マジック サーヴァント マイスター

すあま

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第67話 新興宗教"ガイア"のでっち上げ

読みに来てくださりありがとうございます。このところ、長らくお待たせしています事、深くお詫び申し上げます。この物語だけは完結させたいので応援のほど、よろしくお願いします。
それでは、お楽しみください。

 ◆

「勇者を……やめる?」
「あぁ。弟殺しなんかにはなりたくないからな。降参だ」

 身体を街道から離れた下草の上に横たえ、虫が這い上るのも構わぬまま、武器を手放し、仰向けで両手を挙げて敵意の無いポーズを取るジルドレッド。彼はアイルスに目配せした。

「ジル兄、あの天使とかに乗っ取られてたのですよね?」
「あぁ、いや、勇者の祝福を受けてから、悪魔族は絶対に倒さねばならない強迫観念を植え付けられていたと、考える方が妥当だろう」

『なんと。張っておいた網に、掛かっていたのはこれほどの知性の持ち主とは』

 この台詞に突然割って入って来たヘスペリアーはテレパスでイキナリの爆弾発言をして来た。

『兄は知性より感性寄りですよ』
『感性で得た入力を分析して己で回答を得るのもまた、知性よ。現にデコグリフ教会の闇に染まっていた事を正確に捉えて、現回答を出しておる。そう兄を卑下するモノではないぞ。網を張った甲斐があったものよ』

 アイルスは、冷静なツッコミで返すが、ヘスペリアーはそれに被せて理論展開とジルドレッドの意思または魂と記憶に関与するなんらかの黒幕を匂わせる。しかしアイルスはそれを些細な事と判断し聞くべきことをジル兄に問う。

「では、ジル兄。勇者であった事で起こした現状の騒動に対して、この後どう行動するつもりですか?」
「へ?」
「先程、アヤカって人には謝罪してましたが、操られていたとはいえ、今この場で多大な迷惑の発言をなさっていた事に対する謝罪をしていません」
「操られてたんだから仕方ないじゃないか」
「そうですね。では、例え話をさせてくださいジル兄、ここが魔王領で純粋な魔族であるにも関わらず人間との混血児の疑いから奴隷に落とされました。理由は人間の血が混ざっているからです。そして、魔王領の人間が徒党を組み奴隷解放運動のおり、助けられます。そこへそれを阻止しに来たが単身乗り込み馬を引っ掻き回して返り討ちに遭いました」
「その例え話って要するに人間と悪魔族の立場を入れ替えてるだけのこの状況だよな?」
「まあ、そうですが、ここで質問です。よく考えて答えください。魔王領で奴隷にされて解放される際にその邪魔をしに来た英雄に対するジル兄から見ての感情はどんなモノでしょうか?」
「許し難い間抜けな存在? つまり俺が?」
「そうです。つまりはこの場のアヤカさん以外がジル兄に抱いてる感情がそれなんです。ジル兄が勇者であった事で自動的に得て居た教会関係者の信用は、この場にいる方々には真逆に働き、降参すると宣言したところで彼等から助力を得る事は到底不可能です。まして、この後、社会的には僕を母さんのとこに送り届ける義務がジル兄にはありますが、教会に目をつけられた僕をどの様に送ってくれますか?」
「そうだ! 教会はアイルスを殺す為に騎士団を派遣しに来ている! 明日の昼前にはこのままじゃ遭遇してしまう! 直ぐにキャラバンを引き返して山を迂回するルートへ逃げた方が良い! カシウス殿! 奴隷解放軍の方々!」

 それまで、まるで寝起きの様な上体を起こしただけの態度だったジル兄が曲芸師もかくやと思わせる見事なジャンピング土下座をかまし、その場にいる全員の度肝を抜く。

「先程の操られていたとは言え、教会の奴隷思想に染まり、無礼な発言の数々、お詫びします! どうか、弟、アイルスの為に教会から守るのを手伝って下さい!」

「ジル兄。やれば、できるじゃないですか……ええと、カシウスさんでしたっけ?」
「あぁ。そうだ」
「本当はこうなる前に両親の元へ帰りたかったのですが、既に手遅れでしたので申し訳ないですが僕らの事情にお付き合いください」

