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1章
18。転移魔法陣は猫専用だそうです
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二人の食事がもう少し掛かりそうなので、残ったレモンティーをちびちび飲みながら周りを見渡してみる。
……決して隣の猫にニマニマと揶揄われている気がするからではない。断じてそうではない。
これはそう、情報収集というやつだ。
噴水の周りには絵を描いている人や大道芸のパフォーマンスをする人、露天商らしき人など、大勢の人で賑わっている。
広場に来るまでの道は石畳だったが、広場の地面はテラコッタ調のモザイクタイルが敷き詰められていて、とても綺麗に整備されていた。
ーーと、一箇所だけぽっかりと、不自然に人がいない場所が見つかる。
地面には他の場所とは色の違うモザイクタイルで描かれた、幾つもの円と複雑な模様ーーひょっとして魔法陣とか?
この夢、魔法アリの設定っぽいし。
「あれは転移魔法陣ですよ」
「大体どの街でも、中心にある広場には設置してあんだよ。あ、あの中は一応立ち入り禁止な」
ジッとそちらを見ていると、食べ終わったらしい二人が説明してくれる。
「ーー入ると何処かに転移しちゃう、とか?」
「そうじゃねえけど。そこに居ると、他所から転移してきた奴とぶつかっちまうかもだから」
聞けば、転移自体は魔法陣がなくてもできるとのこと。
ただし非常時を除いて、転移は魔法陣の上で行う事というルールがあるらしい。
なんでも以前は所構わず転移した結果、衝突事故が多発した時期があった様で、その後国の公共事業の一環として主要な場所には転位魔法陣が敷かれるようになったと。なんだか横断歩道みたいね。
「まあ元々は事故防止の観点で設置されたらしいですが、今となっては補助具としての役割が大きいですね。魔法陣を使う方が、断然術者の疲労が抑えられるんですよ」
「使わずに転移するとめーっちゃ疲れるし、転移酔いも酷くなるから。まあ普段は使うの一択だな」
便利な移動手段があって羨ましいと言えなくもないけど……確か体調を崩すレベルで負荷が掛かるって話じゃなかったかしら。
そこまでして時間短縮したいものだろうか?私だったら遠慮したい。
「いえ、魔法陣を使えばそこまで酷くはなりませんよ。まあ酔いやすい人なら吐くかもしれませんが……」
「そーそー。相当弱っちぃ人間でも小一時間動けなくなるくらいで済むって!それにだんだん慣れていくし!」
普通は吐くまでいかないし、だから大丈夫だ!って力強く言われても。それはもう大丈夫とは言わないと思うのよね。
「その魔法陣、本当に使う人いるの?」
「人間が一人で使うことは少ないですが、猫は比較的使いますよ」
ーーうん?猫はって?
「猫は転移酔いってほとんどしねーの。だから転移魔法陣も使い放題!」
バランス感覚が人間とは段違いだからなっ!と得意げなマゼンタ。
ーーまあそもそも三半規管の造りからして違うのだから、そんなものかしら?
