ゆるふわ系乙男召喚士、異世界に舞い降りる

玲音

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第8話 1日目終了

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夕食の買い物をしているおば様方を避けながらクラウディオの店へと戻る。
避けながらと言っても、昴広とセバスチャンの二人が歩いていると自然とモーゼの十戒のように人並みが割れていくのだ。

見たこともない類まれな美貌をもつ者とその者に仕えているかのような紳士。
その後ろを悠然と歩く大柄なフェンリル。

本人達は話しながら歩いているので歩きやすいなーというように軽い感じでしか思っていないが、傍からみたら異様な光景で、端の方によったおば様方が昴広達をみながらコソコソと会話をしていた。


「昴広様。戸口を開けてもらいますので少々お待ちくださいませ。」


あそこの赤い3角が書かれているのが薬屋で、あちらにある斧の絵が描かれているところが私がオススメ致します武器屋で反対側の通りにあります大きな白い看板があるところが商人ギルドで・・・と道案内をされながら歩いているといつの間にかクラウディオのお店についていたようだ。

お店は終わっていたらしく日本のシャッターのように出入口が閉鎖されている。
セバスチャンの言う通り少しの間待っていると、端の方に人1人が入れる大きさの扉が開いた。
昔の武家屋敷みたいなのを思い浮かべてほしい。


「お待たせ致しました。こちらの方から中へお入りいただきたいのですが・・・・・・
失礼致しました。こちらからスハイル様がお入りいただくのは難しいですね。」


準備が整ったらしくセバスチャンは昴広の方へ振り返り、元のサイズに戻ったままのスハイルを見上げながら苦笑する。

ようやくスハイルのサイズがそのままだということに気づいたらしい昴広もスハイルを見上げた。


〈む。先程のように小さくなれば問題はなかろう?〉


そういうとわずかに光って子狼の姿に変化する。
普通はなにかのスキルを使う際は魔力が必要になるのだが、スハイルは極僅かな魔力のみで変化しているようで、その様子を見ていたセバスチャンがほぉ…っと感嘆のため息をこぼす。

小さくなったスハイルを抱きかかえ、昴広とセバスチャンは中に入り鍵をかけると、セバスチャンの後ろをついていき、クラウディオの待つ部屋へと向かう。


「旦那様、ただいま戻りました。
昴広様とスハイル様もご一緒なのですが、お入り頂いても宜しいでしょうか?」


ドアを3度ノックし、セバスチャンが入室の許可を取ると中から入りなさいと許可が下り、セバスチャンはドアを開けると昴広に中に入るよう促す。


「失礼致します。遅くなってしまい申し訳ありません。」


ぺこっと頭を下げながら謝る。
部屋に入る前に床に下ろしていたスハイルも昴広と同様に首を下げていた。


「なに、気にする事はない。冒険者は荒くれ者が多いから良からぬ者に絡まれたりしたのだろう?大丈夫だったかな??」


椅子から立ち上がったクラウディオは心配そうな表情を浮かべながら尋ねる。


「絡まれはしたのですが、セバスチャンとスハイルが一緒だったので大丈夫でした。」


頭をあげ、ふにゃりと顔を綻ばせながらクラウディオの方に視線を向けた。


「うむ。セバスチャンを向かわせて正解だったのぉ。何かあっては大変だからの。」


ほっほっほっと仙人のようにあごひげを触りながら笑う。


「おぉ、そうだ、紹介しよう。わしの妻のソフィーナじゃ。」


クラウディオは隣に優雅に佇む婉容な老婦人を紹介した。


「はじめまして、昴広と申します。この子は召喚獣のスハイルです。」


昴広とスハイルは自己紹介をするとぺこっとソフィーナに頭を下げる。


「そんなにかしこまらなくてもよろしいわ。はじめまして、ソフィーナと申します。
ふふっ。珍しくクラウディオが人を連れてきたっていうからどんな人なのかしらって思ってたのに、こんな美人さんを連れてきてたなんて!」


