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第三十四話:村への挨拶 その5

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 俺達はバーデン村へと続く道を歩いていた。
 バーデン村への挨拶が終われば全ての村への挨拶は終わる。

「挨拶ももう終わりだね。」

「そうだな。一日で終わって良かったよ。」

「挨拶が終わり次第全村に通達して村長を集めるのですか?」

「そうだな。少し用があるからそれが終わってからの会議になるだろうから集まるのは二、三日後くらいだな。」

「用ですか?」

「ああ、人助けをしようと思ってな。」

「左様ですか。」

 エレナはあまり分かっていないような返事をした。
 そんな話をしているとバーデン村へと到着した。
 バーデン村の門へと向かい、見張りの人が俺達を見るとすんなりと門を開けてくれた。

「カナ、おかえり。今門開けるね。」

「ただいまー。ありがとう。」

 俺達はそのまま門の中へと入り、村長のいる所へと向かって行った。

「そういえば、バーデン村って何の村なんだ?」

「バーデン村は鉱物が多く取れる村ですね。村はほとんど山に囲まれていて、バンダリー村と丁度反対方向に多くの鉱山があります。レインボー石の名産地でもありますね。」

「そうなのか。全然知らなかったな。」

「ヤミ、バンダリー村は何の村なの?」

「バンダリー村は戦士の村だな。南の国の中でもトップクラスに守護隊は強いからな。バンダリー村では男は守護隊に、女は医療を学ぶって言われている。男が戦って、女が癒すって感じだな。」

「そうなんだ。南の国ってそれぞれの村と連携が取れれば発展しそうだね。」

「そうだな。俺もそう思うよ。」

 俺達は話をしながら歩いていると村長のいる所に着いた。

「通達が来ていたと思うが、俺が南の国の領主になった。よろしくな。」

「あんたが領主か。違和感あるな。」

「まあ、そうだよな。こればっかりは慣れてくれ。」

「ああ、頑張るよ。それで、今回は挨拶だけに来たのか?」

「一応な。ただ村長に少しお願いがあってな。」

「お願い?」

「そうだ。ここの村で余ってる土地はあるか?」

「そりゃもちろんあるけど、それがどうかしたのか?」

「その土地を俺にくれないか?」

「ここも含めてあんたの領地なんだから確認とる必要はないと思うんだけどな。それで、そこを何に使うんだ?」

「助かるよ。どのくらいの土地が余ってるか分からんが、そこに学校のような施設を建てる。そこに奴隷から解放された行き場のない子供達を集めて、南の国で働かせたり、冒険者として育てたいんだが、いいか?」

「なるほどね。俺はもちろん構わない。少なからず、ここの村人達に奴隷差別はないからな。」

「それならよかった。シルヴァという冒険者が奴隷解放をしているんだが、一度奴隷になった子を受け入れてくれるところが少ないみたいでな。南の国でそういう子達を受け入れようと考えていたんだ。」

「そりゃいい考えだな。ならその施設を建てる間はこの村に?」

「そうだな。と言っても建てるの自体はそんなにはかからないから一日程だろうけど。」

「そうか、わかった。こっちで何か手伝える事があれば言ってくれ。」

「ああ、助かるよ。」

 俺と村長の話が終わると、俺達は村人の一人に空いている土地へと案内された。

「その様なことを考えていたのですね。素晴らしいです。」

「まあ南の国としても発展していくのには人手がいるからな。人が増える事はいい事だ。」

「そうですね。それでは私はここで失礼して、全村へと通達をしてきます。」

「お願いするよ。」

 エレナはそう言うと、ペコリとお辞儀をして村を出て行った。
 

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