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第1部 勇者と狼の王女
第17話 勇者出陣 Ver1.1
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西の関門から出て、桜の樹の前を通過し大森林の端に近づくと、僕の腰に下げている、今は普通のロングソードの姿をした聖剣デュランダルが光り輝いた。
「マリー。僕は魔神を叩きに行こうと思う。あれがいなくなれば、デミエルフ達も早々に撤退するかもしれない。マリーは、町の人達と一緒に黒狼族の部隊を援護して、デミエルフを担当してもらいたいんだけど、いいかい?」
「旦那様…。私達のためにありがとうございます…。町の皆様も…巻き込んでしまい、申し訳ございません」
「マリーの家族は僕の家族だよ」
僕がそう言うと、町の戦士達もにこにこと笑いながら手を振ったり、サムズアップしたりしながら
「勇者様だけじゃねぇ。俺達も、もう家族だと思ってるよ!」
「結婚式面白かったぁ!黒狼族にいい男がいたら紹介してね!」
そう口々にマリーを励ましてくれた。
暖かい町に住めてよかった。
マリーが兜のシールドを上に上げて、涙をそっと指で拭っている。
僕はマリーと顔を見合わせて微笑むと、聖剣デュランダルを腰から抜いて魔力をこめる。
「風の精霊、ゼファー!シルフ!」
僕が呼びかけると、聖剣の柄にある赤い宝玉から薄緑色の燕のような形をした精霊ゼファーと、同じく薄緑色のテルテル坊主のような姿にスカートをはいてひらひらと漂わせる精霊シルフが飛び出す。
「ゼファーは僕の飛行を補助してくれ。シルフは敵の不意打ちの警戒を頼む」
そう言うと、僕の身体がどんどんと空に浮いていき、マリーや町の戦士達の姿が小さくなったころ、前に一気に加速した。
「旦那様ぁ!ご武運をぉ!」
マリーの声が下から聞こえてきたが、もうずいぶん遠くのように聞こえた。
空は時折光っていて、何かが爆発していた。
赤い服を着た人間が、真っ黒いゴスロリ姿の少女らしき人間と魔法を撃ち合っている。
「あれは…リーヴか。来てくれていたとは…助かる!」
そのままリーヴのもとへ一気に加速して近づく。時速にしたら200㎞は出ているんじゃないかという速度の飛行は、風圧で息苦しくなるが、そうなってくるとゼファーが風を操って快適にしてくれた。
僕に気づいたリーヴが大声で
「もしかしてソラ!?ソラか!?なんで女の姿!?」
と戸惑いながらも、すぐに僕と分かってくれた。恐らく精霊を従えていたことと、聖剣の輝きがあったからこそだろうが…。
しかし、女神の指輪の性能には驚いた。
家のリビングで僕が女神の指輪を指にはめて魔力をこめると…。
「これ…自分で変身後の姿選べないのかよ…」
僕の身体が一瞬光に包まれたかと思うと、男である自分の胸に、Eカップはありそうな胸が生えていて、顔や体は丸みのあるフォルムに、銀色の髪は少し伸び、肩に届き…。目はやや細いのは変わらないものの、まつ毛が少しだけ伸びただけなのに、随分と女性的な印象に変わる。
自分で言うのもなんだが…とびっきりの美人が誕生していた。
不思議な感覚だ…。男の印は見た目からは消えてはいるが、ちゃんと存在しているのは実感できるし、だからといって胸から生えたEカップの胸が映像だけかと思えば、触るとちゃんと指や手のひらに弾力を返してくる。
「どうなっているんだ…。女神の力とはいえ…。どういう仕組みなんだ…」
なんだか、身長もちょっと縮んでいて、160㎝のマリーと同じくらいになっている。
声も綺麗な凛としていてそれでいて、優し気なソプラノを響かせる。
「ふむ…。」
マリーが急に神妙な顔つきになったかと思うと、おもむろに僕の胸を揉んだ。
胸を触られているという感覚は伝わってくるものの、いまいち揉まれている感じがしないのが不思議な感覚だ。
「へぇ。私より大きいですね。しかも顔もとびっきり可愛い。いいですね。今度ちゃんとメイクしてみましょう。ワァ、タノシミダナァ」
