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黄昏の王
7、吸血鬼の苦難(後編)
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高級ホテルのペントハウス。
そこにミッシェルは、運ばれていた。
部屋には前もって用意してたであろう医療器具が並んでいる。部屋の中でベッドに横たわるミッシェルは、何かを透析されていた。傍には血液パックと何かの薬剤を入れたパックが吊り下げられている。パックに繋がったチューブは透析器のようなき機械で混ぜ合わせていた。
薬剤と混ぜ合わせた血液は、血管に差し込まれた針を通してミッシェルの身体に流し込まれていく。
しばらくするとミッシェルの顔色が徐々に変わっていった。信じられない高温であった体温も下がり始めている。
「これでとりあえず大丈夫」
処置をしていたヴィオレタはそう言ってベッドから離れた。
「処置が間に合った良かったぜ」
心配そうに様子を見ていたリアムが言う。
「いえ、間に合ってない」
「は?」
「これ、彼女がいつも使っている血清とは違う。最近、買収した製薬会社に造らせた血清の不完全なコピー」
「応急処置ってわけだな。でも症状は安定してるようだけど」
リアムが覗き込んでいるとミッシェルが目を開けた。
「……やあ、坊や」
「やっと目を覚ましたな。大丈夫か?」
「ん……ヴァンパイアはタフなの。特に夜はね」
「もうすぐ夜は明けるぜ」
「そんな時間? 少し寝すぎた」
「何を悠長な事を……お前、死にそうだったのによ」
傍らにいたヴィオレタ・クリステスク【※】はニヤリと笑う。
「相変わらずね」
「ヴィオレタ・クリステスク?」
「具合はどう? お嬢ちゃん」
「まったく、婆さんは一言多い……」
ヴィオレタは14世紀に造られ、ミッシェルは、19世紀に生まれだ。
「もしかして俺が一番年下か?」
リアムが呆れ顔で言う。
ミッシェルは、よろめきながらもベッドから降りようとした。
「おいおい、足がおぼつかないじゃないか。まだ、寝てろって」
「本物の血清を取りに戻る」
「それは、少し考えた方がいい」
そう口を挟んだヴィオレタをミッシェルが見る。
「あなたが、使ってる血清って最近おかしくない?」
ミッシェルには、ヴィオレタの言葉には心当たりがあった。ミッシェルの予想では血清の効果はまだ数日あるはずだった。効果が切れるのが早すぎる。最初は、効果が切れるのは自分の方の問題だと思っていた。だが、ヴィオレタの言葉からすると原因は別にあるようだ。
「トルッペ・シュヴェールトに協力しているそうね。あなたの組織はそれを許してくれるのかしら?」
「ちょっとしたアルバイトさ。大したことじゃない」
「どうかしら? 彼ら、あなたのアルバイトに気づいてるし、大した事だとは思ってない。それの証しがいつもと違う血清では?」
「私には、血清よりも重要なことがある」
ヴィオレタはため息をつく。
「あなたのマスター探しね。知ってる」
ヴィオレタは近くにあったソファに腰かける。
「でもね、彼らが……トルッペ・シュヴェールトが本当にそんな情報を握っているとでも?」
「私をヴァンパイアに変えたレイミア・オルロック。そのオルロック家の当主の事を知っているそうだ。オルロック家の当主を殺せば、私のヴァンパイアとしての人生も終わる」
「彼らの情報とやらを信じてるの?」
「オルロック家の当主は、私も長年探していた。だけど最近、手詰まりなんでね」
ヴィオレタは再びため息をついた。
「あなた気が付いてるか分からないけど、組織の連中が機嫌を損ねてるのは、トルッペ・シュヴェールトの相手の方よ」
「ユースティティア・デウス?」
「彼らは、ヨーロッパ最大の魔術犯罪捜査機関ユースティティア・デウスと揉めるのを嫌がってる」
「でしょうね。だから黙って来たのに」
「彼らの力はあんたが思っているよりすっと強大。無駄ね」
ミッシェルは顔を背ける。
「……しかたがない子ね。あなたには借りがある。少し手伝ってあげるわ」
ヴィオレタは諦め顔で言った。
「協力してくれるの?」
「これ使いなさい」
ヴィオレタはスマホを放り投げた。それを片手で受け取るミッシェル。
「暗号化ソフトと盗聴防止付き付きよ。血清が足りなくなったら連絡をちょうだい。なんとかするわ」
「ありがとう。意外と優しいんだね」
「勘違いしないでよね。借りを返すだけよ」
ヴィオレタが期待通りの返事をした後、リアムが咳払いする。
「俺もプレゼントがあるぜ」
そう言って自分が持ってるスマホの画面を見せた。
「あのお人好しの兄ちゃんを背負った時にちょっとな」
画面には地図アプリが表示されていた。
「追跡装置? まったく、あんたってストーカーの才能あるわね」
「言うに事欠いて、それ?」
ミッシェルは、笑う。
「でもな……」
