マジック サーヴァント マイスター

すあま

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第36話 新サーヴァント開発とマイクロスライム(仮)生態観察

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 奴隷キャラバン、キャンプ地、司祭馬車

 司祭馬車の扉が少し開いて中にインプが飛び込んで来た。直ぐに扉が閉められ、此方を向く。

「アイルス! 生きてたか!って、こんなにになっちまって!」
「ヘル! 遅いよ。後、人の精気見て感想言うな。こっちはもう片付いたぞ」
「仕方ないじゃない! また“凍結”されてたんだし」
「そういう事か。ヘスペリアーは一体何がしたいんだろうな」
「知らないわ」

「じゃぁ取れる対策は一つか」
「一つ? どんな?」
「覚悟しておく事」
「覚悟?」
「向こうは、此方をいつでも凍結と言う無力化をして来ると言う覚悟だ」
「おおぅ。対策でもなんでもねぇ」

「そうする事で次につなげる動作の遅れを回避出来る」
「な、なるほど」
「おまけにコッチの会話は筒抜けなんだろ。対策の立てようがない」
「そこ、問題はそこなんだよなぁ」

「なので、一旦置いといて現状改善に努める」
「あら、前向き」
「ケン、オカマッチョのバイタルどうだ?」
『オールグリーン。記憶の中をチェック中。オカマだけに女性奴隷には手を出さないから商品価値を下げないくて良いみたい。そんな評価だけで司祭になったって』
「……へぇ……」

「コイツ、何? アイルスに因縁つけてた奴だよね」
「うん? 新しいフレッシュ・サーヴァントになった元オカマッチョ司祭」
「え? サーヴァント?」
「うん。サーヴァントだよ」
「気色わりー見た目だな」
「元の体まんまだからね」
「いやいや、意味わかんねーんだけど」

「んー? 俺を捕まえて磔刑した挙句、奴隷全員に投石させて殺して来たから、あのカンテラ熱処分してコイツ自身に位相空間からナノ・アームズ送り込んで脳神経切断して身体だけ乗っ取った。脳味噌生かしてるからオカマッチョは生きてるけど俺の磔刑投石経験をループする夢見てるよ」

「ちょっと、待って理解が追いつけない」
「つまり殺されたから、ちょっと感情的になって倍返ししてるところ」

 片目をギュッと目をつぶって笑って少し舌も出して見せて親指も立てる。

「……うん。お前を怒らせない事にするよ……」
「ま、冗談はさて置き、コイツを殺して、所属関連組織及び親族から仕返しとかされても面倒なので生きてる擬装はして置きたいけどやったことの罪は償って欲しいし。悪魔族には何しても良いって思想で凝り固まってるから止むなくこうなった」

「モノハイイヨウダナー……パパに会いたいとか言ってたくせに随分と逞しくなったもんだね」
「今の状態で会いに行ったら悲しまれるだけだろう」
「まぁ、ごもっとも。すでに大人も手玉にと取れる七歳児だもんな」

「自分で撒いた種みたいなもんだからね。自分で解決したい。ケン、外の連中は何してる?」
『夕食の用意。そろそろ終わるんじゃないかな』
「コイツにだけ食わせに行かせて諸々情報整理するか。ちょっと嫌なイメージ被るけどそれが無難っぽいし、何気にこの馬車快適だし。あ、俺のズボン探さなきゃな」

 ◆

 ズボンを履いて、元オカマッチョを送り出し、今までやりたかった情報の整理して行く事にした。食事は取らないのかって? 癪だけど、眷属化した身体は渇きを覚えるが、マナ・アドプションを常時ケンにかけて貰ってれば気にする程にはならない。

 ヘルが精力と魔力が親密な関係にあってとかなんとか言ってたがまぁ、精力なんて人の魂や身体を通って、魔力に味付けされたみたいな感覚で見てるらしいものなのだろうと理解した。なので今のところは、精力じゃ無くても魔素が吸収出来れば食事問題は完結した。

