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1章
20。お家を見学しました
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転移してから20分ほど経った頃。吐き気もめまいもマシになってきて、そろそろ自分で歩くと言い出そうとしたタイミングでーー
「ーー着きましたよ」
ちょうど目的地に着いたらしく、「立てるか?」と聞かれて慌てて下ろしてもらった。
思ったよりもまだフラフラだったので、腕に掴まらせてもらったまま建物を見上げる。
二階建てにしては、高さのある建物。窓が広めにとられているが、外から覗かれないようにか窓の手前側の樹が何本か切られずに残っている。
壁は木質素材?ウッドパネルのようなものが使われて、ナチュラルな雰囲気。
ーー何、ここ。どこのモデルハウス?
というか別荘なの?
「お、なかなか良さげじゃん!」
「中も見てみましょう。とりあえずリビングからですね。ソファーもあると思いますし」
扉をくぐると、無駄に広いエントランスに、無駄に高い天井ーー家賃もさぞお高いに違いない。
……これ、逆に良過ぎない??
住居費にどれだけかける気なの?お金大丈夫なの?
ちょっとクラクラしてくる。
リビングダイニングは吹き抜けになっていって、存在感を放つ薪ストーブの前にはロッキングチェアーが置かれている。
窓のそばにはローソファーと、低めのカフェテーブル。向こう側には広々としたウッドデッキ。
部屋の反対側には二階への階段があって、暖炉から離れた空間にはダイニングテーブルのセット。
作りつけの家具も充実していて、キッチンには大きな冷蔵庫もーー幾らするんだコレ。
クラクラどころかグラグラしてきて部屋の前でたたらを踏んでしまい、ずるりと床に座り込みそうになる。
「……おっと。やっぱまだ上手く立てねえかー」
「とりあえず、ここ座ってください」
反論する気力もないので、そのまま大人しくソファーに座らせてもらう。
……なんかさっきからダラダラ冷や汗が出てくるんですが。
ある意味、転移並みに身体に悪い物件だ。
これが遊びにきた友達の別荘だったらなんて素敵なの!と大絶賛するし、昨日の朝までお世話になっていた旅行先のコテージだってここと同じような感じだったけれど。
教授が借りてくれたコテージでは、ここくらいの広さに十二人泊まったのだ。三人で住む広さじゃない。
ーーこういうのって、非日常として味わう贅沢なんじゃないのかしら。
つらつら考えながらグッタリ背もたれに凭れていると、シアンがコップに水を入れて持ってきてくれた。
「水周りも問題なく使えますね、しっかり整備してあるようです」
「……えっと、このコップどこから出したの?」
お礼の前についそんなことを聞くと「そこの食器棚に入っていたので借りました」と、それが何か?と続きそうな口調で言われる。
ちらりと見ると、開けっぱなしの戸棚の奥には十人分はあろうかという食器が一通り揃っている。
ーー家具どころか、生活用品までついてるんですか……もう今日からデモ住めそうデスネ。
なんか思わず片言になってしまうが、これって普通なんだろうか。色々整い過ぎてやしないか。
思わずそう零すが、「?普通だろ」「普通ですね」と素で返された。
「……あなた達の普通が、私にとっての普通とは違うことは良く理解したわ」
なんだか疲れが増してきたので、細々したことは置いておくとして。
一番の問題はーーそう、家賃である。
さっきの書類に月々幾ら、みたいなのは書いてあったけど通貨が全然知らないやつだった。
ビックマック指数なんてないだろうし……ハンバーガー自体があるかどうかも微妙なとこよね。
それ以外で私でも分かるものといったら……
「ちなみに、昨日私が泊まった宿に一カ月泊まるのと、ここの家賃だったらどっちが高いの……?」
「ええと、トントンくらいだっけ?」
「いえ、こちらの方が三割くらい高いかと」
ーーやっぱここめちゃくちゃ高いんじゃないッ!
「ーー着きましたよ」
ちょうど目的地に着いたらしく、「立てるか?」と聞かれて慌てて下ろしてもらった。
思ったよりもまだフラフラだったので、腕に掴まらせてもらったまま建物を見上げる。
二階建てにしては、高さのある建物。窓が広めにとられているが、外から覗かれないようにか窓の手前側の樹が何本か切られずに残っている。
壁は木質素材?ウッドパネルのようなものが使われて、ナチュラルな雰囲気。
ーー何、ここ。どこのモデルハウス?
というか別荘なの?
「お、なかなか良さげじゃん!」
「中も見てみましょう。とりあえずリビングからですね。ソファーもあると思いますし」
扉をくぐると、無駄に広いエントランスに、無駄に高い天井ーー家賃もさぞお高いに違いない。
……これ、逆に良過ぎない??
住居費にどれだけかける気なの?お金大丈夫なの?
ちょっとクラクラしてくる。
リビングダイニングは吹き抜けになっていって、存在感を放つ薪ストーブの前にはロッキングチェアーが置かれている。
窓のそばにはローソファーと、低めのカフェテーブル。向こう側には広々としたウッドデッキ。
部屋の反対側には二階への階段があって、暖炉から離れた空間にはダイニングテーブルのセット。
作りつけの家具も充実していて、キッチンには大きな冷蔵庫もーー幾らするんだコレ。
クラクラどころかグラグラしてきて部屋の前でたたらを踏んでしまい、ずるりと床に座り込みそうになる。
「……おっと。やっぱまだ上手く立てねえかー」
「とりあえず、ここ座ってください」
反論する気力もないので、そのまま大人しくソファーに座らせてもらう。
……なんかさっきからダラダラ冷や汗が出てくるんですが。
ある意味、転移並みに身体に悪い物件だ。
これが遊びにきた友達の別荘だったらなんて素敵なの!と大絶賛するし、昨日の朝までお世話になっていた旅行先のコテージだってここと同じような感じだったけれど。
教授が借りてくれたコテージでは、ここくらいの広さに十二人泊まったのだ。三人で住む広さじゃない。
ーーこういうのって、非日常として味わう贅沢なんじゃないのかしら。
つらつら考えながらグッタリ背もたれに凭れていると、シアンがコップに水を入れて持ってきてくれた。
「水周りも問題なく使えますね、しっかり整備してあるようです」
「……えっと、このコップどこから出したの?」
お礼の前についそんなことを聞くと「そこの食器棚に入っていたので借りました」と、それが何か?と続きそうな口調で言われる。
ちらりと見ると、開けっぱなしの戸棚の奥には十人分はあろうかという食器が一通り揃っている。
ーー家具どころか、生活用品までついてるんですか……もう今日からデモ住めそうデスネ。
なんか思わず片言になってしまうが、これって普通なんだろうか。色々整い過ぎてやしないか。
思わずそう零すが、「?普通だろ」「普通ですね」と素で返された。
「……あなた達の普通が、私にとっての普通とは違うことは良く理解したわ」
なんだか疲れが増してきたので、細々したことは置いておくとして。
一番の問題はーーそう、家賃である。
さっきの書類に月々幾ら、みたいなのは書いてあったけど通貨が全然知らないやつだった。
ビックマック指数なんてないだろうし……ハンバーガー自体があるかどうかも微妙なとこよね。
それ以外で私でも分かるものといったら……
「ちなみに、昨日私が泊まった宿に一カ月泊まるのと、ここの家賃だったらどっちが高いの……?」
「ええと、トントンくらいだっけ?」
「いえ、こちらの方が三割くらい高いかと」
ーーやっぱここめちゃくちゃ高いんじゃないッ!
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