21 / 23
第二十札 ふぉと!! =写真=
しおりを挟む
まえがき
利剣が住んでいた家は何と!惨殺事件が起きた事故物件だった!
女神様、瑕疵物件なら告知義務があるんですよ?
不動産だったら違法ですよ。
まぁ、サキがいるし、いわくつきはいわくつきですよね。
「利剣君がどこまで知っているのかは分からんが」
そこで言葉を切ってから、漣さんがお茶を手に取って啜る。
俺もお茶の存在を思い出して漣さんに倣うように茶を啜った。
ふう、緑茶の程よい苦みが気分を落ち着かせてくれるなぁ。
「三年程前にあの洋館の庭で死体が発見された。外見の特徴から判断した結果、所有者であった野島明晴さんと野島千夏さんであることが判明したんだ」
野島…、それがサキの苗字だろうか。
今はまだ、咲紀さんがサキと同一人物かは分からないけど。
「咲紀さんも…?」
俺の問いかけに漣さんがかぶりを振る。
「いや。野島咲紀君の遺体は発見されていないのだが…事件現場に流れていた出血の量を見た所、恐らく生存はしていないだろう…」
「見た? と言うことは漣さんは現場を見たんですか?」
「ああ、当時は与力方として現場にも立ち入っておる」
「もしかして漣さんって警察関係者なんですか?」
「ん? いや、違うが」
「そうですか…」
警察関係じゃないのに、事件現場に立ち入れるもんなのか…?
「不思議そうな顔をしておるな。あぁ、まずはそこから話をせねばならんか」
「え? 顔に出てました?」
「うむ。利剣君は顔に出やすい性質なのでな」
「あはは……」
苦笑いして、俺は自分の頬をペシッと叩いた。
気を付けよう…。
「道路を歩いていた人が「敷地内で血を流して人が倒れているようだ」と通報したらしく最初に駆け付けたのは警察なんだが、死体の損壊状態がな…。およそ人がなした行為ではなかったんだ」
「と、言いますと…」
その一言でおおよその予想はついているが。
「二人とも大型の獣に襲われたのかと思うぐらいの深い傷を負っていてな。千夏さんに至っては絶命するまでに大小さまざまな裂傷を受けていた」
「………」
「そこで警察も通常事件ではなく、法術師による事件もしくは妖怪の類が起こした事件であると判断してこちらに投げてきたという訳だ」
「そういう流れなんですね…」
警察と法術師の関係性が何となく分かったような分からないような。
法術師はある程度の行政の権利が与えられているのだろうか。
「と、これは世間的にも比較的知られている流れではあるのだが…」
漣さんがそんな事も知らないのかと言った目で俺を見てくる。
「それも後で説明します…。それで咲紀さんは…?」
「これは現場の調査による推測でしかないが、咲紀君はその大型の妖怪…鬼などに捕食されたとの結果に至った」
「妖怪に…食われた…!?」
俺の言葉に漣さんが神妙に頷く。
サラッと衝撃的な事を言ったぞ!?
「うむ。第一に付近で咲紀君の目撃情報が一切ないという事。そして第二に咲紀君の血液が大量に流れているのにも関わらず遺体の一片も発見されていない事。以上から最初の被害者は野島咲紀君で、捕食後に野島夫妻を殺害したという事が現場の状態から推測される」
「え、じゃあその妖怪は…? 目撃者とか被害は…!?」
そんな獰猛な妖怪が出現したなら近所の人間にも危害が及ぶだろうし、見た人もいるはずだ。
「聞き込みは行ったんだが、妖怪の目撃情報は一切なかった」
「それじゃあ、野島一家を殺害した後妖怪は一体どこに…? 本当は近隣にも被害とか犠牲者がいるんじゃないんですか?」
「犠牲者は野島一家のみだったんだよ、利剣君」
「え…?」
「つまり、野島明晴さんと千夏さんが命と引き換えに妖怪を祓ったと考えるのが妥当だろうな」
「祓った…? 野島夫妻がですか?」
「そうだよ。野島明晴さんと千夏さんはな…法術師だったんだよ」
「……え?」
「そして、野島咲紀君もまた、両親と同じ法術師だ」
「そ、そんな上手い偶然が?」
もし咲紀がサキなら、サキは食われた法術師という事になる。
それならば巫女みたいな服装で化けて出てきてもおかしくはない話、か…。
「偶然…ではなく、その事件が起きたキッカケに野島夫妻が関わっているとしたら? それはおのずと必然の事件にはならんかね?」
「必然、ですか?」
漣さんは何が言いたいんだろう。
野島夫妻が目的があって妖怪を召喚したと言う事か?