 そんな事より、今まで時間がなかったのでスルーして来たが、ソード・アームズの視界から見た世界は本当に面白い。
サンド・グレインの時は(サンド・グレインにとって)小さなドングリみたいな変な虫をボチボチ見かけていた。それが(ソード・アームズにとって)大小様々な洗濯カゴ位の虫として見える。

 だいたいスライムみたいなのでマイクロスライム(仮)と呼ぶ事にした。この虫は、スライムと違い、表面を膜で覆って居て、これが破けると体液が溢れて死んでしまうとても弱い生物だ。

 物理的に弱いのに、中々面白そうな特徴がある。特に超過酷な環境下に居たマイクロスライム(仮)は洞窟内土中にてサーヴァント化する際に見つけてきた種だ。土中で何を食べてるのか分からず、試しにスピリット・スキャンしておいた。時間が無かったので並列思考の複製したアーカイブに結果を保存して。

 改めてそこに記されたものを読み解いていく。脳の様な贅沢な器官は持たないが細胞分裂の際に必要な情報伝達方法が明らかになった。ヘスペリアーが見せてくれた遺伝情報のシンプルなバージョンのものだった。エネルギーの摂取方法と運用の仕方、これに沿って生物の捕食、または摂取と種の存続だけが克明に記されて居た。

 規模としては消えそうな程小さなエーテルの集合体で、良くこれでと感心した。これが切っ掛けで、ケン、ギューフ、ウィンに手分けして色んな小さな生物にスピリット・スキャンをかけさせた。

 特に蜘蛛などの四対多脚のスピリット・デバイス・コントロールは器用で面白かった。指で済むことを脚でコントロールしているのは他でも類を見ない。羽虫や信じられない程小さな小鳥なども近くに居たのは幸運だった。

 此れらのスピリット・デバイス・コントロールは、サーヴァントの基本体アーキテクチャを人型から大きく異なる物へと変更することが可能になった。下半身四脚、上半身四碗や、やろうと思えばアラクネ型+四碗+羽付型も可能になったのだ。それで翔べるとか全部の四肢を充然に使いこなせるかはまた別の話だけれど。基本的に多重人格思念リンクして起動させるのである程度の使いこなしは約束されている。

 コレで、多勢労働力の幅が広がった。それは、新たな力を手に入れたとも言い換えられるのだから喜ばしい。早速新しいアーキテクチャを開発する為に並列思考を新たに格上げで増やした。名前はハガル、二イド、イスの三人格。彼らに新しい能力をサーヴァントに与えたい為サンド・グレイン級の新デザインを考えてもらう事にした。テーマは魔力に頼らない飛行能力と輸送能力を備えたサーヴァント。サービスで思考加速を許可して作ってもらう。

 ギューフとウィンはウル、ソーン、アンスールの凍結を解けないか解析と記憶のコピーを頼んだままだ。此方も思考加速を許可した。全体的に魔力量がそろそろ心許ないかな?



 そして、食事が終わりオカマッチョが帰って来る。アイルスの分の食事を持って。奴隷の食事なので日持ちはするが硬そうなパンとそこら辺の野草を摘んで、塩をケチって煮込んだスープだ。

「おかえり。なんだ、持って来たのか。要らないのに……ってそれは不自然か」
『そそ、だからお持ち帰りさせたよ、クリーンの魔法応用して食器以外を丸ごと魔素にしちゃえば良いし』

 ケンにオカマッチョを操らせているのでケンが答えた。
「いや、この世界からに有機物質消したら、軽~くここら一体消し飛ばせる魔素量になるじゃ無いか。エーテルが足りなくなるわっ」

『いちいち細かいなぁ。思考加速や身体強化しながら消費すれば良いじゃないか』
「そこら辺に捨てれば何某かの獣が食べるよ……あ、マイクロスライム(仮)の生態観察に良いかもしれないな。……よしそれ、マイクロスライム(仮)の生態観察実験に使おう」

