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すあま

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第2話 弟子(Disciple)

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 第2話 プロローグ 聖デコグリフ教会聖典と魔導歴

 Eathlefsphere(アスレフスフィア)

 この世界の名前である。
 世界樹イグッドラゼーアの葉の上にこの世界の存在するユリカゴがある。そしてそのユリカゴの中にこのアスレフスフィアである大きな大地と海が存在している。

 聖デコグリフ教会出典 見聞の書【世界とは】より

 ◆

 その昔、神々により『世界戦争らぐなれく』が起こった。
 生き残った神々は、『らぐなれく』によって荒れ果てた大地を再生した。そして「裏切りの天使達」である悪魔族を作り、住まわせる。
 彼らは強靭な魔力制御を持つ体を与えられた。強靭な肉体と精神を兼ね備え、獰猛な性格だった。絶えず遊び半分に諍い、仲間を簡単に屠った。神々は怒り、彼らを南の島に追いやった。

 神々は、世界を平定に導く繁殖力の強い人種族を造った。
 人種族は弱いながらも営み、世界に満ちるかのように増えた。その完成度に満足し、世界創造の役目を終えた神々はこの世界を去る。
 去り際に人種族を助ける為、妖精界からエルフとドワーフを召喚した。エルフは森へ、ドワーフを地下に住まわせ、悪魔族に対する防御を強化した。教会では、三種族を光の種族と定める。

 神々は天空の白糸を伝い別世界へ旅立ち、大地(豊穣)、学問(知識)、商い(交易)、恋愛(繁栄)、いくさ(生存)、の五神格をこの世界の調和の為残した。
 人を中心とした五神一体教はその頃から始まる。

 神々がこの世界からいなくなった。このことを知った悪魔族が神の御業みわざを盗み、古代魔法を作り出した。古代魔法で異界の門を開き、小鬼ゴブリン小悪魔インプなどを呼んだ。
 光と闇の戦いは地下世界から始まった。

 光と闇の小競り合いの混沌とした時代。
 エルフ族から上位種のハイエルフが現れ、それまでにない魔法を開発し、その技術で魔導王国を築き上げた。
 しかし、三度の大戦で王国は滅んだ。王国と教会が共同で作り上げた聖別された甲冑セイクリッド・アーマーは教会に残され、教会所属テンプルナイツだけが代々それを引き継いでいる。

 異界から召喚された、ゴブリンや豚鬼オーク、下級悪魔どもの繁殖力は人族よりも強かった。異種族と掛け合わせてもゴブリンやオークが産まれるほどの為に悲劇が繰り返された。小競り合いが続き、下級悪魔を除き、各大陸や諸島にそれぞれの種族が収まるように落ち着く。

 悪魔族は南のイービルトピア大陸。
 光の種族(聖デコグリフ教会が定めた、人をはじめとするエルフ、ハーフエルフ、ドワーフ、人の半分の身長のハーフリングなどの悪魔族以外の種族)の住まうミッドグランド大陸。

 そして、悪魔族の裏切り者と戦災孤児からなる中途半端な立場の魔人族達はミッドグランド大陸東南のミストレージ諸島。
 この他に、北の大陸、神々がかつて住んでいた聖地がある。

 ◆

 弟子32日目

「以上が聖デコグリフ教会の冊子にある歴史紹介ぢゃが、戦争で殆どの記録がなくなったんぢゃろうなぁ。覚えるだけ無駄かの。今は4度目の大戦の傷を癒しておる最中……とでも言おうかの」

 森の中をロック・サーヴァント無しで、ドル師匠と歩いている。師匠が仰るには、午前中の講義とちょっとしたゲームとの事だ。

「ドル師匠は教会の冊子が伝えるのは、本当の歴史ではないと?」
「ほっほ。勘のいい子供は嫌われるぞぃ。……半分は本当で半分は嘘ぢゃな」
「教会が嘘の歴史を配ってるのですか?」
「これこれ。お前を外に出すのが心配になって来たのぉ。……やれやれ、話してやるとするかのぅ。光の民の魔に関わる者に取って、教会は敵ではないが味方でもない」

 そう言ってドル師匠は腰の小さなポーチから朴葉に包んだ銅が主成分の金属カップを取り出し渡してくる。


「何故ですか?」

 受取りながら目を見て質問する。ドル師匠は僕の視線を受け止め答えてくれた。
「魔術とは、人ならざる者の力を借りる。その中には悪魔の力を借りて行使されるものも含まれる……“集水コレクト・ウォーター”」

 しっかり受け止めたのを確かめると銅製カップに目を落とし、発動ワードを呟きカップの横を突いた。音も立てずマナがそこら中からカップの底の魔法陣目掛けて、集まり、抜けて行く。マナとともに運ばれた空気中の湿気がどんどんカップの底へ貯まりカップに充分貯まると魔法は止まった。

「魔術で借りていた技術を、自ら行使できる様にした技術、それが魔法ぢゃ」

 師匠は、静かに話を聞く僕に、飲む様にジェスチャーした。師匠は自分の分も同じようにポーチから取り出して無詠唱発動する。コレは、一発で覚えよと言う無言の合図だ。勿論覚える。
 師匠は、カップを満たす水面を眺めながら悲しげに呟いた。