「表向きに発表された内容は、野島夫妻が妖怪を呼び出して娘を殺した後自分達も深手を負った段階で妖怪を排除または封印してから絶命したのではないか、という事になっている」
「いやいや……」
そんな馬鹿な内容で納得出来るはずがない。
俺でも分かる。そんな無理な話で……ん?
「表向き、は?」
「そう。だから実の所、誰かが事故になるように仕組んだと思っておる」
「誰かが……」
「式呼びの儀というのは知っているかね?」
「知っています。確か法術師が一人前になったのを親戚に見てもらうって言う儀式ですよね」
「そう。低級の妖怪が封じられた札を破り、その場に顕現させて祓うという昔からの慣習だよ」
「静流と椎佳が成人男性くらいの大きさの鬼を祓ったとか…」
言ってからチラリと椎佳を見やると、椎佳はばつが悪そうに苦笑いを浮かべていた。
「あはは……」
「何だ椎佳。そんな事まで言っておったのか」
と、呆れ顔の漣さん。
「まぁまぁ…。もう隠さず話すんやし時効やって、時効…」
「その口の軽さには今度お灸をすえてやらねばいかんなぁ」
不敵に笑う漣さんに、椎佳の顔が引きつった。
「ご、ごめんなさい……」
あぁ、椎佳からは静流には内緒って約束で教えてくれたんだったか。
うっかりと口を滑らせてしまった。
すまん椎佳。
ここはひとつ助け舟を出しておくか…。
「それで? 式呼びの儀がどうかしたんですか?」
「うむ。法術師達は皆、そう言った法術に関する道具や札などは全て贔屓にしている法具商人から仕入れておるんだが、その式呼びの儀に使われた札が何者かによってすり替えられていた可能性があるのだ」
よし、話題すり替え成功。
「つまり、弱い妖怪を入れた札を仕入れたと思っていたら、強い妖怪が顕現してしまった、と…?」
「そう。何者かが野島一家に対して殺意と悪意をもって取った謀り事だと儂は見ている」
「その法具商人から話は聞いたんですか?」
俺の問いに漣さんはかぶりを振る。
「自室で毒を飲んで死んでいたのを発見した」
「真犯人による証拠隠滅ですか……」
「ああ。方々に手は尽くしたが結局大した進展もないまま三年が過ぎた時、利剣君が現れたと言う訳だ」
そう言って漣さんはニヤリと笑い、座卓の上で両手を組んだ。
「成程」
漣さん、俺本当に何も知らないっすからね?
「知りたいかな?」
「何をですか?」
「咲紀君がサキ君なのか、どうか」
やけに勿体ぶるなぁ…。
「そりゃ知りたいです」
「いいのかね?」
「何がですか?」
「今儂が話している内容は、はっきり言って警察が法術師の管轄として投げた案件で、法術師関係者の中でも一部の人間しか知らん事だ。これ以上話すという事は儂に協力するという事になるが?」
「………ははっ」
俺は思わず笑ってしまった。
だってそうだろ?
ここまでお膳立てされてる状況で、知らなくていいので関わりませんって言えるか?
それに、だ。
事件に関わりませんと言って帰ったところでその謀り事をしたやつからすれば俺は殺人現場に住んでいる謎の青年って事だろ。
もし犯人が今も生きているとしたら、気が気じゃないんじゃないだろうか。
「サキの事もどうにか救ってあげたいと思っているので、協力します」
「そうか。椎佳」
漣さんが椎佳に声をかけると、椎佳が俺の背中をバンッと叩く。
「いってぇ!!」
「男前やなぁ! 利剣!」
「何だよいきなり…」
「ほい」
椎佳が着物の帯から取りだした一枚の写真。
そこには仲睦まじく笑う家族三人の姿があった。
40歳くらいだろうか? 左に男性、右に女性。
そして……。
「サキ……!!」
ニッコリと満面の笑みを浮かべた黒髪の少女の姿が、そこに映っていた。
あとがき
サキは咲紀、法術師一家の娘、野島咲紀だった!
サキは妖怪に食われた咲紀の残留思念だったのか…!
