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第一章
雨の中の野営 3
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今だって、兵たちは戦と全く関係ない世間話をしたくて、何かと声を掛けてくる。
そして恋の悩みや人間関係の愚痴にリエイムは熱心に耳を傾け、冗談を交えながらもアドバイスしていた。
周りから慕われるのは、リエイム自身が誰とも線を引いていないからなのだと、横で観察しているとよくわかる。
村の民との気がねないやりとりができるのも、幼少期から人に囲まれる環境にあったからなのだ。
「なるほど、それを聞いて納得しました。今もですがリエイムは兵たちと訓練をする日、必ず同じ場所で同じものを食べますもんね。オーフェルエイデ軍将の統率力は、昔ながらに培われたものだったのですね」
「そうでもないさ。両親や兄に甘やかされて育ったせいか、小さいころは手の付けられんほどやんちゃでわがままな、くそガキだったぞ」
リエイムは軽く笑ったのち、ふと真顔になった。昔を思い出すように目を細める。
「十一歳の頃だったか……たまたま読んだ旅人の伝記に感化されて旅行を無謀にも計画したときがあったんだ」
「確かに子供にしてはとてもやんちゃな思いつきですね」
サニは自分が十一歳の時を思い出してみる。どんなに伝記を読んだとて、いい成績を取ることだけを一番に考えて生活していた当時の自分からは絶対に生まれない発想だ。
「仲の良かった友人をひとり誘って、真夜中にこっそり家を出たんだ。不遜にも冒険家気取りでな。子供のずさんな計画だったから、当然朝が来てすぐ領土の端で捕まった。ところが城に帰ってくると、友人は公子誘拐の容疑で牢に入れられてしまったんだ。家出を企てたのは全部俺の方だし、友人は着いて来てくれただけで何ひとつ悪くないのに」
「それで、どうなってしまったのですか?」
そして恋の悩みや人間関係の愚痴にリエイムは熱心に耳を傾け、冗談を交えながらもアドバイスしていた。
周りから慕われるのは、リエイム自身が誰とも線を引いていないからなのだと、横で観察しているとよくわかる。
村の民との気がねないやりとりができるのも、幼少期から人に囲まれる環境にあったからなのだ。
「なるほど、それを聞いて納得しました。今もですがリエイムは兵たちと訓練をする日、必ず同じ場所で同じものを食べますもんね。オーフェルエイデ軍将の統率力は、昔ながらに培われたものだったのですね」
「そうでもないさ。両親や兄に甘やかされて育ったせいか、小さいころは手の付けられんほどやんちゃでわがままな、くそガキだったぞ」
リエイムは軽く笑ったのち、ふと真顔になった。昔を思い出すように目を細める。
「十一歳の頃だったか……たまたま読んだ旅人の伝記に感化されて旅行を無謀にも計画したときがあったんだ」
「確かに子供にしてはとてもやんちゃな思いつきですね」
サニは自分が十一歳の時を思い出してみる。どんなに伝記を読んだとて、いい成績を取ることだけを一番に考えて生活していた当時の自分からは絶対に生まれない発想だ。
「仲の良かった友人をひとり誘って、真夜中にこっそり家を出たんだ。不遜にも冒険家気取りでな。子供のずさんな計画だったから、当然朝が来てすぐ領土の端で捕まった。ところが城に帰ってくると、友人は公子誘拐の容疑で牢に入れられてしまったんだ。家出を企てたのは全部俺の方だし、友人は着いて来てくれただけで何ひとつ悪くないのに」
「それで、どうなってしまったのですか?」
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