俺、異世界で嫌々勇者やってます

毛穴翔太

文字の大きさ
52 / 74
世界統一編

ユグドラシル攻略戦6

しおりを挟む
「リ・・・リリ・・ス。・・・後は頼んだ・・・」
 サリアはそう言うと、気を失った。
 まだ生きているみたいね。・・・後は私に任せて!
「覚悟しなさい!エルフ!」
 リリスはそう言うと、杖をメメに向けた。
 一日に二階が限度の最上級魔法、最後の一撃ザ・ファナルインパクトをうつしかない。これで倒せればこの勝負、こちらの勝ちで、倒せなければこちらの負けになる。
「この一撃に全てをかける!最後の一撃ザ・ファナルインパクト!」
 リリスの真上に先程より一回り大きな火の玉が現れ、メメに向かって解き放った。
 勝てるか、其れとも負けるか・・・。
 ゆっくりとメメに向けて火の玉が迫る。そして・・・。
 バーン!と物凄い音と共に火の玉が爆発した。
 その光景を見たリリスは跪いた。
「はあ・・・はあ・・・」
 魔力切れのようね。で、どっち?
 砂煙が舞っている中心をリリスは凝視した。
「・・・ッ!ウソ・・でしょ・・・」
 砂煙が次第に晴れ、メメが姿を現した。
「もう魔力切れのようね。今の一撃は、死ぬかと思ったわ。さてと、遊びは終わり。覚悟しなさい!雑魚共」
 メメはそう言うと、右手を天にかざした。その直後、後頭部に衝撃が走った。
「良いからそのまま眠ってろ!」
 そこに居たのは、さっきまで寝ていた泰斗であった。
「貴様らの頭は俺が打ち取った。故にこの戦争は我々連合国軍の勝利とし、ここに終戦を宣言する。なお、異論があるユグドラシル軍の者は俺の所へ来い!俺が相手してやる」
 泰斗のこの宣言により、ユグドラシル軍は武器をその場に落とした。

 日が沈み始めた頃、気を失っていたメメが目を開けた。
 腕は後ろで拘束され、足も縄でぐるぐる巻きにされて、身動きが出来なかった。
「お!起きたみたいだぞ」
 泰斗の声にその場にいるリリス、サタン、ゴンドロス、サリアと他数人が一斉にメメを見た。
 メメは一瞬驚いたが、小さく深呼吸をし、周りを見渡し、状況を把握した。
「負けた・・・のだな」
 その声は、戦っている時に比べて、元気が無かった。
「一つ聞きたい事がある。あたしを含めて、ユグドラシルはこれからどうなるのだ?」
 メメは何となくわかっていた。だが聞いておきたかった。奴隷、皆殺し、色々あるだろうけど、知っておきたかった。しかし、泰斗の返事はメメが思っている事とは違っていた。
「とりあえず、連合国軍に入る。政権などは今まで通りやってもらうとして、ユグドラシルの全ての権限は俺にだろ。後は資源の売買に観光客などへの配備。それくらいかな?ま、他のことは後で決めよう」
「本当にそれくらいなのか?」
「というと?」
「奴隷や拷問、皆殺しなどはしないのか?あたし達は負けたのだぞ!」
「いや、俺の目的はただ一つ。この世界を統一して、俺は家に帰る。奴隷や皆殺しなどに興味はない!」
「なっ・・・!」
 泰斗の言葉に、本当にそれだけなのか、何か裏があるのではないかと考えた。しかし、どう考えても、不利になるような事が思いつかなかった。
「ところでサリア。傷の方は大丈夫なのか?」
 泰斗はサリアを見ながら話した。
「正直言って、大丈夫じゃないね。貫かれた時に内臓をやられて気分が優れないよ。兎に角、傷は治癒魔法で直したけど、当分動けそうに無いかな?」
「まあ、安静にするといい。さてと、メメ。とりあえず君には、連合国軍に加盟する事などを国民に伝えること。そんでもって、納得がいかない奴は、アルハイドに来て、俺が相手をしてやると言っといてくれ」
「ああ。了解した」
「とりあえずこれで解散だ。お疲れさん」
 泰斗はそう言うと、リリスが設置した転移魔法へと向かい消えていった。
 泰斗の後を追うように、次々と転移魔法に入っていき、気づけば、メメの前には誰も居なかった。
「全く、おかしな奴らだった。さてと、あたしらも帰るとするぞ!」
 メメは重い腰を上げて、ユグドラシルへと帰っていった。

 後日。再び連合国軍はユグドラシル軍と戦った場所にエリーシアとサリアとサタンとゴンドロスの各領主とその部下数名。そして、勇者である泰斗とリリスが転移魔法により姿を現した。
 その光景を目にしたメメは、ゆっくりと各領主へと歩み寄った。
「えーと、あのー」
 歩み寄ったメメは、各領主たちと顔を合わせた瞬間、土壇場に何を言えば良いのか忘れてしまった。
「とりあえず、話は後だ。造ってしまおうぜ。な?」
「ああ。そうだな」
 というのも、今回集まったのは、ユグドラシル軍が連合国軍に加盟する為の調印式に参加する為と、亡くなった者達の慰霊碑を建てる為に集まったのだ。
 慰霊碑は、ゴンドロスの活躍によりすぐに建てられた為、午前中のうちに調印式が行われる事になった。
 調印式も何事も無く終わり、泰斗はメメを呼び出した。
「なんだ?」
「俺たちは次に天界と戦争を起こす。そこでお前に手伝ってもらいたいんだ」
「良かろう。兵も貸すし、あたしも協力するぞ。ただ一つ頼みがある。お前とあたし。一対一での対決を頼みたい」
「何故?」
「一か月前の会合で、お前が放った威圧がどうにも忘れられない。お前の強さに興味がある。だからあたしと勝負を!」
「いいぜ。ただし、全力で来い!」
「そのつもりだ!」
 メメはそう言うと、泰斗に向かって走った。
 一瞬にして泰斗の懐に潜り込んだメメは、泰斗の腹をめがけて強烈な拳を放った。
「なっ・・・!?居ない?」
 メメがそう口に出した時には右横腹に強烈な蹴りが入っていた。
「ガハッ!」
 いつの間に後ろに?
 メメは横腹を押さえながら、泰斗を見た。
「どうする?まだやるか?」
「当たり前!」
 メメは先程よりも速いスピードで、泰斗に接近し、右の掌を泰斗に向けて、呪文を詠唱した。
 詠唱が終わると、右の掌からアイスピックのような鋭い氷柱が泰斗に向かっていった。
 泰斗は其れを軽く躱した。その間に泰斗の後ろを取ったメメが拳やら蹴りやらを泰斗に向けて放った。しかし、其れも躱された。
 一旦距離を取ったメメは、苦しそうに息を切らし、一方メメの攻撃を躱していた泰斗は、息一つ乱れてはいなかった。
 その状況を把握したメメはゆっくりと呼吸を整えてこう言った。
「あたしの負けだわ!」
 こうしてユグドラシルとの戦争に連合国軍の勝利という形で幕を閉じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...