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第二章
真珠の使い道 2
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自分もリエイムから聞いたときはまさに、同じ気持ちだったから。
「龍が本当に孤独に戻るのが嫌だったのなら、約束なんてそもそも最初から提案しなければ良かったじゃないか。女を落とす口実だとしたならば、守らなければ良かったと思わないか?」
「確かに、龍は女と出会った時点で、この真珠のトリックを知っていたのですからね」
加えて献身的な女の性格ならば、龍がたとえ約束を全うしなくとも、変わらず一緒にいただろう。
「だが、知っていて龍は最初に交換条件を持ちかけた。そして結婚して子供もできた後、忘れられると承知の上で、それでも女との約束をちゃんと守った。その理由が……今なら、龍の気持ちが痛いほどよくわかるんだ」
湖で見たときのような深い眼差しを、不意にリエイムはこちらに向けた。
「龍は愛する人と家族ができて本当に、心から幸せだったんだ。そして自分自身が家族にいずれ忘れられることを知っていても、女の願いを叶えてやりたかった。だから最後には力を使ったんだ。なぜなら、それは龍自身の願いでもあったから。世界が争いばかりで家族が苦しむよりも、家族が幸せに暮らし続けるなら、自分一人が世界から抹消されることぐらい、何でもないんだ。それが、龍自身の幸せそのものなのだ。ずっと疑問だった龍の気持ちだったが、サニを好きになったとき、ようやく気づいたんだ」
「私を……?」
「そうだ。俺は、君を守るためならなんだってできる。心から愛する人が、この先も息災であってほしいと願う気持ちは何よりも強い。自分の命や存在など、どうでもよくなるほどにな」
サニは目を閉じて一度脳内で想像した龍の最後を綺麗に塗り消した。
ベッドで家族に囲まれて安らかに看取られるのではなく、ひとり息絶える龍を描き直してみる。
サニ自身が何日も経験した、あの残酷な灼熱の砂の上に龍は大きい肉体を預け、横たわっている。
仰向けになりながら、龍は既に自身の最期を悟っている。
それでも口元は、穏やかな笑みを浮かべていた。
想像の中の龍は、いつの間にかリエイムに変わっている。
頬に大きなえくぼを浮かべて、天に向かって微笑んでいるリエイムが、脳裏で浮かぶ。
「龍が本当に孤独に戻るのが嫌だったのなら、約束なんてそもそも最初から提案しなければ良かったじゃないか。女を落とす口実だとしたならば、守らなければ良かったと思わないか?」
「確かに、龍は女と出会った時点で、この真珠のトリックを知っていたのですからね」
加えて献身的な女の性格ならば、龍がたとえ約束を全うしなくとも、変わらず一緒にいただろう。
「だが、知っていて龍は最初に交換条件を持ちかけた。そして結婚して子供もできた後、忘れられると承知の上で、それでも女との約束をちゃんと守った。その理由が……今なら、龍の気持ちが痛いほどよくわかるんだ」
湖で見たときのような深い眼差しを、不意にリエイムはこちらに向けた。
「龍は愛する人と家族ができて本当に、心から幸せだったんだ。そして自分自身が家族にいずれ忘れられることを知っていても、女の願いを叶えてやりたかった。だから最後には力を使ったんだ。なぜなら、それは龍自身の願いでもあったから。世界が争いばかりで家族が苦しむよりも、家族が幸せに暮らし続けるなら、自分一人が世界から抹消されることぐらい、何でもないんだ。それが、龍自身の幸せそのものなのだ。ずっと疑問だった龍の気持ちだったが、サニを好きになったとき、ようやく気づいたんだ」
「私を……?」
「そうだ。俺は、君を守るためならなんだってできる。心から愛する人が、この先も息災であってほしいと願う気持ちは何よりも強い。自分の命や存在など、どうでもよくなるほどにな」
サニは目を閉じて一度脳内で想像した龍の最後を綺麗に塗り消した。
ベッドで家族に囲まれて安らかに看取られるのではなく、ひとり息絶える龍を描き直してみる。
サニ自身が何日も経験した、あの残酷な灼熱の砂の上に龍は大きい肉体を預け、横たわっている。
仰向けになりながら、龍は既に自身の最期を悟っている。
それでも口元は、穏やかな笑みを浮かべていた。
想像の中の龍は、いつの間にかリエイムに変わっている。
頬に大きなえくぼを浮かべて、天に向かって微笑んでいるリエイムが、脳裏で浮かぶ。
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