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第二章
秋の散歩 3
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からかわれ、サニは少し頬を赤く染めた。
もう秋も深まり、稜線は紅葉ですっかり橙に染まっている。じきに厳しい冬が来るだろう。
これまでは駆け抜けるように一年を過ごしていて、気づけば季節が変わっていたのに、やることがないと特別時の流れをゆっくり感じる。
自分がどれだけ立ち止まっていようとも、季節はこうして無情に移り変わりゆくものなのだな、とも思った。
あてどもなく進んでいるように見えて、リエイムにはどことなく目的地があるように見えた。
「どこまで行くんですか?」
「もう少し。そろそろ着くぞ」
山脈の手前にある森の入り口で馬を繋ぎ、その先に歩いて入って行く。
縦列になって密林を縫って進むと見晴らしの良い場所にたどり着く。
木々の中から唐突に現れたのは、小さな湖だった。
その底は吸い込まれるような深い青色をしていた。
「わあ……」
驚きと嬉しさが織り交ぜになって、思わず口を押さえた。
湖畔に近づいてかがむと、その青い水に片手を沈めてみる。
瞬間、液体は容赦なく手から体温を奪い、サニは嬉しさで身震いする。
人間を寄せ付けない自然本来の脅威がそこにはあった。
サニは手を引っ込めると、今度はためらいなく腰まで水に浸かる。
そして両手ですくい取った水を頭の上から額に向かって細く流した。
何度も何度も同じ行為を繰り返す。
服が濡れてしまうことなど些末な出来事だった。
そして、気づけば祈っていた。
何も考えることなく、冷たい水は脳を通過して全身に行き届くようで、ただ神への感謝の言葉が口から発せられた。
リエイムはその様子を止めることなく、ただ後ろから見守っていた。
もう秋も深まり、稜線は紅葉ですっかり橙に染まっている。じきに厳しい冬が来るだろう。
これまでは駆け抜けるように一年を過ごしていて、気づけば季節が変わっていたのに、やることがないと特別時の流れをゆっくり感じる。
自分がどれだけ立ち止まっていようとも、季節はこうして無情に移り変わりゆくものなのだな、とも思った。
あてどもなく進んでいるように見えて、リエイムにはどことなく目的地があるように見えた。
「どこまで行くんですか?」
「もう少し。そろそろ着くぞ」
山脈の手前にある森の入り口で馬を繋ぎ、その先に歩いて入って行く。
縦列になって密林を縫って進むと見晴らしの良い場所にたどり着く。
木々の中から唐突に現れたのは、小さな湖だった。
その底は吸い込まれるような深い青色をしていた。
「わあ……」
驚きと嬉しさが織り交ぜになって、思わず口を押さえた。
湖畔に近づいてかがむと、その青い水に片手を沈めてみる。
瞬間、液体は容赦なく手から体温を奪い、サニは嬉しさで身震いする。
人間を寄せ付けない自然本来の脅威がそこにはあった。
サニは手を引っ込めると、今度はためらいなく腰まで水に浸かる。
そして両手ですくい取った水を頭の上から額に向かって細く流した。
何度も何度も同じ行為を繰り返す。
服が濡れてしまうことなど些末な出来事だった。
そして、気づけば祈っていた。
何も考えることなく、冷たい水は脳を通過して全身に行き届くようで、ただ神への感謝の言葉が口から発せられた。
リエイムはその様子を止めることなく、ただ後ろから見守っていた。
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