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覗き
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2021年 6月24日
いつもの天井。こんな毎日の天井さえ忘れることはない。
そして、昨日の夢のような話が現実であることも分かっていた。
憂鬱な1日のスタート。
「はぁ...。」
「おはようー。」
「おはよ、って、成木あんた、顔色悪いけど大丈夫?」
「うん、大丈夫。」
学校を休むわけにはいかない。
推薦を取るには内申点に響くことは出来るだけ避けなければならない。
「ごめんね、お父さんいなくなってから、成木に負担かけちゃって...。」
負担がかけているのは俺の方だ。
ほぼ毎日10時間以上働き続けている上に、俺のご飯作ったり、洗濯をしたり、休む間もない。
その上に名門高校に入ったことで、奨学金で多少のサポートはあるものの、その額は貧乏な我が家で払うのは楽ではなかった。
「大丈夫だよ!有名大学に入って、大企業に就職するから!そしたらかーさんも働かなくて済むし!それにやっぱり俺も社会勉強のためにバイトしよっかなって考えてるしさ。」
「かーさんは大丈夫だから成木は成木のしたいようにしなさい。」
「でも...。」
「ほら、朝ごはんできたわよー。」
そう言ってはぐらかされた。
かーさんに無理させて俺は彼女を作って遊ぶなんてやっぱり俺には...。
そう思いながら「いってきます。」と言った。
学校までは自転車通学でおよそ20分ほど。
いつものように登校しようとしたが、自転車を置いてきたことに気づく。
元々早めについて勉強をしていたので、
まぁ、歩きになったところでさほど問題はない。
いつもの景色を眺めながら、いつものように登校した。
そしていつものように、教室に着くと何やらざわざわしている。
嫌な予感と共にドアを開けると、窓側1番後ろの俺の席に座っているのは霧岡さんだった。
俺は自分の席のそばに行き彼女に話しかける。
「なに...してるの...?」
「おはようございます。」
「いや、おはようございますじゃなくて...。」
「次の土曜日、デートをしましょう。」
「な!?」
「それでは。」
そういうと、そのまま窓側の一番前の自分の席に戻る彼女。
教室の中が更に盛り上がりを見せる。
「なぁ!やっぱり、霧岡さんと付き合ってるの!?」
「いつから!?何きっかけ!?」
男女入り乱れて俺に群がってくる。
転校初日のような感覚である。転校したことないからただのイメージだけど。
「あー、いやー...実は...。」
そう真実を言おうか言い淀んでいると彼女が凄い目でこちらを睨みつけてくる。
契約を守れという意味だろう。
その圧から本当のことが言えず、
「つ、付き合っているよ...。」と言ってしまった。
「いつからー!?」
「き、昨日から。」
「「ええええええ!」」
どよめきと歓声が教室内に響き渡る。
すると、朝のチャイムが鳴る。
「おーまーえーらー、席に座れー。」と、言いながら担任の教師が入ってきた。
全く...朝の迷いはどこへやら。
やっぱりちゃんと断るべきなのだろうか。
自分のことがバラされたとしても...。
やったよ!田中!誘えたよ!しかも脅したりしてないし!
ふっふっふ、、、私も成長するということだ!
見たか!田中!見てないか!
土曜日楽しみだなー!...あ、待ち合わせ場所とか時間とか何も伝えてなかった。。と、思う霧岡京であった。
そんな様子を廊下側の後ろのドアから教室を覗く女子二人。
「ねぇねぇ、霧岡さんの彼氏ってどの人ー?」
「あそこに座ってる地味な男の子がそうなんだって~。」
「へぇ...そうなんだ...。」
「未散《みちる》ー、もうチャイムなってるから戻るよー。」
「はーい!」
(ふーん。霧岡 京の意外な弱点、みっーけ)
いつもの天井。こんな毎日の天井さえ忘れることはない。
そして、昨日の夢のような話が現実であることも分かっていた。
憂鬱な1日のスタート。
「はぁ...。」
「おはようー。」
「おはよ、って、成木あんた、顔色悪いけど大丈夫?」
「うん、大丈夫。」
学校を休むわけにはいかない。
推薦を取るには内申点に響くことは出来るだけ避けなければならない。
「ごめんね、お父さんいなくなってから、成木に負担かけちゃって...。」
負担がかけているのは俺の方だ。
ほぼ毎日10時間以上働き続けている上に、俺のご飯作ったり、洗濯をしたり、休む間もない。
その上に名門高校に入ったことで、奨学金で多少のサポートはあるものの、その額は貧乏な我が家で払うのは楽ではなかった。
「大丈夫だよ!有名大学に入って、大企業に就職するから!そしたらかーさんも働かなくて済むし!それにやっぱり俺も社会勉強のためにバイトしよっかなって考えてるしさ。」
「かーさんは大丈夫だから成木は成木のしたいようにしなさい。」
「でも...。」
「ほら、朝ごはんできたわよー。」
そう言ってはぐらかされた。
かーさんに無理させて俺は彼女を作って遊ぶなんてやっぱり俺には...。
そう思いながら「いってきます。」と言った。
学校までは自転車通学でおよそ20分ほど。
いつものように登校しようとしたが、自転車を置いてきたことに気づく。
元々早めについて勉強をしていたので、
まぁ、歩きになったところでさほど問題はない。
いつもの景色を眺めながら、いつものように登校した。
そしていつものように、教室に着くと何やらざわざわしている。
嫌な予感と共にドアを開けると、窓側1番後ろの俺の席に座っているのは霧岡さんだった。
俺は自分の席のそばに行き彼女に話しかける。
「なに...してるの...?」
「おはようございます。」
「いや、おはようございますじゃなくて...。」
「次の土曜日、デートをしましょう。」
「な!?」
「それでは。」
そういうと、そのまま窓側の一番前の自分の席に戻る彼女。
教室の中が更に盛り上がりを見せる。
「なぁ!やっぱり、霧岡さんと付き合ってるの!?」
「いつから!?何きっかけ!?」
男女入り乱れて俺に群がってくる。
転校初日のような感覚である。転校したことないからただのイメージだけど。
「あー、いやー...実は...。」
そう真実を言おうか言い淀んでいると彼女が凄い目でこちらを睨みつけてくる。
契約を守れという意味だろう。
その圧から本当のことが言えず、
「つ、付き合っているよ...。」と言ってしまった。
「いつからー!?」
「き、昨日から。」
「「ええええええ!」」
どよめきと歓声が教室内に響き渡る。
すると、朝のチャイムが鳴る。
「おーまーえーらー、席に座れー。」と、言いながら担任の教師が入ってきた。
全く...朝の迷いはどこへやら。
やっぱりちゃんと断るべきなのだろうか。
自分のことがバラされたとしても...。
やったよ!田中!誘えたよ!しかも脅したりしてないし!
ふっふっふ、、、私も成長するということだ!
見たか!田中!見てないか!
土曜日楽しみだなー!...あ、待ち合わせ場所とか時間とか何も伝えてなかった。。と、思う霧岡京であった。
そんな様子を廊下側の後ろのドアから教室を覗く女子二人。
「ねぇねぇ、霧岡さんの彼氏ってどの人ー?」
「あそこに座ってる地味な男の子がそうなんだって~。」
「へぇ...そうなんだ...。」
「未散《みちる》ー、もうチャイムなってるから戻るよー。」
「はーい!」
(ふーん。霧岡 京の意外な弱点、みっーけ)
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