東京ネクロマンサー -ゾンビのふーこは愛を集めたい-

神夜帳

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第4章 主人公

第45話 ネクロ野郎 ①

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 ネクロ野郎と呼ばれる男のマンションの居室のリビング。
 広いリビングの右側にテーブルがあり、左の窓側にはローテブルとそれを囲んでソファが置いてある。
 その他、システムキッチンやキッチンのカウンター、壁には置時計、今ではゲームをするときにしか電源を入れない大きな液晶テレビはテーブルとソファの境界線付近の壁側に置いてある。

 ネクロ野郎と呼ばれる男は、いつものようにリビング全体を見渡せるテーブル側の食席について、皆の様子をうかがった。
 時刻は午前11時。早めの昼食をすませてソワソワしたところで、空気を察したのか、愛は男の右隣りに座り、ふーこは背後に、千鶴はテーブルを囲んで対面に、少し離れたソファで光輝が窓からの陽ざしを浴びながら携帯ゲーム機をいじっている。

 さて、どこから語ろうか、そう幾分か逡巡したところで、玄関の呼び出しベルが鳴る。

 誰だ?

 俺は、タイミングからして誰かがなんとなくわかってはいたが、応答用の画面に向かい操作をすると、坊主頭のいかつい男……平野の顔が画面いっぱいに映し出された。

「おい。ネクロ野郎ー。来てやったぞー」

 そして、加わるギャラリー。
 平野だけでなく、蛭田まで加わって、光輝の対面のソファに座っている。

「誰か来るかもしれないとは思ったが、まさか平野が来るとはな。傷は大丈夫なのか?」

 俺が問うと、平野はそれこそ鳩が豆鉄砲を食ったようきょとんとした顔をする。

「おいおいおい。ネクロ野郎が俺の心配してるぜ。どうなっていやがるぅ?」
「宮本にぐっさり刺されていたように思ったが」
「医者からはよぉ。まだ戦闘は禁止されているけどよぉ。俺としてはいつでも暴れる準備は万端ってとこだぁ」
「はは。本当にお前は人間をやめているな」

 俺の顔を見て、訝し気な視線をぶつけてくる平野。

「お前よぉ。本当にネクロ野郎か? いや、お前みたいなやつ、そうそう何人もいないわなぁ」
「何が言いたい?」

 平野は俺のすぐ横にいる愛と俺を交互に見るとにやりと笑う。

「はっはぁー。そうかそうか。お前もそういうことかぁああ! いやぁ、まいったね。お前に人間の彼女ができるなんて。いやぁー、やっぱり女が出来ると柔らかくなるもんだねぇ。いや、ほんとに参った。降参だ」

 平野はおちゃらけたことを言った後も、しばらく豪快に笑い、やがて、すっと真剣な表情になると低い声を響かせた。

「で、これはどういう集会だぁ? 俺は、天国の国民を回収しに来たんだけどよぉ。あっ、この借りはちゃんとつけておくぜぇ。なんだかんだで、お前への借りも増えてきちまったなぁ」
「なに、ちょっと自分語りをしようというだけだ」
「自分語り?」
「そう、俺の昔話」
「はぁ? なんで急に? お前が?」
「そう言うなよ。恥ずかしくなってくるだろ」
「はぁ?」

 ぽかーんとする平野に、横から千鶴がテーブルを叩いて大声を上げる。

「ちょっとぉ!! 邪魔しないでよね! うちの子がやっと人間に心を開き始めた大切な大切な第一歩なの!!」

 そして、大げさに流れてもいない涙をその細い女性らしい指でぬぐい取る仕草をする千鶴。

「お、おぉ……。そうか……。それは、茶化して悪かったな。うん」

 平野も妙に気圧されている。

 平野に笑って嫌味でも言いたくなったが、それはそれでまた話がそれる。
 俺は、皆の顔に視線を一巡させると、今まで重たくて重たくて吐き出せなかったそれを喉の奥から取り出し始める。

