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2章
30。真夜中の襲来
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「やっほぉーー!!ソフィアさーん、遊びに来たわぁ~!」
夢か異世界か分からない場所に放り込まれて六日目の夜。
お城の書庫から帰って街でご飯も食べて、なんならお風呂上がりで少しゆっくりしようかと寛いでいた時。
新しいお家に、マヤさんが来襲してきました。当然アポなし。
「ま、マヤさん?!どうされたんですか?」
「どうもしてないけどぉ~、ソフィアさん今どうしているかな、って思ったから来ちゃった☆あらぁ~、そのナイトウェアとっても可愛いわっ!選んだ時も似合うと思ったけど、やっぱりソフィアさんにピッタリねえ!」
「あ、ありがとうございます。って、そうじゃなくて!」
…普通は思ったからと言って今から行こう!とはならないのですけど!
異世界の住人たちの間ではこうするのが普通なのだろうか。
ちょっと引き攣りそうになる頬を押さえつつ、私はマヤさんの抱擁から逃れた。
「ええと、マヤさん。今何時かお分かりですか?」
「あら、ごめんなさい。アタシ腕時計はしていないのよぉ~」
「…もうすぐ夜の十一時です。普通はこの時間にアポなしで部屋に突撃しないですよね?」
いくら異世界でも、さすがにその辺の常識は同じであると思いたい。
「えー、もうそんな時間なの?でも空はまだ明るいし~夜ではないと思うわ~」
「…そういうの、屁理屈っていうんだと思います」
「アタシにとっては、明るい夜は夜じゃないわ!」
今日という日はまだ終わってないわ!むしろこれからが本番よ!と高らかに宣言しているマヤさんに頭痛がするが…困った事に、マヤさんの言っていることも半分正しかったりする。
なんともう夜の十一時なのに外が昼間のように、というか昼そのものの明るさのままなのだ。
確か昨日は七時過ぎには真っ暗になっていたはずなのに、今日はまだ日が沈んでもいなかった。
一体どうなっているのかしらとため息をつきながら、ついでだからマヤさんに聞いてみるか、と色々尋ねることにした。
「…マヤさん、此処っていつもこうなんですか?」
「えっと?具体的には何を聞かれているのかしらぁ?」
「……私の常識では、昼間の長さはコロコロ変わったりしないんです。夏に向けて段々長くなって、冬に向けて段々短くなる。そうやって季節が変わっていくんです」
私が居た国でもそうだし、留学先の日本は特に四季がハッキリしていた。
季節ごとの風景はとても美しかったし、その時期にしかとれない旬の食べ物、というのがあって。
“季節を味わう”とか言って、ホームステイ先の家庭では色々な果物や野菜を出してもらった。日本のさくらんぼ、美味しかったなぁ…。
そんな感じにしばし日本の食べ物を思い出していると、マヤさんが「ああ、そういうことね」と話し出した。
「うーん、ソフィアさんの元居たところはそうなのね?でも此処だとそう言うのは日替わりって感じかしら~」
「日替わり…ですか」
「ええ、日没の時間なんて極端に変わるから。今日はまだ明るいけど、明日は午後四時には真っ暗、とかも有り得るわよぉ~」
「…ひょっとして、太陽の沈む方向も日替わりなんですか?」
「もちろんよ!さすがに昇ってくる方向と沈む方向が入れ替わったりはしないけれど。今日とかそもそも沈まないかもしれないわね?」
そしたら一晩中お喋りできるわね!とマヤさんははしゃいでいるがーーーえぇー…何なの、ソレ。
この世界、季節とかもないのだろうか。
「一応夏とか冬とかはあるわよ?ものすごく暑かったり寒かったり、というのは珍しいけど」
今はまだ夏の終わりだから、こういう日が沈まない日も多いのよね、と説明してくれた。
…さっきの話だと白夜の次の日に極夜も有り得るってこと?そんな無茶な。
あーー…うん。きっと、これは夢なのよ。そうに違いない。
「太陽が沈まない限り、私にとっては何時でも昼間なのよぅ!という事で、今からお茶会をしましょう!」
そう言って、マヤさんは持っていた大型のバスケットをドサリと床に落とした。
ーーーどうしよう、嫌な予感しかしないわ。
私はこのまま二人で過ごすのと、向かいの部屋のマゼンタとシアンを巻き込むののどちらがよりマシかを頭の中で検討しながら、やたらと重そうなバスケットを見つめたのだった。
夢か異世界か分からない場所に放り込まれて六日目の夜。
お城の書庫から帰って街でご飯も食べて、なんならお風呂上がりで少しゆっくりしようかと寛いでいた時。
新しいお家に、マヤさんが来襲してきました。当然アポなし。
「ま、マヤさん?!どうされたんですか?」
「どうもしてないけどぉ~、ソフィアさん今どうしているかな、って思ったから来ちゃった☆あらぁ~、そのナイトウェアとっても可愛いわっ!選んだ時も似合うと思ったけど、やっぱりソフィアさんにピッタリねえ!」
「あ、ありがとうございます。って、そうじゃなくて!」
…普通は思ったからと言って今から行こう!とはならないのですけど!
