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しおりを挟む「なにを騒いでいるんだ?」
「ああ? 見りゃあわかるだろ、………ひっ!?」
「すまないが、状況を説明してもらえるだろうか?」
騎士の制服を着た大柄な男性が尋ねた途端、男三人組の様子が焦ったように変わる。
「あ、あわ、あの……、俺たちは酒を飲んだ帰りで、その、困ったポメガバースを見つけたもんで、落ちてる荷物を拾って騎士団の詰め所に届けるところでした……っ」
「そうか。市民の協力に感謝する──ポメガバースは保護対象だからな。もしも不当な目に遭わせるつもりだったら容赦しないところだった」
大柄な騎士が剣を手にかけた瞬間、男三人組が手に持っていた僕の荷物を放り出して逃げていった。
大柄な騎士がしゃがみ込んで僕を覗きこむ。
清潔感のある匂いが鼻を掠めると、至近距離に男前な顔立ちが現れる。凛々しい眉とすっと通った鼻筋、切れ長の瞳は茶色。落ち着いた濃い紫の髪色は、先ほどの異世界配色全開な三人組と比べて僕に安心感を与えた。
「君はポメガバースか?」
「わふ……?(なにそれ……っ?)」
初めて聞く言葉に首を傾げる。ポメラニアンっぽい響きがあるけど、ポメガバースってなんだろう? 僕の気持ちが表情に出ていたのか、首を傾げたからなのかわからないけど、騎士があごに手を掛けて僕の荷物を眺める。
「質問を変えよう──君は人間かい?」
「わふっ!(そうです!)」
そうです! その通りです! の気持ちが強すぎて食い気味に返事をして、こくこくうなずく。騎士も納得したような表情をしたから異世界でポメラニアンになる人は珍しくないのかもしれない。
「俺はリカルド。ここバウワウ国で騎士団長を務めている。君は、異世界から来たのかな?」
「……わふぅ(……多分そうですね)」
「そうか。教えてくれてありがとう」
聞いたことのない国名に頷く。認めたくないけど普通でないことが起きていて、異世界転生したと考える方が辻褄が合ってしまう。
「ポメガバースも異世界人も珍しいから保護対象になっている。俺が君を保護していいかい?」
「……わふ(……えっと、お願いします)」
リカルドさんの問いかけに一瞬悩むけど、ポメラニアン(推定)なら誰かのお世話がなければ生きていけないだろう。それなら、僕を助けてくれた騎士団長のリカルドさんにお願いしたい。
「よし、決まりだ。それじゃあ、俺の家に連れて行くからな」
「わふ!(お願いします!)」
手早く僕の荷物を集めると、僕をひょいと抱き上げた。子どもの頃に父親に抱っこしてもらったような安心感がある。
リカルドさんの体温と心地よい揺れ。異世界に来てから緊張し続けていた僕はリカルドさんの腕の中でいつの間にかまぶたを閉じていた──
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