「が、果たして教会が、もともと悪魔が神から盗んだ技術をどう思っているか」

 水を一口飲みこんだ時、その呟きを耳にして、思わずカップから唇を離した。そして言葉が勝手に出た。

「それは……」

 だけど、師匠の顔を見て、その先を言えなかった。

「勘の良いお前なら理解できるぢゃろうて。一度根付いた想いは、たとえ世代が交代しようと簡単には覆らん。伝える者がおる限りの……飲んだら、先へ進むぞ」

 立ったままの小休止。暫くちびりちびりと水を飲む。飲み干してカップを返すと葉に包んでまたポーチへしまわれる。明らかにポーチの方が小さいが敢えてそこは聞かない。師匠の隠れ家と同じなのだろう。

 それからしばらく無言が続く。『教会』と『魔術師、魔法使い』の溝をその沈黙に感じた。
 どれ位歩いただろうか?
 お腹も空いてきた。師匠が立ち止まり振り返った。

「アイルスよ。お主にワシの使い魔、小悪魔インプのプランクを貸してやろう」

 師匠が懐から小さな魔法陣を取り出して、小悪魔を召喚した。

「……この妖精を凶悪にした生き物が、インプなんですか?」
「なんだぁ? 人間のガキが、随分な挨拶だな!?」

 美形だが凶悪そうな吊り目の妖精。否、猫耳に猫尻尾。ハート型に近い鏃の様な尻尾先。蜻蛉トンボの翅ではなく蝙蝠コウモリの羽根。青白い肌に灰色の髪とヘソ出し胸元出しジャンプスーツ型の髪と同じ灰色の体毛。そして真紅の瞳のインプ。それが忙しなく翼を羽ばたかせながら凄んでくる。

「よさんか、プランク。今より一時、このアイルスがお前のマスターになるのぢゃから」
 短杖クォーター・スタッフを振り、簡易権限移譲の契約印をアイルスの左手とプランクの額につける。
「えぇ~、久しぶりに出してくれたと思ったらぁ~、マスター聞いてないっスよ~」
 プランクと言うインプが文句を言う。
「今聞いたであろう?」

「あははは……とにかくよろしく、えーと、そうだ、名前をあげる。……ヘルプラス」

 思わず渇いた笑いが漏れた。
 魔導書にあった使い魔と早く仲良くなれる方法『自分だけのあだ名をつける』をやってみた。

「誰だよ。ヘルプラスって」
 インプが文句にしか聞こえない返答をする。

「いやかな? じゃぁ、プランクと呼ぼうか?」
 名前を変更せずに呼んだ方が良いかと考えた。

「いや。まて。いい名前だ。ヘル……ヘル・プラス……よし、坊主、お前を一時とは言えマスターに認めるぜ!」

 言った途端、額の一時印が魔力を帯び、ヘルの容姿が変わっていく。
 妖艶なボディを覆っていた体毛が黒へと変わる。胸元とヘソ出しをそのままにノースリーブの菱形を基調としたチビジャケットとホットパンツ風に。露出が多くなり、肌色も人間に近くなった。髪の毛は黄金に瞳は真紅だ。

 四肢の始まりは素肌を晒して美しく、けれどその先は武骨な鎧の様にふた回りほど太くなり黒光する甲皮を纏う。そのくせ指は細く長いので、余計に繊細に見えた。
 更に肌の上にまるで変身ヒーローの様な青と白の刺青模様テクスチャが浮かび上がる。
 皮膜翼など皮膜部分は、黒から赤へ。まるでパッと見は殴打専門系モンスターのようだ。

 これは、気に入ってくれたのかな? 名付けに合わせて容姿が変わるなんて知らなかった。凶悪な顔と猫耳、猫尻尾はそのままだ。どうせならもっと可愛らしい顔になればいいのに。

「ヘル・プラス、カッケー!」

 カッコ良く見えたので感嘆の声で褒めた。得意満面の小悪魔が可愛い。悪魔が可愛いとかありえないけど。

 __『これは期待できるのかも知れん』と深き森の魔導師ドルは静かに唸った。__

「では、アイルスよ。これからゲームを行う。場所は天然の洞窟ぢゃ。
 パッケージ、ボイフ、ドルイド、カスタム、ハイカスタム、ミクスドは心得たな?」

 ドル師匠が、何やらすり足して地面を見ながら訪ねてきた。

「はい、師匠!」
 元気よく答えた。

「そうぢゃな。コレも持って行くがよい。まだ試作品ぢゃが、役に立つだろう。それとこれもな。大事に食べるんぢゃぞ」

 そう言うと僕の手に握れる程度の角を削った小さなモノリスを2つと袋を持たせてくれた。袋の中身を確認すると朴葉に包んだ大きめのナッツクッキーが2枚入っていた。

「よし、ならば、遊戯開始ゲームスタートぢゃ!」
 ドル師匠は、足下の石を叩き、そこから後ろへ跳んで下がった。

「え!?」

 バクンッと地面が開き足元がなくなった。

「2日後にはソフラト(父)が来るぞ。それまでにはクリアするのだぞ!
 プランクよ。アイルスを頼んだぞ」
「ええ~!?」
「聞いてねぇーぞぉ! クソジジィ~!」
「ク、クリエイト・サーヴァントオオォォォォ……」

