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しおりを挟む「着いたよ。俺の部屋に連れて行くね」
「……わ、ふ(……ん、はい)」
優しい声に意識が浮上する。
まぶたを開けると豪邸が目の前にあってびっくりした。固まる僕を抱いたままリカルドさんが玄関を抜け、執事服を着た男性になにかを言いつけると再び歩きはじめる。
リカルドさんは、落ち着いたセンスのいい調度品でまとめられた部屋のソファに腰を下ろした。僕はリカルドさんの膝の上にいる。
「食事を頼んだからね。それまで君のポメガバースと異世界から来た人について説明してもいいかな?」
「わんわん!(はい、ぜひ!)」
僕は勢いよく返事をした。
「ポメガバースは、普段は人間だけど、ストレスや疲れが溜まるとポメラニアンになってしまうんだ。一度ポメラニアンになってしまうと誰かに甘やかされ、癒されないと人間に戻れないんだよ」
「……きゅうん(……嘘だろう)」
ポメガバースの説明に呆然とした。甘やかされるなんて知り合いのいない異世界で無理すぎる。完全に詰んだ。
「ポメラニアンになったのが初めてなら驚いただろう?」「くうん……(そうですね……)」
「君を保護する許可をもらったから、俺が君を甘やかしていいかな?」
「わふ?(えっ?)」
「駄目かい?」
なぜか悲しそうに眉を下げるリカルドさんを見て、僕が驚いた。駄目なわけない。人間に戻りたいに決まっている。
「わふっわふっ!(あの、ぜひお願いします!)」
僕はリカルドさんの手のひらに頭を押し付けた。
「それじゃあ遠慮なく。嫌だったら教えてね」
「わふ!(はい!)」
リカルドさんが優しい手つきで僕の頭を撫でる。何度かゆっくり頭を撫でられると尻尾が左右に揺れてしまう。僕の反応を見たリカルドさんの手が、頭から耳、喉元の順に移動した。
「きゅう、ん……(ん、気持ちいい……)」
耳のつけ根から先へ優しく流すように触れられて、想像以上の気持ちよさにとろんとしてしまう。
人間のときにマッサージを受けたことがあるけど、こんなに気持ちよかった記憶はない。ポメラニアンの体だから気持ちいいのか、リカルドさんがゴッドハンドすぎるのかもしれないなあ。
「っ……!」
リカルドさんの手がお尻のつけ根をトントンした途端に電気が駆け抜けたみたいな衝撃が走る。
「気持ちいい?」
「わっふ……ぅ?(わからない……です?)」
「嫌だったら教えるんだよ」
リズミカルにトントンされながら話すリカルドさんの最後の言葉はあんまり頭に入ってこなかった。電気みたいな刺激が癖になる。ん、気持ちいいかも。んん、もっと、もっとして欲しくて尻尾が動く。
「お尻揺れてきたね、気持ちいいね?」
「わふぅ……(はい……)」
「素直でいい子だね。もっと気持ちよくしてあげる。お尻上げれるかな?」
「わっふ(はっはい)」
お尻をトントンされて、耳の付け根や背中を撫でられると、ただただ気持ちいい。甘やかされることが心地よくて心も身体もふにゃりと蕩けてしまう。
「わふぅ……(もっと……)」
「可愛いね、いい子。もっと俺に甘やかされて、君を全部見せてごらん」
「わふ、わふぅ……(ん、ん、気持ちいいよ……)」
「はあ、可愛いな。いい子だね、もっと甘えて」
低い声が甘く鼓膜に響く。
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