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第二百五十二話
しおりを挟む止める暇も無く振り下ろされたナイフ。メレディス嬢の事を考えてなければ止められたのに。
「これでどうだ!」
「……へ?」
五人のケイベックの美人達は、自らの服にナイフをあてがい、一気に下まで切り裂いた。実った果実が食べてくれと主張する。
「勇者殿はマクレガー侯爵様と絆を作ったのだな。絆は強く多い方が良い」
五人のケイベックの女は服を縦に切り裂き、胸元を大きすぎるほど広げて僕に迫ってくる。二つ言わせてくれ! ナイフは捨てようね。何故、僕に切らせてくれなかった!
一番右手の人は肌に傷がついて血が流れてるじゃないか! 切り方も知らないでやるからだ! 着エロは芸術だよ。血を流していいものじゃない!
「ウェールズさん…… 絆の意味を知ってますか……」
僕は思わず後退りしてしまう。だって怖いんだもん。ナイフを持って半裸で迫ってくるんだもん。ストーカーだってそこまでしねぇよ。
「知っている…… 絆とはこうして出来るものだ……」
知って無いし、絆の作り方を間違ってるし! 絆ってのは心の交じり合いだろ。お互いを尊重し尊び、助け合い、愛し合う。スタートが殺し愛から始まるのかよ。
振りかかる四本のナイフ。愛し合いって、プリシラ系の愛し合いか!? バカめ! こんなのには慣れてるんだよ!
四人の美人に囲まれ避けるナイフ。囲まれるなら違う形で囲まれたい。が、刺される訳にもいかない。モード・スリーで充分だ。
フェイントを使って迫り来るバスト推定八十四、五。遅れて動いた胸の揺らぎに誘われて、目線はそちらでも動きはナイフに合わせて一本目をかわし、影に隠れて下からバスト推定九十二が大きく揺らして突き上げて来る。
目線が…… 揺れる! どっちを見ればいいんだ! ナイフか胸か!? 胸かナイフか!? 右乳か左乳か!? やっぱり胸か胸だね。二つもあるんだし。
ギリギリまで待ってから避けるナイフでも、胸の苺は見えない。なんて着エロの事を分かってるんだ。見えそうで、見えない、これが着エロの真髄なり。
後ろ左右から来る二人。心眼! モノクロの世界じゃつまらねぇ。が、避けるのには見えてないとね。モノクロの世界では肌の美しさも半減だ。解除しよう。
五歩の神速でエテルナの前に飛び出し、服を広げようとすればナイフで刺されそうになる。正面からではダメだね。フェイント使えば良かったけど、見たいという気持ちが僕を真っ直ぐに進ませた。
繰り出されるナイフを全て交わし、いくら見ようとも、はだけない服に僕は苛立ちを隠せない。着エロと言えども最終的には見たいんだ。この男心を分かって欲しいんだ。
女の子の五人に囲まれ、ハーレム状態でナイフを突き刺してくるケイベックの美女護衛。ハーレムってナイフを使ったかな? 白百合団にいると分からなくなって来るよ。
モードもファイブまで上げて、囲まれようとも当たらないナイフに、美女の方々も疲れが出てきた。飛び散る汗、当たらないナイフ、苦悶の表情、半裸の美女。 ……ずっとこうしていたい。
「ウェールズさん、止めませんか? 僕には当たりませんよ」
正直、余裕だ。僕の着エロ道を止められる…… 僕のモード・ファイブを止められる人はプリシラさんかクリスティンさんくらいなものだ。
「き、絆を…… 絆が欲しいんだ」
いや、いや、間違ってるし。どうせならベッドでしましょうよ。こんな開けっ広げな所じゃなくて、二人きりでラブラブなのがいいよ。
必死さは伝わる。全てはケイベックの為なんだろうけど、そこまでして守りたいんだね。絆と言う既成事実を作って僕をケイベックに引き込みたいんだね。
そう考えると、やる気が失せてしまうよ。刺されるのは嫌だけど、降参して大人しくしたら優しくしてくれるかな。僕がこんな事を半裸の女性に囲まれて考えていると、自分の速さが遅くなって行く事に気が付いた。
おかしい? 今の速さはフォーくらいか? 落としたつもりは無いけれど、身体が動きにくくなってきた。
もしかして魔法か? いや、この人達はみんな騎士だし魔法が使えそうもない。それなら薬か? 食べ物も飲み物も自前だし、囲まれてからも変な事はしていな…… されていない。
おかしい? 何かが変だ。状況が変なのは分かってるけど、僕の神速とは関係ない筈だ。僕は勇者で無傷だ。周りはナイフで襲い掛かって来てる半裸の美女。
体感的にモード・スリーか…… 動きにくい。ナイフは避けれる、速さはボクサーにだって負けはしない。速さが落ち切る前に勝負を決める!