 契約リンクの所為で僕の側から離れられないヘルプラスも一緒に落ちる。僕は減速の為、サーヴァントを起動させた。
 これが、掛替えのない使い魔ヘルとの出会いだった。
こうなる前の経緯と有意義な講義の中から厳選した講義を紹介しよう。


 ◆ 第2話 弟子(Disciple)

 弟子8日目 朝食後

 ウッド・サーヴァントが食器を片付けたテーブルに、師匠は、魔法陣が描かれたパピルスを広げる。
 そのパピルスは大きくて、神秘的な雰囲気を放っていた。文字が創り出す雰囲気だろうか? 丁寧に編み込まれた魔法陣に直接記述された紋様は魔力を流せば律動していくのが見ただけで想起される。

「師匠、コレは?」
「お前専用の精霊を呼び出す為に作ったものぢゃ」
「精霊ですか!!」
「さよう。使い魔ファミリアとしてそろそろ精霊くらい従えとかんと次のステップにも進みにくいからの」
「やった!」
「その代わり広視界読法修練を怠るでないぞ、むしろこれからもっと範囲読解、が必要じゃからの」
「はーい♪」
 元気よく応えた。

「今回は、この精霊召喚魔法陣を何も見ずに描けるようにせよ」
「え!? すぐに呼び出すんじゃないんですか?」
「まだ、説明しとらんぢゃろう。早く呼び出したければ毎日この砂時計が落ちきる前にこれと同じものを描けるようにするんぢゃ」
「げぇ~」
「ほれほれ、調べ物はコレでするがいい。そろそろ、見て盗む方法と自分で調べる方法を学ばせようかのぉ」

 サーヴァントがドサドサドサッと辞書並みに分厚い本を机に積み上げてきた。

「……見て、盗むと、調べるんですか?」
「なんぢゃ、尻込みしおって」

 堆く、積み上げられた魔導書を見てちょっとだけ後ろ向きな気持ちになったのを指摘された。顔が熱くなる。

「やれやれぢゃ。もう少し自分を信じて良いぞ。アイルスよ」
「信じる?」
「何事も、誰もが初めから上手くやれる訳ではない。かつてのワシもそうであったからの。ところで、ワシが使ってきた数々の魔法を覚えておるか?」
「はい、だいたいは」
「ふむ、どうマナが動いて、展開していた魔法式と魔法陣は?」
「そこまでは、覚えてません」
「ま、そこら辺が普通ぢゃな。1つ覚えるが良い。見て、真似て、盗んで自分のものにしてみるのぢゃ」
 師匠がそう言うと、右手の平に魔法式と魔法陣がほぼ同時に編まれて行く。

「“ライト”」

 師匠の右手の空気が球体を作り輝き出した。

「この魔法の代行の流れエージェント・フローは真似出来るぢゃろ?」
「エージェント・フロー?」
「魔法陣以外の全ての発動の為の式や装置……ぢゃな」
「コレですか?」

 マナを操り、魔法式を作ってみた。

「ふむ、何回か作ってみた感じぢゃな。こっそり練習したか」
「少しだけです。それにマナの操作はまだ気を許すと……」

 言った途端にマナを制御しそこない式の形を保てなくなった。式が弾かれ霧散しながら部屋の方々へ飛び散っていく。

「ほぅ。稀に見る濃い粒子のマナを構築するのぉ」

 師匠は、師匠の顔目掛け飛んできた式の欠片を左手で受け、マジマジと見つめる。

「ハァ、ハァ……濃い……んですか?」

 お腹に力を入れすぎた。膝に手を置いて肩で息をしながらどうにかそれだけこたえることができた。

「もっと体の力は抜いても構わんよ。筋トレのつもりならば止めはせぬが、自然体の方がマナに集中しやすいぢゃろうて。マナ自体に筋肉の影響はないからのぉ」
「……はい」
「よし、ではその本を開くのぢゃ。あぁ、それではない。上から二番目ぢゃ。背が届かぬならサーヴァントに頼め」

 身体に怠さを感じている所に手の届かない場所の本を取れと言うコトに怒り、感情が口を突いて出た。

「なんで、最初から取りやすいトコに置かないんですか」
「……ふー」
 少し驚いた顔をした後に師匠が大きな溜息を吐いた。
 僕は不思議に思う。怒らせてしまったか? 言ってしまった事に後悔した。

「アイルスよ。短気は損気ぢゃ」
「?」
「もし、今の一言でワシが魔法を教えるのをやめたらどうするのぢゃ?」
「……」

 それは困る。今となってはなんと返せば良いか解らない。

「ダンマリか? 怒らないからどうするか言ってみなさい」
「自分で魔法を調べます」
「ほう。ワシには質問をせずにか?」
「はい」
「魔法を教えて貰いに来たのに独学か。天才ぢゃな。よろしい。やってみなさい。ご飯も風呂も自分でやりなさい。施設は貸しておこう」
「怒ってるじゃないですか」
「はて? 怒っておるかの?」
「怒ってないなら、どうしてそんな意地悪を言うんですか」
「意地悪も何も自分で言い出したのぢゃろう?」
「それは……」
「ごめんなさいは?」
「……ごめん……な……さい」