柔らかく幾人もの人を魅了するような笑みを浮かべながらアメジストのような深い紫色の瞳を少女の如くキラキラと輝かせ、クラウディオに視線を向けた。


「うむ。確かに昴広殿は美人さんじゃがのぉ。女ではなく男らしいぞ?」


してやったりとした顔をしながらクラウディオは答える。
ソフィーナはやはり昴広を女だと思っていたらしくあらあらまぁまぁとびっくりしたように昴広をまじまじとみつめ、信じられませんわ…っとポツリとこぼした。

今から夕食の時間だから食べていきなさいとクラウディオのご好意でご相伴に預かる。
この世界のご飯ってどんなものなんだろうと怖々と考えていると、フランス料理のようなフルコースで出てきた。
どうやら地球の食べ物となんら変わりがないとわかりホッと一息つき、前菜としてでてきたカルパッチョのようなものを口へと運ぶ。

チラリとさり気ない感じで昴広がカトラリーを使う様子をチェックしていたクラウディオ達は、何一つ注意するところがないほどの所作に満足げに頷く。

クラウディオ達に見られていたなどと気づくはずもない。
完璧なテーブルマナーを披露したが、初めてのフランス料理だった。


「おいしかった・・・・・・」


最後に出てきたコーヒーと小菓子を頂きながらうっとりとした表情でぽつりともらす。


「ふふっ。あんなに美味しそうに食べていただけるなんて料理長が喜ぶわ。」

「昴広様が喜んでいたとあとで料理長の方に伝えておきます。」


クスクスと笑いながらソフィーナが言うと、いつの間にか後ろに控えていたセバスチャンが空いたカップにコーヒーを注ぎながらいう。


「ありがとうございます。
あのクラウディオさん、この付近に安くてスハイルが一緒でも大丈夫な泊まれるところないですか??」


セバスチャンにお礼をいいながら、どこかいい宿を紹介してほしいとく尋ねる。


「宿をとるのは勿体無いし、もう夜も遅い。今日はここに泊まっていくといい。いや、今日と言わず、何日でもいてもらって構わんぞ?」

「え!?何から何までお世話になる訳にはいけません!」


ブンブンと横に首を振りながら昴広は慌てて断るが、クラウディオはセバスチャンに部屋とお風呂の準備をするよう指示を出す。


「部屋はいくらでも余っているから構わぬよ?
気にするようなら冒険者活動をしていないときに、ソフィーナの話し相手かわしの手伝いをしてくれるだけで良い。」


遠慮することは無いと優しげな目を細めながら、クラウディオとソフィーナは昴広を見つめる。


〈・・・どこかよそに泊まってなにかあってはクラウディオ達が心配するし、ここなら安全そうだ。クラウディオ達は本心からいいと言っているから言葉に甘えたらいいだろう。〉


クラウディオのお店に入ってたから言葉を喋らず静かに昴広の横に寝ていたスハイルが、困った表情を浮かべている昴広の膝にぴょんと飛び乗った。

スハイルが話せると知らなかったクラウディオとソフィーナが猫のように目を丸くする。
スハイルの本当の姿を二人が知ったらどうなるのか…。

ジッとスハイルと見つめあいながら昴広は考え、クラウディオ達に視線を向ける。


「あの…お言葉に甘えて泊めて頂いてもいいですか……?」


スハイルに衝撃を受けているクラウディオ達はハッとすると、コクコクと頷く。

なぜか二人して驚いた表情を浮かべているクラウディオとソフィーナをみて昴広は不思議そうに首を傾げていると、準備を終えたセバスチャンが戻ってきた。


「うむ。準備が整ったようだから、先にお風呂に入って今日は部屋でゆっくりと休みなさい。」


今日は歩き回って疲れていたので、ありがとうございますと素直に甘え、クラウディオにお礼をいう。

日本のお風呂より豪華なお風呂に入り疲れを癒すと、セバスチャンに案内されて用意された部屋でふわふわとした気持ちのいいベッドに寝転ぶと、スハイルを抱き枕のように抱きしめながら夢も見ることなくぐっすりと眠りについた。
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