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第71話 モブ達の慟哭
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読みに来てくださりありがとうございます。私事で長らくお待たせしています事、深くお詫び申し上げます。この物語だけは完結させたいので応援のほど、よろしくお願いします。
それでは、お楽しみください。
◆
「イトベだよ。最後の日に巻き込んでごめん。あと、逃がしてくれてありがとう」
前世の面影などない美少女に、ふとした仕種の所為かそれとも雰囲気がイトベを思い起こさせた。
「!? イトベ? 本当に?」
にわかには、信じ難い偶然に女神の意思を感じ、直ぐに合点が行った。そんな二人に置いてけぼりを食った無才を体現しつつも、ベテラン冒険者然とした戦士、盗賊、魔法使いの三人が少しでもあやかろうと声をかけた。
「なんだ? ……お、おい、知り合いなのか?」
「ん? ああ、そうだな。知り合いだったな。で? 新人だが、私の知り合いに何をさせたかったんだ?」
「い、いや、俺たちは別に……」
「そ、そう、遊んでから娼館に売ろうなんてコレッポチも思ってねーよ」
「どうして、お前は語るに落ちるかな!」
「おい、受付!」
「姐御!?」
「それ、わざとやってんのか? だとしても酷い冗談だし、笑えない冗談なら、奴隷商人と大差のない事だ。取り締まられる覚悟あってのことだよな?」
「へ、へへっ嫌ですぜ、姐御」
「如何されましたか、ジェシカ様」
ギルドの制服である青いエプロンドレスを着こなし、颯爽とした動作でカウンタードアを開いて来た受付嬢のハンナマリーが目の前の問題に関わりたくない言種で対応する。
「懲らしめて痛い目に遭っただけじゃ懲りないと見た。新人狩りとして監視をギルドに依頼するが良いな?」
「ちょっ! そりゃないぜ、姐御」
「知らん。拒否権は無い。疑わしければ罰せよよりは軽いだろ。甘んじてうけろ」
「はっ! お前らはイイよな! 特殊な能力持ちで特別でチヤホヤされてよ! 俺達みたいな奴らの気持ちなんて考えもしないで、ただ上からやれ正義だ法だって押し付けて努力が足りないだの馬鹿にしてよ!」
三人のリーダー格の戦士が堪忍袋の緒でも切られたかの如く食ってかかった。
「おい、やめとけよ、ここで突っかかっても……」
「お前、悔しくないのかよ! なんの才能も見出せない、お前らの残りカスみたいな人生でも痛みも寂しさも悔しさも感じるんだよ!」
冷静に止めにかかった魔法使いもそれを聞いて、ふと自分の手を見やる。
「なんでそんな俺らの揶揄う程度の小さな楽しみも簡単に奪う癖に正義面が出来んだよ!」
これ以上はマズいと仲間達に引き下げられる慟哭者は、下がりながらもジェシカたちを睨みつけた。
「恵まれなかったのが自分だけだと思うな。確かに私たちに女神は微笑んだのだろうさ。だが、だからと言って嫉妬の腹いせに弱き者の自由を奪うのはお前らの自由の権利に含まれて良い道理は無い」
「お前らも否定され続けて見ろよ。努力しても報われない傷みを知って見ろよ。その時同じセリフを言えるのか見ものだな」
「行こうぜ」
ジェシカも前世をそのまま生きて居たらあの様に捻くれた大人になって居たのかもしれないと思わず考え、女神から授かった能力に改めて感謝した。
「ジェシカ様、あの者たちの監視確かに承りました。先払いで一人につき、監視一日1グシートです」
「な、高いな」
「治安にもお金がかかるのですよ。タダだと思ってましたか?」
「元居た国では税金で賄って居たからね」
「なんと高い税を納められて居たのですね」
