異世界に来たって楽じゃない

コウ

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第二百八十話

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 ノルトランドの目標としている海岸線まで後少し。本来なら漁船どころか、軍船も立ち寄れない土地だが、クリスティンさんの力を使えば死ぬ事さえ恐れない。
 
 
 「もうすぐ海岸線が見えて来るころじゃな」
 
 「それでは船を止めて下さい。こちらで偵察を送りますから」
 
 僕はそう言ってアラナにドロンを偵察に出させた。まだ、日は明るいが直ぐに暗くなる。暗くなり次第、上陸を開始しよう。上陸作戦なんてワクワクする。海兵隊かシールズか、ノルマンディ上陸もいいね。マニア心を揺さぶるよ。
 
  アラナは器用に三機のドロンを操作して海岸線から奥の森まで偵察をした。結果としては危険な魔物も動物も見付からず、野生の豚と普通の猪がいるだけだった。
 
 「上陸ですが、最初に小さな船で僕とプリシラさんとルフィナが揚がります。その後に馬を一頭づつ乗せ最後の四頭でソフィアさん、クリスティンさん、オリエッタの順で。アラナはアルマと一緒に最後の船に乗って下さい」
 
 「敵はいねぇんだろ。警戒のし過ぎじゃねぇか?」
 
 「ドロンで偵察はしているとは言え、一応敵地ですからね。野生の動物にも注意です。僕とプリシラさんは上陸後、偵察に出ますからルフィナを目指して他の人は揚がって下さい」
 
 「時間がかかりそうだな……」
 
 「軍馬とは言え、泳がせる訳にはいきませんし、一頭づつしか運べないんですよね。ドロンをクリスティンさんに一機渡して。上陸したらクリスティンさんがドロンの偵察を代わって下さい」
 
 「……それまで飲んでるか」
 
 「出発!  プリシラさんとルフィナは早く船に乗れ!」
 
 僕達は装備を整え小さな船に乗った。波の静かなノルトランドの入り江は誰の出迎えも無く、僕のワクワク感が波の泡と消えてしまいそうだった。
 
 
 「プリシラ!  左に行け!  僕は右に行く!  ルフィナはロッサを出して警戒!  怪しい者は全て殲滅!」
 
 奮い立たせた気力とは別に「濡れた」だの「冷たい」だのと波と戯れるバカ二人と不死の女王。ここは敵地ノルトランド。いつ襲われても不思議じゃないんだ。
 
 「気を抜くな!  エントが敵かも知れないんだぞ!」
 
 エントは動くか姿を見せなければ普通の木にしか見えない。もしこの木が全てエントで、魔王の味方だとしたら、ここはノルマンディになる。空爆が期待出来ない以上、僕達は孤立して全滅だ。
 
 「それならば、■■■■、滅びの大風」
 
 白百合団でも凶悪な二人の吐く無慈悲な大風は、肺活量を無視し五百メートルに渡って森林破壊を繰り広げ、海岸線を奥に広げた。
 
 「バカ!  エントがいたらどうする!?」
 
 森の賢者エント。知識を尊び、決して無益な戦いなどする筈の無い存在を、もし居たらその存在さえも消し去るルフィナさんは、何を考えて滅びの大風を吐いたのか……
 
 「死ぬような味方はいないのである」
 
 ……だ、そうだ!
 
 ……じゃ、ねぇ!
 
 「ルフィナ!  エントはお前の二つ名の名付け親だろ!  敬え!  呪木王!」
 
 「勝手に付けた名など知らんのである」
 
 ……だ、そうだ! 気に入っていたと思った「呪木王」の二つ名。ウネウネ大好きだろ。「ウネウネ王」なら断りたいけどね。
 
 根こそぎ滅び、綺麗に広がった海岸線。ノルトランドの住人から苦情が来なければいいのだが、今となっては植林か自然の豊かさに任せるしか無い。そして、その暇は無い。 
 
 「ルフィナは待機してろ!  プリシラさん、左側をお願いしますね。僕は右側に回ります」
 
 「面倒くせ……」
 
 ドロンが偵察をしているから敵がいれば教えてくれる。でもせっかくの上陸作戦なんだから、海兵隊気分を味わわせてくれ。
 
 「一キロ先まで海岸線を偵察!  敵が居たら殺せ!」
 
 僕はそう言って海辺を走った。ドロンで偵察している安心感もあるが、どんな魔物がいるか分からない。女の子とでも無く、ただ警戒の為に走る砂浜のキツイこと。
 
 一キロほど行って折り返し地点。この先にネーブル橋があって魔王も居るのかと思うと、一人で駆け出したくなる。
 
 今の僕なら楽勝なんじゃね?  そう思い腰に手を当てて考え直した。木刀でどこまで出来る?  撲殺なら出来る!  
 
