異世界に来たって楽じゃない

コウ

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第三十一話

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 晴れ渡る朝の空の下。
 
 
 「団長、しっかりしてくれよ」
 
 気持ちいいねぇ、プリシラさんの怒鳴り声は。一人テントから起き出すとプリシラさんは馬を馬車に取り付けて怒っている。
 
 「馬が繋がれてもいなかったぞ。逃げられたらどうするんだ」
 
 不思議な事もあるものだ。鐙はいつも付けっぱなしにするルールだったのに自然に外れたのかな。
 
 「すみません。鐙も外れていたんですか?」
 
 「切れてはいなかったけど、古いからな。少し強めに付けておこう」
 
 不思議な事もあるものだ。鐙なんて簡単には外れないのに自然に外れたのかな。
 
 「よし、撤収。朝飯は昨日の残りを馬車で食いながら行くぞ。ソフィア、みなを早く起こせ」
 
 それは団長のセリフなので取らないで下さい。僕達は撤収もそこそこに馬車に乗り込んだ。もちろん隣はアラナが座って。
 
 「ハッ!」
 
 勢いよく手綱を振るう僕を無視するかの様に動かない馬。やっぱり舐められてるのかな。
 
 「どうしたんスかね。具合でも悪いッスかね」
 
 ピクリともしない馬にアラナは心配してるようだけど僕は荷台に置いてあるムチを取り出し強めに馬の尻に振るった。
 
 「ヒヒ~ンッ!」
 
 まるで喘ぐがの様に馬はいななき、ゆっくりと進み始める。不思議な事もあるものだ。
 
 
 
 移動二日目。魔物に会うことも幻想を見る事も無く夜は星空の下プリシラさんと、いちゃラブしてる。これも団長の仕事の一貫ですからね。
 
 「プリシラ!    いい加減に剣を引け!」
 
 「てめぇを殺したら引いてやるよ!」
 
 僕達は現在、いちゃラブして愛し合ってる。変わった愛情表現もあるものだ。剣と鎧で固めた愛情。貫くのに必要なチェーンガンは準備中。
 
 僕としては普通に愛し合いたい。出来ればライカンスロープは無しで愛し合いたいが、これがまた難しい。
 
 プリシラさんが怒り出せば必ずライカンスロープになって反撃してくる。神速を出せば勝てない相手じゃないけれど、一歩間違えば大ケガをさせてしまうし、ライカンスロープとじゃ、    ……ねぇ。
 
 ライカンスロープも悪くはない。うなり声が無くて首を絞められたり、爪でズタズタにされたり、甘噛みと言って腕を半分食い千切られたりしなければ、悪くない。
 
 とにかく、怒らせる前に終わらせる。僕には通信教育で習った護身術があるんだから。間接を決めて押し倒して突っ込む!    を、最強の傭兵でバスターソードを持ってる相手にやるのが、どれほど大変か。
 
 「プリシラ!    ぶち込んでヤるから剣を置け!」
 
 「舐めんな!    てめぇのなんざ、引き千切ってやる!」
 
 僕達は愛し合ってます。世の中には色んな愛情表現があるのだと染々と思う。だからと言って引ける訳もない。何故ならプリシラさんを愛してるから。
 
 神速、千手観音!
 
 残像さえ見える千の剣が猛威を奮ってプリシラさんを捕まえる。ショートソードとバスターソードが何合と火花をあげ、空いている左手は神速のボタン外し。
 
 「なっ!?」
 
 気付いた時には、もう遅い。鎧は剥ぎ取られ上着もパンツもボタンというボタンは全部外した。神速の斬擊だけと思うなよ。左手を征する者は夜の営みを征す。
 
 僕は剣を捨て間接技を決めるべく一気に近付くと、上段から容赦の無い一撃が飛んできた。それを軽く交わし剣を握った手に手刀を決め、剣が落ちた。
 
 チャンス!    手を取って間接技を決めようとすると、距離を取って離れて転んだ。バカ目!    パンツが足首まで落ちてるのを忘れたな!
 
 僕も容赦しないでプリシラさんに馬乗りになった。マウントを取った方が圧倒的に有利だ。僕はなおも下からの殴り掛かろうとするプリシラさんの両手を掴み頭の上で押さえつけた。
 
 勝負あり!    僕の勝ちだ。僕はおもむろにパンツを下ろし、元気になってきた鋼鉄のペティナイフをプリシラさんの口に近付けた。
 
 「舐めて」
 
 「誰がてめぇのなんか……    おごっ!」
 
 せっかく開いた口に返事も待たず突き入れる。この表情がたまらない。無理矢理は良くないけれど、剣で殺し合うよりいい。僕はゆっくりとプリシラさんの口を突き続けた。
 
 「お……    おごぉ……    おっごお!」
 
 ちょっと調子に乗ったかな。怒らせる前に止めておかないと、ライカンスロープになったら手がつけられない。僕は腰を止め、プリシラさんから舐めてくれるまで待った。
 
 「んっ……    ちゅっ……    んぷっ……     んぅっん」
 
 少し悔しそうな上目遣いがたまらない。ここでまた出し入れズプズプと出し入れしたい衝動に駆られるが我慢をして、僕はゆっくりとプリシラさんから離れた。
 
 プリシラさんは餌に食い付いた魚の様に、ペティナイフに食い付き、離そうはしなかった。僕が立ち上がればプリシラさんはお尻を着いて舐め続けてくらた。
 
 「あむっんっ……    んぐっんっ……    んんっあむっ……」
 
 顎が疲れるまでプリシラさんに舐めさせ体力を奪う。少しでもライカンスロープになる要素を取り払わなければ、終わってから安心して眠れない。
 
 「てめぇも……    してくれよ……」
 
 顎が疲れたのか、口を開けてヨダレを垂らしているプリシラさんの顔はエッチだ。だけど期待に堪えましょう。神速で動かせるのは下半身だけじゃないぜ。
 
 僕はプリシラさんの両足首を掴んで、足を思いっきり開いて寝かせ、顔を割れ目に近付け舌を這わせる、神速の舌使い。
 
 「あっ!    ばぁっか!    い…ぎぃ…ぃいな…あぁりぃ……    ううう……    っくぅぅ…くぅぅ!」
 
 言葉もまともに話せないくらい気持ちいいなら、このまま失神してしまえ!    ヌーユの戦場が近いのに輪番をやって無駄な体力を使いたくないんだ。このまま失神させて放置プレイで僕はゆっくり寝る。
 
 「あっ、はぁっ……    あぁはぁっ……    っぁあっんんっ! ああぁっ     ……ううぅっ    やあぁば…あっい…っ!     い……っ!    くう…う」
 
 強制的に絶頂させられたプリシラさんは身体は、ぴくぴくと波打たせた。良し!    さすがは神速の舌。プリシラさんもぐったりして寝転がってる……
 
 ……寝転がってる。僕のは反り返ってる。体力を付ける為にも体力を使おう。日頃の輪番を使って。
 
 「お、おま……   ちょっ……    うぅぐぅ……     はああっあ……    あん…んはぁぁあっ!」
 
 チェーンガンを使うなんて勿体ない。ゆっくり楽しませてあげるよ。僕は幾度も突き上げ蜜壷の肉壁を楽しんだ。
 
 「はあぁ……    あぁぁあぁっん…はぁあ…ぁあ」
 
 プリシラさんの快楽に歪む顔が僕をさらに奮い起たせる。下は既に洪水で滑りもいい。このまま仕上げて……    ヤバい!    手の方がライカンスロープになり始めてる。
 
 神速、チェーンガン!
 
 「あっ!   があ…あ…が……っ!   がぁ…」
 
 変身する前に仕留める!    ターボ全開!    斉射三秒!    それでも仕留められないプリシラさんの性欲はライカンスロープに変身する事で止まらないのか。
 
 僕もイキそうだ。どっちが先にイクか勝負だ。僕はプリシラさんの中にホワイトチョコをプレゼントするまでチェーンガンを放つ。
 
 「ぐっはぁあ…あ………っ あぁぁっあん……!     あぁああぁっ!    はああ……」
 
 勝った!    手足まではライカンスロープになったけれど僕は変身する前に仕留めて、プリシラさんの中にドロッとしたプレゼントを渡した。
 
 これで眠れる……    永遠に?    プリシラさんのライカンスロープの腕が僕の首を締め上げ、全身を変身させていく。
 
 「ここからがスタートだよな……」
 
 いいえ、終わりです。僕の弾は撃ち尽くしたばかりです。そんな言い訳を聞いてくれる暇も無く、ライカンスロープ・プリシラは僕の上に乗った。
 
 「さあ、始めようか」
  
 ライカンスロープより人型のプリシラさんの方が好きだ。命の危険が無い……
 
 
 
 三日目の昼前には駐屯地に遅れて着き、僕は団長として駐屯地の調整官に会いに一人で行った。朝は一時間ほどソフィアさんの治療で出発が遅れたが、あばら骨粉砕が十分で治るなら問題ない。残りの五十分は二人きりでお医者さんごっこだった。
 
 駐屯地では調整官が僕達、傭兵の分担や役割を決める、軍でも偉いさんで賄賂次第で楽な所にも行けるという貴重で重要な役職でクリスティンさんが逝けば、それだけで楽な所に回してくれるのだが却下された。
 
 「それで、あたいらはどうするんだ」
 
 調整官から指示をもらって戻ると、僕を差し置いてご飯を食べている。もう少し団長への優しさと労りが欲しい。
 
 「僕らは第七部隊に配属です。ソフィアさんは僕らの後方の第八部隊になりますが、アラナも第八でソフィアさんの護衛に着いて下さい」
 
 「僕も前線がいいッス」
 
 「ダメです。もう決まった事なので。本隊に四部隊、右翼に二部隊、僕らは左翼の二部隊になります。明日の出発は部隊順で行くので少し遅くなりそうですね」
 
 「それで、戦時条約はどうなった」
 
 「はい、それも話が付いている様で決まってます。まずステフォン城下のヌーユの街への攻撃は禁止です。もちろん武取りもダメです。ステフォン城での武取りは解禁です。戦闘期間は二十日間を予定してます」
 
 この戦時条約が魔族との戦いを不利にさせた。戦時条約とはお互いに戦争に付いて前もって決めること。ここは攻めないとか、いつまでが戦時だから傭兵を確保しておけるとかの取り決めだ。
 
 これが無いと傭兵を何時までも安く雇用していたりする。無駄な争いを避ける為に作り上げた人間の戦争のやり方。
 
 このやり方で人間同士は戦争をしてきたが魔族には通用しない。いつ終わるか分からない戦争に明け暮れ、攻めてはいけないという安全が無くなり、いつしか士気も低下していった。
 
 「二十日間の雇用期間だけど戦闘自体は半分の十日で終わるでしょう。武取りは城の中だけで我慢して下さい。ヌーユの街は経済的に価値がある所ですから」
 
 「プロメリヤはどうなってるんだ」
 
 「プロメリヤとは野戦になりますから捕虜の対応と降伏くらいで、いつも通りですね」
 
 騎士が捕虜になっても国家がお金を出してくれる時もあるが、傭兵は降伏しても奴隷になれればいい方で白百合団が捕まれば輪姦される。その度胸があるヤツがいればだが……
 
 「……私たちの戦時団則の適用は明日からですか」
 
 珍しくクリスティンさんからの質問。あっ、今日はクリスティンさんの順番か。でも駐屯地に着いてるし周りには他の傭兵もいるからね。
 
 「今日からになります。駐屯地に着いてますし……」
 
 「……」
 
 「……明日からにしましょう。ぼ、僕はこれから同じ部隊になる方に挨拶をして来ますから、皆さんは場所を確保して休んでいて下さい。クリスティンさんは防音テントをよろしく」
 
 何をするか分かっているクリスティンさんは少し顔を赤らめて頷いた。心臓麻痺は皆の前では止めて欲しい。一応、団長で偉いんだから。そして、やっぱりクリスティンさんは綺麗だ。
 
 「ソフィア姉さんは、それでいいッスか?」
 
 ソフィアさんは少し気を落とし残念そうな顔をしているが、お前には朝からヤッたろうが!    先に治してからすればいいものを、ヤッてから治したろ!    あばら骨が折れててヤるのはキツイんだよ!
 
 
 やっと明日から戦場に立てる。ここ何日か色んな事に振り回されていた感じがするよ。お金を稼いでみんなに可愛い服の一着でも買ってあげたいね。
 
 
 
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