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3章
25。油断大敵とはこのことです
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「あー。お迎えの方、まだみたいですね」
「ですね……うーん、入れ違いになっちゃったかな」
ウチの猫達はどっちも割とせっかちだから、先に着いちゃったら長々と待ってるとかしなさそう。
探した方が早い! とか言ってさっさと動いちゃうわよね、たぶん。
ホント、この世界待ち合わせひとつするのも難しい。
「まあまだ来られていないだけの可能性もありますから、しばらく待ってみましょう。私も一緒に待ちますから」
「それは助かりますけど、いいんですか? オルトさんまだこの後もお仕事あるんじゃ……」
これ以上時間を取らせても悪いし、一旦戻って門番の人たちと待っているつもりだったんだけど。
「城門からだとここは死角ですから、それだとお連れ様が来られても気づかないかも知れませんから。ここで待ってる方が良いですよ」
お一人にする訳にもいきませんしこれも仕事ですからお気になさらず、と言われ、まあそれもそうかと納得する。
途中で放り出した感じになったら、それこそオルトさんがエリザに怒られるかもだしね。
「ええと、ならお言葉に甘えて?」
「はい、お任せください」
普通にお願いしたつもりが、何故か承諾の言葉とともに次の瞬間には腰を抱かれていた。
ーーえ、は?
「お、オルトさん……? 一体何のつもりで……」
「ですから、甘えてくださって結構ですよ?」
いや、甘えるってそういう意味じゃないんですけどっ! 分かっててやってるよね?!
とにかく目の前にある厚い胸板をぐいぐい押すが、びくともしなくて困惑する。
腕ごと抱きこまれてしまったので猫達にやられる時みたいにビンタして逃げることもできない。
「こう暗くなってくると、不埒な輩も出てきますから近くにいた方が良いと思いまして」
「いやいや、この場合その不埒な輩ってオルトさんですけどねっ!? ーーいいから離してください!!」
ああもう、この人は割と常識人だと思って安心してたのに!
夢の中で常識とか期待した私がバカだったッ!!
「お願いだから離してってば!」
こんなとこウチのヤキモチ焼きな猫達に見つかったら、まず間違いなく流血沙汰だから!
「えー、そのお願いは聞けませんねー」
「だから何でよ!」
「くっついてなきゃ危ないからですよ」
そう言いながらオルトさんは二、三歩城壁から離れるように後ずさる。
抱きこまれたままの私も一緒になって引きずられた先には、お馴染みになった転位魔法陣があってーー
「えっ、まさか……」
「あ、気づいちゃいましたー? ーーでももう遅いですけどね」
地面に描かれた魔法陣が光を帯びる。
「やっ……! 誰か、助けーー」
「おっと。悪く思わないでくださいねー」
叫ぼうとした口を腕に押し付けられて塞がれると同時に首の後ろに衝撃が走り、視界が暗転する。
(シアン、マゼンターー助けて……)
その声を口から出すことはできないまま、意識が落ちていった。
「ですね……うーん、入れ違いになっちゃったかな」
ウチの猫達はどっちも割とせっかちだから、先に着いちゃったら長々と待ってるとかしなさそう。
探した方が早い! とか言ってさっさと動いちゃうわよね、たぶん。
ホント、この世界待ち合わせひとつするのも難しい。
「まあまだ来られていないだけの可能性もありますから、しばらく待ってみましょう。私も一緒に待ちますから」
「それは助かりますけど、いいんですか? オルトさんまだこの後もお仕事あるんじゃ……」
これ以上時間を取らせても悪いし、一旦戻って門番の人たちと待っているつもりだったんだけど。
「城門からだとここは死角ですから、それだとお連れ様が来られても気づかないかも知れませんから。ここで待ってる方が良いですよ」
お一人にする訳にもいきませんしこれも仕事ですからお気になさらず、と言われ、まあそれもそうかと納得する。
途中で放り出した感じになったら、それこそオルトさんがエリザに怒られるかもだしね。
「ええと、ならお言葉に甘えて?」
「はい、お任せください」
普通にお願いしたつもりが、何故か承諾の言葉とともに次の瞬間には腰を抱かれていた。
ーーえ、は?
「お、オルトさん……? 一体何のつもりで……」
「ですから、甘えてくださって結構ですよ?」
いや、甘えるってそういう意味じゃないんですけどっ! 分かっててやってるよね?!
とにかく目の前にある厚い胸板をぐいぐい押すが、びくともしなくて困惑する。
腕ごと抱きこまれてしまったので猫達にやられる時みたいにビンタして逃げることもできない。
「こう暗くなってくると、不埒な輩も出てきますから近くにいた方が良いと思いまして」
「いやいや、この場合その不埒な輩ってオルトさんですけどねっ!? ーーいいから離してください!!」
ああもう、この人は割と常識人だと思って安心してたのに!
夢の中で常識とか期待した私がバカだったッ!!
「お願いだから離してってば!」
こんなとこウチのヤキモチ焼きな猫達に見つかったら、まず間違いなく流血沙汰だから!
「えー、そのお願いは聞けませんねー」
「だから何でよ!」
「くっついてなきゃ危ないからですよ」
そう言いながらオルトさんは二、三歩城壁から離れるように後ずさる。
抱きこまれたままの私も一緒になって引きずられた先には、お馴染みになった転位魔法陣があってーー
「えっ、まさか……」
「あ、気づいちゃいましたー? ーーでももう遅いですけどね」
地面に描かれた魔法陣が光を帯びる。
「やっ……! 誰か、助けーー」
「おっと。悪く思わないでくださいねー」
叫ぼうとした口を腕に押し付けられて塞がれると同時に首の後ろに衝撃が走り、視界が暗転する。
(シアン、マゼンターー助けて……)
その声を口から出すことはできないまま、意識が落ちていった。
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