 涙が勝手に溢れる。それを必死に抑える。

「ま、ええぢゃろ。聞こえんかったが、よぉ言うた」

 師匠が頭を撫でてくれた。涙が堰を切って溢れ、止められなかった。

「怒りを外に出すと相手に伝わる。それは相手にどんな反応をもたらすか、考えるのぢゃ。膝に乗るか?」

 首を振った。今更恥ずかしい。

「魔法使いたる者、冷静さを欠いてはならん。感情をも操れるようにならなくてはな。怒りは相手の利益を出させる気持ちも奪う。最悪の手段ぢゃ。怒りはどこから来ると思う?」
「分かりません」
「その涙を出させる悲しみも怒りも喜びも表情ぢゃ。表情を無表情か笑顔を保つのぢゃ。すると頭が騙されるでな。キッカケは受け入れ難い現実ぢゃ。それに頭が反応し、怒りや悲しみを湧き出させる。それに反応して顔が表情を作る。感情は体を駆け巡り危機的状況を打破する為警報を鳴らす」
「よくわりません」
「解るまで、また話してやろう。感情が完全に過ぎ去るのには、3分はかかろう。さぁ、茶を飲むが良い。一旦さっきの事は忘れるんぢゃ、サーヴァントにあの本を取ってと命令するんぢゃ」
「……あの、本……取って」

 サーヴァントが僕の言うことを聞いて本を取ってくれた。

「よし、表紙を開いて目次をよく読むんぢゃ」
「……の……1……8」
「そうか、文字を覚えるところからぢゃったか」
「……はい……」

 恥ずかしさでいっぱいになる。

「分かった。目次をまず読むからこれに書くが良い」

 師匠の懐から紙束が現れた。

「適度に怒り、適度に冷静を保つのぢゃ。さすれば早く覚えられる。怒りを味方にして相手には優しく接するのぢゃ。出来たなら遠くない未来、家に帰れるようになろう。さ、さっきの魔法陣と魔法式が書いてあるのはどこかのぉ?」

 そうして、僕はやっと“笑顔”を取り戻せた。それと同時に“盗んで真似て、自分で調べる”と言うやり方を身につけた。そのすぐ後に光の呪文のプロセスを講義してもらい、光源を好きに作れるようになった。

 ◆

 弟子10日目

「どうぢゃ? 魔法陣はどこまで出来たかの?」
「だいたい完成して来ました」
「ふむ呼び出せるトコまで出来ておるな」
「はい、でも何処から呼ぶかと存在維持と契約がまだ出来てません」
「そこ迄、理解出来ておるか」

「師匠が幻像魔法ミラージュで各インデックスを見やすくしてくれた上で発音魔法を連携してくれたお陰です」
「よし、知りたい事の探す為のコツを今から抗議をしよう。それを使って明後日までに仕上げられるかの?」
「多分……」

「完璧に仕上げなくとも良い。どんなに不足でも後で調整じゃ」
「それなら出来ます」
「よぉ、言うた。分からない事はメモして聞くのぢゃ」
「はい、師匠」

「では、探すコツぢゃ。先ずは場所を決めて覚える。各カテゴリ毎の場所ぢゃ。コレは大項目をすぐに捜索する手がかりになる。次に探したい項目のメモを整理しておく。この二つは魔法に頼らずとも出来る事ぢゃな」
「はい」

「よし、では初めに教えた光の呪文はもう使えるな?」
「はい」
「この魔法式の中身は読めるかの?」
「れいきしたえねるぎーをひかりへんかんしてかいほうさせる」
「上出来ぢゃ、意味はそのうちデータを揃えれば理解出来るぢゃろう、いまは使いこなすことに集中するが良い、ではこの魔法式をカスタマイズするぞぃ……」

 習得した光のして、ミラージュの呪文の基礎を習得した。コレによりマイ・インデックスを作成することが出来た。更に探求の導き手パスファインダーの呪文も最後に教えて貰った。パスファインダーは最終手段で、インデックスの魔法の方がコストがかからない為との事だった。
 更に言うとマーカーの呪文もミラージュの派生で作れるとの事で試しに僕の部屋に僕だけ分かる印をつけてみた。簡単に出来た。魔力さえあれば何でも出来そうだ。



 ◆

 弟子12日目 昼前

 あの後、師匠が用意してくれた卓と高さを調整出来る椅子をリビングの隅に設置した。サーヴァントが持ってきた本をカテゴリ別に並べ、一時的に書斎兼作業場化して貰う。そこで僕は召喚陣の製作を行った。
 そうしてついに、僕は召喚陣を完成させた。契約込みの召喚陣だ。呼出すだけでは意味が無い。ネズミ捕りと同じような原理だが召喚した対象に攻撃される可能性もあるのだから安全装置は必要だ。
 心を通わせて徐々に手名付けて好きな時に呼び出して使役するって言うのはあくまで理想なんだろう。漠然と思うだけで疑問に持たなかった。



「師匠! 師匠! 出来ました!」
「ん? 出来たか? どれどれ」
「んー。あぁ、忘れとった。契約の魔法陣は今回要らぬかも知れんぞ」
「え? 要らないんですか?」
「精霊ぢゃからの。契約の魔法陣は別で描くといい」
「え、コレ、描き直しですか?」
「ぢゃの」

