マジック サーヴァント マイスター

すあま

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第44話 奴隷商会準備と大陸地図作成と母達を追う妹と




「そこ! 何を騒いでいる!」

『サブ治、遅いぞ』
『彼女が何か言いたげだったので発言を待ってみました』
『あぁ、羊の?』
『大分前から、チラチラとオリジナルを見ていましたし』
『なるほどね。でも、全員売り払って身を軽くしてから襲われ待ちの指針に変更はないよ』
『分かってますよ』

 サブ治ことラキムゲルがやっとお出ましだ。さて、一発ショッキングなシーンを演出して黙らせれば、今後、下手に絡んでこない筈。

『いっちょ頼むぞ、サブ治』
『任されましたよ。ケン、痛覚遮断を』
『分かってる』

「ふむ、どうやらこの騒ぎの中心はお前ですね」

 オカマ司祭と口調が違うなぁ。まぁ良いか。どうせ乗っ取ってることを隠すことなくなるしな。……って皆の顔が面白いくらいラキムゲルの変わり様に動揺してるな。

 サブ治がいきなり右手を振り上げてこちらの左頬を平手打つ。勢いに逆らわずに右へ傾き、咄嗟に地面へ両手をついて倒れる。口の中を切ったらしい血の味が口の中に広がって口から垂れた。サブ治を睨む。

『ちょっとやり過ぎ』
『組織併合も血液作成の仕方も提出した資料にありますよ。肉体再生フィジカル・リジェネレーションは既に手に入ったも同然です』
『まぁ、それ多分要らない身体だけどな』

「何ですか、その目は。お前たちもです。誰に逆らおうとしているのか今一度知りたいのですか!?」

 それを聞いて奴隷達は黙った。それほど強制力による支配が強く嫌なものなのだろう。サブ治がこちらに向き直る。

「貴方には再教育が必要ですね。連れて来い」
『悪者っぽいぞ、おまえ』
『恐怖政治仕様にしてみました』
『それ、必要か?』
『売られるまで彼等に見下されるガス抜きにされるよりは、同情を誘った方が楽でしょうから。貴方は我々と違い生体脳の本能を持ってしまってますからね』
『いや、その心遣いが既におかしいからな?』
『この思考も元は貴方のもので、数万年程の時の中でトライ&エラーを繰り返して獲得した我々の財産ですよ。因みに群れて子孫を残すプロセスがないので異性獲得に必要な“見下し、蹴落とす"本能を組み込まずに生体脳に近い"感情"プログラムの確立に成功できました』
『……苦笑いしか出てこないよ』
『睨んでた顔の口元が少し歪みはじめてますよ』
『おっと。演技、演技』

 高速でテレパスしあった後に、元の時間に戻って御者達に立たされてラキムゲルの馬車に連行された。サーヴァント達の視界でそれを見送る奴隷達を確認し、何となく羊娘の顔を見ると心配そうにしていた。他は心配が一割か無し、自分でなくて良かったの安堵の顔が濃い感じだ。俺は羊娘を除いて、心置きなく売りに出せるなと思ったのだった。
 
 ◆
 ※次の◆まで読み飛ばしても特に問題はありません。

「あんまり問題起こすなよ」

 熊の御者が馬車の扉を開いて、体格の割に優しく背中を軽く叩いて来た。それを視線のみ送って返し、馬車へ入ると扉が閉められた。

「アイルス、早かったね、これ手伝って!」

 馬車に入って鍵をかけられるなりヘルが泣きついてきた。いや、書類に目を通すだけの簡単なお仕事ですよ? 何も難しく考えなくてもどんどん採用しちゃえよ。ほぼほぼ有利にしかならない提案なんだからさ。中身理解しておかないと使いこなせないものばかりだけどな。と一瞬考えた。

「まぁ、目を通して損はないと思うよ。ヘルも新しい魔法とか使える様になると思うし」
「オレ様既に強いから別に必要ないんだけどな」
「あー、はいはい、読んでおいてね」
「鬼! 悪魔!」
「はいはい、まだ成り立てで日の浅い悪魔ですから容赦しないよ。先輩悪魔」
「ぐぬぬ」

 そんな事より、ヴィヴェルム制空権部隊とヴェシュピンネ地上部隊をさっさとロールアウトさせて師匠と繋ぎを復活させる為にゴーサインを実行承認させないと。その資料に承認っと。

 直ぐに受理されG.I.Aがプロトタイプを作成させていく。何このオートマチック感。前よりスムーズに情報伝達とか色々なされて行く。あぁ、俺の手を離れても大丈夫かも知れない。などと考えてしまう。10分と立たず三騎のヴィヴェルム、三十騎のノーシェ・ファルコが組み上がり、制空権獲得の為に上空へ旅立った。更に三騎のヴェシュピンネと三十騎のトレ・アーギが組み上がり、三方向へ飛び発った。生産ラインも今までの比でない位に整備されてるから組み上げまで早い。