『実験!?』
「そう。生態観察実験」
『……それって、ディシーズ系の魔法式にマイクロ・エーテルフィルム・プログラム組み込んであったヤツ関係してる?』
「そうそう。そこから疑問に思ってたんだよね。マイクロサイズの生き物がいるんじゃないかって。思い出したのはついさっきだけど」
『思考加速使うか。パン1/4魔素化して』
『なるほど良いね。コッチも物理的に口では対応出来ない速さになるな。マイクロスライム(仮)のコイツらを加速化して今夜中に生態観察しようか』
『ディシーズ系の実験台にオカマッチョ使おう』
『それじゃ、開始だ』

 大丈夫。折角手に入れたフレッシュサーヴァントを簡単には死なせない。それに、ソード・アームズやナノ・アームズに現地調達した材質を使った場合で好んで摂取するマイクロスライム(仮)がいるかも知れない。

 今後もこの生態観察は続けて行かなきゃいけないだろう。



____________________
 【ステータス】
 アイルス・プリムヘッツ(7歳)
 弟子35日目
 ◆才能:
 アカシック・リーディング(無自覚)
 最適設計演算
 魔力補助精密動作筋肉制御
 失敗検証
 検証データ予測演算
 全体統制視野
 外部記憶媒体直接読取
 他種族肉体装置制御 New

 ◆ユニークスキル/ユニーク複合スキル
 魔力最適制御(マジカル・オプティマイザ)
 マジカル・コンビネーション・オプティマイザ:
  Lv 5
 頭脳使用法:Lv 31→32
  (並列処理により上限解除)
  記憶向上+関連記憶→
  フラッシュ・デフラグ・フロー
  動的空間把握処理能力+予測演算+
  動体視力処理速度連動加速→
  フラッシュシミュレータ
  夢想実現化演算→
  ブレイクダウン・マイルストーン
  並列思考限定パラブレイン・オンリー
   技能貸与
   才能貸与
  ※頭脳使用法で纏められているのでLv 表示なし
  ※並列思考に脳は無くともアイルス自身のリソース
   は使えるのでパワーレベリング可能。

 ◆技能:
 見稽古(分析、考察)Lv 2
 標準語(会話、読み書き)
 遺跡語(読み書き)
 精霊語(読心会話)
 コボルド語(会話。物理的な発音は無理)
 高速切替思考処理
 魔法式改造マジック・カスタム Lv 6
 魔法上級改造マジック・ハイ・カスタム(並列連動等)Lv 6
 混成魔法ミクスド・マジック Lv 6
 物理造形設計技術(木材、石材)Lv 3
 研磨整形技術 Lv 5
 ※関節部分の精密さを追求した結果。
 スキルカスタム Lv 5
 魔力察知マナ・センシズ Lv 3
 ※現在使用不可
 並列意識連携処理グリッド・シンク Lv 5
 ※現在使用不可

 ◆魔法複合技能
 ※ケンが掛けられるがアイルスは使用不可
 短時間睡眠術メンテナンス・リブート
 分散関連記憶回収整理処理メモリー・デフラグ・フロー
 共有記憶同期メモリー・シンクロ
 並列複合魔技最適化
 技能分析スキル・アナライズ
 技能複製スキル・コピー
 才能読取タレント・リーディング
 才能分析タレント・アナライズ
 魂装置達人操作スピリット・デバイス・マスタリー New

 ◆独自魔法
 波長ピコクラス電磁波ライト・オブ・エレクトリック・マグネット・スーパー・ウェブ New
 ※不可視光による観測用
 一時水素創造クリエイト・テンポラリ・ハイドロゲン New


 ◆サイズ感比較
 リルナッツクラス:1cm
 サンド・グレイン級old:2~3mm
 サンド・グレイン級new:1mm
 ソード・アームズ級old:0.05mm(50μm)
 ソード・アームズ級new:0.01mm(10μm)
 ナノ・アームズ級:0.0001mm(100nm)

 マイクロスライム(仮)1~6μm

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お読みいただき、ありがとうございました。
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