「まぁ、それは元よりそのつもりであるが?」
「教会は何故か僕を悪魔族として且つ魔王の覚醒因子だとか謎の認定しました。必ず封印ないし、僕の死亡を確認しない限り諦めないと思います。それは同時に僕を守るという事は悪魔族に与する者として奴隷解放の比ではない命のやり取りが待っていることを意味します。出来るだけ穏便に済ませたかったのですが仕方ありませんね……」
「それは、教会に狙われた賞金首の額が上乗せされるだけで、どうって事ではない。捕まれば異端審問の後に魂が穢れているだの抜かし「死」あるのみだ。宗教とはそういうモノだ。慈悲深き行いを強要しながらも異端者への弾圧は筆舌に尽くし難い。それを見てきて私はここにいる」

「そうでしたか……あなたを選んで良かった。G.I.Aガイアの意思と在らんことを。奴隷にされた方々、及び奴隷解放軍の方々も今決めてください。教会と戦うか、逃げるかを」

 ー取込み中失礼して良いかの?ー

 木々のざわめきを無理やり音声にしたかの様な、それでいて優しい聴き慣れた声が辺りに響いた。

「師匠!」

『今更!』
『ほう、此奴が我が愛息子の師匠か』
『ヘル黙ってて、ヘスペリアーも。あと僕の母は貴方じゃない』
『ツレぬ返事よのぉ』

 ほぼ全員が展開に置いてかれつつある中、 身内がテレパス内で騒めき散らす。

ー表舞台からは引退した身故、秘密裏にしたかったのぢゃが奴隷解放軍が絡んでは、収束まで手を貸さねば多くの血を見かねんー
「申し訳ありません。師匠。お手を煩わせる事なく済ませようとしたのですが」

『アイルスは悪くないわ!』
『言うたであろう? 人間の醜さ解くと目の当たりに出来たろうて、"探究者"がここで登場とは中々のシナリオで愉快ぞ』
『ちょっと二人とも黙ってて』

ーいや、ジルドの暴走を大人の力を借りてであるが沈静化は見事であった。声だけで済まぬの、深き森の盟約により外へ出られぬのぢゃー
「やはり、見ておられたのですね」
ージルドよ、良くぞ呪縛を解いたのー

「え? あ、いや」

ー言わずが良い。母君には伝わっておる。"ラド"を介してジルドの改竄された天使のカメラをハッキングして一部始終を見させてもらった。カシウス殿、我が愛弟子の味方をしていただきカタジケナいー

「いや、天使に勝てたのは、そこな少年の加護とやらが……」

ーみなまで、言わないでくだされ。実力の話ではなく、人間の明確な味方の居ない状況下で弱き者の味方になろうとする心と#七人__・__#しか居ない軍の効率の良い奴隷解放の為の撤退準備ともしもの時の為の囮役を切り捨てる覚悟も不躾ながら観させていただいたのぢゃ、アイルスよ。ガイアの加護の恩恵を開示しても良いのではないか?ー

 師匠の声のざわめきの後、テレパスライン内に師匠が語りかけて来る。
『一部で良いぞ。それでも火種には変わりはないが力の源をガイアの所為にしてあとは隠せば良いのぢゃ』
『ジジィも偶には気が効くのね』
『クックッ、"探究者"も"調停者"の目に気付いてると見える』
『よもや、悪魔族の幹部までもが我が愛弟子の虜とはの。長生きはするもんぢゃ』

「分かりました。超古代女神ハイ・エンシェント・ゴッデスガイアは、現代に魔法科学を齎せる為に復活した神です」
「は? それは、教会に邪教徒と言われかねないのでは?」

 カシウスが驚愕の表情でアイルスを見た。

「ですが、その力の一端を既にカシウスさんは契約の上、体験しました。それに"生きとし生ける者に慈悲を"が思想です。"邪教"と言うのは違う思想の宗教を指す言葉です。言葉と言うより単語の定義は正しく理解しないと誤用が多くなり誤解を生みます。人は信じたいモノを信じてそれを真実と認識します。デコグリフもガイアも奇跡を現実に起こせます。デコグリフは光の民を、ガイアは人権を護ります。貴方にとってガイアはデコグリフと比べて信じるに値しますか?」
「……くっははは! 人権! 人権とな! 十分であろう! ガイアの慈悲こそ我が本懐也!」


____
いつもお読みいただきありがとうございます。
感想 4

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