なぜだろう。マリーの顔がニコニコしているのに、とても圧を感じる。
「姫様…。男の勇者様が自分より可愛くなったからと言って嫉妬してはいけません…」
「違うわよ!」
メーシェとマリーのそんなやり取りを見ながら、これなら確かに僕と分からないなと、女神の力は流石だなと感心せずにはいられない。なにせ性別すら違うのだから。
マリーに関しては、指輪のような小さなものに魔力をこめるのがまだ苦手だったこと、フルプレートアーマーで包んでしまえばよくわからないし、そもそも今回は黒狼族が黒狼族を助けて何が悪いんだということで、堂々と家から出て行った。
ジョヴァンニの連れていた小太りの中年の男が家の前にいたが、僕を見ても怪訝な顔をして僕に一応と言う形で声をかけてくる。
「あの…勇者様のご友人で?」
「いえ、今回の騒動を聞いてたまたま話を聞きに行っていた者ですの」
「あぁ、そうですか」
「もう家に帰ってもよろしい?」
「あぁ、はい。どうぞ」
怪しんではいるが、どう見ても勇者ではないその姿に通過させざるをえないといった様子。
しかし、そうか。
男が胸を見ると、こうも見ていることがバレてしまうものなのか。
中年の男が、僕と視線を合わせて話していた一瞬ではあるが、男の目線が少し下に下がる。
僕のEカップはあるであろう胸のふくらみを見ていたのは明らかだ…。
うーん…僕もマリーを見る時は気を付けよう…そう思ったところで、
「旦那様はいつでも、じっくりと見ていただいて構いませんからね?」
マリーの素早いフォローは僕の心臓をドキドキさせるには十分だった…。
「なーにぃ?その女ぁ!私たちの邪魔しないでよぉ!!」
名前も知らぬゴスロリの少女が、僕に殺意を持って赤黒い光線を撃ってきたところで、頭の中の回想は止まる。
「光の精霊、ウィル!アルテラ!」
僕の呼びかけに応えて、金平糖のような姿の光の精霊ウィルが、羽衣のようなものを纏った小さい女の子のような姿の光の精霊アルテラが飛び出してきて、両者ともに光の盾を展開して、飛んできたフィアメギドを完全に防ぎ切った。
「えぇ!?光の精霊!?ちっ。本家の光の盾はかったいわねぇ」
「ゼファー!」
僕はそのまま風の精霊に呼びかけて、飛行をさらに加速させる。
眼前にウィルとアルテラが光の盾をはって、少女の魔法を完全に防いでくれている。
「ずるいわよぉ!それぇ!」
逃げるように僕から距離を離し始める少女にあっという間に追いつくと、正直誰かから非難されそうではあったが…。
「邪魔をしないでくれ」
そう言って、少女らしき人間のわき腹を風の精霊の加速がのったまま蹴り飛ばした。
「うげぇぇえ」
めきめきとアバラを何本か折った感触がする。
「はぁはぁ…ちょっとぉ!可憐な少女を蹴り飛ばすなんてどういう神経しているの!?」
ゴスロリの女の禍々しいまでに巨大に感じる魔力。
隙を見せるわけにはいかなさそうだ。さらに、僕の視界には、無数にゆらゆらと光る光点がいくつも…それは、全て人間を嫌い敵対する炎の精霊たちだろう…。
魔神は大技で一気に仕留めたい…。
結婚式で見せた技…それに更に精霊の力をのせて…。
雑魚に構わず魔神に集中したい…。
「リーヴ!一気に魔神を倒したい。露払い頼めるか!?」
「おっけー!」
「ちょっとぉ!無視しないでよ!」
リーヴは明るく快諾すると、そのまま一気に急上昇する。
「ソラ!これ使ったら俺、たぶん魔力空っぽになるわ!フォロー頼むよ!?」
「シルフ!リーヴについていけ!」
シルフがふよふよとリーヴの肩に留まる。
僕の眼前には、魔神イフリータから湧き出る無数の炎の精霊と、憎々し気に僕を睨む謎の少女。
『ゆうしゃー』
『ゆうしゃー』
聖剣から火の精霊が2体飛び出してくる。カグナとフレイだ。カグナはトカゲのような形をしていて、フレイは小さいながら妙にセクシーな人間みたいな体つきをした女形をしている。といっても、精霊たちは体長は大きくてもサッカーボール程度、僕が呼び出した精霊たちは皆、強力であるが体長は野球ボール程度だ。