「そう、あれは幼い時……」

 俺の静かな語り口に、自然と皆静かになり、熱いまなざしを俺に突き刺す。

 そう、そうなんだ。
 あれは……。


 物心ついたとき、俺には常に笑顔で優しい父親がいて、俺を愛してやまない母がいた。
 母親は父親にそっくりな俺を溺愛していて、母に父のどこに惚れたのかと聞いたとき

「最初は顔、そして、優しそうなのに獣みたいに激しいところもあるの。そのギャップかしら」

 そう笑って答えていた。
 結局、俺は俺の顔にいくらかシワを足しただけのようなクローンみたいな父の母が言う激しい一面というのは最期まで見ることはできなかった。
 ただ、優しいだけではない。というより、優しさが表面的に感じるなと子供心に違和感はあった。
 だけど、恐らく、普通の家庭。とてもとても普通の家だった。そう思う。

 最初に違和感を感じたのは、幼稚園に入った頃、俺は好奇心から蟻をよくイジメていた。

 蟻の列を踏む。
 何匹も。
 何匹も。
 時には、手で拾い上げて首をもぎとって、暴れ狂う身体を動かなくなるまでじっと見ていた。
 それを、よく母は残酷だからやめなさいと咎めていて、父は男の子なら誰もが通る道だと諭していた。

 この時の俺にとっては、蟻を憎くて殺したいわけじゃない、ただただ「好奇心」というものが突き動かしてそうさせていた。たぶん、これに関しては男の子なら誰もがそうだと思う。

 ただ、俺にとっては人間も蟻も違いはなかった。

 どんなにアニメで友情や愛を語っているものを見ても、母から人には優しくしなさいと諭されても、幼稚園で道徳を教わっても、それは、頭では理解している。

 しかし、目の前にいる人間が「自分と同じ人間である」という感覚がどうしてももてなかった。
 子供のことだから、喧嘩になることもある。
 この砂場は俺のものだとか、だれだれのものだとか。
 くだらない理由であるが、殴り合いに平気でなる。

 殴られると痛いよりも恐怖が勝った。
 なぜなら、得体のしれない蟻が自分を攻撃するのだから。
 他人の顔を認識できない病気があるらしい。しかし、俺はそうではなかった。
 目の前にいる存在がどこどこの誰誰であることは明確にわかっている。顔のデザインの違いも明確に捉えられている。

 しかし、同じ人間とは思えない。蟻だ。蟻と変わらない。

 喧嘩で相手を殴る。
 自分と同じ皮膚の感触や生暖かさ、そして、鼻や口から血が出れば、その赤い血が自分にも流れているものと同じものであることは知性では理解している。

 だが、しかし、所詮は蟻だった。
 蟻にかける感情しかわかなかった。
 だから、鼻が曲がったとしても、頬が青あざと共にパンパンに腫れたとしても、何も感じなかった。

 だってそうだろう?
 脚が一本取れている蟻がいたとして、何か感慨深くなるというのか?
 自分で頭をもぎとって、地面になげつけてジタバタと手足をばたつかせてコマのように同じ場所をぐるぐる回る首のない身体を見つめていても……。

「ふーん。こうなるんだ」

 そうとしか思わないのに。蟻と同じ程度の感情しかわかない人間に対して、何をどう感じいろというのか?

 母は俺が何かをしてしまうたび、幼稚園から呼び出されてペコペコと頭を下げていた。

 ある日、ふとした時、両親が話し込んでいるのが聞こえた。
 俺は咄嗟に壁の陰に隠れて、それを盗み聞きする。
 内容は、母のどうしたらよいかわからないという嘆きの声だった。

「どうしよう。私、あの子のことがわからない。何をいっても返事はいいのに。ちっともわかってくれない。この間も、相手を怪我させてしまったの。殴っちゃダメでしょって言ったら、次は蹴っ飛ばしているのよ。そんなことある?」