「え~、せっかく作ったのに……」
「ほれほれ、ふくれっ面になっておる。しかたないのぉ。まだ早いと思うが一つまた教えてやるかの、マナで魔法陣を作るのは無駄にも等しい行為ぢゃが、それはマナを回収するロジックがほぼ組み込まれることがなかったからぢゃな。必要な時だけに作成し、マナを回収出来るのなら無駄にならん。その為には、まず、魔法陣が頭の中になければならぬ」

「あ」

 言わんとしてる事が理解出来て言葉が思わず漏れてしまった。

「もう完璧に魔法陣がかけるのではないか? その魔法陣は使わなくなるであろうが、無駄ではないのぢゃよ。ぢゃからの、冷静に考えるんぢゃ」

 恥ずかしさで耳が熱くなっていく。

「怒ったところで大抵の事は良い方には転がらん。むしろ悪い方に転がって行くんぢゃ」
「はい。師匠。よく分かりました」   

 恥ずかしくて、素直に謝った。

「とは、言え感情は発生したら逆らえん」
「何故ですか?」
「本来、生物がその命を脅かされる場面に出会ってしまった時、つまり受け入れ難い現実に直面した時に、その場を切り抜ける為に生まれた機能が怒りぢゃ。身体機能を十全に発揮させる為の信号ぢゃからぢゃ。本能と言ってもいいんぢゃが……」
「必要なんですね。怒りの感情も」
「さよう。しかし、我らは基本的に戦闘行為を行う場合においても冷静な判断と未来予測の為、必要とせん方が将来の為なのぢゃよ」
「どうしたらいいのですか?」
「コントロールする方法はある。説明しよう」
「はい」

 焦ってしまった。師匠の言葉をもっと待つ姿勢で聞こう。

「前にも言ったが緊急事態と体が認識している事は、次に同じ事態に陥った時の為にその経験が記憶される。生存率を上げる為の獲得した機能の一つぢゃよ。いいとこ取りするなら怒りの信号が出ているウチは記憶する事を意識する位ぢゃな」

「でも、その怒りのまま行動すると相手の心を傷つけたり、喧嘩になってしまったりしてしまうと言うことですか?」

「その通りぢゃ。怒りは最も制御し難い。命がかかっていると身体は認識するからの。感情は一種の毒ぢゃ」
「自分の感情なのに毒なんですか?」
「すぐに死ぬような毒ではない。しかし弱いとは言え、長く毒に晒されるのは良くないのぉ。解毒には時間がかかる。その場を離れ違うことを考え、信号の発信を止めるのが最も効果的な対処ぢゃ。後は提示された困難に対処法を多く持つ事ぢゃな。お前が不満を口にした時、ワシの手の中には幾つかの対処法があったからの。どれを使ってお前にも理解出来るか、効率良く覚えるか考えとった」
「!」

「対処出来ると言う事は、受け入れ難い現実を己の制御出来る範囲に収められる事なのぢゃ」
「そのために手数を普段から増やす事が大事なんですね」
「そうぢゃ。しかし、我々には元々感情に対して回避する手立ては基本的にはないのぢゃよ。我らは本能に支配されておるのぢゃ。解毒する事が本能を支配下に置く鍵ぢゃ。お前は察しがいい。記憶力もいい。今までワシの教えた事をほぼマスター出来ておる。ワシの書庫をもう少し解放しよう。好きな時に書棚を好きなだけ調べるといい。判らないことがあればいつでも聞くが良い」
「分かりました。師匠」

「では、今日は、食事を取ったら、契約をしにいくかの」
「え!? 書き直さなくて良いんですか?」
「頭の中にあるのぢゃろう? なら、今作って見せるも本番でやるのも同じではないかの?」
「あ、はい」

 今まで、師匠の言うことは正しかった。今回の言う事も従おう。作成し直さなくて良いと言ってるし……。

 なのに、胸のモヤモヤ感が消えなかった。



 ◆

 弟子12日目 午後

 昼食ランチの後、まだ踏み込んだことのない師匠の工房フロアの更に上、屋上へ連れていかれる。
 深き森の魔導師の家の中は不思議だ。巨大樹は青々と葉を広げ生命に溢れているのが窓から見える。

「師匠、この巨大樹は生きているのに、その……身体の中に居住空間があると言うのはどうなっているのですか?」
「良いトコロに気付いたの。この居住空間は、第四階梯と基礎魔法を組み合わせて作った、空間作成魔法で出来ておるのぢゃよ」
「第四……かいてい?」

「魔法を法則毎にステップアップさせたものぢゃよ。第一は基礎、第二が圧縮や縮小、第三が拡張や拡大、第四が空間とテーマが決まっておるんぢゃ。現段階は第七まであり、第一以外は順番は適当ぢゃと聞いておる」

「空間……便利そうですね。でも、それだとコレから行う召喚は何処に入るのですか?」
「召喚は魔法ではなく元々魔術に分類され魔法以前の技術ぢゃよ。まぁ基礎に一応入るが基礎、応用と言ったところかの」

「だから魔法式が簡易で魔法陣があんなに複雑なんですね……」
「うむ。魔導技術を扱える者を呼び出し、そこから盗み学び取り、召喚の必要が無くなった。その魔法第一号が光の呪文なのぢゃ。召喚の複雑だった部分が要らなくなり、技術だけを取り入れた結果、魔法陣は簡略化され、微妙な制御を魔法式で補い魔法は完成したのぢゃ」