「どうした?」
『あの魔神なんかへん-』
『へん-』
『はなしがつうじないー』
『つうじないー』
僕は、火の精霊の話を聞きながら、リーヴの邪魔をしようとする謎のゴスロリに斬りかかる。
何かしらの風魔法を使ったのだろう。
強烈な風圧で身体がやや流されて、ゴスロリ少女の首に巻いてあったチョーカーのような黒いリボンを切り裂いただけだった。
「ちぃ!なんなのよ!あんた!ちょっと可愛いくらいで調子にのんないでよね!?」
「男なのか…」
黒いリボンが風に流されて外れてみると、ゴスロリ少女の首にしっかりと喉仏がその存在を主張した。
「はぁ?なんか悪い!?」
不機嫌そうにゴスロリ少女もとい、ゴスロリ男が詠唱すると、数えきれないくらい、フィアメギドが何本も連射され、雨のように僕に向かって降り注ぐ。
しかし、ウィルが僕に向かってきたものを防ぎ、アルテラがリーヴに向かっていったものを防いだ。
盾からもれたものは、僕が聖剣で斬り払う。
上空で月を背にして、リーヴが極大魔法を使うために、詠唱し続けている。
『ゆうしゃー。あの魔神なんか自然じゃないー』
『言ってることめちゃめちゃー。うそついてるけど、うそってじぶんがわかってないかんじー』
『人工てきなにおいー』
『僕たちと全然ちがうー』
「そんなやつに、なんで炎の精霊が付き従っているんだ?」
『ゆうしゃー。ごめーん』
『ごめーん。人間嫌いなやつけっこういるー』
『いるー』
『みんな、あの魔神の熱気にあてられておかしくなってるー』
『なってるー』
「悪いが、手加減はできない。お前たちの仲間を討つぞ」
『あいつらとはべつになかよくないー』
『よくないー』
『ちょっと悲しいけど、しょうがないー』
『しょうがないー』
絶え間なく飛んでくるゴスロリ男の魔法を斬り払いながら、時にウィルが光の盾で防ぎながら、魔神を見る。
あれだけ自分から精霊を分離させているのに、全然魔力が減っている感じがない。
魔神が黒狼族の部隊と接敵しようとしていて、助けに行きたいが…。
「むかつく!むかつく!むかつく!」
赤黒い光線は容赦なく、僕たちの命を刈り取ろうと向かってきた。
「マリー。僕は魔神を叩きに行こうと思う。あれがいなくなれば、デミエルフ達も早々に撤退するかもしれない。マリーは、町の人達と一緒に黒狼族の部隊を援護して、デミエルフを担当してもらいたいんだけど、いいかい?」
「旦那様…。私達のためにありがとうございます…。町の皆様も…巻き込んでしまい、申し訳ございません」
「マリーの家族は僕の家族だよ」
僕がそう言うと、町の戦士達もにこにこと笑いながら手を振ったり、サムズアップしたりしながら
「勇者様だけじゃねぇ。俺達も、もう家族だと思ってるよ!」
「結婚式面白かったぁ!黒狼族にいい男がいたら紹介してね!」
そう口々にマリーを励ましてくれた。
暖かい町に住めてよかった。
マリーが兜のシールドを上に上げて、涙をそっと指で拭っている。
僕はマリーと顔を見合わせて微笑むと、聖剣デュランダルを腰から抜いて魔力をこめる。
「風の精霊、ゼファー!シルフ!」
僕が呼びかけると、聖剣の柄にある赤い宝玉から薄緑色の燕のような形をした精霊ゼファーと、同じく薄緑色のテルテル坊主のような姿にスカートをはいてひらひらと漂わせる精霊シルフが飛び出す。
「ゼファーは僕の飛行を補助してくれ。シルフは敵の不意打ちの警戒を頼む」
そう言うと、僕の身体がどんどんと空に浮いていき、マリーや町の戦士達の姿が小さくなったころ、前に一気に加速した。
「旦那様ぁ!ご武運をぉ!」
マリーの声が下から聞こえてきたが、もうずいぶん遠くのように聞こえた。
空は時折光っていて、何かが爆発していた。
赤い服を着た人間が、真っ黒いゴスロリ姿の少女らしき人間と魔法を撃ち合っている。
「あれは…リーヴか。来てくれていたとは…助かる!」
そのままリーヴのもとへ一気に加速して近づく。時速にしたら200㎞は出ているんじゃないかという速度の飛行は、風圧で息苦しくなるが、そうなってくるとゼファーが風を操って快適にしてくれた。