リアムが自信なさげな声に言う。
「何?」
「確かそのユースティティア・デウスの本拠だっていう城は、あれだろ? あの妙な骨董屋と同じで魔法の何かを持ってないと入れないんだろ? そんな場所に発信機の電波って届くのか、正直言って自信がねえ」
「城に入られると発信機では追えないと思う」
ミッシェルが言った。
「やっぱりな。魔法と科学じゃ相性が悪そうだもんな」
「いや、そう悪くもないよ」
ミッシェルはニヤリとする。
「は?」
「あの、お人好しの彼が城に出ている間は、追跡できるからね」
§
ユースティティア・デウスの本拠、マニック・カースル城に戻ったタチアナ・バリアントは、上司である局長に報告をしていた。
「神成君は大丈夫?」
局長のヘルミナ・ハーカーは言った。
「今、医務室で治療を受けてる」
「彼の事だから治療を受ける前に完治してるでしょうけど」
「でしょうね。心配して損した気分」
タチアナは傍にある椅子に腰かけながら言う。それを聞いヘルミナが微笑む。
「ところで、あのアルメニア・マフィアの奴は口を割った?」
「いろいろ吐いたわ。彼の組織に魔物の臓器を卸してるのは、トルッペ・シュヴェールト」
「第三帝国の亡霊……か」
「マフィアの連中は、トルッペ・シュヴェールトがどうやって魔物の臓器を手に入れてるのかまでは、知らないみたい。今、うちの部隊がアジトに乗り込んでる。しばらくすれば、もうちょっと、まともな情報も手に入るでしょう」
「ふーん……」
タチアナは興味なさそうにうなずいた。
「それとマフィアの連中ね、純粋な吸血鬼ではないわ」
「ん? どういうこと?」
そちらには興味はあったらしく、タチアナは、少し身を乗り出す。
「自白によると何かの薬を使って吸血鬼化したらしいわ。裏付けと取る為に今、採取した血液を分析班にまわしてる」
「そっちも問題だね」
「それに関しては、新たに捜査班を立ち上げるつもり。うーん、深刻な問題にならないうちに何とかしたいんだけど」
「手伝うかい?」
「あなたには、まだ“魔物の臓器”の件を追って欲しい」
「いいの?」
「まだ気になってる事があるんでしょ?」
ヘルミナは、肩をすくめた。
「なんでわかるの? 何かの能力でも使った?」
「あなた、顔にでやすいもの」
気まずそうな顔をするタチアナ。
「そういえば、マフィアどもと争った時、連中とは別の吸血鬼に会ったよ。ついでに言うとあんたと同じ赤い瞳だった」
ヘルミナは、かけていた眼鏡をかけ直す。
「内部抗争なのかもね」
「どうかな……ボクは、どうも違う気がする」
「何か気が付いた?」
「彼女は悪党に見えなかった」
そこにミッシェルは、運ばれていた。
部屋には前もって用意してたであろう医療器具が並んでいる。部屋の中でベッドに横たわるミッシェルは、何かを透析されていた。傍には血液パックと何かの薬剤を入れたパックが吊り下げられている。パックに繋がったチューブは透析器のようなき機械で混ぜ合わせていた。
薬剤と混ぜ合わせた血液は、血管に差し込まれた針を通してミッシェルの身体に流し込まれていく。
しばらくするとミッシェルの顔色が徐々に変わっていった。信じられない高温であった体温も下がり始めている。
「これでとりあえず大丈夫」
処置をしていたヴィオレタはそう言ってベッドから離れた。
「処置が間に合った良かったぜ」
心配そうに様子を見ていたリアムが言う。
「いえ、間に合ってない」
「は?」
「これ、彼女がいつも使っている血清とは違う。最近、買収した製薬会社に造らせた血清の不完全なコピー」
「応急処置ってわけだな。でも症状は安定してるようだけど」
リアムが覗き込んでいるとミッシェルが目を開けた。
「……やあ、坊や」
「やっと目を覚ましたな。大丈夫か?」
「ん……ヴァンパイアはタフなの。特に夜はね」
「もうすぐ夜は明けるぜ」
「そんな時間? 少し寝すぎた」
「何を悠長な事を……お前、死にそうだったのによ」
傍らにいたヴィオレタ・クリステスク【※】はニヤリと笑う。
「相変わらずね」
「ヴィオレタ・クリステスク?」
「具合はどう? お嬢ちゃん」
「まったく、婆さんは一言多い……」
ヴィオレタは14世紀に造られ、ミッシェルは、19世紀に生まれだ。
「もしかして俺が一番年下か?」
リアムが呆れ顔で言う。
ミッシェルは、よろめきながらもベッドから降りようとした。
「おいおい、足がおぼつかないじゃないか。まだ、寝てろって」
「本物の血清を取りに戻る」
「それは、少し考えた方がいい」
そう口を挟んだヴィオレタをミッシェルが見る。
「あなたが、使ってる血清って最近おかしくない?」
ミッシェルには、ヴィオレタの言葉には心当たりがあった。ミッシェルの予想では血清の効果はまだ数日あるはずだった。効果が切れるのが早すぎる。最初は、効果が切れるのは自分の方の問題だと思っていた。だが、ヴィオレタの言葉からすると原因は別にあるようだ。
