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それから俺は正直に、昨夜のことを全く覚えていないことや勝手に裸を覗いたことを謝って、オネエであっても友情は変わらない事や光の為なら力になるから何でも言ってくれと親友として誠心誠意の言葉で自分の気持ちを伝えた。
それに対して光は淡々と、俺にとっては驚愕の事実を話始めた。
「まず、覚えていないのならば仕方がない、もう一度説明しよう。そして、裸を覗いた事も、今までの友情に免じて許す。それから、お前が俺のことを大切に思ってくれていることも、今の言葉で分かった。とても嬉しいし、ありがたいと思う」
「しかし、お前は大きな勘違いをしている。覚えていないのだから仕方がないのかもしれないが?」
俺を恨めしげに睨み、はあーと溜息をつき、ゆっくりとそしてハッキリと言った。
「俺は性転換手術をしたのではない。元から女なのだ」
俺は混乱して、確かに馬鹿な事を言ったと思う。
「え? いつから? 中学生の時はもう女だったのか?」
頭がこんがらがって、なんて言っていいか分からない。
そんな俺にもう一度始めから説明してくれた。
光の家は旧家で、母親が後妻に入った時に男子を産むことを強く望まれたらしい。
やっと授かった子供が女の子だったことで、父親の愛情を失いたくなかった母親は里帰り出産したことをよいことに、男の子で出生届を出してしまった。
その後、罪悪感に駆られてか、保身の為か、それはもう頑張って弟を産み落としたらしい。
だから、跡取り問題も片付いた事だし、なんとか出生届を正したいと思ったみたいだけれど、上手くいかなかった。
それからは、ただバレぬように立ち回り、父親や弟にも学校にも知られぬよう隠しきった。
光自身はもう男で生きていくしかないと覚悟を決め、就職も人とあまり関わる事のない研究職についた。
そこにきて降って湧いたような結婚話である。
断れるものならば、このように出奔しないでも済んだのだがと、苦渋の面持ちで言った。
だが、こうなったことで開放感にも満たされているのだと自嘲するように言う。
家から離れて、もう、偽らずとも良いのだと心は軽く、思うままに生きていけるという可能性に希望を抱いてしまう。
己の心が定まらず、どうしたら良いのか分からない。
それで、お前に相談をしたのだが、忘れてしまったのだな。
悲しそうに言って、それからは黙ってしまった。
何て言うかは結局決められなかったけど、とにかくどうしたいか心が定まるまでここにいろと説得をしよう。
鍵を差し込みガチャリと回す。「ただいまー?」 恐る恐る中に入る。
「お帰り」見知らぬ女が、いや、光に決まっているけど、光とは思えない女、本物の女が出て来た。
「おかしいか?」女が不安そうに聞く。
「いや、驚いただけ。本物の女に見える」
「うん。俺も意外だった。でも、案外悪くないだろ?」
光はそう言って笑った。
そして、話がしたいからとリビングに連れて行かれて、ソファに座らされた。
「今日1日いろいろ考えたんだ。結論を言うと、しばらく女をやってみたい。でも、今、一人で居るのは精神的にキツいんだ。だから、しばらくここに置いて欲しい。頼む」
光は俺の足下に来て、頭を床に付くくらい下げた。
「お、俺も心配だから、ここにいろって言うつもりだった。俺もここにいて欲しいと思っている」
俺が言うと小さな声で光がありがとうと言った。
光が今日一日あったことを話してくれた。
ここに男のままでいるとばれて連れ戻されるかもと、デパートに行って女性っぽくしてもらったとの事。
その時に、随分褒めて貰ったんだよと嬉しげに話す。
「ほら、俺って白くてひ弱だからって、モヤシって呼ばれてたろ? 結構コンプレックスだったんだよ。だから、嬉しかった。身体の事では貶されてばかりで褒められることなんてなかったからさ。俺、お前にすごく感謝しているんだ。学生時代お前が居なかったら、確実にイジメられてただろうし、柔道の時間とか間違いなく標的にされて、フルボッコだよ。これまで、何とかやれてこれたのは、本当にお前のおかげだと思ってる。あの時はありがとう、本当に助かったよ。俺ずっとお礼を言いたかったんだ」
光が俺に静かに礼を言う。
過去の俺、よくやった!! マジ褒めてやりたい。
そうして、元親友(男)と俺の共同生活が始まった。
あれから一ヶ月が経った。
「ただいまー」
「お帰りー。ご飯出来てるよ、食べるー?」
頭にタオルを巻いた光が、ホコホコに温まった顔を出した。
「うん、食べるけど、先に風呂に入るよ。体が冷えちゃってさー」
本当に食べたいのは、ずっとキミだけどね。
お風呂に入ってほっぺはツルツルピカピカだし、くちびるはふっくら柔らかそうだし、マジ美味そう。
心の中だけで言う。
「私、今、ちょうど入ったとこなの。まだあったかいと思うよ。じゃあ、ビール用意しとこっか?」
うん、風呂に入りたてなのは、知ってる。
見れば分かるから。
だから、風呂を先にしたんだし。
「うん。サンキュー」
光は順調に女としての生活に慣れていっている。
今まで勤めていた会社を辞めて、穂積光(女)として、コンビニで短時間のバイトも始めた。
この新婚さんのようなママゴト生活も、俺の不眠症と欲求不満さえ除けば、それなりに楽しい。
今日も俺は光が入ったばかりの風呂に入り、マスターベーションをする。
コレくらいは良いよな?