僕に気づいたリーヴが大声で
「もしかしてソラ!?ソラか!?なんで女の姿!?」
と戸惑いながらも、すぐに僕と分かってくれた。恐らく精霊を従えていたことと、聖剣の輝きがあったからこそだろうが…。
しかし、女神の指輪の性能には驚いた。
家のリビングで僕が女神の指輪を指にはめて魔力をこめると…。
「これ…自分で変身後の姿選べないのかよ…」
僕の身体が一瞬光に包まれたかと思うと、男である自分の胸に、Eカップはありそうな胸が生えていて、顔や体は丸みのあるフォルムに、銀色の髪は少し伸び、肩に届き…。目はやや細いのは変わらないものの、まつ毛が少しだけ伸びただけなのに、随分と女性的な印象に変わる。
自分で言うのもなんだが…とびっきりの美人が誕生していた。
不思議な感覚だ…。男の印は見た目からは消えてはいるが、ちゃんと存在しているのは実感できるし、だからといって胸から生えたEカップの胸が映像だけかと思えば、触るとちゃんと指や手のひらに弾力を返してくる。
「どうなっているんだ…。女神の力とはいえ…。どういう仕組みなんだ…」
なんだか、身長もちょっと縮んでいて、160㎝のマリーと同じくらいになっている。
声も綺麗な凛としていてそれでいて、優し気なソプラノを響かせる。
「ふむ…。」
マリーが急に神妙な顔つきになったかと思うと、おもむろに僕の胸を揉んだ。
胸を触られているという感覚は伝わってくるものの、いまいち揉まれている感じがしないのが不思議な感覚だ。
「へぇ。私より大きいですね。しかも顔もとびっきり可愛い。いいですね。今度ちゃんとメイクしてみましょう。ワァ、タノシミダナァ」
なぜだろう。マリーの顔がニコニコしているのに、とても圧を感じる。
「姫様…。男の勇者様が自分より可愛くなったからと言って嫉妬してはいけません…」
「違うわよ!」
メーシェとマリーのそんなやり取りを見ながら、これなら確かに僕と分からないなと、女神の力は流石だなと感心せずにはいられない。なにせ性別すら違うのだから。
マリーに関しては、指輪のような小さなものに魔力をこめるのがまだ苦手だったこと、フルプレートアーマーで包んでしまえばよくわからないし、そもそも今回は黒狼族が黒狼族を助けて何が悪いんだということで、堂々と家から出て行った。
ジョヴァンニの連れていた小太りの中年の男が家の前にいたが、僕を見ても怪訝な顔をして僕に一応と言う形で声をかけてくる。
「あの…勇者様のご友人で?」
「いえ、今回の騒動を聞いてたまたま話を聞きに行っていた者ですの」
「あぁ、そうですか」
「もう家に帰ってもよろしい?」
「あぁ、はい。どうぞ」
怪しんではいるが、どう見ても勇者ではないその姿に通過させざるをえないといった様子。
しかし、そうか。
男が胸を見ると、こうも見ていることがバレてしまうものなのか。
中年の男が、僕と視線を合わせて話していた一瞬ではあるが、男の目線が少し下に下がる。
僕のEカップはあるであろう胸のふくらみを見ていたのは明らかだ…。
うーん…僕もマリーを見る時は気を付けよう…そう思ったところで、
「旦那様はいつでも、じっくりと見ていただいて構いませんからね?」
マリーの素早いフォローは僕の心臓をドキドキさせるには十分だった…。
「なーにぃ?その女ぁ!私たちの邪魔しないでよぉ!!」
名前も知らぬゴスロリの少女が、僕に殺意を持って赤黒い光線を撃ってきたところで、頭の中の回想は止まる。
「光の精霊、ウィル!アルテラ!」
僕の呼びかけに応えて、金平糖のような姿の光の精霊ウィルが、羽衣のようなものを纏った小さい女の子のような姿の光の精霊アルテラが飛び出してきて、両者ともに光の盾を展開して、飛んできたフィアメギドを完全に防ぎ切った。
「えぇ!?光の精霊!?ちっ。本家の光の盾はかったいわねぇ」
「ゼファー!」
僕はそのまま風の精霊に呼びかけて、飛行をさらに加速させる。