「なるほど、そうだったのですか」
「魔法を手に入れた今、魔法式で補助さえ行う現代召喚術は昔のモノより扱いやすく出来てはいるが気を抜くでないぞ」
「はい、師匠」
「着いたぞ。ココでお前の初めてのファミリアを呼び出すのぢゃ」

 ガチャリとドアノブが回される音が響いた。
 左周りの階段通路を登りきり、ドアを潜ると其処には屋上があった。床は年輪があり、水が床面のギリギリまで顔を出して光を反射している。それなのに床は濡れていなかった。

「景観自体は上手く見えるように空間認識を配分……なんぢゃ床ばかり見おって」
「師匠、ココって」
「勿論、さっき話した空間作成魔法ぢゃよ」
「外からは見えず、巨大樹は傷1つなく存在はしてるって事なんですね?」
「ようやく理解できたかの?」
「サッパリわかりません。そういうもんなんだって思うことにしました」
「そりゃ、思考放棄ぢゃ。ま、今はそれで良い。さぁ、魔法陣を展開し風の精霊を呼んでみよ」
「はい! 召喚サモン風の精霊エレメンタル・オブ・ウィンド!」

 しーんと静まり返る周辺。魔法陣は光を放ったが何も起きなかった。困惑して、師匠を見る。

「惜しいの。何故、失敗したか、解るかの?」
「失敗するって分かってらしたのですか?」
「洞察力は申し分ないのぉ。で、質問の回答を教えてくれぬのかの?」
「なんで、一回で成功するように教えてくれないんです?」
「失敗から学び取れる事が多いからぢゃよ。質問には答えてくれんのかのぉ?」

 僕は息を吸って、深く長く吐いた。あの時モヤモヤしたモノはコレだったのだ。恐らく、師匠は僕が失敗する事を知っていた。その上で正解を教えず、僕に失敗する事で学ばせようとしている。

 正解の魔法陣を言うことがこの質問の正解ではない。
 では、何を求められているのか? 失敗した。何故、魔法陣が間違っている事に気付けなかった? 『正解の魔法陣と見比べるチェックが足りなかった事が直接の原因で、それを防ぐ手立て』が正解かな?

「見直しを怠った事と師匠の言葉に従い過ぎたためです」
「及第点。まぁ、もう少しちゃんと言葉を考えて言い直してみるのぢゃ。気付いておるようぢゃからな。間違っててもいいから言ってみるのぢゃ」
「師匠の言葉が絶対では無い事……間違ってるトコは指摘してみる事……師匠の経験に頼り、その場で魔法陣を見せて確認など行う事ですか?」

 師匠が拍手した。

「満点ぢゃ、アイルス、ワシも絶対ではない。間違えもする。しかし、お前が独り立ちするまでは“助け”は惜しまん。頼っていいトコは頼るべきぢゃ。それにな、アイルスよ。成功しかした事のない者は心が折れ易くてな、一回の失敗で今までのモノを投げ出してしまい易いんぢゃ」

「失敗しても悪くないんですね」
「そうぢゃ。むしろドンドン失敗して次を成功させる力を養え。初めから成功できる奴にロクな心の持ち主は稀ぢゃよ。それこそ神の如き人格者であろうよ」
「解りました、師匠!」

「解ったなら、今の話を記憶反芻せぇ。そしたら、本日最後の呪文講座ぢゃ」
「記憶反芻?」
「復習勉強法ぢゃ。記憶強化が出来るんぢゃよ」
「はい! 師匠!」
「……記憶反芻しました。師匠」

 師匠が本を手元に召喚し、開いていた。

「んむ? 歳をとると記憶があやふやでいかんな。
思い込み魔法ボイフ・マジック!、
  記憶圧縮メモリ・コンプレッション!、
  再監者顕現リ・スーパー・バイザー・マニフェステーション!”」

 師匠は何か頭にオドを集めて魔法を使った。それなのに魔法式も魔法陣も現れなかった。

「何をされたのですか? 師匠」
「今日の最後の講義内容ぢゃ。魔物が魔物になるオドの使い方を応用した魔法ぢゃよ」
「魔物がオドを使う?」

「どう言う経緯か、解らんのぢゃがな。昔、マナを取り込む動物が産まれた。そして、それらの個体から魔物は生まれた」
「動物から魔物が産まれたのですか?」
「いや、産まれたと言うよりも個体存在進化と言うべきかもしれん」
「個体存在進化とは、なんですか?」

「普通の進化は親の経験から産まれる子に能力の取捨選択が行われ何代も重ねる事でまるで別種の如く変化するが、一代で産まれてからオドに思考を魔法式として無理矢理、筋肉の強化や特殊能力の発現を獲得する進化以上の奇跡を起こさせる現象の総称をそう呼んでおるのぢゃ」

「な、なるほど。思考を魔法式として扱うことは可能なのですか?」
「魔物はそうする事で自己改造を行った様ぢゃ。脳筋魔法ぢゃな」
「勘でオドを操ったって事ですか」
「結果から推測するとそうなる。そして今わしが使ったのもそれの応用ぢゃ」

