世界を救った大魔法使いの宰相閣下に見初められ、速攻で食われてしまいました!

Arara

文字の大きさ
3 / 5

ハーレム

「ここがあなたの部屋です。必要な時は呼びますから、それ以外は自由にしていただいて結構です。邸でのことは、このサンダに聞いてください」

「え? でも、隣室でなければ、閣下を護衛することが出来ません」

 馬車の中、今後も無理強いすると宣言されていたので、てっきり閣下の部屋に連れ込まれると思っていたのだが、俺専用の部屋が用意されていた。
 しかし、それでは護衛の役目が果たせない。
 だから、当然の問いを返したのであるが。

「あなたのそういう生真面目なところを好ましく思います。しかし、この邸の中で護衛は必要ありません。侵入を阻む結界が張り巡らせてありますので。今夜は、私のことは気にせず、安心してゆっくり休んでください。明日の朝、迎えに来ます。朝食時に皆を紹介しましょう」

 閣下は、護衛は必要ないという意味不明な返答をする。
 ならば、なんで閣下は俺を連れて来たのか。
 さっぱり、訳が分からない。

「サンダ、ゼルクは朝以降食事をとっておりませんので、軽食を用意してあげてください。私はつまみ食いしましたので、結構です」

 閣下には調子が狂う。
 初対面の人間にいきなり襲いかかるような傍若無人な御方かと思えば、こんなふうに細やかな優しい気遣いを見せる。
 夜まで寝こけてた俺をずっと待ってくれてたり・・・ほんと、まいっちゃうよな。





「「ミハイル様、おはようございます」」 
「父上、おはようございます」
「親父の新しい情夫か?」
 
 閣下は朝、約束通り直々に部屋まで迎えに来てくれた。
 そして、食堂に着くまでの間に、オーネイル家が代々王家に仕える魔法使いの家系であることや、弟子達を養子に迎えて家族として暮らしていることなどを話してくれた。

 だから、この男達が閣下の言う養子に違いないと思うのだが・・・
 なぜか、皆、閣下の頬ではなく唇にキスをしていく。

 まさか・・・

 
「ゼルクと言います。しばらくの間、彼に護衛をしていただきます。邸に寝泊まりしますので、仲良くしてあげてください」

 テーブルに全員がつくと、閣下は俺を彼らに紹介し、俺に彼らを紹介する。

「ゼルク、長男のサンダとは昨夜会っていますね。邸の管理は彼に一任しております。分からないことがあったらサンダに聞いてください」

「あ、はい。よろしくお願いします」

 俺は、サンダにぺこりと頭を下げて挨拶した。
 長男だったとは! まじか! 
 サンダは閣下と同年代くらいの無口な男で、昨夜も俺の世話をしてくれたし、今だって食卓の準備をしてくれてるから、てっきり使用人だと思ってた。

「三男のザゲルは魔法学校で教鞭をとっており、私が忙しいので兄弟への魔法指導も担当しています。その隣が十一男ジェレミー、特異体質で見た目は六、七歳の子供に見えますが、実年齢は十三歳です」
 
 小さな子供が人懐っこく笑って手を振るので、子供には手を振り返し、三十代の理知的な瞳を持ったザゲルには、会釈を返す。

「四男タブリスはフリーの魔法使いで、五男のシャムと六男のジョフィは、市井の診療所でヒーラーをしています。養子は他に五人おりますが、今は私の命を受けて出払っているので、ここにはおりません。会う機会がありましたら、紹介しましょう。ゼルク、何か質問はありますか?」

 それぞれに会釈して挨拶をしたのだが、その折りに屈強な体つきの四男のタブリスが、舌なめずりをしたように見えて、悪寒が走る。

「あ、・・・いえ、大丈夫です」

「では、食事にしましょう」

 食事中もタブリスの鋭い視線が突き刺さり、かなり居心地が悪いのだけど、狙われていると思うのはさすがに自意識過剰だよな?
 なぜなら、俺の仮説では、子供のジェレミーは除くとして、彼らは全て閣下の愛人なわけで・・・
 
「ああ、そうだ、言い忘れましたが、彼らは全て私の情夫です」

 ほら、やっぱり! 
 思った通りだった。

「しかし、私は束縛しない主義なので・・・つまり、彼らが誰と関係を持とうが関知しません。ちなみに、シャムとジョフィは恋人同士ですし、ザゲルには外に女性の恋人がいます」

 えええええええーーーーーー!!!! 
 ナニソレ、ナニソレ、ナニソレ、ナニソレ!!!!
 シャムとジョフィは、俺に見せ付けるように熱いキスを交わす。
 そうゆうもん? そうゆうもんなの?! 男のハーレムって!
 驚き過ぎて、開いた口が塞がらない。

「ププッ、男のハーレムだって」

「え?」

「ねぇ、父上、ゼルクも養子にするの? 僕には、全然、能力があるように見えないけど、」

 さっきのは、何だ?
 タイミングが、あまりに・・・
 声に出したつもりはなかったけれど、うっかり声にしてしまっていたのだろうか。

「ジェレミー」

「はーい」
 
 閣下が窘めるように名前を呼ぶと、ジェレミーは不服そうに黙った。


「ゼルク、俺にも食わせてくれよ」

 気を付けないといけないなと、一人考えに没頭していると、タブリスに名前を呼ばれた。

「へ?!」

「親父がここに連れて来たということは、そういう事なんだろう? どんなもんなのか、お前に興味があるんだ」

「俺も興味あるなぁ~。なぁ、俺達と3Pしようぜ。二人でお前を白目剥くまで弄くりまわしてやるからさ。それともタブリスを加えて、4Pでする? 三人相手じゃ、さすがに体が持たねぇか、ハハ」

 白目剥く・・・

「ちゃんと気持ちよくしてやるからさ、いいだろ?」

 俺は首をブンブン振って、全力で断る。

「ケチケチ出し惜しみすんなよ、いいじゃんかちょっとくらい」

「よくありません!! 全然、よくありません!!」

 ここは悪の巣窟だ。
 左遷上等! 昇進なんてくそ食らえだ! 
 華やかな王都に憧れていたけど、僻地の方が安全でずっといい! 
 俺は、土木工事が大好きだ!
 やっぱり閣下には、護衛の任を解いてもらおう。
 
「二人ともゼルクをからかうのは止めてください。ゼルクが怯えてしまうではありませんか」

「俺は本気だけど?」

「俺も~」

「許しませんよ。ゼルクは昨日までおぼこだったのです。十分慣れていないのに、あなた方に乱暴にかき回されたりしたら、繊細なゼルクは壊れてしまいます」

 俺は、卒倒しそうになった。
 
「誰もゼルクに手を出してはなりません」

「ちぇっ、つまんねーの」
「えー、ざんねーん」


 
「ゼルク、安心していいですよ」

 閣下がとても頼もしく思えた。

「はいっ! 閣下、ありがとうございます!」

「あなたは、私が時間をかけて、ゆっくり、じっくり、優しく、開いてあげますからね」


 ソウデシタネ・・・




感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

ヴァレンツィア家だけ、形勢が逆転している

狼蝶
BL
美醜逆転世界で”悪食伯爵”と呼ばれる男の話。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。