一歩、前に出る。動きにくい。半歩、前に出る。バスト八十を前にして突き刺して来たナイフを、半身で避けて左手の手刀で叩き落とす。
行け! 触手義手! 触手義手? 伸びた指がバスト八十の乳首を人差し指と親指でコリコリと。残った三本の指は仲良くパンツの中へスルスルと。
ノォー!! 何をやってる左手! ここでお前、一人で楽しむ気か!? 今まで我慢して着エロ妄想してきた俺の身にもなってくれよ。
「きゃっ!」
女の子らしい素直な反応にシンちゃん嬉しい。ナイフも捨ててくれたし、もっと嬉しい。
「絆を作る気になったようだな!」
お前、それより伸びた指にビックリしろよ。人の指が伸びたんだぞ! 普通はもっと違う反応があるだろうが。まぁ、気持ち悪いと言われるよりかいいけどね。
「エテルナさん。絆を作るのならクリンシュベルバッハに行って、雰囲気のいいお店で食事をして、バーカウンターで一杯飲んで、それから景色のいいホテルに行きませんか?」
「クリンシュベルバッハにそんな所があるものか!」
そりゃそうだ。まだクリンシュベルバッハには軍隊ばかりで、一般の人は戻ってないだろうから店もやってない。でも、ベッドのある家なら、空き家がいっぱいあるよ。
「そもそも間違ってませんか? マクレガー侯爵と同じ様な絆を作りたいなら、優しく誘ってくれた方がシンちゃん嬉しい」
「……下半身は、そう言ってないようだがな」
ビックリ、シンちゃん驚いた。どうりで動きにくいと思ったよ。相棒がスライムから成長してペティナイフに育ってる。子供の成長は早いね。見ない間に、こんなに大きくなっちゃって。ショートソードになる日もすぐだね。
「こ、これには深い訳が……」
半裸の美人が僕の周りで踊っていたら、着エロ愛好家としては、ご馳走さまだ。浅い理由しかないが、育ったものは仕方がない。
僕の首に腕を廻して引きずり倒す、バスト九十二。背中に当たる感触に満足しながら倒されれば、弾む胸の感触がまた格別なり。
「ぐぎゃ!」
痛いものは痛いです。柔らかいものは柔らかいです。出来れば向き合って、君は僕の首に腕を廻して、僕は君の腰に手を回して、ロマンチックな夜を……
「へぐっ!」
まだまだ腹筋の伸び代がありそうですね。エテルナさんもいい右パンチを持ってますね。さっき食べたのが出ちゃいそう。
「捕まえた! もう逃がさん!」
あっ! やっぱり捕まえるつもりだったんだよね。てっきり殺すつもりかと思ったよ。だけど僕も諦めたよ。大人しく絆を交わそう。
「……で、これからどうするんですか?」
バスト八十が困ったように言う。これからって…… もしかして、知らないで絆を作ろうとしていたのか!? これから大人のスポーツをするんだよ。危険なスポーツで失神者も出るくらいだ。
「大丈夫だ! こんな時の為に本を持って来ている!」
それってどんな本ですか? この世界にもエッチな本てあるんだね。グラビアアイドルとかいるのかな。写真は無いから二次元か。日本では一大産業だよ。
「エテルナさん…… もしかして……」
「黙れ!」
二度目のボディブローは全力腹筋で威力半減だ。背中に当たる膨らみは二つだ。僕を打ち倒しておきながら、平然とエッチな本で予習しているエテルナさんに皆の注目が集まる。
「大丈夫だ。これに全部書いてある。この通りにやればよい」
エテルナさん…… その本はいつも持ち歩いているんですか? 貴女はいつ死ぬかも知れない戦争中の騎士ですよ。もし死んでしまったら、遺品の中にエッチな本があった事が知られてしまうのに。
コミケでエッチな本をいっぱい買って、帰りに交通事故で本をバラ蒔く様なのと同じです。黒歴史になりますよ。
「まずは、勇者殿のパンツを脱がせ」
「はい!」
二人がかりで脱がし始める僕のパンツさん、さようなら。窮屈なパンツを脱ぎ捨て、出でますショートソード。どうだと、ばかりに自己主張激しい相棒に僕は顔が赤くなる。
「エテルナさん、エテルナ! もう少しやり方ってものがあるでしょ!」
引っ掛かったんだよ! 先っぽが! 敏感なんだから大切にしろって本に書いてないのか!? まさか「雄しべ」「雌しべ」が出てくる様な古い本じゃないだろうな!
「大丈夫だ勇者殿。本に全て書いてある。絆を共に作ろう」
おう! 作ってやろうじゃないか! 僕は作り方も知ってるし、色んなヤり方も知ってるぞ。その身体に教えてあげますよ。
「これが男性器だ。これが太く硬くなって我々の中に入るのだ」
「これ以上、大きくなるのですか!? とても入るとは思えません!」
いえ、もう大きくなってますから。これ以上はライカンスロープ専用となっておりまして、初心者の方の参加はご遠慮させてもらってます。
「大丈夫だ…… と、思う。そうだな勇者殿!」
ここまで来て僕に話を振るなよ。下にいるけど、上から目線で僕は優しく、とても優しく話しかけた。
「エテルナさん……」
「騒がれないよう、口を閉じさせておけ」
最後まで喋らせて! 間違ってます! 間違ってますよ、エテルナさん。僕の話は聞いてくれる事も無く、脱ぎ始めるエテルナさん。
待て、待て、待て! 前戯を知らないのか!? 僕の相棒を握ると、エテルナさんは自分の秘部に宛がうと一気に腰を降ろして突き刺さった!
「がふっ!」
それはかなり無理があるだろ。濡れてもなく、おそらく初めてでショートソードが突き刺さったんだから…… 死んだかな?
「エテルナさん!」
周りの心配も当然だ。身体を震わせて、痛みに耐えている。僕は思っていたより窮屈なエテルナさんの中に満足だ。 ……って、違うから!
何とか猿ぐつわにされていた布を吐き出し…… これ、誰のショーツですか? 布を吐き出し、エテルナさんに声を掛ける。
「エテルナさん、大丈夫ですか!? こういうのには、ヤり方があるんです。ちゃんと教えますから……」
「ケイベックの女を舐めるな!」
無茶苦茶だ。初めてなのに、もっと優しいやり方があるのに……
本で見聞きした程度の知識では得られ無い、正しくもないが、今まで培ってきた僕の作法を教えてあげたい。
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