眼前にウィルとアルテラが光の盾をはって、少女の魔法を完全に防いでくれている。
「ずるいわよぉ!それぇ!」
逃げるように僕から距離を離し始める少女にあっという間に追いつくと、正直誰かから非難されそうではあったが…。
「邪魔をしないでくれ」
そう言って、少女らしき人間のわき腹を風の精霊の加速がのったまま蹴り飛ばした。
「うげぇぇえ」
めきめきとアバラを何本か折った感触がする。
「はぁはぁ…ちょっとぉ!可憐な少女を蹴り飛ばすなんてどういう神経しているの!?」
ゴスロリの女の禍々しいまでに巨大に感じる魔力。
隙を見せるわけにはいかなさそうだ。さらに、僕の視界には、無数にゆらゆらと光る光点がいくつも…それは、全て人間を嫌い敵対する炎の精霊たちだろう…。
魔神は大技で一気に仕留めたい…。
結婚式で見せた技…それに更に精霊の力をのせて…。
雑魚に構わず魔神に集中したい…。
「リーヴ!一気に魔神を倒したい。露払い頼めるか!?」
「おっけー!」
「ちょっとぉ!無視しないでよ!」
リーヴは明るく快諾すると、そのまま一気に急上昇する。
「ソラ!これ使ったら俺、たぶん魔力空っぽになるわ!フォロー頼むよ!?」
「シルフ!リーヴについていけ!」
シルフがふよふよとリーヴの肩に留まる。
僕の眼前には、魔神イフリータから湧き出る無数の炎の精霊と、憎々し気に僕を睨む謎の少女。
『ゆうしゃー』
『ゆうしゃー』
聖剣から火の精霊が2体飛び出してくる。カグナとフレイだ。カグナはトカゲのような形をしていて、フレイは小さいながら妙にセクシーな人間みたいな体つきをした女形をしている。といっても、精霊たちは体長は大きくてもサッカーボール程度、僕が呼び出した精霊たちは皆、強力であるが体長は野球ボール程度だ。
「どうした?」
『あの魔神なんかへん-』
『へん-』
『はなしがつうじないー』
『つうじないー』
僕は、火の精霊の話を聞きながら、リーヴの邪魔をしようとする謎のゴスロリに斬りかかる。
何かしらの風魔法を使ったのだろう。
強烈な風圧で身体がやや流されて、ゴスロリ少女の首に巻いてあったチョーカーのような黒いリボンを切り裂いただけだった。
「ちぃ!なんなのよ!あんた!ちょっと可愛いくらいで調子にのんないでよね!?」
「男なのか…」
黒いリボンが風に流されて外れてみると、ゴスロリ少女の首にしっかりと喉仏がその存在を主張した。
「はぁ?なんか悪い!?」
不機嫌そうにゴスロリ少女もとい、ゴスロリ男が詠唱すると、数えきれないくらい、フィアメギドが何本も連射され、雨のように僕に向かって降り注ぐ。
しかし、ウィルが僕に向かってきたものを防ぎ、アルテラがリーヴに向かっていったものを防いだ。
盾からもれたものは、僕が聖剣で斬り払う。
上空で月を背にして、リーヴが極大魔法を使うために、詠唱し続けている。
『ゆうしゃー。あの魔神なんか自然じゃないー』
『言ってることめちゃめちゃー。うそついてるけど、うそってじぶんがわかってないかんじー』
『人工てきなにおいー』
『僕たちと全然ちがうー』
「そんなやつに、なんで炎の精霊が付き従っているんだ?」
『ゆうしゃー。ごめーん』
『ごめーん。人間嫌いなやつけっこういるー』
『いるー』
『みんな、あの魔神の熱気にあてられておかしくなってるー』
『なってるー』
「悪いが、手加減はできない。お前たちの仲間を討つぞ」
『あいつらとはべつになかよくないー』
『よくないー』
『ちょっと悲しいけど、しょうがないー』
『しょうがないー』
絶え間なく飛んでくるゴスロリ男の魔法を斬り払いながら、時にウィルが光の盾で防ぎながら、魔神を見る。
あれだけ自分から精霊を分離させているのに、全然魔力が減っている感じがない。
魔神が黒狼族の部隊と接敵しようとしていて、助けに行きたいが…。
「むかつく!むかつく!むかつく!」
赤黒い光線は容赦なく、僕たちの命を刈り取ろうと向かってきた。
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