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第三十話:村への挨拶 その1
しおりを挟む俺達は領主になった事で、南の国の村に挨拶をしてまわろうとしていた。
「南の国出身とはいえ、バーデン村とバンダリー村以外には行った事がないな。他の村ってどんくらいあるんだ?」
「南の国の村の数は五個です。他の国と比べてかなり少ないと思います。ですが、村一個一個の規模が大きいのが特徴です。元々はもっと多くの村があったのですが、魔獣を討伐する為に近くの村と合併した事で数が減ったようです。」
「なるほどな。まず、王都から近い順にまわっていこうか。」
俺の疑問にエレナはすぐに答えてくれて、俺はまわる順番を決めた。
俺は移動魔法を使い、エレナの案内で王都に一番近い村へと向かった。
向かっている途中はエレナがその村について解説してくれていた。
「今向かっている村は、ポリ村という名前の村です。ここは、南の国の中でも王都に一番近い村の為、商業が盛んな村です。王都から仕入れた物を南の国の人達に売っています。色んな村から来る人が多いので、警備は厳重です。」
「そうか。まあ、俺は領主だし特に警備の事は気にすることはないだろう。」
俺達はそんな話をしながら移動していると、村の近くに着いた。
「でかいな。南の国はどの村も規模が違うな。バーデン村と同じくらいか。」
バーテン村の大きさは南の国の中でも一番でかいと、俺は後に知ることになる。
それに比べて、バンダリー村は南の国の中で一番小さいが、護衛隊は南の国の兵士達と比べてレベルが高いようだ。
俺達は村に入る為に門の方へと向かっていった。
「とまれ。入村手当てはあるか?」
「ない。」
「それならここを通す事は出来ない。」
「村の方に通達が来ていると思うが、ブラック家に代わり南の国の領主になったヤミだ。通してくれ。」
「これは失礼しました。領主様とは知らずに。中へどうぞ。村長のところまで案内します。」
門の前にいた兵士は俺が誰かを知るとすぐに門を開けてくれた。
俺達は兵士の案内で村長のところまで向かった。
ここの村は市場の様な形で店が多くあり、様々な物を売っていた。
村の中央に立派な立物があり、それが村長のいる場所である事は一目瞭然だった。
「こちらの建物に村長がいます。」
「ありがとう。」
俺がお礼を言うと兵士はそのまま自分の持ち場に戻っていった。
俺達が建物の中に入ると執事の様な人が立っていた。
「ようこそ、ポリ村へ。ご用件はなんでしょうか?」
「用件は村長への挨拶だ。先日から領主になったヤミだ。」
「領主様でしたか。村長のところに案内致します。」
執事は建物の奥の方へと案内してくれた。
「こちらの部屋にいらっしゃいます。それでは失礼します。」
「ありがとう。」
執事はお辞儀をして戻っていった。
俺達は部屋の扉を開けて中に入っていった。
「あんたがここの村長か?」
「ああ、そうだ。あんたは?」
「俺はホワイト·レイ·ヤミ、南の国の領主だ。今日は領主になったから挨拶まわりをしていたところだ。こっちはカナ、こっちはエレナだ。よろしくな。」
「これは失礼しました。領主様だったとは。だいぶお若いのですね。ポリ村の村長のハンスです。よろしくお願いします。」
「ハンス、よろしくな。何かあった時とかは俺達の誰かが来るだろうから顔を覚えててくれ。俺とカナは冒険者でもあるから魔獣を自分達で対処出来ない時は教えてくれ。」
「分かりました。その際はよろしくお願いします。」
俺と村長の話が終わると俺達はそのまま部屋を出た。
「挨拶ってこんな感じでいいの?」
「いいんじゃない?結局俺達の名前と顔を知ってもらうのが目的だからな。」
「そっか。それにしてもここの村は王都に近いからなのか、栄えてるね。」
「そうだな。それに南の国でもこの村なら冒険者も来てくれそうだしな。」
俺達はそんな話をしながらポリ村を出た。
門を出て、俺は移動魔法を使い次の村へと向かっていった。
「次の村はどんな感じなんだ?」
「次に行く村はファブレ村という村です。この村は東の国の近くにある村です。東の国の文化に寄っている村ですね。そして、鍛冶屋が多くある村で、武器や防具などが売られています。」
「なるほど。武器や防具が良いのがあるなら魔獣討伐も上手くやってそうだな。」
「そうですね。兵士事態はそこまで強くはないのですが、武器や防具のおかげで上手くやっているようです。」
エレナはファブレ村について色々と教えてくれた。
俺達はファブレ村がどういうところなのか気になりながら向かって行った。
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