「さっきの一連の魔法には、どう言う効力があるのですか?」
「一回作り出したモノを再度見直さなければ間違いを正すことは難しいのは、わかるな?」
「はい」
「一度で二人分の見直しを行える様にもう一人の人格をわしの中に作り出したのぢゃよ。研究には欠かせん。コレをアイルスにも教えておけば、ミスは少なくなるであろう?」
「そんなことが?」
「可能ぢゃ。まずは記憶領域の圧縮ぢゃが……」
「1つ閃きました」
「なんぢゃ?」

「理解力や考察処理を加速するのはどうでしょうか?」
「あぁ、それなんぢゃが、副作用が一番酷くてのぉ」
「副作用? ですか?」
「ん、あぁ。甘いものが欲しくなるしのぉ。その所為で太りやすくて虫歯になりやすい。更には栄養バランスの所為か、怒りやすくて冷静な判断が難しくなってしまう。何事も『調整は難く、崩壊は容易い』のぢゃよ」
「常時の使用は避けた方が良いのですね」

「まぁ、緊急時には良いのぢゃろうが……エネルギーには変換速度があるからのぉ」
「乱用は避けだ方がよいと言う事ですか?」
「そんな所ぢゃ。出来そうか?」
「多分。可能です……」

「新しい人格の場所をまずは確保する為に記憶を圧縮するのぢゃ」
「あ、そうでした。“ボイフ・マジック! メモリ・コンプレッション! リ・スーパー・バイザー・マニフェステーション”」
「うむ。では魔法陣を組んで見よ」
「はい。でも、なんだか不思議です」
「ま、この時だけぢゃ。実質4人で見直すのぢゃ、コレならば間違えるなど無いであろう」

 師匠の言葉を聞きながら“微調整したライト”を仕込んだ魔法式で魔法陣のマナを配置させて行く。
 あ、間違い発見。
「ほぉ。間違いに気付いて描き直しながら構築か。成功しておるの。儂はもう引退かのお?」

「師匠のお陰ですよ。でもコレなら師匠が教えてくれる事を何度もしていただいた時間を短縮できそうです」
「まだ、2週間目ぢゃぞぃ。お前のこの先が楽しみぢゃな」
「如何です。間違えてる箇所ありますか?」

「日に日に口調も大人びて来るのぉ。間違ってはおらんがマナを流した時のエネルギー運用がいささか効率悪いの。流れる川をイメージしてガッチリとした急角度は避けると良い」
「滑らかにと言う事ですか?」

「何、マナも物理運動に僅かながら左右されるのぢゃ。急激な角度をつけたい時は縦にも力を逃す様に描いて螺旋させるのが良かろう。回収時に変な回転がかかってると取り込みにくいからのぉ」
「はい、師匠」

「ま、そこは経験ぢゃて」
「コレで如何でしょうか?」
 図面の通りきっちりとした魔法陣が立体的な歪なものになってしまったが図面通りにはマナが通る。

「ま、初めてぢゃし、こんなもんぢゃろう。リスーパーバイザーもコンプレッションも解いておくんぢゃぞ。後で反動が凄いからの」
「あ、はい。師匠」
「では、風の精霊を召喚して見せよ」

「はい! “サモン! エレメンタル!”」

 緑の光を放つ魔法陣に淡く青いマナが流れて魔法陣の光度が増し白く輝く。魔法陣がマナの流れでゆっくりと外側が時計回りに内側が反時計回りに回り出し、屋上の外から風がザワめき集まって来た。

「“来たれカモン風の精シルフ! 顕現せよメイキット・マニフェスト! 汝の名はユー・アークフィーリア!”」

 風の運ぶマナの濃度が上がり、光が集まり実体化する。何枚もの透き通るレースを纏った女性が跪く姿で現れた。
 その肌も半透明で儚げに見える。
 僕は初の召喚を目の当たりに慄いた。

「あ、く……ふぃーりあ?」
「はい、マスター。何なりと」
「ほ。契約陣なしで名付けまでマスターしとったか」
「え? あ、ハイ、実はまだ全部読めてません」
「ん? そうかそうか。呼んで名付けただけでか……?」

 跪くシルフの不自然さが際立つことに師匠は何も口にしなかった。その事に気付かず、僕は受け入れた。
 この時、後で重大なミスに繋がる事に、僕はまだ気付けなかったのだ。



 ____________________
 アイルス手記より

 パッケージ・マジック
 パッケージと呼ばれている魔法について
 この世界で魔法と呼ばれる事象はゼンマイ式歯車時計で分かりやすく説明すると次の様になる。
 『歯車』=『魔法陣』
 『構成から駆動まで計算された設計』=『魔法式』
 ※魔術主流の時代は召喚対象が此処を担っていた。
 『ゼンマイ動力』=『魔力(エネルギー)』
 呪文の詠唱は殆どが発動する為のトリガーワードのみ。魔法発動体マジカル・イニシエーター(※以下MI)にコピーされた魔法式を呼び出しているに過ぎない。
 呼び出された魔法式が魔法陣を形成し、式に従い魔力量を調整しながら自動発動させる。

 ギルド指定のMIは、マジックユーザーのレベルが上がると1つ目のリミットが外れ、魔術師ギルドで然るべき手続きを行う事で2つ目のリミットが外れ、次のステージが限定解除となる。MIは魔術師ギルドで購入する為に滅多な事では改造することが出来ないが、別購入でブーストパックなるオプションMIで有り余るMPを持つ者は強化を図るのが通常だ。