「高い……親が治めて居たからな気にもしてなかった、まぁ、その後治安の悪い地域に居て誘拐されかけたが」
「ジェシカ様が、誘拐?」
「私だって、最初から強かったわけじゃないさ」
「スノーでも、そんな時があったんだね」
「ジェシーでいい。そっちの名前は実家の名前を名乗りたくないからつけただけだ」
「あ、じゃぁ私はキャシーで。いいなぁ。貴族だったんだ?」
「今は違う。それよりハンナ、監視の件は保留でいい。たまに監視してるぞと脅せば良いだろうから。後ちょうど良いから、キャシーの所属変更と私とのパーティー登録を頼む」
「この子がジェシカ様と?」
「やっと来た私の神託のパートナーだ」
言いながらニヤリとキャシーの肩を抱き寄せた。
◆
そこから、彼女達の冒険が始まるが、最初は全くと言って良いほど上手く行かなかった。キャシーの職業はビーストテイマー。なのに毎回動物は彼女に懐かず弓を練習する日々だった。
支援として選択した弓は的中率は三割当たれば良い方で、期待の新人と謳われただけに評価は裏返る一方だった。しかし、パーティーを解消する選択肢は二人にはなかった。それと言うのも、与えられたスキルの期待度に対しての恩恵が余りにもかけ離れすぎていた事が疑問として二人にはあったからだ。
ここの所、クエストのグレードをキャシーに合わせたパワーレベリングにした上でギリギリ受けられる二段下の"ゴブリンの間引き"と言ったカッパーCランクの駆出し向けの簡単なクエストだった為、それ相応の食事にしていた。
二人は、安い食堂で作戦会議を今日もする。
「兎に角、私の尻の穴が増える前に命中率だけでもなんとかしよう…仕留めなくとも足止めさえ出来ればいいから」
「ゴメン、でも今度は私が足止めか」
「ん? ああ、そうだったな」
サイダーでイトベ現キャシーの母を足止めしたのが思い出されノスタルジックにジェシカは微笑む。
「孤児院では、キャシーの能力使ってたんだろ?どんな使い方だったんだ?」
「……嫌いにならない?」
「あのなぁ、与えられた能力をどう使おうと個人の自由かもしれないけど、今二人で力を合わせないとこのままじゃ先細りで干上がりかねないんだよ。それに俺だって褒められた使い方してねーよ。ぶっ飛ばすしか能のないスキルだしな」
「うん。私の能力はビーストテイマーなんかじゃないの。情報を共有する能力なの。いいえ、一方的に収集してたからあらゆる情報を管理支配って言った方が正しいかも。だから目や耳はたくさんあった方がいいけれど、処理能力が追いつかないから、虫や鳥の情報を扱うには脳みその容量が少し足りない。動体視力と運動神経を使いこなせる人が最低、二人は欲しい。そんな能力だから、徒党は組みたいけど……」
「支配下における奴か信用のできる奴じゃなきゃとてもじゃないが使いこなせない能力ってことか? 厄介だな……て言うかイトベだった頃はぼっちじゃんか。どうやってそんな能力使いこなしてたんだ? いや、発現してなかったのか?」
「実は、孤児院で流行ってたゲームで……」
◆ ◆ ◆
「つまり、言い寄ってくる奴の暴露されたくない情報を片っ端から握って支配下に置いてたって事か?」
「だって、何されるかわからないもの。表面上の情報しか拾えないし、男だったせいか男の子達にも大人の男にも、その、恋愛感情感じなかったし、ジェシーは優しいから、知られたくなかったけど、このままじゃ、ますます一緒にいられないと思うし……」
ジェシーは、キャシーのうるうるし始めた瞳にやられて、頬を染めながらもどうにかアドバイスをしようと口を開きかけた。そこへ……
「おやおやぁ? あんだけ御立派な勇者候補様がこんな所でなぁにしてんですかねぇ?」
「なんだ、お前らか……」
「姉御ぉ、随分な挨拶じゃねぇですか? 聞きましたぜ? 新人ちゃんが全く使えない勇者候補様だって」