 トレ・アーギにはそれぞれ十騎のソード・アームズ・アーゴ・レジェロ・フレームを搭載するとあった。これにも即承認して追加発注させた。アーゴ・レジェロは現地にて組み上げる方針だ。既にこの森の魔力は枯渇が近い為に余り多くを生産出来ない為だ。

 元々ソード・アームズはその小ささから移動が困難であり、その解決策の一つとして可変を想定した関節を有している。フレーム換装も容易だ。

 トレ・アーギ・フレームは小回りの効く三本の槍(サイズ的には針)をまとめた飛行形態で対してアーゴ・レジェロ・フレームは直進加速重視の一本槍に四つの推進デバイスを備えた形態に変形する。変形の際には両肩から先は位相空間へ収納してしまうが……魔術変形様々である。

 トレ・アーギのフレームは寧ろソード・アームズの発展であって新規フレームではない。さらにヴェシュピンネの人型では無い構成も胴体フレーム以外ソード・アームズのフィードバックだ。

 そして地上部隊の三方向それぞれの空の旅は快適だった。大きさ故に森の上程度の上空30m付近を滑るように進んでいる。朝日に照らされた森の上空からの視界にしばらく目を奪われた。

 40km地点で背のトレ・アーギが離脱、ヴェシュピンネ進行方向に対し1時半、4時半、7時半、10時半に二騎ずつ、前後に一騎ずつ簡易カタパルトから飛ばす。

 ヴェシュピンネは更に80km地点で一旦停止しトレ・アーギを作成し、三十二騎作成した時点でヴェシュピンネとアーゴ・レジェロの作成を開始後、十騎を四方へ向かわせ、十騎を搭載し、次の地点へ向かう。

 トレ・アーギはそれぞれの拠点を10km程の地点でヴェシュピンネ、トレ・アーギx10、アーゴ・レジェロx100を構成し、大本命のナノ・テレパス・リレイを2.5km毎に撒いて行く。本日中にはこの大陸の地図が手に入るだろう。

 やろうと思えば大陸の好きな場所を観光気分でアーゴ・レジェロをソード・アームズ形態で散策することも可能になる。そこら辺の砂と魔素がある限り。

 一刻も早く、エーゼルバニアの深き森に辿り着き、ドル師匠と再会を果たしておきたい。

 ◆

 ~アイルスが昏睡状態から目覚める前の頃~



 お母さんとクリスティお姉ちゃんがアイルスお兄ちゃんを探しに出かけてしまいましたでし。マルシェラが小さいからお留守番を言い渡されたので連れて行って貰えなかったのでし。

 お父さんは、弟たちのご飯の用意。応援に駆けつけてくれた隣のマーガレットさんも弟達を見ています。チャンスは今しかないでし。お手伝い出来なくてごめんなさいでし。……でも、クリスティお姉ちゃんが心配でし。だから、敢えて行動する事にしたでし!

 村の入り口まで走って、お母さん達の匂い、足跡、後雰囲気的な何かを追っていくでし。
 その時、反対の街に続く街道から誰かが走って来たでし。お父さんでしか? 振り返る。

「おーい、マルシェラ! どこ行くんだい?」

 確か、ジルドレと言う、すごく上のお兄さんで昔に家から出てった人でし。あまり顔を覚えて無いのでしが、雰囲気とニオイがそう訴えてくるでし。


____
 ■登場キャラクター紹介■
・マルシェラ
 種族:ラビットマン・ハーフ(4歳)
  女の子。物心がついたばかり。耳と尻尾以外は人間
 そのもの。意図的に教会から隠されている。獣人の血
 が人間では考えられない強靭な肉体と成長性を齎しもたら
 いる為、見た目より丈夫。でもラビットマンなので、
 主に脚力に注がれており且つ、ちんちくりんな背丈。
 教会に捕まったら敬虔な信徒の化けの皮を被った変態
 紳士が黙っていないだろう事は想像に難くない。
 ユニークアビリティ:ハイパー・ピッキング・アップ
  五感で感じられる感覚の中で取捨選択と更に鋭敏に
 捉えられる能力。

・ジルドレッド
 種族:人間(16歳)
  アイルス達の兄で冒険者となる為に旅立った。
 自称転生勇者を吹聴する残念な兄。
 実は大陸のダンジョンをソロ巡りする実力者。の筈。
 頭脳:普通、運動能力:そこそこ、やや脳筋、魔力に
 至っては恵まれておらず、ファイアボールなら一発が
 限度のMP程度。色々な魔道具を揃えているらしい。
 ユニークスキルに目覚め、その前提条件にペナルティ
 を背負わされている。 


_____
 いつも、お読みいただき、ありがとうございます。
感想 4

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