「なので、街の転移魔法陣は実質猫専用、って感じなんですよ」
人が転位を使うのは、普通だと移動に何日も掛かるような遠方にどうしてもすぐ行きたい、といった切羽詰まった時がメインらしい。
その場合でも体への負担を少しでも減らすために、猫を雇って魔法陣の起動と転移の実行を任せるそうで。
「届け物屋がヒトを運ぶって、そういう意味なのね」
確かにそれなら便利そうだ。一週間かかる場所まで一瞬で行けるなら、体調不良を我慢する価値はある。
「そ、だから猫の中には届け物屋をやる奴が多いんだ。オレらはその中でも一番優秀だけどな!」
「……へー、そうなの。すごいわね?」
「ちょ、なに、その全然信じてない顔?!」
本当の事なのにヒドくね?!と抗議してくるマゼンタ。
うん、なんかゴメンね?ちょっとさっきのシアンの件があって、誰かに八つ当たりしたい気分なの。
連帯責任って事で、ここは大人しく八つ当たられてほしい。
「一番かどうかは確かめたことないですけど。城からスカウトが何度もくるくらいには、僕らは優秀ですよ?」
「城から?……って国からってこと?」
え、本当に優秀なのこの二人?冗談かと思ったのに。
「猫なら大体転位酔いはしねーけど、距離を気にせずに日に何度も転移を繰り返せるだけの魔力があるのは珍しいの!マジでこの国じゃオレらくらいなんだよ!」
城勤めとか結構憧れの的なんだぜー身分は保障されるし給料も良いし!と胸を張るマゼンタ。超ドヤ顔。
「分かったわよ、じゃあ優秀なのは一応信じるわ」
「一応とか言うなよ!本当に本当だって!」
「……だってこの世界の普通とか良く分からないし」
転移なんて現象があるだけでも十二分に吃驚してるので、それ以上のことは正直判断がつかない。
そう言うとすごいと思ってることは伝わったらしく、なら仕方ないな!と納得した様子のマゼンタ。
こういうとこは案外チョロくて助かるわ。
「じゃあその優秀なお二人さんは、何故城勤めを断ってるの?身分だって保障されるんでしょ?」
それなら私の飼い猫になんかならなくたって、家だって普通に借りられるんじゃなかろうか。
極々自然な疑問だったのだけど、シアンもマゼンタも、ものすごーく微妙な顔で首を振った。
「他の国だったらまだアリだったかもだけど……」
「この国で城勤めなんかしたら、二度と外の空気を吸えない気がしますね……」
……?え、何それ。
見た感じ、街も全然荒れていないし、平和で良い国っぽいのだけどーー実は結構危ない国だったりするのだろうか。
やっぱり、あまり長居はしたくないわ。早く目が覚めると良いのだけど……
黙りこんで考えていると、多分オマエが想像してるのとは別の理由だかんな、と盛大にため息をつかれた。
???
ますます分からないわ。他の理由って何なのだろう。
まあ街はそこそこ安全そうだし、私が城に行くことなんて無いから、関係ないわよね?
ーーそう考えてから、あれ、これってフラグを立てた事になるのかしら?なんてチラッと思ってしまったけど。
うん大丈夫。口に出したわけじゃないからきっとセーフなはず!
ーーセーフ、よね?
……決して隣の猫にニマニマと揶揄われている気がするからではない。断じてそうではない。
これはそう、情報収集というやつだ。
噴水の周りには絵を描いている人や大道芸のパフォーマンスをする人、露天商らしき人など、大勢の人で賑わっている。
広場に来るまでの道は石畳だったが、広場の地面はテラコッタ調のモザイクタイルが敷き詰められていて、とても綺麗に整備されていた。
ーーと、一箇所だけぽっかりと、不自然に人がいない場所が見つかる。
地面には他の場所とは色の違うモザイクタイルで描かれた、幾つもの円と複雑な模様ーーひょっとして魔法陣とか?
この夢、魔法アリの設定っぽいし。
「あれは転移魔法陣ですよ」
「大体どの街でも、中心にある広場には設置してあんだよ。あ、あの中は一応立ち入り禁止な」
ジッとそちらを見ていると、食べ終わったらしい二人が説明してくれる。
「ーー入ると何処かに転移しちゃう、とか?」
「そうじゃねえけど。そこに居ると、他所から転移してきた奴とぶつかっちまうかもだから」
聞けば、転移自体は魔法陣がなくてもできるとのこと。
ただし非常時を除いて、転移は魔法陣の上で行う事というルールがあるらしい。
なんでも以前は所構わず転移した結果、衝突事故が多発した時期があった様で、その後国の公共事業の一環として主要な場所には転位魔法陣が敷かれるようになったと。なんだか横断歩道みたいね。
「まあ元々は事故防止の観点で設置されたらしいですが、今となっては補助具としての役割が大きいですね。魔法陣を使う方が、断然術者の疲労が抑えられるんですよ」
「使わずに転移するとめーっちゃ疲れるし、転移酔いも酷くなるから。まあ普段は使うの一択だな」
便利な移動手段があって羨ましいと言えなくもないけど……確か体調を崩すレベルで負荷が掛かるって話じゃなかったかしら。
そこまでして時間短縮したいものだろうか?私だったら遠慮したい。
「いえ、魔法陣を使えばそこまで酷くはなりませんよ。まあ酔いやすい人なら吐くかもしれませんが……」
「そーそー。相当弱っちぃ人間でも小一時間動けなくなるくらいで済むって!それにだんだん慣れていくし!」
普通は吐くまでいかないし、だから大丈夫だ!って力強く言われても。それはもう大丈夫とは言わないと思うのよね。
「その魔法陣、本当に使う人いるの?」
「人間が一人で使うことは少ないですが、猫は比較的使いますよ」
ーーうん?猫はって?