「勇者候補様が全否定とか俺たちの気持ち分かってもらえましたかねぇ?」
「お前らは乗り越えて今なんだろうが。キャシーは今どん底なんだよ、追い詰めるんじゃないよ……それより全否定されても、なお、この生き方しか選ばなかったお前らは、明日暇だったら面貸せ」
「へ?」「んあ?」
「キャシーの能力の為とお前らの監視を兼ねて明日パーティ組んで、放置されてるゴブリンの巣穴に根こそぎ退治だ。キャシー、コイツらを使い熟せ」
「ええ!?」
「大丈夫、孤児院と同じ様にすれば良い」
「ちょちょちょ、何勝手に決めてんだ」
「美女二人とパーティー組めるんだ。組みたかったんだろ?」
「自分で美女とか言うか! そりゃあ、お酌やら夜のお相手がありゃって話だ」
「お前ら、鏡見てから考えろよ。その身なりで良くそんなこと言えるな」
「うるせぇ!」
「分かった、他のパーティーにするわ。悪かったな。もう行っていいぞ」
「舐めてんのか!」
「……まず話を整理しようか。パーティーと言わず、純粋な戦力で誰が一番強いのか、分かってるよな?」
「ぐっ、姉御が一番強い」
「で、その俺様はパートナーを強くしたい、その為にはある程度手駒が必要だ。はっきり言って誰でも構わない。問題があれば俺様が解決するからだ。コッチは雇ってもいいと言ってる。報酬は生活の向上、その他生活水準が上がる工夫の方法など見込んでいたが交渉前に私に対してなんと言った? まあ、どうでもいい。つまるところ私に交渉させる気を失せさせた。理解したか?」
「う、ぐぬ」
「交渉前から拒否したんだ。嫌なんだろ? こちらが譲歩することはもうない。話は以上だ。他のやつを当たるから行っていいぞ」
「ちょっと、質問良いすか?」
取り巻きの様に居た、顔色の悪い魔法使いが聞いて来た。
「なんだ? 言ってみろ」
「生活水準ってのは、つまりカッパーA止まり存在しないシルバーD級止まりなんて影で呼ばれてたの教えてくれたのは姉御っス。その姉御が教えてくれるって言ってたのはシルバーCへ上がるためのノウハウって事であってるっすか?」
「なんだ、そんなこと覚えてたのか。概ね合っている。お前らそこの戦士に交渉役とかさせない方がいいぞ盗賊か魔法使いの方が断然損せずに済む」
「俺がこのパーティーのリーダーなんだよ!」
「ボスがどっしり背後で構えてるパーティーだっているだろう」
「ぐぬぬ」
「で、そっちの魔法使いが交渉のテーブルに着くならさっきの話の続きをしてやってもいいぞ」
※ジェシカの名誉の為、救助した騎士団長が誘拐されかけた事にしてくれたので、公式では誘拐されかけた事になっています。
____
いつもお読みいただきありがとうございます。
それでは、お楽しみください。
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「イトベだよ。最後の日に巻き込んでごめん。あと、逃がしてくれてありがとう」
前世の面影などない美少女に、ふとした仕種の所為かそれとも雰囲気がイトベを思い起こさせた。
「!? イトベ? 本当に?」
にわかには、信じ難い偶然に女神の意思を感じ、直ぐに合点が行った。そんな二人に置いてけぼりを食った無才を体現しつつも、ベテラン冒険者然とした戦士、盗賊、魔法使いの三人が少しでもあやかろうと声をかけた。
「なんだ? ……お、おい、知り合いなのか?」
「ん? ああ、そうだな。知り合いだったな。で? 新人だが、私の知り合いに何をさせたかったんだ?」
「い、いや、俺たちは別に……」
「そ、そう、遊んでから娼館に売ろうなんてコレッポチも思ってねーよ」
「どうして、お前は語るに落ちるかな!」
「おい、受付!」
「姐御!?」
