俺、異世界で嫌々勇者やってます

毛穴翔太

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魔王軍侵略編

勇者リリス 2

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 一瞬にして、魔王城の前まで来たリリスは、改めて魔王城の禍々しさに圧倒されたが、深く深呼吸をし、今一度気持ちを改めて、魔王城の前に立っている二人の兵士に声をかけた。
「魔王サタンに急遽面会をお願いしたいの」
 二人の兵士達はお互いの顔を見合わせた。そして、リリスから見て右側の兵士がリリスに問いかけた。
「失礼だが、お名前を伺いたい」
「アルハイドのもう一人の勇者リリスが来たと伝えて頂戴!」

 数分後、ザラキがリリスの前に現れ、城の中へと案内された。
「お久しぶりです。リリス殿。急遽面会との事ですが・・・」
「こちら側で少し厄介な事が起こったの」
「厄介な事ですか?」
「ええ。その内容については、魔王諸共まとめて説明するわ」
「承知しました」
 と言う短い会話も束の間、すぐに魔王の待つ玉座の間へと着いた。
 前の様な禍々しい魔力は扉から感じられなかった。
 ザラキがゆっくりと扉を開ける。
 開けた先には、魔王が深々と椅子に座っていた。
「ようこそ、リリス」
 太く低い声が部屋に響く。
「お久しぶりで」
 よく名前を覚えていたものだと、考えていると、サタンが話しかけてきた。
「さてと、急遽面会とはどう言った件で?」
「実は、こちらの領土にて、ある商人が殺害されると言う事件が起きたの。その場所が問題で、アルハイド側のバラリオ洞窟入り口付近なのよ」
「ふむ、なるほど」
「その商人が殺害される動機については、現在調査中なのだけど、こちら側としては、大きく分けて三つの可能性を考えている。一つ目は、その商人に恨んでいた者による犯行。この場合は、こちら側の可能性が高いわね。二つ目は、魔界の者による犯行。これについては、二国間の同盟に反対する者の可能性があると推測しているわ。三つ目は、この同盟に反対する他国からの殺害。エリーシアは、この可能性が一番高いのではと、考えているわ」
「私も三つ目の可能性が一番高いと思う。あと言うとすれば、二つ目の可能性は無いとは言えないが、可能性は大いに低いと考える」
「なるほど。確かにそうよね」
 魔王が二つ目の同盟に反対する魔界の者による殺害の可能性が低いというのは、リリスも考えていた事だ。
 泰斗がこの世界にいる時に議題になった事の一つで、貿易をするにあたって、関所を設ける事になったのだ。理由としては、今回のような殺人事件が起こりかねない可能性があるからである。
 そこで泰斗は、観光客以外の者は向こう側へは行けないようにした。その観光客も身分証明書の提示と荷物検査など、厳しい検査をクリアしてようやく、向こう側へと行けるのである。
 帰る際、お土産などの物の取り引きは申請し、再び荷物検査をした後、帰国となる。
 因みに、観光客は現地で刃物などの凶器は買えないようにした。
 この事を踏まえて、可能性は低いと考えている。唯一考えられるとすれば、
「関所にいる兵士が、手引きして入れた可能性」
「ああ。それしか無いだろ」
「でも、それだとこちらの兵士も手引きしたとなるわよね?」
「ああ」
 関所には、両国の兵士が五人体制ずつで四六時中監視している。故に、魔界からアルハイド側の商人を殺そうとするには、魔界側の兵士を抜けて、すぐにアルハイド側の兵士の監視を抜けなければならない。
「やっぱり、可能性は低いか。一応、殺された商人に関わりある者を調査してはいるんだけど・・・」
「ふむ。出来れば、内輪の話で治れば良いのだが」
「こちらとしても、それが一番いいのだけど」
「もし他国からだと、少々厄介だぞ。どうやって領土に侵入してきたのか、どこの国がやったのか・・・。それらの対策などを考えないといけない」
「そうね。エリーシアにそう伝えておくわ。さて、とりあえず伝えたいことは伝えたし、私は帰るわ」
「ああ。こちらも、調べられる範囲で調べておく」
「それじゃあ、また」
 リリスはそう言うと、懐から杖を取り出し呪文唱えると、魔王の前から消えた。
「嫌な予感がする。もしあいつが言っていた事になるとしたら・・・。ザラキ、兵をこの城に集めよ!」
「は!」
 ザラキは急いで、玉座の間を出た。
 サタンはザラキが居なくなると、深くため息を吐いた。
「何も起こらなければ良いのだが・・」
 サタンは小さくそう呟いた。
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