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3章
26。異世界でも誘拐は犯罪ですか?
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……まんまと騙された。
世の中『騙される方が悪いんだ』みたいな言葉まであるけど。
まさかまさか、普段から笑顔で挨拶を交わす仲だったお城の騎士様が誘拐をなさるとは。
これを疑って掛かれる人がいたとしたら、その人は元から人間不信なんじゃないだろうか。
結論。私は悪くない! 悪いのは誰がなんと言おうと騙した方だぁーーッ!!
ゼーハー……ゼーハー……
……はぁ。空しい。
「んー、その意見には賛成だけど。実際捕まっちゃってるんだから言うだけ虚しくないかな~?」
「……ちょっと黙っててもらえません?」
何が空しいって、今の絶叫を聞いているのが“騙した張本人”のみなところ。
なんでアンタここに居んのよ。
「え、見張りだよ? 護衛だとか思ったの?」
「聞いた私が悪かったです」
石造りの牢獄ーーなどではなく普通の民家の個室のようなところに誘拐犯ーーもといオルトさんと二人きりのこの状況。
会話のノリだけ聞いてればそこまで切迫していないが、両腕両脚はきっちりロープでグルグル巻き。
今回同意なく私を攫った相手は飼い猫ではない。連れて行かれた場所も自宅じゃない。身体の自由も奪われている。
つまり完全に誘拐からの監禁事件。
ここが例え常識の通じない異世界でも、さすがにこれは犯罪でしょうよ。
「……興味本位で聞きますけど、名前とか家族の話とかって嘘でした?」
「いや? 全部本当」
「なら何でエリート騎士様が犯罪に手染めちゃってるんですか!?」
「こっちも色々訳ありなんだよー。察して?」
「絶・対・嫌!」
何言ってんだこの人。誘拐犯の事情なんて知ったこっちゃないわよ。
深々とため息を吐き出してから、部屋の中を見渡す。
出入口は誘拐犯な騎士様が背もたれにしているドアひとつだけ。
壁を見ればカーテンが掛かっているから窓もあるのだろうけど、そもそもここが何階かも分からないので脱出経路としては考えられない。
家具は一つも置いていないから、民家っぽい作りではあってもこういう目的のための部屋なんだろう。
「ーーなんか、結構余裕あるね。もっと怯えて震えたりするのかと思ったけど」
少しでも情報を得られないかと観察を続けていると、半笑いのオルトさんが呆れたように呟いた。
「嗜虐癖まであるとか言います?」
「ははっ、まっさかー。でも、あんまり普通にされているのもイラッとするんだよねー」
……それってやっぱりSっ気があるんじゃ、って言ったら煽るだけだから今回は口を噤んでおく。
けど、思わずジト目で見てしまったのが気に障ったらしい。
「ほら、そういうとこ。自分の状況分かってない訳ないのに、どういう神経してたらそんな生意気な目ができるのかな?」
君って普通っぽいのに実は普通じゃないよねー、と面白そうに笑いながら距離を詰められた。
……一個訂正。笑ってるのは口元だけで、目が全然笑ってなかった。
雰囲気に気圧されて固まっていると、急にフォンッという音とともに頬に風が当たる。
ーーパサリ
腕にくすぐったいような感触があって視線を下ろせば、斬り落とされたダークブロンドの髪が床に散らばっていた。
世の中『騙される方が悪いんだ』みたいな言葉まであるけど。
まさかまさか、普段から笑顔で挨拶を交わす仲だったお城の騎士様が誘拐をなさるとは。
これを疑って掛かれる人がいたとしたら、その人は元から人間不信なんじゃないだろうか。
結論。私は悪くない! 悪いのは誰がなんと言おうと騙した方だぁーーッ!!
ゼーハー……ゼーハー……
……はぁ。空しい。
「んー、その意見には賛成だけど。実際捕まっちゃってるんだから言うだけ虚しくないかな~?」
「……ちょっと黙っててもらえません?」
何が空しいって、今の絶叫を聞いているのが“騙した張本人”のみなところ。
なんでアンタここに居んのよ。
「え、見張りだよ? 護衛だとか思ったの?」
「聞いた私が悪かったです」
石造りの牢獄ーーなどではなく普通の民家の個室のようなところに誘拐犯ーーもといオルトさんと二人きりのこの状況。
会話のノリだけ聞いてればそこまで切迫していないが、両腕両脚はきっちりロープでグルグル巻き。
今回同意なく私を攫った相手は飼い猫ではない。連れて行かれた場所も自宅じゃない。身体の自由も奪われている。
つまり完全に誘拐からの監禁事件。
ここが例え常識の通じない異世界でも、さすがにこれは犯罪でしょうよ。
「……興味本位で聞きますけど、名前とか家族の話とかって嘘でした?」
「いや? 全部本当」
「なら何でエリート騎士様が犯罪に手染めちゃってるんですか!?」
「こっちも色々訳ありなんだよー。察して?」
「絶・対・嫌!」
何言ってんだこの人。誘拐犯の事情なんて知ったこっちゃないわよ。
深々とため息を吐き出してから、部屋の中を見渡す。
出入口は誘拐犯な騎士様が背もたれにしているドアひとつだけ。
壁を見ればカーテンが掛かっているから窓もあるのだろうけど、そもそもここが何階かも分からないので脱出経路としては考えられない。
家具は一つも置いていないから、民家っぽい作りではあってもこういう目的のための部屋なんだろう。
「ーーなんか、結構余裕あるね。もっと怯えて震えたりするのかと思ったけど」
少しでも情報を得られないかと観察を続けていると、半笑いのオルトさんが呆れたように呟いた。
「嗜虐癖まであるとか言います?」
「ははっ、まっさかー。でも、あんまり普通にされているのもイラッとするんだよねー」
……それってやっぱりSっ気があるんじゃ、って言ったら煽るだけだから今回は口を噤んでおく。
けど、思わずジト目で見てしまったのが気に障ったらしい。
「ほら、そういうとこ。自分の状況分かってない訳ないのに、どういう神経してたらそんな生意気な目ができるのかな?」
君って普通っぽいのに実は普通じゃないよねー、と面白そうに笑いながら距離を詰められた。
……一個訂正。笑ってるのは口元だけで、目が全然笑ってなかった。
雰囲気に気圧されて固まっていると、急にフォンッという音とともに頬に風が当たる。
ーーパサリ
腕にくすぐったいような感触があって視線を下ろせば、斬り落とされたダークブロンドの髪が床に散らばっていた。
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