 母の嘆きに父は優しい声色で応えていた。

「ははは。馬鹿だなぁ。心配しすぎだよ。男の子なんだ。そんなものだよ。そうやって何度も何度もぶつかりながら加減を覚えていくんだ。男の子なら通る道だよ」

 子供心になんとなくだけれど、父は自分の味方をしてくれているんではなく、そう答えるのが普通の家庭の普通の父親だからという理由な気がして仕方が無かった。

 父は俺を殴らないし、怒鳴ったりすることもなかった。
 ちょっと、おどけたように「こらっ!」ということはあってもだ。
 だけど、父と二人で買い物に出かけたとき、父もまた自分と同類なのだということがハッキリわかった。

 歩いている少し先に雀の死体があった。
 雀が死んでいるのを初めて見た。
 俺は、父がどうするのか。優しい父はやさしく拾い上げてどこか公園の隅にでも埋めてやるのか……。

 しかし、父は死体が足元にくると、それを蹴っ飛ばして道の端においやった。

「埋めてあげないの?」

 思わず咄嗟に声が出たのを覚えている。
 振り返った父は、悪びれた様子もオラついたことをしたという様子もなく、優しく穏やかな微笑みを見せる。

「死んだらゴミ」

 あの時の父の安心させられる柔らかな声色で奏でられたセリフが今でも忘れられない。

 あぁ、この人は俺と同類だ。
 この人は確かに自分の父親だ。
 父は、普通の家庭の普通の父親を演じること、それ自体のみに価値を感じているんだ……。

 こんな父と情熱的な母の間にどんなラブロマンスがあったのかは知らない。
 だけど、ある意味見本だと思った。
 自分と同類が世界とうまくやっていくにはどうしたらいいのか、その答えが歩いている。そう思った。

 何かが欠落している俺にとっても、幼い子供からした親のちょっとした表情や視線というものは恐怖でしかなかった。
 今思えば、それはそうだ。
 自分ひとりで生きていく力のない子供は、親から見捨てられたらすぐに死んでしまうのだから。

 母の憐れむような視線や、なにかを責めたいがどうしたらいいかわからないといった苦渋な表情を見る度、俺の背筋にはヒヤッとした冷たい何かが突き抜ける。

 俺は生きていくために、母の哀し気な表情を見たら、それを引き起こした行動をやめ、父の動きをよく見て学び、母が笑顔をみせたら、その行動を優先的にするようにした。

 気が付けば、俺は大人しい優等生になっていた。

 母の曇る表情を久しく見なくなり、父は相変わらず薄っぺらいことを微笑みながら言っている。
 小学校までそんな調子で、人に優しい大人しい子になった。

 中学生になり思春期を迎えるころ、ゾンビ映画というものに出会った。
 たまたまちょっと遅い夜にTVでやっていたゾンビ映画。

 なぜだかわからないけれど、俺はTVの中で蠢いていたゾンビたちに強烈に惹きつけられた。
 父と同じで顔が整っていた俺は、優しく真面目で大人しい子供を演じていたこともあって、女生徒にも人気だったといっても、思い込みではなかったはずだ。
 父に似たのか、簡単に筋肉はつき、運動はよくできた。

 どんなに女にもてても、ちっとも嬉しくない。
 なぜなら、俺にとって人間は変わらず蟻であったからだ。

 蟻のメス、といっても、外で見かける蟻はほとんど全部メスなわけだが……。
 つまり、道を歩いていて、自分の身体を這いあがってきた蟻が、自分のことを好きですとい告白してきたとしても、最初は驚きはするものの、慣れれば振り払って終わるだろう。
 少し気持ち悪さもあるかもしれない。

 そのうち、振り払うのも面倒になって、普通の顔の普通の女の子と思われる人間と見かけ上付き合ってみた。
 正直、他の女からの防波堤としてか見ていなかったが、それなりにデートもした。

