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第5話 倉科麗華はイカ臭い
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「お邪魔します」
姉ちゃんに袖を引っ張られ、耳元で囁かられる。
(誰!?このギャルっ子は!?)
(うちの学校の...ギャル)
(何二股なの!?)
(だから、二人ともそういうのじゃないって...)
(ふーん?ふーん?)
「あの」
「あ、あぁ...。どうしたのかな!さ、佐藤さん!!!」
「声大きいね。勉強、教えてあげようと思って」
「え?勉強?ていうか」と、何か姉ちゃんが余計なことを言いそうになったので、リビングに押し込む。
「あ、ありがとね!でも今日はもう疲れたからいいかなーって...。ほら、もうこんな時間だし!また今度お願いしようかな!」
「そう。確かに。突然来て迷惑だよね」
そんな悲しげな表情に胸が痛くなる。
「いや...迷惑とかは、お、思ってないよ!」
「本当?じゃあ...家に入れてくれる?」
「う、うん!ど、どうぞ!」
おいおいおいおい!
何やってんだよ!俺!馬鹿なのか!?
どうすんだよどうすんだよ...。
「さ、佐藤さん...、よ、よく僕の家わかったね」
「この前にこの家に入っていく美作くんを見たから。表札も美作だったし」
「へ、へぇー!そ、そうなんだ!」
頼む、頼む、頼む!
さっきの大声で全てを察してくれ!!
倉科...。上手いこと...やっててくれ!
扉を開けるとそこに倉科は居なかった。
よ、よし!
上手いこと隠れたな!!
「ど、どうぞー」と、案内するまでもなく、すでに俺の部屋に入っていた。
「ねぇ、美作くん。これ...何?」
そう言って一冊の本を見せてくる。
『僕にだけ淫乱な生徒会長』
だあー!!!!
まさか、あいつベットの下に隠れやがったな!!
そして、隠れるのに邪魔だった俺のコレクション(エロ本)をそこら辺に散らかしやがったのか!!
「あ、そ、それは!!その...と、友達のだよ?」
「お友達...。ふーん。じゃあこれは?」
『放課後のメガネちゃん』
『真面目な彼女の本性』
『純粋無垢な彼女を犯したい』
「...メガネが好きなの?//」と、目を逸らしつつ顔を赤くする佐藤さん。
なんだよ...、すげー可愛いじゃねーか...。
「あ、いや、その...す、好きです...」
何正直に答えてんだよ!!!
「そ、そう...//」と、初めて見る彼女のそんな表情に困惑しながらも、一旦座る。
それから一旦エロ本を避けて、勉強を始める。
てか、そうだ。今日は勉強を教えてもらうっていう体だもんな...。
俺はどれぐらいの馬鹿を演じればいいんだろう。
「どの教科が一番苦手?」
「え?あぁ...こ、国語かなぁ...」
「国語...。苦手なんだ」
「う、うん。作者の気持ちを読み取るのとか...あんまり得意じゃないないんだよねー」
――10分後
てか、倉科は大丈夫なのか?
そう思っていると、携帯が鳴る。
19:15『早く帰らせろ』
分かってるんだよ!分かってるだけど...。
19:17『あと少しだけ耐えて』
「ねぇ、携帯いじらないで」
「は、はい!すみません...」
ギャルってこともあるんだろうが、なんだかこの人には逆らえない...。
「国語は昔から苦手?」
「いや...どうだろう。中学上がってからかな...。苦手になったのは」
「そう。そうなんだ。あっ、ここは答え①ね。こういう文章問題は主観的に心情を読むんじゃなくて、要素を組み合わせて客観的に読むことが大事なの」
「...なるほど」
なんか人に教えるの慣れてるな。
教え方上手いし、教師とかに向いてそうだなんて考えていた。
「どうしたの?」
「あぁ、いや...教えるの上手いなーって!」
「そう?まぁ、人に教えるのは割と得意かも」
近くで見ると...すごいな。
ピアスもすげー空いてるし...。
「そ、そうなんだ...。ちなみに佐藤さん...はなんでその...そういう格好してるの?」
「こういう格好が好きだから。昔はすごい地味でね。その地味な容姿をいじられたりすることもあったの。だから、どうせいじられるなら好きな格好をしていじられようって思っただけ。そしたら誰も話しかけてこなくなった」
「...なるほど」
顔も普通に可愛いし、ギャルっぽいし、やっぱり元彼の人数とかすごいのかな?
って俺は何を考えてるんだ!勉強!勉強!
――時間経過
あっ、やべー!気づいたらすでに19:45じゃねーか!