「それ、わざとやってんのか? だとしても酷い冗談だし、笑えない冗談なら、奴隷商人と大差のない事だ。取り締まられる覚悟あってのことだよな?」
「へ、へへっ嫌ですぜ、姐御」
「如何されましたか、ジェシカ様」
ギルドの制服である青いエプロンドレスを着こなし、颯爽とした動作でカウンタードアを開いて来た受付嬢のハンナマリーが目の前の問題に関わりたくない言種で対応する。
「懲らしめて痛い目に遭っただけじゃ懲りないと見た。新人狩りとして監視をギルドに依頼するが良いな?」
「ちょっ! そりゃないぜ、姐御」
「知らん。拒否権は無い。疑わしければ罰せよよりは軽いだろ。甘んじてうけろ」
「はっ! お前らはイイよな! 特殊な能力持ちで特別でチヤホヤされてよ! 俺達みたいな奴らの気持ちなんて考えもしないで、ただ上からやれ正義だ法だって押し付けて努力が足りないだの馬鹿にしてよ!」
三人のリーダー格の戦士が堪忍袋の緒でも切られたかの如く食ってかかった。
「おい、やめとけよ、ここで突っかかっても……」
「お前、悔しくないのかよ! なんの才能も見出せない、お前らの残りカスみたいな人生でも痛みも寂しさも悔しさも感じるんだよ!」
冷静に止めにかかった魔法使いもそれを聞いて、ふと自分の手を見やる。
「なんでそんな俺らの揶揄う程度の小さな楽しみも簡単に奪う癖に正義面が出来んだよ!」
これ以上はマズいと仲間達に引き下げられる慟哭者は、下がりながらもジェシカたちを睨みつけた。
「恵まれなかったのが自分だけだと思うな。確かに私たちに女神は微笑んだのだろうさ。だが、だからと言って嫉妬の腹いせに弱き者の自由を奪うのはお前らの自由の権利に含まれて良い道理は無い」
「お前らも否定され続けて見ろよ。努力しても報われない傷みを知って見ろよ。その時同じセリフを言えるのか見ものだな」
「行こうぜ」
ジェシカも前世をそのまま生きて居たらあの様に捻くれた大人になって居たのかもしれないと思わず考え、女神から授かった能力に改めて感謝した。
「ジェシカ様、あの者たちの監視確かに承りました。先払いで一人につき、監視一日1グシートです」
「な、高いな」
「治安にもお金がかかるのですよ。タダだと思ってましたか?」
「元居た国では税金で賄って居たからね」
「なんと高い税を納められて居たのですね」
「高い……親が治めて居たからな気にもしてなかった、まぁ、その後治安の悪い地域に居て誘拐されかけたが」
「ジェシカ様が、誘拐?」
「私だって、最初から強かったわけじゃないさ」
「スノーでも、そんな時があったんだね」
「ジェシーでいい。そっちの名前は実家の名前を名乗りたくないからつけただけだ」
「あ、じゃぁ私はキャシーで。いいなぁ。貴族だったんだ?」
「今は違う。それよりハンナ、監視の件は保留でいい。たまに監視してるぞと脅せば良いだろうから。後ちょうど良いから、キャシーの所属変更と私とのパーティー登録を頼む」
「この子がジェシカ様と?」
「やっと来た私の神託のパートナーだ」
言いながらニヤリとキャシーの肩を抱き寄せた。
◆
そこから、彼女達の冒険が始まるが、最初は全くと言って良いほど上手く行かなかった。キャシーの職業はビーストテイマー。なのに毎回動物は彼女に懐かず弓を練習する日々だった。
支援として選択した弓は的中率は三割当たれば良い方で、期待の新人と謳われただけに評価は裏返る一方だった。しかし、パーティーを解消する選択肢は二人にはなかった。それと言うのも、与えられたスキルの期待度に対しての恩恵が余りにもかけ離れすぎていた事が疑問として二人にはあったからだ。
ここの所、クエストのグレードをキャシーに合わせたパワーレベリングにした上でギリギリ受けられる二段下の"ゴブリンの間引き"と言ったカッパーCランクの駆出し向けの簡単なクエストだった為、それ相応の食事にしていた。