 MIは魔力を注がないと使えないアーティファクトと同じ構造をしており、杖、指輪、首飾りなどに組み込まれる。

 このパッケージ化され、世に出回った魔法は、一般には古代魔導王国が悪魔より研究し文明化した事が発祥と信じられている。
 パッケージ・マジックの体系は以下の図式化した様に分類され研究され続けているが真新しく発明される事は稀である。
     光(奇跡・生命/肉体)
     △
     火
 土   ▲   水
  ▼     ▼
   ▶︎   ◀︎
 金属(メタル)     風
     ▽
     闇(虚無・精神/魂)

 これ以外は無属性。
 一応、ステップごとにそれぞれの魔法が用意されていて第七階梯まであるらしい。

 ____________________
 アイルス手記より1話の続き

 6.感情と記憶について
 "怒り"は、生命の危機的状況時に発信される信号が元となっている。
 受け入れ難い現実に直面した時に発生する。師匠は毒と仰られた。何らかの物質信号と考えられる。要調査。新しく開かれた書庫に何かあるかも知れない。己の判断を狂わす敵の対抗手段の獲得は急務と考える。
 これと同時に師匠は記憶力が良くなるとも言っていた。生存する為の怒りの発動時は記憶力が強化される何かが働いてると考えられる。

7.破滅の誘惑
 怒りに身を任せ、思い通りになっていく現実は総じて気持ちが良いが大抵はその先には様々な形態や様々重度の破滅が用意されている。
 友情、恋愛、家族、社会的地位、その他諸々。参考文献は師匠の書庫の物語とそれに注釈入れてた師匠のラクガキ。

8.空間魔法
 第四階梯。早く覚えたい。師匠のポシェットも隠れ家もこれを常時発動出来る魔法陣で出来ていると推測。
 マナの消費を回収していると言っていたがどうすればいいか、解明しなければ覚えても師匠のポシェットレベルは作れない。永久機関魔法陣も要調査。出来たら怒りの物質も解明して即亜空間に放り込めれば、本能に支配されないで済む……ムリかな。
 追記:感情を抑えて冷静になる魔法があった。ただ問題なのはマナコスト。アーティファクトで国宝級なら着けるだけで済むらしい。

9.失敗について
 失敗をしたことのない人格は挫折を味わうと、そこで心が折れてやり掛けていたことを投げ出す。失敗には次の成功のヒントが必ず隠されている。

____________________
 【ステータス】
 アイルス・プリムヘッツ(7歳)
 弟子初日終わり頃
 ◆才能:
 魔力制御法:Lv 3/30
 魔力最適化:Lv 3/30
 頭脳使用法:Lv 18/50
  ①記憶向上方法(習得)
  ②右脳検索術(閃きとして解答される)
  ③関連記憶法
   (写真記憶、音源記憶、空間記憶等)New
  ④動的空間把握処理能力
   (図形把握、形状把握、軌道把握)New
  ⑤予測演算 New
  ⑥動体視力処理速度連動加速 New
  ⑦夢想実現化演算 New


 ◆技能:
 観察眼 → 見稽古 New
 分析、考察(見稽古に連動)
 高速切替思考処理(処理容量増大中)
 魔力知覚 → 魔力察知マナ・センシズ New
 魔法式改造マジック・カスタム
 ※20日以降に習得する魔法技能
 魔法上級改造ハイ・カスタム混成魔法ミクスド・マジック

 魔術:New
 クリエイト・オブ・サモン・マナ・サークル New
 風の精霊召喚サモン・シルフ

 魔法:New
 ライト
 クリエイト・ミラージュ(ライト派生)
 エクストリメ・シン・レイ・フォトン

 思い込み魔法ボイフ・マジック New
 記憶圧縮メモリ・コンプレッション
 再監者顕現リ・スーパー・バイザー・マニフェステーション
 運動能力限定解除エクササイズ・キャパシティ・リミット・オフ

 ドルイド・マジック New
 植物取込共生プラント・アップテイク・フォー・シムビオシス


 ■登場キャラクター紹介■
 森の魔物たち。
 トレント
  木の魔物。非常に長寿で巨大樹となって
 エーゼルバニア大森林を形成している。
 #__・__#攻撃さえしなければ穏やかな魔物。
  意思の疎通は可能だが、基本的にテレパ
 スが使えないと出来ない。

 風の精霊シルフ
  風にエーテルが集まった、肉体のない意思。
 意思の疎通は困難だが精霊使いシャーマンやエルフと
 は波長があうらしい。
 クフィーリアに至ってはまだ謎。


オマケ
 第四階梯 空間
 ◆みんな大好き空間魔法。
  ど●でもドアやゲートは勿論、瞬間移動
 もマジックバッグも思いのまま。しかし、
 それを使う代償もまた通常は大きく、パッ
 ケージ効率も悪い。かなりの高レベルに
 なっても一日一回発動すればいい方で、継
 続して維持しなければならない術は作るの
 が難しい。マジックバッグなどは作ったと
 しても規模が大きくなり持ち歩き難くなる
 と言う本末転倒で伝説級レジェンドアーティファクト。


 _____
 お読みいただきありがとうございます。
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