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第二十五話
しおりを挟む毒蛇に噛まれたら、毒を吸い出してやるのがいい。もちろん、その為の器具はあるけれど、この世界には無いし、緊急事態だし……
毒で苦しむ銀眼のクリーゼル伯爵を助けるべく、緊急事態として唇から毒を吸い出してやった。そればかりか、胸の二つの大きな膨らみの先からも出る様にと片方の胸だけを揉みまわした。
クリーゼル伯爵は俺の解毒の効果が現れたのか、腰から力が抜けて来ている様だ。治療の最中に倒れられては困ると、腰に手を回し毒を吸い続け舌を絡ませ、今度は左の胸を服の上から揉んでやった。
「んちゅん…… っんぐっ…… あぁっふ……」
クリーゼル伯爵からも艶っぽい声が漏れるが、治療中に不謹慎だと思うよ。それにこの服は治療の邪魔だね。脱がしてしまおう。
脱がしにかかれば、自分から脱ぎ始めたクリーゼル。協力的な患者さんだ、それなら揉むだけで無く膨らみ、特に先っぽのピンク色の所から毒を吸いだしてやろう。
「あぁふ…… はぁっ…… あぁっ、あぁあ……」
解毒の効果は有りそうだ。身体も火照ったピンク色になってきてやがる。そう言えばアラナにも有った下腹部のジャングルはどこだ? そこにも洞窟があるのか?
俺がまさぐるとジャングルの感触が。さらに先に進めば何かボタンの様な物が。俺は昔のゲームを思い出して連打した。
「はぁっううぅあがっ! ……ぅううぅぐぁぎゃぅくっ!」
……連打は止めよう、ゲームじゃないんだし。ボタンは無視して先に進もう、この先の洞窟が目的だ。 ……おかしいぞ! 雨漏りしている!? 大量の水が吹き出してる! 誰が水道管を破裂させたのか!?
だが、ここで諦めたら探検家の名が廃る。進んでは押し返され、押し返されては進み、ゆっくりと速く、肉壁をたどる様に奥へと進んだ。
「あぁうっ! ああっうっ! あ、はぁうっ! はぁはぁ……」
ようやく辿り着いた洞窟の奥底には、扉の様に先へは行けなかった。そこからは何人たりとも行かせまいと、厳重な鍵が掛かってるかのようだ。扉があるならノックをしよう。コン、コン、コン。
「あがっ! えぅがぁ! えぐっ!」
返事はあるが扉は開いてくれない。誰かがいるのは間違いないのに、返事だけは寂しいな。開けてくれるまでノックしまくってやろうか!
「シ、シン…… も、もう立っていられない……」
患者さんを立たせたままにしてたなんて…… 医者としては失格だな。寝かせられるベッドも無いし机の上で構わないや。
机の上の書類から全てを払い落とし、クリーゼルに手を着かせてケツをこちらに出させた。これでいい。これで奥の扉にノックしてやる。鋼鉄のペティナイフは洞窟の肉壁を掻い潜り、奥の扉に激しく幾度もノックをした。
「あっああっ…… ああっはぁ……はぁうっ!」
ノックが足りないのか、扉が開く気配がまったく無い。 ……そうか! しまった! 俺とした事がこんな事を忘れるなんて! 人様のお家にお邪魔する時に手土産の一つも持って来なきゃ。
どうしよう…… 近くにコンビニも無いだろうし、買いに行く時間も無い。だけどコンビニが有ったとしても、心のこもった方が喜ばれるはずだろ。良し! 手作りのホワイトチョコをやろう。ドロッとした舌触りが喉に絡み付く……
「出すぜ……」
「い、いや! い…… いい…… 早く、中に出して!」
欲しければやるのに、チョコくらいで卑しい女だ。躾の為にもケツを叩いてやるか。少しは行儀良くなるだろ。
「あ、ううっ! ああっあ…… んむんっ…… あふっ……」
ホワイトチョコは無事にドアまで届けられた。でとちゃんと受け取ってくれるのかな? 俺としては、ちゃんと目を見て渡したいものだ。
クリーゼルは机に伏せて身体を痙攣させてる。よほど治療の効果があったのだろ。医者冥利に尽きると言うもんだ。せっかくだから注射もしておこう。
神速! チェーンガン!