「あっ、今日はそろそろ...」
「ねぇ、私と倉科さん、どっちのほうがわかりやすい?」
「え?あぁ...えっと...く、倉科さん...かな」
「そう。そうなんだ。ずるいな何でもできて。...勉強なら勝てると思ったんだけどな」
「いや、別に、佐藤さんの教え方もすごいわかりやすいからね!あっ、てかもうこんな時間だ!もう帰らないと!親も心配するだろうし!」
「...そうだね...うん」
そのまま玄関に行く。
「送るよ!」
「ううん。いい。家近いから」
「そ、そう?本当に大丈夫?」
「うん。本当に大丈夫。じゃ、また明日」
「うん!また明日ね!」
そうしてようやく佐藤が帰って行った。
急いで階段を駆け上がる。
部屋の扉を開けると、ベットの上に腰をかけて、超怒りモードの倉科さんがそこにいた。
「最悪なんですけど」
「...すみませんでした」
「ベットの下に隠れようとしたら、なんかイカ臭いエロ本出てくるし、そこに30分も閉じ込められるし、暑いし、もう最悪なんですけど」
「い、イカくさい!?まじ!?」
「本当...本当、最悪」と、自分の衣服の匂いを嗅いでいる。
「てか、何?美作ってメガネフェチなの?」
「...だったらなんだよ...」
「普通にキモイ」
「ほっとけ」
「もしかして初恋の女の子がメガネだったとか?」
「...ちげーよ」
「ふーん。人並みに恋とかしてたんだ」
「ちげーって言ってんだろ」
「相手はどんな子?」
こいつ人の話聞いてねー!
「どんなって...。はぁ...真面目で頭のいい女の子」
「ふーん。美作はそういう子好きそうだもんねー」
「もういいだろ。てか、帰らなくていいのかよ」
「あ、そうだった。てか、佐藤さん送らなくて良かったの?」
「家近いんだって」
「ふーん。私のことは送ってくれるの?」
「まぁ...そうだな。ちょっと距離もあるし、送っていくよ」
「そう?紳士的で素晴らしいね。好きになっちゃうかも」
「うっせ」
––––
《倉科家》
なんか勢いで持ち帰ってしまった...。
それは美作の小学校の卒アルだった。
エロ本を退けている時に、一番奥にあったのがこれだった。
なんとなく開く。
「...え?これって...」
姉ちゃんに袖を引っ張られ、耳元で囁かられる。
(誰!?このギャルっ子は!?)
(うちの学校の...ギャル)
(何二股なの!?)
(だから、二人ともそういうのじゃないって...)
(ふーん?ふーん?)
「あの」
「あ、あぁ...。どうしたのかな!さ、佐藤さん!!!」
「声大きいね。勉強、教えてあげようと思って」
「え?勉強?ていうか」と、何か姉ちゃんが余計なことを言いそうになったので、リビングに押し込む。
「あ、ありがとね!でも今日はもう疲れたからいいかなーって...。ほら、もうこんな時間だし!また今度お願いしようかな!」
「そう。確かに。突然来て迷惑だよね」
そんな悲しげな表情に胸が痛くなる。
「いや...迷惑とかは、お、思ってないよ!」
「本当?じゃあ...家に入れてくれる?」
「う、うん!ど、どうぞ!」
おいおいおいおい!
何やってんだよ!俺!馬鹿なのか!?
どうすんだよどうすんだよ...。
「さ、佐藤さん...、よ、よく僕の家わかったね」
「この前にこの家に入っていく美作くんを見たから。表札も美作だったし」
「へ、へぇー!そ、そうなんだ!」
頼む、頼む、頼む!
さっきの大声で全てを察してくれ!!
倉科...。上手いこと...やっててくれ!
扉を開けるとそこに倉科は居なかった。
よ、よし!
上手いこと隠れたな!!
「ど、どうぞー」と、案内するまでもなく、すでに俺の部屋に入っていた。
「ねぇ、美作くん。これ...何?」
そう言って一冊の本を見せてくる。
『僕にだけ淫乱な生徒会長』
だあー!!!!
まさか、あいつベットの下に隠れやがったな!!
そして、隠れるのに邪魔だった俺のコレクション(エロ本)をそこら辺に散らかしやがったのか!!
「あ、そ、それは!!その...と、友達のだよ?」
「お友達...。ふーん。じゃあこれは?」
『放課後のメガネちゃん』
『真面目な彼女の本性』
『純粋無垢な彼女を犯したい』
「...メガネが好きなの?//」と、目を逸らしつつ顔を赤くする佐藤さん。
なんだよ...、すげー可愛いじゃねーか...。
「あ、いや、その...す、好きです...」
何正直に答えてんだよ!!!
