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2章
6。朝ご飯は和食でした
しおりを挟む買った服を全て造り付けのチェストに片付け、着替えを終えてから下に降りていくと、なんでか朝食は沢山の三角おにぎりと湯気を立てるお味噌汁だった。
ーーこの世界には和食もあるのね……もう食に関しては何でもアリだわ。
えっと、どちらも日本の国民食、よね。私も大好きで、以前日本に旅行で遊びに行った時も何度も食べたけど……異世界でおにぎり?
ここの食文化、地球に寄りすぎじゃないの。昨日もまさかのピザパだったし。
やっぱりここは私の夢でした!チャンチャン♪って説の方に一気にゲージが傾いていく。
もしここが異世界だった、とするならよ?
食事が不味いとかロクな種類がないとかで、転移や転生してきたメンツが飯テロ起こして料理無双できるっていうのが定番じゃないの?
私の強みなんて家事がそこそこできるとこくらいしかないのに、食文化は十分発達してるわ洗浄魔法のおかげで掃除・洗濯不要だわってなったら、私が役に立てる事なんてこれっぽっちもない。
……いえ、便利なのはいい事だけど。ご飯が美味しいのはもっといい事だけど!
チートが欲しいとかまで言わないけど、いる意味ないなら今すぐ帰らせてほしい。
それもできない辺りで、多分ここは現実主義な私が、現実逃避しまくった結果の夢の世界、って線の方が濃厚なはず!じゃないと真剣に困るしそうであってほしい!
テーブルの前で浮かない顔をしたまま突っ立っていると、「お、新しい服だ~似合ってる!」とマゼンタが前に後ろに色んな角度からチェックした後、きっちり褒めてくれた。
うん、やっぱりマゼンタは天然タラシ説が濃厚ね。
マヤさんに比べれば普通の社交辞令なのだけど、顔だけ見ればイケメンだからきっと効果は抜群なのだろう。
まあ飼い主には効きませんけどね!
「お褒めの言葉ありがとう。ーーところで、この世界には日本からも迷い子が来たことがあるの?」
今回はスルースキルを問題なく発動して、さっさと別の質問に移る。
一応異世界説も続けて検証してみないとね。
「ニホンって何?」
あー…、まあそうくるわよね。
「私の世界にある国の名前。このおにぎりとお味噌汁って、日本の料理なのよ」
「へー。じゃあそのニホンからの迷い子が伝えた料理ってことか」
「だと思うんだけど…ちなみに昨日の屋台のフィッシュ&チップスはイギリスの料理で、ピザはイタリアが発祥の料理のはずよ」
まあピザは色んな国で食べられているから、もはやどこの料理とも言えない気がするけど。
「じゃ、そのイギリスとかイタリアとかからも、迷い子が来たことがあるのかもねー」
でもそれどうでも良くね?とデカデカと顔に書いてある表情で、マゼンタが適当な相槌を打ってきた。
それよりもう食べようぜ!ハラ減ったし!と言われて椅子に座り、一緒に朝ご飯にする。
屋台で買ってきたのかと聞けば、なんとリュウおじ様の手づくりだった。
夜中に転移するタイミングで朝食用にと持たされたらしい。おじ様こんなところの気遣いまで完璧とか素敵すぎです…!
おにぎりは鮭とタラコとおかかが入っていて、魚のおにぎり最高!とマゼンタがどれも大絶賛していた。
お味噌汁には具として小さく切った豆腐と一緒に、なんだか緑の藻のような物が入っていて喫驚した。
おっかなビックリ食べてみたが特に味という味もせず、ほんの少し磯の香りのする、変わった舌触りの食べ物だった。
マヤさんが出張先で買ってきたアオサという物だそうだけど…この具は日本にいた時でも食べたことがないわ。
まさか夢で初めての食材を食べることになるなんて。
それにしても、この和風の朝ご飯に昨日のバラエティに富んだ屋台ご飯、ポップコーンやピザ等々を考えると、相当色々な国の料理がベースにあるように思えるけど…これだけの食文化を伝えるには、一人や二人異世界から人が来た程度じゃ無理そうよね。
もしここが異世界なら、迷い子って思ったよりかなり大勢来たことがあるって話になりそうだけどーー
……探せば、会えたりしないかな?
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