「猫は転移酔いってほとんどしねーの。だから転移魔法陣も使い放題!」
バランス感覚が人間とは段違いだからなっ!と得意げなマゼンタ。
ーーまあそもそも三半規管の造りからして違うのだから、そんなものかしら?
「なので、街の転移魔法陣は実質猫専用、って感じなんですよ」
人が転位を使うのは、普通だと移動に何日も掛かるような遠方にどうしてもすぐ行きたい、といった切羽詰まった時がメインらしい。
その場合でも体への負担を少しでも減らすために、猫を雇って魔法陣の起動と転移の実行を任せるそうで。
「届け物屋がヒトを運ぶって、そういう意味なのね」
確かにそれなら便利そうだ。一週間かかる場所まで一瞬で行けるなら、体調不良を我慢する価値はある。
「そ、だから猫の中には届け物屋をやる奴が多いんだ。オレらはその中でも一番優秀だけどな!」
「……へー、そうなの。すごいわね?」
「ちょ、なに、その全然信じてない顔?!」
本当の事なのにヒドくね?!と抗議してくるマゼンタ。
うん、なんかゴメンね?ちょっとさっきのシアンの件があって、誰かに八つ当たりしたい気分なの。
連帯責任って事で、ここは大人しく八つ当たられてほしい。
「一番かどうかは確かめたことないですけど。城からスカウトが何度もくるくらいには、僕らは優秀ですよ?」
「城から?……って国からってこと?」
え、本当に優秀なのこの二人?冗談かと思ったのに。
「猫なら大体転位酔いはしねーけど、距離を気にせずに日に何度も転移を繰り返せるだけの魔力があるのは珍しいの!マジでこの国じゃオレらくらいなんだよ!」
城勤めとか結構憧れの的なんだぜー身分は保障されるし給料も良いし!と胸を張るマゼンタ。超ドヤ顔。
「分かったわよ、じゃあ優秀なのは一応信じるわ」
「一応とか言うなよ!本当に本当だって!」
「……だってこの世界の普通とか良く分からないし」
転移なんて現象があるだけでも十二分に吃驚してるので、それ以上のことは正直判断がつかない。
そう言うとすごいと思ってることは伝わったらしく、なら仕方ないな!と納得した様子のマゼンタ。
こういうとこは案外チョロくて助かるわ。
「じゃあその優秀なお二人さんは、何故城勤めを断ってるの?身分だって保障されるんでしょ?」
それなら私の飼い猫になんかならなくたって、家だって普通に借りられるんじゃなかろうか。
極々自然な疑問だったのだけど、シアンもマゼンタも、ものすごーく微妙な顔で首を振った。
「他の国だったらまだアリだったかもだけど……」
「この国で城勤めなんかしたら、二度と外の空気を吸えない気がしますね……」
……?え、何それ。
見た感じ、街も全然荒れていないし、平和で良い国っぽいのだけどーー実は結構危ない国だったりするのだろうか。
やっぱり、あまり長居はしたくないわ。早く目が覚めると良いのだけど……
黙りこんで考えていると、多分オマエが想像してるのとは別の理由だかんな、と盛大にため息をつかれた。
???
ますます分からないわ。他の理由って何なのだろう。
まあ街はそこそこ安全そうだし、私が城に行くことなんて無いから、関係ないわよね?
ーーそう考えてから、あれ、これってフラグを立てた事になるのかしら?なんてチラッと思ってしまったけど。
うん大丈夫。口に出したわけじゃないからきっとセーフなはず!
ーーセーフ、よね?
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