勇者は隠者になりたい

ナギサ コウガ

文字の大きさ
15 / 29

近郊の森4

しおりを挟む

「ギルマス。剣とか持ってきてないの?」

 黙っていればよかったのだけど、どうしても気になってしまい。つい、口に出してしまった。
 だって自分の命がかかっているのだから。そもそも何で武器持ってないの?思いっきり手ぶらだし。
 おじいちゃん・・・散歩じゃないのよ。

「おおう。アリアーヌ。その調子なら大丈夫そうじゃな。いきなり呼ばれたからのう。街を歩くのに武装する者は冒険者だけじゃぞ。そもそも儂の得物を知っとるのか?」
「知らないよ。でも剣なんでしょ?」
「・・ふむ。そうか。ふむ」

 あ、ちょっとバレてしまったかも。ギルマスの視線が鋭くなったぞ。やっぱり敵だったかも。
 う~ん。でも今は現状から逃れるのが先だ。

「おいおい、何話をしているんだ。剣も無しに俺に勝てると思っているのか?」

 私達のやり取りを聞いて、いつもの調子を取り戻してきたようなクレイグ。
 やっぱり単純だ。武器が無いなら勝てると踏んだのだろう。パーティのランクはCとされているストロングウィルだけど。単純な剣技であればこの街ではトップクラスなクレイグだ。
 領都や王都でも上位に入る腕前だろうとギルマスはおだてていた。単純なクレイグは大層得意がっていたのを覚えている。
 本当の所は私には分からない。ギルマスが本当の事を言っているのかもわからない。
 でも無手でクレイグを制する事ができるのか?と聞かれると。
 
 無理じゃね?
 と、思う。
 
 だっておじいちゃんだし。今もふらついているみたいだし。お酒飲んでいたんだろうな。
 考えている時に背後から近づく気配を感じる。
 
「お待たせ」

 私を助けようと頑張ってくれた人だ。良き理解者でもある姉のような人だ。

「エイミーね。ギルマス呼んでくれてありがとう」
「あら。知っていたの?」
「ううん。さっきそうかなと思った。助けを探してくれていたんだね。ありがとう」

 あっというまにロープの拘束がなくなる。少しだけ緩くなったとはいえ簡単に解く事ができるとは。本当に手先が器用すぎる。
 
「今姿現して大丈夫なの?」
「え?ああ、クレイグの事?いいのよ。ストロングウィルは解散だから。少なくてもあんなリーダーの元で行動するつもりはあたしには無いし。多分ガイも同じだと思うわ」

 エイミーは大きなため息をつく。そこは大いに同意する。私もクレイグがこうなるとは予想外だったし。
 
「そっか。でもさ、ギルマスでクレイグは大丈夫なの?その・・・エイミーじゃクレイグ相手は無理なんでしょ?」
「その通り。無理よ。あたしが対人戦闘力を求めかっただけだからかね。人斬りなんて冗談じゃないわ。でも、ギルマスは任せとけと言っていたわよ。だから任せた」
「あ~、・・そうなのね」

 ソウデゴザイマスカ。
 ・・エイミーはどこまでギルマスの過去を知っているのだろ?
 そんな事、話をした事なかったな。私達はお互いの剣の技量を何故か知っている。
 クレイグの対人戦闘の強さを私は正確には知らない。エイミーは自分が三人いてもクレイグを倒せないと昔言っていたような気がする。
 
 でもほんとに任せていいの?
 ・・心配が増えてきてしまう。
 大丈夫。・・なんだよね?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...