悶える身体が益々震え、言葉を発する事も無くクリーゼル伯爵は快楽の海を裸で泳ぎ始めた。浮き輪を貸してあげないと溺れるか? それとも溺れさせてやろうかな。
神速! チェーンガン!
「んんん! もぉ……ぉおっ! うぅ…ぅっだぁあ…! めぇ…えぇっ」
例え気を失おうと、チェーンガンの威力で引き戻し、チェーンガンの威力で悶え狂わせる…… 俺が疲れはてるまで。
朝、起きると頭が痛い。だけど感じる暖かさとやわらかさ。誰の背中だろう…… 覆い被さる様に机に伏せてペティナイフは突き刺さったまま。朝から元気だね。
この肌の艶はソフィアさんに似てるけど、髪の毛の色が茶色じゃない。クリスティンさんにも似てるけど彼女の方がもっと痩せている。ヤバい事になってるかな? とりあえずナイフを抜かないと。
ずるりと、抜けるナイフと支えを失って倒れるクリーゼル伯爵を抱き止め…… クリーゼル伯爵!? 何でクリーゼル伯爵が僕達の部屋にいるんだ!
周りを見渡せば見慣れない部屋に散らかった書類や家具。ここは僕が居た部屋じゃない。そして裸の伯爵様が僕の腕の中に…… ヤバい!
合意か!? 合意なのか! それより合意だろうが、この状況が分からないし白百合団に知られたら殺される!
……逃げよう。僕はクリーゼル伯爵をソファーに寝かせ、床に落ちていたローブを掛け、僕が居た証拠を拭いて、その場を後にした。
白百合団の居た部屋に戻る廊下は「阿鼻叫喚」「地獄絵図」の言葉が似合っているだろう。そこには、おぞましい衆道の世界。屋敷中にいた、騎士や傭兵達の淫らな世界。正直、吐き気がする。見るのも辛い。手を貸してやる気にさえならない。
部屋に戻れば暖炉の火が消えていて少し寒い。そして何故か皆が裸だ、寒いだろうに。プリシラさんはライカンスロープで毛並みも充分暖かそうだ。アラナは何かから逃げるようにしてドアの所にいるし、クリスティンさんとソフィアさんはソファで抱き合って羨ましい。ルフィナとオリエッタは…… 放っておいても大丈夫だな。
皆を優しく起こして着替えさせ、僕はソファーに座りながらゆっくりと着替えを観察させてもらった。特にソフィアさんのは後学の為にも観察を怠らない。なるほど、逆手順でやれば簡単に脱がせられるのね。
「全員、服を着た所でこの説明をしてくれる人はいますか」
「いいじゃねぇか、昨日は楽しめたんだからよ」
「そういう問題じゃありません。オリエッタを見て下さい。まだヘロヘロですよ」
「ヘロヘロにしたのは団長だろ」
「取りあえず、何をしたかを教えて下さい。あれは普通じゃない」
「オリエッタが催淫剤をバラ撒いただけである。団長を楽しませようとオリエッタがやったのである」
楽しんだよ、曖昧な記憶だけどね。ん? バラ撒いた? 催淫剤をバラ撒いたってピンク色の霧の事か!?
「バラ撒いたってどういう事ですか?」
「詳しくはオリエッタにしか分からないであるが、分量を間違ったらしく暖炉に捨てたのである」
暖炉で揮発した催淫剤は煙突を出た時、爆発的に拡散され辺り一面にバラ撒く事となった。外に居た者は勿論の事、屋敷の中にも充満し、バリケードを築いたとしても小さな隙間から侵食していった。
帰りの行軍は一種異様な風景に包まれ、手を繋ぎ腕を組んで歩く者が続出し、二人きりで行軍を離れる者まで出て来た。僕に色目を使う者までいたが、クリスティンさんの餌食になったのは言うまでも無い。
僕達は無事に仕事を終えて報酬を貰った。
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