コミュ障なTS美少女吸血鬼とコミュ力高めで女の子好きな女騎士

ユウギリ

文字の大きさ
16 / 46

コミュ障吸血鬼、外出に成功する

しおりを挟む

「スキルの使い方?」

 リオナが聞き返してきたので、頷いて答える。

「そういえば、言ってなかったっけ。私がやったみたいに、スキルの名前を言えば使えるはずだよ」

 言われてみれば確かに。
 早速やってみよう。

「【日光遮断】」

 ……言ってみたけど、特に変わったところはない。
 試しに、ドアを開けて日差しが当たっている廊下に手を出してみる。
 でも、何も起こらない。
 ということはつまり、スキルの効果が出てるってことになる。
 よしっ、と思って部屋を出る。

「ティアナ!?」

 相変わらずの眩しさで目が痛くなってふらつく。
 それに、出た瞬間、部屋にいた時よりぐったり感が増した。
 これは、早めにアンナのところに行かないと、力尽きる。
 力尽きる前に辿り着かないと。
 少しふらつきながら廊下を歩く。

「ちょっ、ちょっとティアナ、大丈夫!? そんなにふらふらで……本当に行くの!?」

 ふらつく僕を支えながらそんなことを訊ねてくるリオナに、僕は頷いて返す。

「だって、無理やり連れてかれて、可哀想だったから……」
(な……っ、なんて優しいの!? あんな変態に優しくするなんて、ティアナの優しさは底なしすぎるよ!)
「そ、そっか……じゃあ、私が背負っていってあげるよ。ね? それくらいはいいでしょ?」

 なんで聞いたのかよくわからないけど、取り敢えずリオナに背負われることにする。

 ◆

 リオナが背負ってくれたお陰で、ただでさえ落ちている体力を温存してお城の門の前まで来ることができた。
 ここからは自分で歩くからと、リオナに降ろしてもらい、門に近づく。
 すると、門番の人が槍を僕に突き付けてきた。

「なぜこんなところに吸血鬼がいる! おい、騎士団長を呼んでこい!」
「わかった!」

 槍を突き付けてきた門番の人が、もう一人の門番の人にそう指示を出した。
 僕はと言えば、槍を突き付けられた驚きで腰を抜かして、地面に尻餅をついていた。
 リオナに杭を突き付けられた時以来の怖さだ。
 そんな僕のところに、すぐさま駆け寄ってきたリオナが、僕を庇うように立つ。

「貴様、なぜ吸血鬼を庇う! 吸血鬼の仲間か!?」
「だったらなに? 言っとくけど、あなたごとき、私の相手にもならないから。矛を納めるなら今のうちよ?」

 勇者の末裔が言うと、説得力が違う。

「なんだと……!?」

 僕から門番の人は見えないけど、リオナの言葉で門番の人が怒っているのはわかった。
 この後どうなるのかとひやひやしていると、アンナの声が聞こえてきた。

「ティアナー!」

 おかしいな……満面の笑みを浮かべて僕を呼びながら走ってくるアンナが見える。

「ティアナ! 来てくれたのね! あれ? でもなんで灰にならない……あっ、【日光遮断】か! あぁ、もうっ、それはどうでもいいの! ティアナが来てくれるなんて、こんなに嬉しいことはないわ!」

 僕を抱き締めながら喋り倒すアンナ。
 あぁ、うん、この感じ、なんかもう実家のような安心感を覚える。
 でも、精神を削られる。

「き、騎士団長? まさか、その吸血鬼が、仰られていた……?」
「そうよ、私が面倒を見ることになった吸血鬼のティアナよ。可愛いでしょう? でも、槍を突き付けてた件については、後で話があるわよ?」
「ヒッ……!? も、申し訳ございませんでした!!」

 アンナに、笑ってるのに全く笑ってない笑顔を向けられた門番の人が、勢いよく頭を下げて謝った。

「大丈夫だった? 怖かったでしょう? あの怖い人には、後で私が教育を施しておくから、安心して? ティアナに仇なす者は、誰であろうと私が天誅を下すから!」

 数時間越しの僕との再会で気持ちが昂っているのか、言ってることがおかしい。
 いつから僕は、アンナにとって神のような存在になったんだ……。

「これだから変態は……」

 リオナがボソッと呟いたのが聞こえてきた。
 でもって、やっぱり、アンナのことを変態としか呼ばないんだ……。
 幸い、当のアンナには聞こえていなかったようで、僕のことを相変わらずの秀麗な微笑みで見つめてきている。

「それにしても、どうして来たの? もしかして、私に会いたかったの?」
「ううん」
「えっ……じ、じゃあ、なんで?」
「無理やり連れてかれて、可哀想だったから……」

 僕が答えると、アンナはショックを受けた表情から一変、ものすごく嬉しそうな表情になった。

「もうっ、ティアナってば! そんな嬉しいこと言わないでよっ、体が疼いちゃうじゃない!」

 もうっ、と言いながら僕を強く抱き締めるアンナ。
 えっ、待って、ものすごく離れてほしい。
 なに、体が疼いちゃうって。
 このまま襲われたりしないよね?
 ものすごく不安なんだけど。
 そしてやっぱりリオナは――

「これだから変態は……」

 と呟いていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...