 簡単に殺らせてくれるだろうか。アルマも魔王の力を直接見た事は無いと言っていたし、殺るなら不意を突くのが一番だ。
 
 僕は折り返し地点を回って白百合団のいる浜辺を目指す。一人なら無理でも皆となら必ず討ち取れる筈だ。僕はそう思って木刀を抜いた。
 
 「慣れない武器だ。練習が必要だろ」
 
 折り返し地点を決めたぐらいから感じた殺気。慣れた殺気で誰だか分かっていたし、広域心眼で捉えていたから驚きはしない。
 
 「僕は本番に強いんで練習は必要無いですよ」
 
 「……じゃあ、何で抜く」
 
 「死にたくないし、説得は無理かと……」
 
 「当たりだ!」
 
 夕食前の軽い命を賭けた乱取り。木刀対ハルバート。不公平さと自重差がいかんともし難く、僕の打ち込む木刀の音は「パカ~ン」と返され、プリシラさんの斬擊は受けたら折れるか斬られるかの重低音を響かせて来た。
 
 「逃げ回ったって勝てねぇぞ!  剣なんて手の延長だと思え!」
 
 てめぇ!  何年傭兵やってると思うんだ!  そんな事は分かってる!  だから逃げてんだよ。ハルバートを手で受けたら切れちゃうでしょ!  でも、逃げてばかりもいられない。プリシラさんが飽きてライカンスロープになる前に押し倒す!  
 
 僕は静かに正眼で構える。プリシラさんもハルバートを後ろに構え振り下ろす準備は整った。勝負だコノヤロー!
 
 速く、ひたすらに速く。神速、モード・シックス!
 
 プリシラの上段からのハルバートを紙一重で避けて懐に。このまま喉を突いて仕舞いだ!  僕の木刀はプリシラさんの喉を突く前に手離し、両手を広げて包むように押し倒した。
 
 「てめぇ、離せ!」
 
 絶対に嫌です。腕を背中まで回して動けない様にしても、僕の触手義手は伸びるし革鎧を剥がすのには充分な力とテクニックを持っている。
 
 革鎧を剥がし、たわわに実った果実が二つ、食べてくれと言わんばかりに目の前に落ちてきた。頂きますと、顔を埋めて両頬に暖かさを……
 
 「プリシラさん!  少し太りましたか……」
 
 「んな訳あるか!?  良く見やがれ!」
 
 プリシラさんの許可を得たので遠慮無く。シャツの下の方から触手義手を伸ばし、一気に上まで捲り上げる!  そこには実った果実を被うブラが……  ブラジャーがあった……
 
 てっきりオリエッタが作った戦闘インナーとしての水着があると思っていたのに。白いレースが縁取って、褐色の肌をより強調させる白いブラジャー。
 
 「こ、これって……」
 
 この世界にブラジャーは無い。あるのは綿素材のシャツだけだ。オリエッタは少し前にブラジャーとパンティを作ったが、量産に成功したんだ!
 
 「オリエッタが乳宛てだってよ。インナーより揺れなくて済んでいいんだぜ」
 
 下着だ!  ブラだ!  フロントホックだ!  マイクロビキニより隠れる範囲は大幅に増えるが、ブラジャーと水着では防御能力が違って来る。
 
 水着は面積が小さくとも、見えない様に取れない様にと作られているが、下着は違う。よりプロポーションを引き立たせ、いざと言う時には脱がせ易く、柔らかい素材はずらし易いと来ている。
 
