竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

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魔法学校編

はじめての喧嘩2

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 聡いローリーのことゆえ、全てを理解したのであろう。
 ローリーは週末離宮に戻ると、予想した通り、話があると我に会いに来た。
 学校に行ったことは正直に謝るしかないが、我も言わねばならんことがある。


「学校に来て監視しなければならないほど、そんなにわたしが信用出来ないの?」

 監視? 開口一番、ローリーはおかしな事を言った。

「我は監視などしておらぬ。ただ、ローリーに会えぬのが辛くて、姿を見に行っただけだ」

「あら、そう。あくまでもシラを切るつもりなのね。なら、黒い呪いについては、どう言い訳するつもりなのかしら」

 ローリーの言う黒い呪いとは、ローリーに若い雄が近寄らないようにと、ディーンが言いふらした出まかせである。
 下心を持ってローリーの半径1メートル以内に近寄ると、黒い呪いが発動し、不吉な事が起きるというものだ。
 そこに、我の報復で、つむじ風に飛ばされたり階段から落ちた者が出始め、出まかせが真実味を帯びる結果となった。

「我の番いに近付く者を排除するのは、我の当然の権利だ」

「誰もかれもが、わたしとどうこうなろうとして近付くわけではないのよ?! アルのやきもちのおかげで、学校でわたしとペアを組んでくれる殊勝な人は、ティム以外、誰一人として居なくなってしまったわ。でもまあ、それはいい。ティムの事よ! 大事には至らなかったけど、アルのせいで大怪我をしたのよ! あんな小さな子供に、なんて事するのよ!」

「あれは、奴がローリーを狙って魔法を放ったからだ」

「魔法を暴走させてしまったのよ! 故意にしたわけじゃないわ。アルがわたしを庇ってくれたから、わたしは無事だったって分かってるし、感謝もしてる。だけど、」

「それは違う! 意図は分からぬが、あれはローリーを狙って攻撃したのだ。だから、ローリー、もう学校へ行くのはやめよ。奴は得体が知れぬ。危険だ」

「馬鹿な事言わないで。アルの被害妄想よ!」

「本当の事だ! 我はただローリーの身が心配なのだ。ロー」
「分かった! ティムについては、気を付けるわ。約束する。だから、アルもわたしを信用して学校には来ないって、約束して?」
 

 ・・・・・・


「わたしを信じてよ!」

「駄目だ! 危険なのだ」

「アルはいつもそう、危険、危険、危険、危険! あれもダメこれもダメ。分かってる? アルが側にいなければ、わたしには何もかもが危険でダメなの! でも、わたしは魔法使いよ! ただの、何も出来ない貴族令嬢じゃないわ! アルは、わたしを全然信用してない! それは魔法使いとは認めてないって言ってるのと同じよ!」

 ローリーのこれまでずっと心の奥に押し込められていたものが溢れ出し、我に向けて一気に吐き捨てられた。

「以前のアルは、いつもわたしの魔法を褒めてくれて、子供だったのに認めてくれてた! 学校には行くから! アルはわたしにとって恩人なだけで、まだ夫でも婚約者でもないんだから、わたしに命令する事は出来ないわ!」

 ローリーの激昂は凄まじく、我を圧倒する。
 このように癇癪を起こしたローリーを我は見た事が無い。
 ローリーはいつも、いつだって、大人びていて、我の面倒を見てくれていた。

「学校に行くのはやめて欲しい。命令ではない。我からのお願いだ」

 ローリーは顔を泣きそうに歪めた。

「アルなんて、大っ嫌い!」

 我は部屋から走り去るローリーを追いかける事が出来なかった。
 追いかけたとして何と言えば良いのか。
 ローリーが望む言葉を、我はかけてやることが出来ぬのだ。



 ローリーはそのまま離宮を出て、寄宿舎へ戻ってしまった。
 我はただ途方に暮れるだけで、何も出来ない。

 ローリーに会いたい。
 だが、会いに学校に行けば、ローリーは信用されていないと傷つくのだ。
 ローリーを傷つけるのは、本意ではない。
 我の想いがローリーを傷つける。
 その事実が我を打ちのめした。



 それから、どのように毎日を過ごしていたのか、我にはよく分からぬが時間だけは経っているようだ。
 想うのは、ローリーの事ばかり。
 だが、この想いがローリーを傷つけるならば、我は我慢する。
 
 ディーンにあの子供にはくれぐれも注意するようにと言い渡した。
 我の代わりにローリーを守ってもらわねばならん。
 番いをほかの雄に托す事が、どれほど屈辱的でふがいなくとも。


 週末、ローリーが帰って来た。
 無事な姿を見て安心する。
 声をかけたかったが、ローリーは我を避けて、フェリシアのところへ行ってしまった。
 ディーンより、あの子供については特に変わった様子は無いとの報告を受ける。

 夕食時、食堂でローリーに会ったが、ローリーはよそよそしく、我は悲しかった。
 フェリシア達と楽しげに話しながら食事をするローリーが、とても遠くに感じる。
 学校に戻る前には魔力の口移しが常であったのに、ローリーは何も告げず寄宿舎に戻って行った。




 
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