もう一度、やり直せるなら

青サバ

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4章 実らせる為の一歩

4-3 共に行きたい

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 翌朝。

 駿は朝日が照らす校門を駆け抜ける。

 抜ける風が冷たい。

 今日だけは、誰よりも早くコートに立ちたかった。

 
 着替えを終えて外に出ると、すでにボールの弾む音がしていた。

 隆二だ。

 黙々と打ち込んでいる。

「おはよう、ダブルスの選抜戦で勝ち抜いて、大会出場しような」

「勿論」

 それでも、隣に立つ。


 ダブルスの確認。

 前衛の位置取り。

 苦手な配球の修正。

 呼吸が、少しずつ合っていく。


 代表は2組。

 祐希のペアが本命。

 
 選抜戦が始まる。

 2連勝。

 だが、祐希のペアともう一組に敗れる。

 2勝2敗。

 
 最終戦。

 相手も2勝2敗。

 負けた方が終わる。

 
 ゲームは拮抗し、タイブレークへ。

 
 コート脇で水を飲む。

「ここからだ。行くぞ、浅村!」

 隆二の声が昂っていた。

「ああ、絶対に勝とう!」

 
 再開。


 流れを掴み、マッチポイント。

 自分のサーブ。

 渾身で振り抜いた一球が、ネットに触れる。

 やり直し。

 
 昨日の光景がよぎる。

 ネットに落ちた、あのボール。

 
 ――入れるか。打ち抜くか。

 
 一瞬、迷う。

 
 視線を上げる。

 隆二が、こちらを見ていた。

 何も言わない。

 ただ、うなずく。

 
 迷いが消える。


 トスを上げる。

 振り抜く。

 
 強い。

 
 わずかに、長い。

 
 アウト。

 
「……っ」

 
 そこから流れは傾いた。

 ラリーが続く。

 足が重い。

 呼吸が荒い。

 
 最後の一球。

 相手のショットが自分のコートに突き刺さる。


 試合終了。

 
 部活が終わった後の帰り道
 
 しばらく、言葉が出ない。


「あの時、俺がサーブを入れていれば、勝てたかもしれないのに……本当にごめん」

「次は入る」

 隆二が言った。

 責めるでもなく、慰めるでもない。

「俺も細かなミスが多かったから、お互い様だ」

 隆二は更に立て続けて話す。

「浅村とダブルスやって来て良かったって今日、改めて感じた」
「だからこそ、10月の新人戦に向けて、頑張るぞ、浅村」

「ああ」

 互いの拳がぶつかる。

 乾いた音。

 
 空は曇っている。

 それでも、雲の隙間から光が差していた。
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