成仏させてあげたい所ですね。
※小説家になろう サイトに咲紀を載せる予定です。
こっちにも画像載せられたらいいのに。
利剣が住んでいた家は何と!惨殺事件が起きた事故物件だった!
女神様、瑕疵物件なら告知義務があるんですよ?
不動産だったら違法ですよ。
まぁ、サキがいるし、いわくつきはいわくつきですよね。
「利剣君がどこまで知っているのかは分からんが」
そこで言葉を切ってから、漣さんがお茶を手に取って啜る。
俺もお茶の存在を思い出して漣さんに倣うように茶を啜った。
ふう、緑茶の程よい苦みが気分を落ち着かせてくれるなぁ。
「三年程前にあの洋館の庭で死体が発見された。外見の特徴から判断した結果、所有者であった野島明晴さんと野島千夏さんであることが判明したんだ」
野島…、それがサキの苗字だろうか。
今はまだ、咲紀さんがサキと同一人物かは分からないけど。
「咲紀さんも…?」
俺の問いかけに漣さんがかぶりを振る。
「いや。野島咲紀君の遺体は発見されていないのだが…事件現場に流れていた出血の量を見た所、恐らく生存はしていないだろう…」
「見た? と言うことは漣さんは現場を見たんですか?」
「ああ、当時は与力方として現場にも立ち入っておる」
「もしかして漣さんって警察関係者なんですか?」
「ん? いや、違うが」
「そうですか…」
警察関係じゃないのに、事件現場に立ち入れるもんなのか…?
「不思議そうな顔をしておるな。あぁ、まずはそこから話をせねばならんか」
「え? 顔に出てました?」
「うむ。利剣君は顔に出やすい性質なのでな」
「あはは……」
苦笑いして、俺は自分の頬をペシッと叩いた。
気を付けよう…。
「道路を歩いていた人が「敷地内で血を流して人が倒れているようだ」と通報したらしく最初に駆け付けたのは警察なんだが、死体の損壊状態がな…。およそ人がなした行為ではなかったんだ」
「と、言いますと…」
その一言でおおよその予想はついているが。
「二人とも大型の獣に襲われたのかと思うぐらいの深い傷を負っていてな。千夏さんに至っては絶命するまでに大小さまざまな裂傷を受けていた」
「………」
「そこで警察も通常事件ではなく、法術師による事件もしくは妖怪の類が起こした事件であると判断してこちらに投げてきたという訳だ」
「そういう流れなんですね…」
警察と法術師の関係性が何となく分かったような分からないような。
法術師はある程度の行政の権利が与えられているのだろうか。
「と、これは世間的にも比較的知られている流れではあるのだが…」
漣さんがそんな事も知らないのかと言った目で俺を見てくる。
「それも後で説明します…。それで咲紀さんは…?」
「これは現場の調査による推測でしかないが、咲紀君はその大型の妖怪…鬼などに捕食されたとの結果に至った」
「妖怪に…食われた…!?」
俺の言葉に漣さんが神妙に頷く。
サラッと衝撃的な事を言ったぞ!?
「うむ。第一に付近で咲紀君の目撃情報が一切ないという事。そして第二に咲紀君の血液が大量に流れているのにも関わらず遺体の一片も発見されていない事。以上から最初の被害者は野島咲紀君で、捕食後に野島夫妻を殺害したという事が現場の状態から推測される」
「え、じゃあその妖怪は…? 目撃者とか被害は…!?」
そんな獰猛な妖怪が出現したなら近所の人間にも危害が及ぶだろうし、見た人もいるはずだ。
「聞き込みは行ったんだが、妖怪の目撃情報は一切なかった」
「それじゃあ、野島一家を殺害した後妖怪は一体どこに…? 本当は近隣にも被害とか犠牲者がいるんじゃないんですか?」
「犠牲者は野島一家のみだったんだよ、利剣君」
「え…?」
「つまり、野島明晴さんと千夏さんが命と引き換えに妖怪を祓ったと考えるのが妥当だろうな」
「祓った…? 野島夫妻がですか?」
「そうだよ。野島明晴さんと千夏さんはな…法術師だったんだよ」
「……え?」
「そして、野島咲紀君もまた、両親と同じ法術師だ」
「そ、そんな上手い偶然が?」
もし咲紀がサキなら、サキは食われた法術師という事になる。
それならば巫女みたいな服装で化けて出てきてもおかしくはない話、か…。
「偶然…ではなく、その事件が起きたキッカケに野島夫妻が関わっているとしたら? それはおのずと必然の事件にはならんかね?」
「必然、ですか?」
漣さんは何が言いたいんだろう。
野島夫妻が目的があって妖怪を召喚したと言う事か?
