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「ふぅ、話を戻すか。ーーリュウ、と言ったか?
おそらくじゃが、お主は仮の飼い主との契約に惹かれて、
今後も異世界とこちらを行き来することがあるはずじゃ」
気を取り直したように、幼女様がこちらを向いて話し出す。
「…そうなのか?」
「うむ。普通世界を渡るのは、行ったっきりになるか、行ってすぐ戻ってそれきりかじゃ。
お主のように、それも決まった場所に何度も往復するのは聞いたことがない。
おそらくじゃが、異世界の人間と結んだ“血の契約”が、面白い方向に作用しておるのじゃろう」
なんとも興味深い現象じゃわ、と目を輝かせながら笑っている。…どうやら気分が持ち直したらしい。
「お主は無意識に行き来しておるようじゃが、通常世界を渡るにはそれなりに危険も伴うからの。
何度も繰り返せば世界の狭間に落ちてしまうやも知れん。
ーーそうならぬように、わらわから護りを授けてやろう」
さすれば安全に世界を渡れるようになるでな、とニッコリ、あからさまに裏のありそうな笑顔を見せた。…怪し過ぎるんだが。
「ーーそれで?俺は見返りに何をすれば良いんだ?」
「そうじゃな…向こうで見聞きした事を、わらわに茶飲み話として報告してくれればそれで良い。
聞かせてもらった話の内容次第で追加の褒賞もだそう」
どうじゃ?!悪くなかろう!と言って更にキラキラした目で見つめてくる幼女様。
…なんだ、その契約。
正直、拍子抜けした。もっとエゲツない事を頼まれるかと思ったんだが。
「それ、アンタに何か利があるのか?」
「もちろんじゃ。異世界の情報は、時に値をつけられぬほど貴重なものなのじゃぞ?
たまに異世界の方からも迷い子と呼ばれる異世界人が来るんじゃがの。
そ奴らは“知識と文化の伝道者”と言われて重宝されておるくらいじゃ」
まあ迷い子が迷い込んでくること自体も珍しい上にほとんどは幼子じゃし、ほとんどの連中は来てすぐ帰ってしまうから毎度有益な情報が得られるとは限らんのだがの、と幼女様は残念そうな顔をする。…アンタも十分幼子だけどな。
「だからわらわは違うと言うておるのに……まあ良い。
とにかく、向こうで見聞きしたものならなんでも良いのじゃ。
話すのが面倒なら、向こうで起きた事を思い浮かべるだけで構わん」
褒賞の方は期待して良いぞ?なんせわらわはこの国のとっぷじゃからの!とまたない胸をそっくり返す。
……幼女体型でない胸をそっくり返しても空しくないか?
「む、昔はちゃんとあったのじゃぞ?!」
「なワケあるか。昔っていつだよ」
「…十数年前くらいかの」
「……アンタ生まれてないだろうがよ」
何言ってんだコイツ。
「むむっ、理由を話せば納得してもらえるとは思うのじゃが…
さっきも言ったように口止めされておるでの。
残念ながら、今は話せん」
「ハイハイ、そーですか。
ま、そこは別に興味ないからいいぜ。
ーーそれより、報酬の話忘れるなよ」
「…それはそれでちょーっと腹が立つんじゃが……。
まあ良いわ。受けるんじゃの?」
そう聞かれ、俺はしっかりと一つ頷いた。
さっきまで断ろうと考えておったくせに、現金な奴じゃの?と幼女様が意地悪い顔でニヤニヤ笑ってくるが、それについては無視をする。
聞いた限りでは、本当に悪い話じゃない。
異世界から戻った時に城で幼女様相手に茶を飲むだけで、褒賞を貰える可能性があるってことだからな。
それに今のところ俺の意志なんか関係なく気づいた時にはアッチにいるわけだし、それを繰り返すうちに何か危険なことになるかもしれないなら、対策は必要だ。
確かこの国の女王は莫大な魔力の持ち主って噂だったし、そいつからの護りなら、かなり期待はできる。
…と、いうのは結局建前だ。
多分だが、あの惑いの森に近づかなければ、そもそも異世界に行くこともない気がする。
危険だというなら、そもそも森に入らなければいいいという話なのだろう。
ーーそれでも、もう一度だけと言わずこれからも何度もマヤに会える可能性があるというなら。俺はその機会を逃すつもりはない。
だって、アイツは俺のことをまだ探しているかもしれないんだから。
そのための安全な手段が手に入るなら、この女王との取引に応じてやろうと考え出していた。
