付けが緩んだことに驚いた。
「あっ、やっ……!」
肌から落ちそうになる小さな布を逃すまいと、思わず足をギュッと交差するように身をよじったら、まるでそのタイミングを見計らったように身体の下に敷いていたワンピースごとショーツを抜き取られてしまった。
「――っ!」
声にならない悲鳴を上げた私をじっと見下ろして、
「菜乃香。思ってた以上に綺麗だ……」
緒川さんにうっとりと吐息を落とされた私は、恥ずかしさに居た堪れなくなる。
頭にぼんやりと霞をかけたようにまとわりついていたアルコールが、全て身体を火照らせる熱に変換されていくような気がして。
「恥ずか、しい……ですっ」
それならば自由な手で隠せばいいと思うのに、私の脳内には未だ「隠さないで」と告げられた緒川さんからの言葉がまるで見えない楔のように残っていて、両手を顔横で貼り付けていた。
それでも何とか自分を鼓舞してノロノロと腕を上げると、躊躇いがちに胸のふくらみのすぐ下――鳩尾のあたりで所在なく両手を重ねる。
本当は隠したいのはそこじゃない。
日頃は下着に守られている胸と下腹部。
だけどそこを隠してしまうことはいけないことだと、緒川さんの視線が物語っているようで、どうしても隠せなくて。
羞恥心に、緒川さんをまともに見詰め返すことが出来なくて、でも動いてはいけないと何故か思っているから身体の向きを変えることもできない。
せめてもの抵抗に、一生懸命顔を横向けて伏し目がちに視線を合わせずにつぶやいたら、ふっと柔らかく吐息を落とす気配がした。
ふっ……と溜め息混じりに眉根を寄せられて、私は慌てて彼から離れる。
けれど、それと同時にベッドへ押し倒されていた。
「お、がわ……さ……っ!?」
横たわった拍子にブラがずり上がって、胸の膨らみがホロリと転び出る。
それを隠そうと咄嗟に持ち上げた手が、そっとベッドに縫いとめられて。
「隠さないで?」
懇願するように強請られた私は、どうしたらいいのか分からなくなる。
緒川さんは私の嫌がることはしない、と約束してくれた。
だったら今の状況は……どうなの?
緒川さんはすぐに手を解いてくれたけれど、1度シーツの上に固定された手を、動かしてはいけないような気がして。
隠そうと思えば隠せるはずなのに、それはいけないことなのだとぼんやりとした頭で思う。
どうしてそう思ってしまうのか、分からない。
分からないから余計に混乱して。
そわそわと出口のない思考に陥り戸惑っているうち、いつの間にかショーツのサイドの紐が解かれていて、急に腰骨の締め付けが緩んだことに驚いた。
「あっ、やっ……!」
肌から落ちそうになる小さな布を逃すまいと、思わず足をギュッと交差するように身をよじったら、まるでそのタイミングを見計らったように身体の下に敷いていたワンピースごとショーツを抜き取られてしまった。
「――っ!」
声にならない悲鳴を上げた私をじっと見下ろして、
「菜乃香。思ってた以上に綺麗だ……」
緒川さんにうっとりと吐息を落とされた私は、恥ずかしさに居た堪れなくなる。
頭にぼんやりと霞をかけたようにまとわりついていたアルコールが、全て身体を火照らせる熱に変換されていくような気がして。
「恥ずか、しい……ですっ」
それならば自由な手で隠せばいいと思うのに、私の脳内には未だ「隠さないで」と告げられた緒川さんからの言葉がまるで見えない楔のように残っていて、両手を顔横で貼り付けていた。
それでも何とか自分を鼓舞してノロノロと腕を上げると、躊躇いがちに胸のふくらみのすぐ下――鳩尾のあたりで所在なく両手を重ねる。
本当は隠したいのはそこじゃない。
日頃は下着に守られている胸と下腹部。
だけどそこを隠してしまうことはいけないことだと、緒川さんの視線が物語っているようで、どうしても隠せなくて。
羞恥心に、緒川さんをまともに見詰め返すことが出来なくて、でも動いてはいけないと何故か思っているから身体の向きを変えることもできない。
せめてもの抵抗に、一生懸命顔を横向けて伏し目がちに視線を合わせずにつぶやいたら、ふっと柔らかく吐息を落とす気配がした。
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