「そ、そう...//」と、初めて見る彼女のそんな表情に困惑しながらも、一旦座る。
それから一旦エロ本を避けて、勉強を始める。
てか、そうだ。今日は勉強を教えてもらうっていう体だもんな...。
俺はどれぐらいの馬鹿を演じればいいんだろう。
「どの教科が一番苦手?」
「え?あぁ...こ、国語かなぁ...」
「国語...。苦手なんだ」
「う、うん。作者の気持ちを読み取るのとか...あんまり得意じゃないないんだよねー」
――10分後
てか、倉科は大丈夫なのか?
そう思っていると、携帯が鳴る。
19:15『早く帰らせろ』
分かってるんだよ!分かってるだけど...。
19:17『あと少しだけ耐えて』
「ねぇ、携帯いじらないで」
「は、はい!すみません...」
ギャルってこともあるんだろうが、なんだかこの人には逆らえない...。
「国語は昔から苦手?」
「いや...どうだろう。中学上がってからかな...。苦手になったのは」
「そう。そうなんだ。あっ、ここは答え①ね。こういう文章問題は主観的に心情を読むんじゃなくて、要素を組み合わせて客観的に読むことが大事なの」
「...なるほど」
なんか人に教えるの慣れてるな。
教え方上手いし、教師とかに向いてそうだなんて考えていた。
「どうしたの?」
「あぁ、いや...教えるの上手いなーって!」
「そう?まぁ、人に教えるのは割と得意かも」
近くで見ると...すごいな。
ピアスもすげー空いてるし...。
「そ、そうなんだ...。ちなみに佐藤さん...はなんでその...そういう格好してるの?」
「こういう格好が好きだから。昔はすごい地味でね。その地味な容姿をいじられたりすることもあったの。だから、どうせいじられるなら好きな格好をしていじられようって思っただけ。そしたら誰も話しかけてこなくなった」
「...なるほど」
顔も普通に可愛いし、ギャルっぽいし、やっぱり元彼の人数とかすごいのかな?
って俺は何を考えてるんだ!勉強!勉強!
――時間経過
あっ、やべー!気づいたらすでに19:45じゃねーか!
「あっ、今日はそろそろ...」
「ねぇ、私と倉科さん、どっちのほうがわかりやすい?」
「え?あぁ...えっと...く、倉科さん...かな」
「そう。そうなんだ。ずるいな何でもできて。...勉強なら勝てると思ったんだけどな」
「いや、別に、佐藤さんの教え方もすごいわかりやすいからね!あっ、てかもうこんな時間だ!もう帰らないと!親も心配するだろうし!」
「...そうだね...うん」
そのまま玄関に行く。
「送るよ!」
「ううん。いい。家近いから」
「そ、そう?本当に大丈夫?」
「うん。本当に大丈夫。じゃ、また明日」
「うん!また明日ね!」
そうしてようやく佐藤が帰って行った。
急いで階段を駆け上がる。
部屋の扉を開けると、ベットの上に腰をかけて、超怒りモードの倉科さんがそこにいた。
「最悪なんですけど」
「...すみませんでした」
「ベットの下に隠れようとしたら、なんかイカ臭いエロ本出てくるし、そこに30分も閉じ込められるし、暑いし、もう最悪なんですけど」
「い、イカくさい!?まじ!?」
「本当...本当、最悪」と、自分の衣服の匂いを嗅いでいる。
「てか、何?美作ってメガネフェチなの?」
「...だったらなんだよ...」
「普通にキモイ」
「ほっとけ」
「もしかして初恋の女の子がメガネだったとか?」
「...ちげーよ」
「ふーん。人並みに恋とかしてたんだ」
「ちげーって言ってんだろ」
「相手はどんな子?」
こいつ人の話聞いてねー!
「どんなって...。はぁ...真面目で頭のいい女の子」
「ふーん。美作はそういう子好きそうだもんねー」
「もういいだろ。てか、帰らなくていいのかよ」
「あ、そうだった。てか、佐藤さん送らなくて良かったの?」
「家近いんだって」
「ふーん。私のことは送ってくれるの?」
「まぁ...そうだな。ちょっと距離もあるし、送っていくよ」
「そう?紳士的で素晴らしいね。好きになっちゃうかも」
「うっせ」
––––
《倉科家》
なんか勢いで持ち帰ってしまった...。
それは美作の小学校の卒アルだった。
エロ本を退けている時に、一番奥にあったのがこれだった。
なんとなく開く。
「...え?これって...」
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