「表向きに発表された内容は、野島夫妻が妖怪を呼び出して娘を殺した後自分達も深手を負った段階で妖怪を排除または封印してから絶命したのではないか、という事になっている」
「いやいや……」
そんな馬鹿な内容で納得出来るはずがない。
俺でも分かる。そんな無理な話で……ん?
「表向き、は?」
「そう。だから実の所、誰かが事故になるように仕組んだと思っておる」
「誰かが……」
「式呼びの儀というのは知っているかね?」
「知っています。確か法術師が一人前になったのを親戚に見てもらうって言う儀式ですよね」
「そう。低級の妖怪が封じられた札を破り、その場に顕現させて祓うという昔からの慣習だよ」
「静流と椎佳が成人男性くらいの大きさの鬼を祓ったとか…」
言ってからチラリと椎佳を見やると、椎佳はばつが悪そうに苦笑いを浮かべていた。
「あはは……」
「何だ椎佳。そんな事まで言っておったのか」
と、呆れ顔の漣さん。
「まぁまぁ…。もう隠さず話すんやし時効やって、時効…」
「その口の軽さには今度お灸をすえてやらねばいかんなぁ」
不敵に笑う漣さんに、椎佳の顔が引きつった。
「ご、ごめんなさい……」
あぁ、椎佳からは静流には内緒って約束で教えてくれたんだったか。
うっかりと口を滑らせてしまった。
すまん椎佳。
ここはひとつ助け舟を出しておくか…。
「それで? 式呼びの儀がどうかしたんですか?」
「うむ。法術師達は皆、そう言った法術に関する道具や札などは全て贔屓にしている法具商人から仕入れておるんだが、その式呼びの儀に使われた札が何者かによってすり替えられていた可能性があるのだ」
よし、話題すり替え成功。
「つまり、弱い妖怪を入れた札を仕入れたと思っていたら、強い妖怪が顕現してしまった、と…?」
「そう。何者かが野島一家に対して殺意と悪意をもって取った謀り事だと儂は見ている」
「その法具商人から話は聞いたんですか?」
俺の問いに漣さんはかぶりを振る。
「自室で毒を飲んで死んでいたのを発見した」
「真犯人による証拠隠滅ですか……」
「ああ。方々に手は尽くしたが結局大した進展もないまま三年が過ぎた時、利剣君が現れたと言う訳だ」
そう言って漣さんはニヤリと笑い、座卓の上で両手を組んだ。
「成程」
漣さん、俺本当に何も知らないっすからね?
「知りたいかな?」
「何をですか?」
「咲紀君がサキ君なのか、どうか」
やけに勿体ぶるなぁ…。
「そりゃ知りたいです」
「いいのかね?」
「何がですか?」
「今儂が話している内容は、はっきり言って警察が法術師の管轄として投げた案件で、法術師関係者の中でも一部の人間しか知らん事だ。これ以上話すという事は儂に協力するという事になるが?」
「………ははっ」
俺は思わず笑ってしまった。
だってそうだろ?
ここまでお膳立てされてる状況で、知らなくていいので関わりませんって言えるか?
それに、だ。
事件に関わりませんと言って帰ったところでその謀り事をしたやつからすれば俺は殺人現場に住んでいる謎の青年って事だろ。
もし犯人が今も生きているとしたら、気が気じゃないんじゃないだろうか。
「サキの事もどうにか救ってあげたいと思っているので、協力します」
「そうか。椎佳」
漣さんが椎佳に声をかけると、椎佳が俺の背中をバンッと叩く。
「いってぇ!!」
「男前やなぁ! 利剣!」
「何だよいきなり…」
「ほい」
椎佳が着物の帯から取りだした一枚の写真。
そこには仲睦まじく笑う家族三人の姿があった。
40歳くらいだろうか? 左に男性、右に女性。
そして……。
「サキ……!!」
ニッコリと満面の笑みを浮かべた黒髪の少女の姿が、そこに映っていた。
あとがき
サキは咲紀、法術師一家の娘、野島咲紀だった!
サキは妖怪に食われた咲紀の残留思念だったのか…!
成仏させてあげたい所ですね。
※小説家になろう サイトに咲紀を載せる予定です。
こっちにも画像載せられたらいいのに。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる