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第百六十一話
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小鳥のさえずりがベッドにも届く、いい朝だ。
「朝寝坊さんね」なんて言われて、キスで目を覚ますのもいいだろう。往復ビンタよりまだいい。
目覚めの往復ビンタは、そこら辺りの目覚まし時計より目が覚める。途中から左右のフックの連打に変わり、右を喰らっては意識が飛び、左をもらっては意識が戻ると言うのを顔が腫れるまで頂いた。
「夜に目が覚めたらベッドにもいねぇで、これか! 死ね! 死んじまえ!」
プリシラさんの怒りが頂点に達しているのが、僕の首を締める力で分かる。 ……これはダメそうだ。ミカエル・シンは永眠します。おやすみなさい……
「ハッ!」
夢か…… 嫌な夢だった。マウントを取られたプリシラさんからのデンプシーロールで死ぬ夢だった。僕は確か三人のイリスに体液を補充して、両手に花と胸に一人を抱きしめながら眠ったんだっけ。イリスはどこに行った?
体を起こして見渡すと三人のイリスは、寂しく僕をベットに残したまま床で眠っていた。一人はテーブルを破壊するように、一人はクローゼットに飛び込むように、一人は逆さになって壁に寄りかかり、大股を開いて大切な所が丸見えになってしまっている。
さすがに、それはマズいと僕はベットから起き出し、大事なところを隠してあげようと、一歩踏み出す足に力が入らず膝を着いてしまった。
やはり三人のイリスを相手に頑張り過ぎたようだ。それに顔が痛いし首がヒリヒリする。昨日はどれだけ激しい事を僕達はしたのだろう。一緒に寝ていたような……
「凄い寝相だね。逆さになって寝苦しくないのかな?」
僕は引っくり返って寝ているイリスの足を閉じながら言った。良いものを見せてもらったが、寝起きは悪いようでまだ眠っていた。
寝ているのだからと、ベッドに運んであげたが僕の目もまだハッキリとしていない様で、僕のつぶらな瞳は大きく普段通りには開いていない。足もふらつくし、寝不足は良くないね。
テーブルを壊して眠るイリスも死んだように眠っているし、唯一クローゼットにダイブしたイリスだけは目を覚ました。
「……よ、良き人」
「おはようイリス、気持ちのいい朝だね。クローゼットは狭くなかったかな?」
朝の挨拶元気良く。僕は精一杯の笑顔を作ったつもりだけど、顔が何だか腫れぼったく感じる。何だろう? 風邪でもひいたかな?
「無事で良かった……」
それだけ言うとイリスは二度寝を決めこんだ。クローゼットのイリスをベッドに運び、三人の裸のイリスを良く見てみると身体中にアザがあった。
影の仕事も大変なんだな。今度はもっと優しくしてあげないと。僕は三人に「おやすみのキス」をして部屋を出た。今はゆっくり休んでね。
旅団に戻ると周りの人から注目を集めた。やはり旅団長ともなると、皆からの尊敬の眼差しが痛い。顔も痛いけど。
「クリスティンさん、おはようございます」
最初に見つけたクリスティンさんに朝の挨拶元気良くをすると、呆気に取られて僕の顔を見てきた。一日ぶりだからって、そんなに見つめる事もないのに。
「……おはようございます、団長。顔はどうなされました?」
この男前の顔がどうかしたのかな? もしかして寝不足で顔がむくんでいるのかもね。左目が良く開かないし。
「少し寝不足だからですかね。みんなは何処にいってるのでしょう」
「……みなは、ここに……」
「おはよう、シン男爵。気持ちの良い朝だ」
振り返るとフリューゲン公爵が白いフルアーマーメイルを着て歩み寄ってきた。武骨なメイルだがアンネリーゼ嬢は何でも似合うようだ。
「どうしたその顔は? わたしが治してやろう」
たかが、朝のむくみ顔ぐらいで大袈裟な。でもアンネリーゼ嬢は治癒の魔法が使えるとは驚きだ。ただの公爵じゃないと思ったよ。これを気に親交をベッドの中で深めるのもいいね。
「うぐぐぐぅ!」
「どうした? 何か痛む所があるのか?」
顔のむくみは、アンネリーゼ嬢の治癒の魔法がひんやりとして気持ちが良いくらいだ。痛かったのは心臓だけ。
「大丈夫です…… ありがとうございました。お陰で左目も見える様になりました」
アンネリーゼ嬢は満足げに笑ってから、急に真剣な目付きに変わった。凛とした顔付き。深めたいね親交を。ベッドで……
「シン男爵に頼みがある。わたしをシュレイアシュバルツまで連れて行って欲しい」
うん。嫌です。せっかく無事に逃げて来たのに何故に戻る。今ごろは敵がここを攻める為の準備で大忙しだよ。仕事の邪魔はしない方がいいよ。
「アンネリーゼ様、シュレイアシュバルツは既に敵の手に落ち、王都を守る事に重点をおかれる方が良いかと」
数は少なくなったとは言え、無人のシュレイの街は敵の物になっている。しかも王都を攻める為の増援を頼んでいればシュレイアに行くなんて自殺行為だ。
「分かっている。分かっているのだが…… わたしは敵を見た事がない。ゴブリンやオーガ、トロールもいるそうではないか。わたしは、どれも見た事がないんだよ、シン男爵」
ゴブリンやオーガなど、公爵様が関わる事が無い世界だ。それが戦争に引き出され「さぁ戦え」と、言われても何も分からなければ戦えない。
だからと行って見に行きたいって…… 地方議員の視察と銘打った観光じゃないだろうな。税金の無駄遣いだったら怒るよ。
「レームブルック殿やユーマバシャール殿は何て言っていますか?」
アンネリーゼ嬢は僕から目を反らしてうつ向き加減で言った。
「言った事があります…… ダメでした」
それはそうだろう。大将自ら偵察なんて許さないでしょうね。それで僕に頼んで来たのか。やっぱりここはアンラッキーみたいだ。
「アンネリーゼ様を危険な目に会わせたくないのは僕も同じです。アンネリーゼ様には全軍の指揮を取るのですから」
「だからです!」
アンネリーゼ嬢の強い言葉に僕もクリスティンさんも驚いた。こんな風に言える人とは思っていなかった。
「わたしはフリューゲン軍の指揮を取らなければなりません。わたしの指示で味方を死地に送らなければならないかもしれないんです。敵も知らずにそんなこと……」
少なくとも自分の置かれた立場は分かっているみたいだ。きっと戦争なんて嫌なんだろうね。僕も無能な上官の下に着くのは嫌だ。
「仕方がないですね……」
本当は嫌ですけど。本当は敵が来るまで飲んでるか、いちゃラブかナンパしていたい。
「クリスティンさん、プリシラさんとアラナを呼んで下さい」
あの二人なら護衛として充分だ。二人とも長時間の馬の早駆けが出来るし何より強いからね。
「……プリシラはダメだと思います。もう酔い潰れていますから。アラナは補給の事で手違いがあったらしく、そちらに行ってます」
アラナはともかくプリシラさんはもう飲んでるのか。飲み過ぎだよ、こんな時に。しかし困った。クリスティンさんなら早駆けも少しなら出来るけど、長距離偵察向きじゃない。
「他の三人はどうしたの?」
「……あの三人はいまだに帰って来てません。民家のドアに「入ったら殺す」と書かれてあったので、そこにいるのでしょう」
殺すとは大袈裟な。立ち入り禁止ぐらいにしておけばいいのに。しかし、あの三人で何をやってるんだか。
「……試しに一人を家に入れたところ、腐れの大剣で串刺しになって死にました。 ……入ったら死ぬようです」
試さないでね! ルフィナは容赦がないんだから。それにしても殺す事はないだろうに。試す事もないだろうに。
「……死んだゴミは処理してあります。ご心配なく……」
心配ですよ、貴女の指揮能力が! 本当にクリスティンさんも容赦がない。男と見たらゴミくらいにしか見てない。その冷たい目が、またいいんだけどね。
「兵士は大切に扱って下さいね」
無理だろうけど頼んでみた。他の旅団の者に頼んでもいいが、いざとなったらアンネリーゼ嬢を抱き上げて神速で逃げれなくなるからね。
「アンネリーゼ様、聞いての通りで腕利きの団員が付いてこれません。護衛は僕一人になりますが、本当に行きますか?」
公爵様くらいの護衛なら旅団単位が動いてもおかしくない。それが一人の護衛なんて受けるはずがない。
「行きます!」
即答かよ、くそっ。空気読んでくれよ。気持ちは分かるけど、行ったら行ったで問題が山の様に増える気がする。
「アンネリーゼ様は剣は使えますか? 馬は? 今からでも野宿は避けられませんよ」
「大丈夫です。これでも公爵なのですから」
公爵だからって野宿はキツいよ。トイレはどうするの? 自分の世話は自分でしないといけないし、夜は僕と二人きりになってしまうんだよ。
「見たら帰りますからね。クリスティンさん、馬を二頭用意して……」
「お持ちしております」
僕の背中から聞こえて来たのはフリートヘルムの清んだ声だった。僕の後ろを取るなん て人は、それなりに居るけれど、広域心眼を使えば後ろなんて取られても平気さ。
「いつの間にいたのですか、フリートヘルム殿」
殺気を出していてくれたら、まだ分かったのだろうに。得体の知れない者のトップクラスだ。あの時のテントの中でのアンネリーゼ嬢を守ろうとした殺気が、今では危険な所に行かせようとしている。
「準備は整ってございます。馬、水、食料、テントも揃ってございます」
準備をしている間に、レームブルックかユーマバシャールに見つかって行くのを止められる事を期待したけれど仕方がない。
「アンネリーゼ様、参りましょう」
「はい! 遅れはとりません!」
「……フリートヘルム殿はどうされますか? 馬は二頭しか無いようですし」
「わたくしには、やらねばならない事がありますゆえ……」
お前も付いて来ればいいんだよ。いや、お前が一人で行って来い。僕はアンネリーゼちゃんと親交を深めたいから。
「朝寝坊さんね」なんて言われて、キスで目を覚ますのもいいだろう。往復ビンタよりまだいい。
目覚めの往復ビンタは、そこら辺りの目覚まし時計より目が覚める。途中から左右のフックの連打に変わり、右を喰らっては意識が飛び、左をもらっては意識が戻ると言うのを顔が腫れるまで頂いた。
「夜に目が覚めたらベッドにもいねぇで、これか! 死ね! 死んじまえ!」
プリシラさんの怒りが頂点に達しているのが、僕の首を締める力で分かる。 ……これはダメそうだ。ミカエル・シンは永眠します。おやすみなさい……
「ハッ!」
夢か…… 嫌な夢だった。マウントを取られたプリシラさんからのデンプシーロールで死ぬ夢だった。僕は確か三人のイリスに体液を補充して、両手に花と胸に一人を抱きしめながら眠ったんだっけ。イリスはどこに行った?
体を起こして見渡すと三人のイリスは、寂しく僕をベットに残したまま床で眠っていた。一人はテーブルを破壊するように、一人はクローゼットに飛び込むように、一人は逆さになって壁に寄りかかり、大股を開いて大切な所が丸見えになってしまっている。
さすがに、それはマズいと僕はベットから起き出し、大事なところを隠してあげようと、一歩踏み出す足に力が入らず膝を着いてしまった。
やはり三人のイリスを相手に頑張り過ぎたようだ。それに顔が痛いし首がヒリヒリする。昨日はどれだけ激しい事を僕達はしたのだろう。一緒に寝ていたような……
「凄い寝相だね。逆さになって寝苦しくないのかな?」
僕は引っくり返って寝ているイリスの足を閉じながら言った。良いものを見せてもらったが、寝起きは悪いようでまだ眠っていた。
寝ているのだからと、ベッドに運んであげたが僕の目もまだハッキリとしていない様で、僕のつぶらな瞳は大きく普段通りには開いていない。足もふらつくし、寝不足は良くないね。
テーブルを壊して眠るイリスも死んだように眠っているし、唯一クローゼットにダイブしたイリスだけは目を覚ました。
「……よ、良き人」
「おはようイリス、気持ちのいい朝だね。クローゼットは狭くなかったかな?」
朝の挨拶元気良く。僕は精一杯の笑顔を作ったつもりだけど、顔が何だか腫れぼったく感じる。何だろう? 風邪でもひいたかな?
「無事で良かった……」
それだけ言うとイリスは二度寝を決めこんだ。クローゼットのイリスをベッドに運び、三人の裸のイリスを良く見てみると身体中にアザがあった。
影の仕事も大変なんだな。今度はもっと優しくしてあげないと。僕は三人に「おやすみのキス」をして部屋を出た。今はゆっくり休んでね。
旅団に戻ると周りの人から注目を集めた。やはり旅団長ともなると、皆からの尊敬の眼差しが痛い。顔も痛いけど。
「クリスティンさん、おはようございます」
最初に見つけたクリスティンさんに朝の挨拶元気良くをすると、呆気に取られて僕の顔を見てきた。一日ぶりだからって、そんなに見つめる事もないのに。
「……おはようございます、団長。顔はどうなされました?」
この男前の顔がどうかしたのかな? もしかして寝不足で顔がむくんでいるのかもね。左目が良く開かないし。
「少し寝不足だからですかね。みんなは何処にいってるのでしょう」
「……みなは、ここに……」
「おはよう、シン男爵。気持ちの良い朝だ」
振り返るとフリューゲン公爵が白いフルアーマーメイルを着て歩み寄ってきた。武骨なメイルだがアンネリーゼ嬢は何でも似合うようだ。
「どうしたその顔は? わたしが治してやろう」
たかが、朝のむくみ顔ぐらいで大袈裟な。でもアンネリーゼ嬢は治癒の魔法が使えるとは驚きだ。ただの公爵じゃないと思ったよ。これを気に親交をベッドの中で深めるのもいいね。
「うぐぐぐぅ!」
「どうした? 何か痛む所があるのか?」
顔のむくみは、アンネリーゼ嬢の治癒の魔法がひんやりとして気持ちが良いくらいだ。痛かったのは心臓だけ。
「大丈夫です…… ありがとうございました。お陰で左目も見える様になりました」
アンネリーゼ嬢は満足げに笑ってから、急に真剣な目付きに変わった。凛とした顔付き。深めたいね親交を。ベッドで……
「シン男爵に頼みがある。わたしをシュレイアシュバルツまで連れて行って欲しい」
うん。嫌です。せっかく無事に逃げて来たのに何故に戻る。今ごろは敵がここを攻める為の準備で大忙しだよ。仕事の邪魔はしない方がいいよ。
「アンネリーゼ様、シュレイアシュバルツは既に敵の手に落ち、王都を守る事に重点をおかれる方が良いかと」
数は少なくなったとは言え、無人のシュレイの街は敵の物になっている。しかも王都を攻める為の増援を頼んでいればシュレイアに行くなんて自殺行為だ。
「分かっている。分かっているのだが…… わたしは敵を見た事がない。ゴブリンやオーガ、トロールもいるそうではないか。わたしは、どれも見た事がないんだよ、シン男爵」
ゴブリンやオーガなど、公爵様が関わる事が無い世界だ。それが戦争に引き出され「さぁ戦え」と、言われても何も分からなければ戦えない。
だからと行って見に行きたいって…… 地方議員の視察と銘打った観光じゃないだろうな。税金の無駄遣いだったら怒るよ。
「レームブルック殿やユーマバシャール殿は何て言っていますか?」
アンネリーゼ嬢は僕から目を反らしてうつ向き加減で言った。
「言った事があります…… ダメでした」
それはそうだろう。大将自ら偵察なんて許さないでしょうね。それで僕に頼んで来たのか。やっぱりここはアンラッキーみたいだ。
「アンネリーゼ様を危険な目に会わせたくないのは僕も同じです。アンネリーゼ様には全軍の指揮を取るのですから」
「だからです!」
アンネリーゼ嬢の強い言葉に僕もクリスティンさんも驚いた。こんな風に言える人とは思っていなかった。
「わたしはフリューゲン軍の指揮を取らなければなりません。わたしの指示で味方を死地に送らなければならないかもしれないんです。敵も知らずにそんなこと……」
少なくとも自分の置かれた立場は分かっているみたいだ。きっと戦争なんて嫌なんだろうね。僕も無能な上官の下に着くのは嫌だ。
「仕方がないですね……」
本当は嫌ですけど。本当は敵が来るまで飲んでるか、いちゃラブかナンパしていたい。
「クリスティンさん、プリシラさんとアラナを呼んで下さい」
あの二人なら護衛として充分だ。二人とも長時間の馬の早駆けが出来るし何より強いからね。
「……プリシラはダメだと思います。もう酔い潰れていますから。アラナは補給の事で手違いがあったらしく、そちらに行ってます」
アラナはともかくプリシラさんはもう飲んでるのか。飲み過ぎだよ、こんな時に。しかし困った。クリスティンさんなら早駆けも少しなら出来るけど、長距離偵察向きじゃない。
「他の三人はどうしたの?」
「……あの三人はいまだに帰って来てません。民家のドアに「入ったら殺す」と書かれてあったので、そこにいるのでしょう」
殺すとは大袈裟な。立ち入り禁止ぐらいにしておけばいいのに。しかし、あの三人で何をやってるんだか。
「……試しに一人を家に入れたところ、腐れの大剣で串刺しになって死にました。 ……入ったら死ぬようです」
試さないでね! ルフィナは容赦がないんだから。それにしても殺す事はないだろうに。試す事もないだろうに。
「……死んだゴミは処理してあります。ご心配なく……」
心配ですよ、貴女の指揮能力が! 本当にクリスティンさんも容赦がない。男と見たらゴミくらいにしか見てない。その冷たい目が、またいいんだけどね。
「兵士は大切に扱って下さいね」
無理だろうけど頼んでみた。他の旅団の者に頼んでもいいが、いざとなったらアンネリーゼ嬢を抱き上げて神速で逃げれなくなるからね。
「アンネリーゼ様、聞いての通りで腕利きの団員が付いてこれません。護衛は僕一人になりますが、本当に行きますか?」
公爵様くらいの護衛なら旅団単位が動いてもおかしくない。それが一人の護衛なんて受けるはずがない。
「行きます!」
即答かよ、くそっ。空気読んでくれよ。気持ちは分かるけど、行ったら行ったで問題が山の様に増える気がする。
「アンネリーゼ様は剣は使えますか? 馬は? 今からでも野宿は避けられませんよ」
「大丈夫です。これでも公爵なのですから」
公爵だからって野宿はキツいよ。トイレはどうするの? 自分の世話は自分でしないといけないし、夜は僕と二人きりになってしまうんだよ。
「見たら帰りますからね。クリスティンさん、馬を二頭用意して……」
「お持ちしております」
僕の背中から聞こえて来たのはフリートヘルムの清んだ声だった。僕の後ろを取るなん て人は、それなりに居るけれど、広域心眼を使えば後ろなんて取られても平気さ。
「いつの間にいたのですか、フリートヘルム殿」
殺気を出していてくれたら、まだ分かったのだろうに。得体の知れない者のトップクラスだ。あの時のテントの中でのアンネリーゼ嬢を守ろうとした殺気が、今では危険な所に行かせようとしている。
「準備は整ってございます。馬、水、食料、テントも揃ってございます」
準備をしている間に、レームブルックかユーマバシャールに見つかって行くのを止められる事を期待したけれど仕方がない。
「アンネリーゼ様、参りましょう」
「はい! 遅れはとりません!」
「……フリートヘルム殿はどうされますか? 馬は二頭しか無いようですし」
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お前も付いて来ればいいんだよ。いや、お前が一人で行って来い。僕はアンネリーゼちゃんと親交を深めたいから。
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