マジック サーヴァント マイスター

すあま

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第66話 サンプル・フォーミュラ ケース"クロニクロ"

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読みに来てくださりありがとうございます。応援のほど、よろしくお願いします。
今回はネタバレ回です。話的には進みません。読み飛ばして頂いても結構です。


時は少し遡る。



ズドッ

 受け流された大剣が斜めに地面を穿った途端、その声は、頭に直接響いて来た。
『失礼いたします。大剣使い殿、突然のテレパス・コンタクトお許しいただきたい』
「む!?」
『我はガイアG.I.A失われし神の一柱ひとりの名を与えられし、偽りの魂群、その一つNo.9662966……そうです、ね。クロムニクロムとでもお呼びください』

「なんだ! 何を言っている!?」
「幻聴デモ聴コエタカ? 随分ト余裕ダナ?」
『更に失礼。精神接続マインド・アクセス、#魔素子変換補助外部拡張開栓__エーテル・コンバート・エクスターナル・エクステンション・オープン#、#処理助速開始__クロックアップ・ヘルプ・スタート#』

 初心者向けの初歩の初歩と言う配慮がなされ、比較的ゆっくりと思考加速していく大剣使いへの加速プロセス魔法式。

『さて、これで、それなりにゆっくり話が出来ます』
『なんだ、これは!?』

もはや口が回らないどころか、体を動かそうにも何倍もの負荷がかかり動かせない。

『そんなに慌てなくても大丈夫です。まずは落ち着いて話を聞いていただけないでしょうか?』
『お前は何なんだ! これは、何の魔法だ?』
『先程名乗った通りガイアのNo.9662966と申します。あなたが庇ってくれた子を加護している者です。そうですね。精霊みたいな物と認識していただければ結構です。魔法はオリジナルです』

『は? え? ガイ? 長い! まぁ、よい。そこの少年を加護しているのか?』
『えぇ。していますが、今回の目の前の勇者は、脅威です。苦戦してるあなたの助力をしようかと思いまして、ね』
『得体の知れぬ奴の力など……』
『弟を兄に殺させる外道がまかり通る現実を貴方は阻止しようとしているのですよね?』
『む? うむ……』

『自らの組織の末端とは言え、行ったことの責任も取らず、ただ、悪しき者だからと盲信し、罪なき幼児オサナゴの命を刈り取るを良しとする。半獣人の奴隷を解放する意図はそれをさせないためでしょう?』
『そうだ』
『なれば、我々の力の一端を受け取るに値する志と判断しました。この申し出が悪魔の囁きにでも聴こえますか?』
『何故今なのだ! 何故もっと早く他の奴隷にされた子らを救えるタイミングで出なかったのだ!』

『それは、私にとって、今まさに兄に殺されようとしている少年が特別だからです。私は残念ながら神ではありません。神に等しい見せかけは出来ても神足りえないのです、よ。あぁ、だからと言って神に弓引く者でもありませんよ。デコグリフ教の闇になら喜んで浄化の煉獄を提供しますが、ね』
『教会の闇以外には?』
『世界を救おうとお好き、に。感知する気はございません、よ』

『胡散臭い』
『了解しました。残念ですが、交渉は決裂でよろしいです、ね?』
『ま、待て!』
『はい。胡散臭いガイアのクロムニクロムです、が、何か?』
『悪かった』
『おや、お早い謝罪です、ね』

『なんだか、喋り方と言うか語尾が……』
『あぁ、お気になさらないでください、な。ガイア内認識用の即興キャラ口調です、ので』
『即興?』
『ええ、お気になさらず。では、力を貸して欲しいという事で、よろしいてす、か?』
『頼む』

『お名前を伺って、も?』
『カシウス』
『ありがとうございます。私は、ガイアよりカシウス様専用に派遣されたNo9662966です。クロムニクロムとお呼びください。私の役目についてご説明します。貴方の肉体のまで引き上げます、ね。肉体強化をその上で行います。人の素体でリミット・オフ前提のを今から行います。これによりカシウス、貴方は今までより早く動けるようになり、疲労もしにくくなりますがこのモードの乱用は控えて下さい、ね』

『どう言う事だ?』
『位相空間で貴方の身体の血管やリンパ線に沿ってマテリアル・ルート・ネットワークを構築し絶えず壊れた細胞を素早く交換する事ででハイパフォーマンスの継戦力を保ちます。つまり、長く力強く戦えるようになります、ね』
『ちょっと待て、なんだかよく分からんが怪我も故障も瞬時に直してくれるって事か?』

『はい、そのように申し上げました、よ』
『その上で肉体強化なんか出来るのか?』
『ああ、それはマテリアルの使用時間延長のためにかけてるだけ、です。いずれは出来るようになると思いますがまだまだ扱えるのは数千分子レベルの塊です、ので、分子の結合部のみの修復が出来ません。その為に管理ブロックの電子の結合にかかるダメージを、電子励起させ強制放射冷却により、視覚域外の光に変え隣の分子へ分散させるのを瞬間的に繰り返しているだけです。ダメージ許容には限界がありますから多少の衝撃に強くなるだけとお考えください、ね』

『ひとっっっっつも判らん』
『多少の運動やダメージにも無傷で居られます、が、ダメージは溜まっていくので、念頭に置いてください、な』
『む。だが、直ぐに治せるのであろう? 実質無敵ではないか?』
『あくまで身体を動かすのはカシウス、貴方自身で、それも普通の人の身体です。鉄をも溶かす熱量の攻撃を喰らえば死に至る事もあるのです、よ』
『なるほど、過信は禁物、普段から鍛錬は必要というわけか』
『まぁ、そういう事です、ね。では、あのイケスカナイ勇者と天使を退治してください、な』

 そうして、カシウスは最強クラスの冒険者の切符を手に入れたのだった。

 ◆

『『ありがとうございます。私は、ガイアよりカシウス様専用に派遣されたNo9662966です。クロムニクロムとお呼びください。私の役目についてご説明します。貴方の肉体のまで引き上げます、ね。……』
『大剣使い、個体名[カシウス]のサポート受諾を確認』
『オリジナルのを確認』
『No.9662966グループ"アルファ"へサポートを開始せよ』
『こちら、No.9662966グループ"アルファ"、コマンド・アクセプト』
『コレよりNo.9662966グループはカシウス専用"クロニクロ"と呼称変更』
『クロニクロの有用性をこの場に居る全員へ示し、存在意義を、女神へ対抗する力の確立とし、宣言せよ。虐げられし者の声を握りつぷさせるな』

『カシウス、素体状態保存ベースモード・セーブ無制限定則フォーミュラ・オブ・アンリミテッドに基づきアンリミテッド・モードへ移行。ヘルスチェック:ベース、チェック。ボディ・マテリアルズ:チェック。エーテル供給率やや不足、ベース側オールグリーン、アンリミテッド・フォーミュラ・システム、Run!』

『外部記憶へカシウスの人格を複製完了、強制並列思考、起動。複製側思考加速ミリセックへ設定。ブリッジ・リンカー、クリア。ナノ・フレーム配給に3%の遅れ。シークエンスを100ピコセック、スタック。血管内乳酸、位相空間へ排除完了。感情物質制御、オールグリーン。初撃後の筋繊維交換準備完了。体内不要物質回収完了。マテリアルコンバート順次開始。不足物質ミネラル多数、周辺の土から取得。更新アップデート行けます』


____
いつもお読みいただきありがとうございます。
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