「トルッペ・シュヴェールトに協力しているそうね。あなたの組織はそれを許してくれるのかしら?」
「ちょっとしたアルバイトさ。大したことじゃない」
「どうかしら? 彼ら、あなたのアルバイトに気づいてるし、大した事だとは思ってない。それの証しがいつもと違う血清では?」
「私には、血清よりも重要なことがある」
ヴィオレタはため息をつく。
「あなたのマスター探しね。知ってる」
ヴィオレタは近くにあったソファに腰かける。
「でもね、彼らが……トルッペ・シュヴェールトが本当にそんな情報を握っているとでも?」
「私をヴァンパイアに変えたレイミア・オルロック。そのオルロック家の当主の事を知っているそうだ。オルロック家の当主を殺せば、私のヴァンパイアとしての人生も終わる」
「彼らの情報とやらを信じてるの?」
「オルロック家の当主は、私も長年探していた。だけど最近、手詰まりなんでね」
ヴィオレタは再びため息をついた。
「あなた気が付いてるか分からないけど、組織の連中が機嫌を損ねてるのは、トルッペ・シュヴェールトの相手の方よ」
「ユースティティア・デウス?」
「彼らは、ヨーロッパ最大の魔術犯罪捜査機関ユースティティア・デウスと揉めるのを嫌がってる」
「でしょうね。だから黙って来たのに」
「彼らの力はあんたが思っているよりすっと強大。無駄ね」
ミッシェルは顔を背ける。
「……しかたがない子ね。あなたには借りがある。少し手伝ってあげるわ」
ヴィオレタは諦め顔で言った。
「協力してくれるの?」
「これ使いなさい」
ヴィオレタはスマホを放り投げた。それを片手で受け取るミッシェル。
「暗号化ソフトと盗聴防止付き付きよ。血清が足りなくなったら連絡をちょうだい。なんとかするわ」
「ありがとう。意外と優しいんだね」
「勘違いしないでよね。借りを返すだけよ」
ヴィオレタが期待通りの返事をした後、リアムが咳払いする。
「俺もプレゼントがあるぜ」
そう言って自分が持ってるスマホの画面を見せた。
「あのお人好しの兄ちゃんを背負った時にちょっとな」
画面には地図アプリが表示されていた。
「追跡装置? まったく、あんたってストーカーの才能あるわね」
「言うに事欠いて、それ?」
ミッシェルは、笑う。
「でもな……」
リアムが自信なさげな声に言う。
「何?」
「確かそのユースティティア・デウスの本拠だっていう城は、あれだろ? あの妙な骨董屋と同じで魔法の何かを持ってないと入れないんだろ? そんな場所に発信機の電波って届くのか、正直言って自信がねえ」
「城に入られると発信機では追えないと思う」
ミッシェルが言った。
「やっぱりな。魔法と科学じゃ相性が悪そうだもんな」
「いや、そう悪くもないよ」
ミッシェルはニヤリとする。
「は?」
「あの、お人好しの彼が城に出ている間は、追跡できるからね」
§
ユースティティア・デウスの本拠、マニック・カースル城に戻ったタチアナ・バリアントは、上司である局長に報告をしていた。
「神成君は大丈夫?」
局長のヘルミナ・ハーカーは言った。
「今、医務室で治療を受けてる」
「彼の事だから治療を受ける前に完治してるでしょうけど」
「でしょうね。心配して損した気分」
タチアナは傍にある椅子に腰かけながら言う。それを聞いヘルミナが微笑む。
「ところで、あのアルメニア・マフィアの奴は口を割った?」
「いろいろ吐いたわ。彼の組織に魔物の臓器を卸してるのは、トルッペ・シュヴェールト」
「第三帝国の亡霊……か」
「マフィアの連中は、トルッペ・シュヴェールトがどうやって魔物の臓器を手に入れてるのかまでは、知らないみたい。今、うちの部隊がアジトに乗り込んでる。しばらくすれば、もうちょっと、まともな情報も手に入るでしょう」
「ふーん……」
タチアナは興味なさそうにうなずいた。
「それとマフィアの連中ね、純粋な吸血鬼ではないわ」
「ん? どういうこと?」
そちらには興味はあったらしく、タチアナは、少し身を乗り出す。
「自白によると何かの薬を使って吸血鬼化したらしいわ。裏付けと取る為に今、採取した血液を分析班にまわしてる」
「そっちも問題だね」
「それに関しては、新たに捜査班を立ち上げるつもり。うーん、深刻な問題にならないうちに何とかしたいんだけど」
「手伝うかい?」
「あなたには、まだ“魔物の臓器”の件を追って欲しい」
「いいの?」
「まだ気になってる事があるんでしょ?」
ヘルミナは、肩をすくめた。
「なんでわかるの? 何かの能力でも使った?」
「あなた、顔にでやすいもの」
気まずそうな顔をするタチアナ。
「そういえば、マフィアどもと争った時、連中とは別の吸血鬼に会ったよ。ついでに言うとあんたと同じ赤い瞳だった」
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