 異世界男性全ての夢が今ここにある。異世界の男ども全てに着エロを……  僕は回した両手を離し、組伏せる様に両手で揉んだ。
 
 「相変わらずエロい手だな……」
 
 柔らかい胸を揉みほぐしながら、先の頂を指先で探した。なかなか柔らかい素材で簡単に見付かった頂は、さらに大きく盛り上がって来た。
 
 「スケベだな……  あん…」
 
 ヤバいです。我慢ならんとです。だが、思い出す学会内で二分されてい事を。このままブラを外すか否か。
 
 ブラを外す。これは着エロが終了する事を意味するが、肩に紐を掛けている間は「乱れた服装」として着エロの範囲内に入る。
 
 ブラをずらす。これは着エロの「新しい形」と見なされるが、形の良い着エロでは無いとされている。
 
 取るかべきか、ずらすべきか、この事も大いに盛り上がる議題だが、ここに一つの妥協案が持ち上がってる。それがフロントホックだ。
 
 背中にホックがある場合、これは「外す」に該当する。そのホックが前にある場合は「外す」と「ずらす」が同一の物として見直されるんだ。
 
 僕はプリシラさんのフロントホックを歯と舌先で外し、ゆっくりと片方のブラをずらした。この場合の「歯」で外すか「手」で外すかは着エロの範疇では無いので口述は避けたい。
 
 綺麗なピンクの頂に舌を這わすと、プリシラさんの身体がピクンッピクンッと振るわせ声をあげ始めた。
 
 念のために、触手義手を下に伸ばしてパンツの中に入れてみた。この感触は……  よしよし、下も履いている、パンティを履いている。
 
 パンツの紐を外しパンティ越しにポッチをいじくり倒す。前までは短パンの様な下着だったのに、今ではパンティ。文明の進化って素晴らしい。
 
 もう少しプリシラさんの胸と戯れていたいが、思いの外に相棒の変化が著しく、ペティナイフの切れ味が上がってそうだった。
 
 プリシラさんのパンツを膝まで下ろし、押し掛かる様にしてパンティに相棒を当てがった。このままでは入れる事は出来ないが、ここからが着エロの真骨頂だ。僕はパンティを横に「ずらし」濡れている秘部に向かって相棒を突き入れた。
 
 「んん!ん……んん……!」
 
 これぞ着エロだ!  シャツは首まで上がりブラは半分ほどけ、パンツは膝まで下ろしパンティは履いたまま。これぞ完成形。定番、定石、初心者向けとも言われるが、基礎を疎かにしては先は無い。僕は振るう。全身全霊を込めてペティナイフを振るった。
 
 「あ……ぁあぁ…はぁぁ……ぁあっふう…ううあ…ああ…ん……ん」
 
 いい声で鳴き、小刻みに震える身体が限界を迎えるのもすぐだろう。僕の限界はまだ先だけど、一緒にイこうかプリシラさん。僕は持てる力の全てを相棒に集中しバスターソードの神速を繰り出した。
 
 「あ…ぁ…がぁ…  あががぁぁ…あがぁぁっ」
 
 ヤバい!   やり過ぎた!?  そう思ったのは僕が果て、パンティを直し、ブラを付け、シャツやパンツの身支度を終わらせタバコに火を点けて一服してからだった。
 
 「痛!  痛いですよプリシラさん……」
 
 「てめぇ!  あのデカさほライカンスロープになった時だけにしろよ!」
 
 頭蓋骨にヒビが入るほどの手刀を受け、禿げていないか頭皮の確認をしながら、僕はプリシラさんに怒られた。
 
 でも、満足だ。またしたい。何度もしたい。これからもずっとしたい。口に出して言わなかったが、僕の心の想いが通じたのか、二度目は手刀では無く、甘いキスだった。
 
 「次が来たぜ」
 
 顎で海岸線を向けるプリシラさんに、僕は広域心眼で応えると、クリスティンさんが馬に乗ってくるのが見えた。
 
 馬を三頭、そしてソフィアさんの後から来る予定のクリスティンさんが見えるなんて、プリシラさんとそんなに頑張っていたのかな?
 
 「…………代わります」
 
 「先に帰るぜ」
 
 僕の事は見えないのか、二人で会話をして、クリスティンさんが乗ってきた馬にプリシラさんが乗って帰ってしまった。何を代わるのかな?  偵察なら終わって帰る所なのに。
 
 
 僕はクリスティンさんに手を引かれ、森の方へ。ヤバい動物がいるかも知れないのにいったい何をするのだろう。僕は期待に胸を膨らませた。
 
    
 
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