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第一章
雨の中の野営 2
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リエイムは隣に腰掛け、落ちていたシュレ葉を一枚拾った。
手持ち部沙汰なのか、その葉を不器用ながらに折っていく。
どうやらバッタを作ろうとしているようだ。
長い指の大きな手には、固いマメがいくつもある。
剣術に勤しんできた、軍将としての努力がうかがえた。
一緒に暮らすようになってわかったことだが、リエイムは真面目な働き者だった。戦地に行かない時期は領地回りに加え軍の訓練に参加し指導する。空いた時間は読書に勉強と休む暇なく過ごす。
戦に連勝するのも結果だけ見れば才能だと早合点しがちだが、単に頭が良いのではなく、情報を常に取り入れているからこそなせる戦略が多い。
さらさらとなんでもこなすように見えて、実は努力家なのだ。
「こうして、こう……ん? 違うな。しばらく作ってないから、もう折り方を忘れてしまったな」
サニは横から助け船を出す。
「ここを反対側に折り返すんです」
「おお、そうだった。スーラでも折り葉の文化があるのか?」
「いいえ、ベロニカとティモシーにこの前教わりました」
「サニはすぐ器用に何でもできるのだな」
同じような葉っぱを見つけ、サニも手遊びを始める。
できたのを比べると、リエイムの作品は自分のよりもだいぶいびつな形だった。手の平に二つのせて、笑う。
「リエイムらしい豪快なバッタですね」
「はっきり下手と言ってくれていいんだが。子供の頃もよく作ったけどてんで下手で、学校のみんなによく笑われたからな。慣れてるよ」
「学校に通っていたのですか? クレメントの貴族は、子供の頃から家庭教師がついて教育を受けるものだと聞いていましたが」
「ああ、普通はそうなんだが、兄上も俺も両親たっての方針で十二歳までは城下町の初等教育に通っていたんだ。クレメントは多民族国家だから、そちらの方がいろんな家庭環境の子供と触れ合えて教育に良いと考えたのだろう」
サニが他の軍で見てきた軍将たちに比べ、リエイムは兵たちとの距離が非常に近い。
手持ち部沙汰なのか、その葉を不器用ながらに折っていく。
どうやらバッタを作ろうとしているようだ。
長い指の大きな手には、固いマメがいくつもある。
剣術に勤しんできた、軍将としての努力がうかがえた。
一緒に暮らすようになってわかったことだが、リエイムは真面目な働き者だった。戦地に行かない時期は領地回りに加え軍の訓練に参加し指導する。空いた時間は読書に勉強と休む暇なく過ごす。
戦に連勝するのも結果だけ見れば才能だと早合点しがちだが、単に頭が良いのではなく、情報を常に取り入れているからこそなせる戦略が多い。
さらさらとなんでもこなすように見えて、実は努力家なのだ。
「こうして、こう……ん? 違うな。しばらく作ってないから、もう折り方を忘れてしまったな」
サニは横から助け船を出す。
「ここを反対側に折り返すんです」
「おお、そうだった。スーラでも折り葉の文化があるのか?」
「いいえ、ベロニカとティモシーにこの前教わりました」
「サニはすぐ器用に何でもできるのだな」
同じような葉っぱを見つけ、サニも手遊びを始める。
できたのを比べると、リエイムの作品は自分のよりもだいぶいびつな形だった。手の平に二つのせて、笑う。
「リエイムらしい豪快なバッタですね」
「はっきり下手と言ってくれていいんだが。子供の頃もよく作ったけどてんで下手で、学校のみんなによく笑われたからな。慣れてるよ」
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「ああ、普通はそうなんだが、兄上も俺も両親たっての方針で十二歳までは城下町の初等教育に通っていたんだ。クレメントは多民族国家だから、そちらの方がいろんな家庭環境の子供と触れ合えて教育に良いと考えたのだろう」
サニが他の軍で見てきた軍将たちに比べ、リエイムは兵たちとの距離が非常に近い。
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