「あんたは、ロボットみたいだね」

 何度目のデートだろうか。
 その子と手を繋いであるいていたら急にそんなことを言われたことがある。
 もう、その子の顔も声も思い出せない。

 なぜなら、蟻でしかないからだ。

 蟻の身体に欲情することはない。
 俺はトラウマで人間の女に勃たないわけじゃない。元からたたなかったんだ。

 そんな俺が、TVの中で床をはいずる女ゾンビに、生きた人間を襲おうと手を突き出して歩み寄る血まみれの女ゾンビに、激しくひきつけられて、気が付けば股間を固くしていた。

 なぜ、そんなに惹きつけられたのかはわからない。
 人間が蟻程度にしか見えない自分にとって、人間の形はしているが人間ではないその存在、しかも、生と死をあわせもつ矛盾したその存在が美しいと感じてしまったからなのかもしれない。
 でも、俺をネクロ野郎と呼ぶやつらは、俺をネクロフィリアだと思っているが、自分ではそう思わない。

 だって、本当の死体に欲情したことなんて一度だってないからだ。
 今、この世界で蠢いているゾンビ達は、正確には死体ではないし、ゾンビでもない。
 世界から人間が生き残るために、罪悪感をなくすために、人権を取り上げた人間。
 いや、人間は首を斬られたら死ぬな……。そうはいっても、死んでいるわけではない。生きている人間だ。

 それからはずっと、ゾンビ作品にはまりつづけた。
 母はそんな俺の様子にまた不安を抱いたようだが、丁度、海外のゾンビ作品の大作が放送開始され、それが凄い人気だったために、世界中がゾンビブームとなって、母の不安もやがて霧散したようだった。

 ゾンビのフィギュアも買いあさったし、ゾンビ系の同人誌も随分と買い込んだ。
 ほとんどの作品が、ゾンビなんて最初だけフィーチャーされて、やがて人間同士の醜い争いの背景でしかなくなった。ゾンビ好きとしては、いつもそれが残念だった。
 たまに、ゾンビが主人公のものもあったが、うーん。個人的にはちょっと違う感じだったな。


 ここまで話したところで、千鶴が口を開いた。

「ねぇ。ゾンビ以外で好きなものはなかったの?」
「あー、そうだなぁ。犬は前から好かれやすかったし、犬は好きだったかな。それに、なんだかんだで母は好きだった。一生懸命愛してくれていたのは伝わってきていた。だから、申し訳なかったと同時に俺にとっての恐怖の対象は母だった。愛を失うのが怖かったというわけではなくて、俺を育ててくれた恩を仇で返すのがなんだか申し訳なかった」

 ふーんと頷く千鶴を見ていたら、いつの間にか口に出ていた。

「千鶴は、良い女だな」

 ぽろっと出てしまった俺の一言に、周りがざわつく。

「えっ!? なに急に!?」

 千鶴が不意打ちされたとばかりに顔を真っ赤にして狼狽える。
 そこに、平野が冷たく言い放つ。

「良い女ぁ? めちゃくちゃ人を殺してるけどなぁ」
「はぁ? 仕方がなかったんですけど?」
「あぁん?」

 一触即発とばかりに千鶴と平野が冷たい視線をぶつけ合う。

 どうしたものかと思っていると、ちょいちょいと袖を引っ張られる感触。
 そちらに顔を向けると、瞳をうるうると輝かせてむくれる愛の姿。

 


「……ねぇ……。そのことは……どうなったの?……ねぇ?」
「どうにもなってないよ……。向こうも顔の良い男と付き合っているというステータスが欲しかっただけだろう。お互い割り切って、デートっぽいことして卒業と共に没交渉さ」
「……そう……」

 ふーこは俺の話を理解しているのかいないのか、しかし、何かを気取ったのだろうか。
 俺のすぐ背後に立っていたというのに、気が付けば愛のすぐ横にいって、じっと愛の顔を見つめている。
 少しばかり冷や汗がわいてくる思いがしたが、それを誤魔化すように俺は話をつづけた。
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