異世界の住人たちの間ではこうするのが普通なのだろうか。
ちょっと引き攣りそうになる頬を押さえつつ、私はマヤさんの抱擁から逃れた。
「ええと、マヤさん。今何時かお分かりですか?」
「あら、ごめんなさい。アタシ腕時計はしていないのよぉ~」
「…もうすぐ夜の十一時です。普通はこの時間にアポなしで部屋に突撃しないですよね?」
いくら異世界でも、さすがにその辺の常識は同じであると思いたい。
「えー、もうそんな時間なの?でも空はまだ明るいし~夜ではないと思うわ~」
「…そういうの、屁理屈っていうんだと思います」
「アタシにとっては、明るい夜は夜じゃないわ!」
今日という日はまだ終わってないわ!むしろこれからが本番よ!と高らかに宣言しているマヤさんに頭痛がするが…困った事に、マヤさんの言っていることも半分正しかったりする。
なんともう夜の十一時なのに外が昼間のように、というか昼そのものの明るさのままなのだ。
確か昨日は七時過ぎには真っ暗になっていたはずなのに、今日はまだ日が沈んでもいなかった。
一体どうなっているのかしらとため息をつきながら、ついでだからマヤさんに聞いてみるか、と色々尋ねることにした。
「…マヤさん、此処っていつもこうなんですか?」
「えっと?具体的には何を聞かれているのかしらぁ?」
「……私の常識では、昼間の長さはコロコロ変わったりしないんです。夏に向けて段々長くなって、冬に向けて段々短くなる。そうやって季節が変わっていくんです」
私が居た国でもそうだし、留学先の日本は特に四季がハッキリしていた。
季節ごとの風景はとても美しかったし、その時期にしかとれない旬の食べ物、というのがあって。
“季節を味わう”とか言って、ホームステイ先の家庭では色々な果物や野菜を出してもらった。日本のさくらんぼ、美味しかったなぁ…。
そんな感じにしばし日本の食べ物を思い出していると、マヤさんが「ああ、そういうことね」と話し出した。
「うーん、ソフィアさんの元居たところはそうなのね?でも此処だとそう言うのは日替わりって感じかしら~」
「日替わり…ですか」
「ええ、日没の時間なんて極端に変わるから。今日はまだ明るいけど、明日は午後四時には真っ暗、とかも有り得るわよぉ~」
「…ひょっとして、太陽の沈む方向も日替わりなんですか?」
「もちろんよ!さすがに昇ってくる方向と沈む方向が入れ替わったりはしないけれど。今日とかそもそも沈まないかもしれないわね?」
そしたら一晩中お喋りできるわね!とマヤさんははしゃいでいるがーーーえぇー…何なの、ソレ。
この世界、季節とかもないのだろうか。
「一応夏とか冬とかはあるわよ?ものすごく暑かったり寒かったり、というのは珍しいけど」
今はまだ夏の終わりだから、こういう日が沈まない日も多いのよね、と説明してくれた。
…さっきの話だと白夜の次の日に極夜も有り得るってこと?そんな無茶な。
あーー…うん。きっと、これは夢なのよ。そうに違いない。
「太陽が沈まない限り、私にとっては何時でも昼間なのよぅ!という事で、今からお茶会をしましょう!」
そう言って、マヤさんは持っていた大型のバスケットをドサリと床に落とした。
ーーーどうしよう、嫌な予感しかしないわ。
私はこのまま二人で過ごすのと、向かいの部屋のマゼンタとシアンを巻き込むののどちらがよりマシかを頭の中で検討しながら、やたらと重そうなバスケットを見つめたのだった。
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