おそらくじゃが、お主は仮の飼い主との契約に惹かれて、
今後も異世界とこちらを行き来することがあるはずじゃ」
気を取り直したように、幼女様がこちらを向いて話し出す。
「…そうなのか?」
「うむ。普通世界を渡るのは、行ったっきりになるか、行ってすぐ戻ってそれきりかじゃ。
お主のように、それも決まった場所に何度も往復するのは聞いたことがない。
おそらくじゃが、異世界の人間と結んだ“血の契約”が、面白い方向に作用しておるのじゃろう」
なんとも興味深い現象じゃわ、と目を輝かせながら笑っている。…どうやら気分が持ち直したらしい。
「お主は無意識に行き来しておるようじゃが、通常世界を渡るにはそれなりに危険も伴うからの。
何度も繰り返せば世界の狭間に落ちてしまうやも知れん。
ーーそうならぬように、わらわから護りを授けてやろう」
さすれば安全に世界を渡れるようになるでな、とニッコリ、あからさまに裏のありそうな笑顔を見せた。…怪し過ぎるんだが。
「ーーそれで?俺は見返りに何をすれば良いんだ?」
「そうじゃな…向こうで見聞きした事を、わらわに茶飲み話として報告してくれればそれで良い。
聞かせてもらった話の内容次第で追加の褒賞もだそう」
どうじゃ?!悪くなかろう!と言って更にキラキラした目で見つめてくる幼女様。
…なんだ、その契約。
正直、拍子抜けした。もっとエゲツない事を頼まれるかと思ったんだが。
「それ、アンタに何か利があるのか?」
「もちろんじゃ。異世界の情報は、時に値をつけられぬほど貴重なものなのじゃぞ?
たまに異世界の方からも迷い子と呼ばれる異世界人が来るんじゃがの。
そ奴らは“知識と文化の伝道者”と言われて重宝されておるくらいじゃ」
まあ迷い子が迷い込んでくること自体も珍しい上にほとんどは幼子じゃし、ほとんどの連中は来てすぐ帰ってしまうから毎度有益な情報が得られるとは限らんのだがの、と幼女様は残念そうな顔をする。…アンタも十分幼子だけどな。
「だからわらわは違うと言うておるのに……まあ良い。
とにかく、向こうで見聞きしたものならなんでも良いのじゃ。
話すのが面倒なら、向こうで起きた事を思い浮かべるだけで構わん」
褒賞の方は期待して良いぞ?なんせわらわはこの国のとっぷじゃからの!とまたない胸をそっくり返す。
……幼女体型でない胸をそっくり返しても空しくないか?
「む、昔はちゃんとあったのじゃぞ?!」
「なワケあるか。昔っていつだよ」
「…十数年前くらいかの」
「……アンタ生まれてないだろうがよ」
何言ってんだコイツ。
「むむっ、理由を話せば納得してもらえるとは思うのじゃが…
さっきも言ったように口止めされておるでの。
残念ながら、今は話せん」
「ハイハイ、そーですか。
ま、そこは別に興味ないからいいぜ。
ーーそれより、報酬の話忘れるなよ」
「…それはそれでちょーっと腹が立つんじゃが……。
まあ良いわ。受けるんじゃの?」
そう聞かれ、俺はしっかりと一つ頷いた。
さっきまで断ろうと考えておったくせに、現金な奴じゃの?と幼女様が意地悪い顔でニヤニヤ笑ってくるが、それについては無視をする。
聞いた限りでは、本当に悪い話じゃない。
異世界から戻った時に城で幼女様相手に茶を飲むだけで、褒賞を貰える可能性があるってことだからな。
それに今のところ俺の意志なんか関係なく気づいた時にはアッチにいるわけだし、それを繰り返すうちに何か危険なことになるかもしれないなら、対策は必要だ。
確かこの国の女王は莫大な魔力の持ち主って噂だったし、そいつからの護りなら、かなり期待はできる。
…と、いうのは結局建前だ。
多分だが、あの惑いの森に近づかなければ、そもそも異世界に行くこともない気がする。
危険だというなら、そもそも森に入らなければいいいという話なのだろう。
ーーそれでも、もう一度だけと言わずこれからも何度もマヤに会える可能性があるというなら。俺はその機会を逃すつもりはない。
だって、アイツは俺のことをまだ探しているかもしれないんだから。
そのための安全な手段が手に入るなら、この女王との取引に応じてやろうと考え出していた。
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