それに対して光は淡々と、俺にとっては驚愕の事実を話始めた。
「まず、覚えていないのならば仕方がない、もう一度説明しよう。そして、裸を覗いた事も、今までの友情に免じて許す。それから、お前が俺のことを大切に思ってくれていることも、今の言葉で分かった。とても嬉しいし、ありがたいと思う」
「しかし、お前は大きな勘違いをしている。覚えていないのだから仕方がないのかもしれないが?」
俺を恨めしげに睨み、はあーと溜息をつき、ゆっくりとそしてハッキリと言った。
「俺は性転換手術をしたのではない。元から女なのだ」
俺は混乱して、確かに馬鹿な事を言ったと思う。
「え? いつから? 中学生の時はもう女だったのか?」
頭がこんがらがって、なんて言っていいか分からない。
そんな俺にもう一度始めから説明してくれた。
光の家は旧家で、母親が後妻に入った時に男子を産むことを強く望まれたらしい。
やっと授かった子供が女の子だったことで、父親の愛情を失いたくなかった母親は里帰り出産したことをよいことに、男の子で出生届を出してしまった。
その後、罪悪感に駆られてか、保身の為か、それはもう頑張って弟を産み落としたらしい。
だから、跡取り問題も片付いた事だし、なんとか出生届を正したいと思ったみたいだけれど、上手くいかなかった。
それからは、ただバレぬように立ち回り、父親や弟にも学校にも知られぬよう隠しきった。
光自身はもう男で生きていくしかないと覚悟を決め、就職も人とあまり関わる事のない研究職についた。
そこにきて降って湧いたような結婚話である。
断れるものならば、このように出奔しないでも済んだのだがと、苦渋の面持ちで言った。
だが、こうなったことで開放感にも満たされているのだと自嘲するように言う。
家から離れて、もう、偽らずとも良いのだと心は軽く、思うままに生きていけるという可能性に希望を抱いてしまう。
己の心が定まらず、どうしたら良いのか分からない。
それで、お前に相談をしたのだが、忘れてしまったのだな。
悲しそうに言って、それからは黙ってしまった。
何て言うかは結局決められなかったけど、とにかくどうしたいか心が定まるまでここにいろと説得をしよう。
鍵を差し込みガチャリと回す。「ただいまー?」 恐る恐る中に入る。
「お帰り」見知らぬ女が、いや、光に決まっているけど、光とは思えない女、本物の女が出て来た。
「おかしいか?」女が不安そうに聞く。
「いや、驚いただけ。本物の女に見える」
「うん。俺も意外だった。でも、案外悪くないだろ?」
光はそう言って笑った。
そして、話がしたいからとリビングに連れて行かれて、ソファに座らされた。
「今日1日いろいろ考えたんだ。結論を言うと、しばらく女をやってみたい。でも、今、一人で居るのは精神的にキツいんだ。だから、しばらくここに置いて欲しい。頼む」
光は俺の足下に来て、頭を床に付くくらい下げた。
「お、俺も心配だから、ここにいろって言うつもりだった。俺もここにいて欲しいと思っている」
俺が言うと小さな声で光がありがとうと言った。
光が今日一日あったことを話してくれた。
ここに男のままでいるとばれて連れ戻されるかもと、デパートに行って女性っぽくしてもらったとの事。
その時に、随分褒めて貰ったんだよと嬉しげに話す。
「ほら、俺って白くてひ弱だからって、モヤシって呼ばれてたろ? 結構コンプレックスだったんだよ。だから、嬉しかった。身体の事では貶されてばかりで褒められることなんてなかったからさ。俺、お前にすごく感謝しているんだ。学生時代お前が居なかったら、確実にイジメられてただろうし、柔道の時間とか間違いなく標的にされて、フルボッコだよ。これまで、何とかやれてこれたのは、本当にお前のおかげだと思ってる。あの時はありがとう、本当に助かったよ。俺ずっとお礼を言いたかったんだ」
光が俺に静かに礼を言う。
過去の俺、よくやった!! マジ褒めてやりたい。
そうして、元親友(男)と俺の共同生活が始まった。
あれから一ヶ月が経った。
「ただいまー」
「お帰りー。ご飯出来てるよ、食べるー?」
頭にタオルを巻いた光が、ホコホコに温まった顔を出した。
「うん、食べるけど、先に風呂に入るよ。体が冷えちゃってさー」
本当に食べたいのは、ずっとキミだけどね。
お風呂に入ってほっぺはツルツルピカピカだし、くちびるはふっくら柔らかそうだし、マジ美味そう。
心の中だけで言う。
「私、今、ちょうど入ったとこなの。まだあったかいと思うよ。じゃあ、ビール用意しとこっか?」
うん、風呂に入りたてなのは、知ってる。
見れば分かるから。
だから、風呂を先にしたんだし。
「うん。サンキュー」
光は順調に女としての生活に慣れていっている。
今まで勤めていた会社を辞めて、穂積光(女)として、コンビニで短時間のバイトも始めた。
この新婚さんのようなママゴト生活も、俺の不眠症と欲求不満さえ除けば、それなりに楽しい。
今日も俺は光が入ったばかりの風呂に入り、マスターベーションをする。
コレくらいは良いよな?
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