オンラインな生活

オンラインな生活

ここのところウイルスが流行しているらしいとニュースでやっていた。確か第３５１波と流れていた。

今日の授業はオンライン数学のAクラスから始まり、オンライン国語のCクラス...と続く。
歴史の授業で習ったけれど、昔は地域ごとにいっぱい学校があったらしいが、今は全国にオンライン高校１校だけになって、レベルごとにオンラインクラスが選択できる仕組みに変わったようである。

お父さんは朝から部屋で会議をしている。普通の会社員で７社に所属しており、１時間ごとに別の会社の仕事を始める。複業というらしいが、私は将来通訳と動画編集の仕事をやりたいと思っている。

お母さんはネットスーパーでショッピング中で、おじいちゃんはオンライン診療中である。

先生は、オンラインのお陰で世の中すごく便利になったと言っていた。

──私は家の外に出たことがない

そう言えば、家族で一度も外に出たことが無いのは私だけだ。思いきってお父さんにお願いしてみようかな。

──きっと外の世界は余程不便なんだろう


...リアルの世界はこんなに不便だったのか。
私の住んでいる「新宿」って言うところには我が家がポツンと１軒あるだけで周囲には何もない。

オンラインの普及で人々は外出することがほとんど無くなり東京は急速に過疎化が進んだ。そのために電車もビルも維持することが出来なくなり、いつしか東京は片田舎の一つとなっていた。

「ハル、そろそろ家に戻ろうか」

「うん、お父さん」

やっぱり私にはお家が一番だ。