二人は、安い食堂で作戦会議を今日もする。
「兎に角、私の尻の穴が増える前に命中率だけでもなんとかしよう…仕留めなくとも足止めさえ出来ればいいから」
「ゴメン、でも今度は私が足止めか」
「ん? ああ、そうだったな」
サイダーでイトベ現キャシーの母を足止めしたのが思い出されノスタルジックにジェシカは微笑む。
「孤児院では、キャシーの能力使ってたんだろ?どんな使い方だったんだ?」
「……嫌いにならない?」
「あのなぁ、与えられた能力をどう使おうと個人の自由かもしれないけど、今二人で力を合わせないとこのままじゃ先細りで干上がりかねないんだよ。それに俺だって褒められた使い方してねーよ。ぶっ飛ばすしか能のないスキルだしな」
「うん。私の能力はビーストテイマーなんかじゃないの。情報を共有する能力なの。いいえ、一方的に収集してたからあらゆる情報を管理支配って言った方が正しいかも。だから目や耳はたくさんあった方がいいけれど、処理能力が追いつかないから、虫や鳥の情報を扱うには脳みその容量が少し足りない。動体視力と運動神経を使いこなせる人が最低、二人は欲しい。そんな能力だから、徒党は組みたいけど……」
「支配下における奴か信用のできる奴じゃなきゃとてもじゃないが使いこなせない能力ってことか? 厄介だな……て言うかイトベだった頃はぼっちじゃんか。どうやってそんな能力使いこなしてたんだ? いや、発現してなかったのか?」
「実は、孤児院で流行ってたゲームで……」
◆ ◆ ◆
「つまり、言い寄ってくる奴の暴露されたくない情報を片っ端から握って支配下に置いてたって事か?」
「だって、何されるかわからないもの。表面上の情報しか拾えないし、男だったせいか男の子達にも大人の男にも、その、恋愛感情感じなかったし、ジェシーは優しいから、知られたくなかったけど、このままじゃ、ますます一緒にいられないと思うし……」
ジェシーは、キャシーのうるうるし始めた瞳にやられて、頬を染めながらもどうにかアドバイスをしようと口を開きかけた。そこへ……
「おやおやぁ? あんだけ御立派な勇者候補様がこんな所でなぁにしてんですかねぇ?」
「なんだ、お前らか……」
「姉御ぉ、随分な挨拶じゃねぇですか? 聞きましたぜ? 新人ちゃんが全く使えない勇者候補様だって」
「勇者候補様が全否定とか俺たちの気持ち分かってもらえましたかねぇ?」
「お前らは乗り越えて今なんだろうが。キャシーは今どん底なんだよ、追い詰めるんじゃないよ……それより全否定されても、なお、この生き方しか選ばなかったお前らは、明日暇だったら面貸せ」
「へ?」「んあ?」
「キャシーの能力の為とお前らの監視を兼ねて明日パーティ組んで、放置されてるゴブリンの巣穴に根こそぎ退治だ。キャシー、コイツらを使い熟せ」
「ええ!?」
「大丈夫、孤児院と同じ様にすれば良い」
「ちょちょちょ、何勝手に決めてんだ」
「美女二人とパーティー組めるんだ。組みたかったんだろ?」
「自分で美女とか言うか! そりゃあ、お酌やら夜のお相手がありゃって話だ」
「お前ら、鏡見てから考えろよ。その身なりで良くそんなこと言えるな」
「うるせぇ!」
「分かった、他のパーティーにするわ。悪かったな。もう行っていいぞ」
「舐めてんのか!」
「……まず話を整理しようか。パーティーと言わず、純粋な戦力で誰が一番強いのか、分かってるよな?」
「ぐっ、姉御が一番強い」
「で、その俺様はパートナーを強くしたい、その為にはある程度手駒が必要だ。はっきり言って誰でも構わない。問題があれば俺様が解決するからだ。コッチは雇ってもいいと言ってる。報酬は生活の向上、その他生活水準が上がる工夫の方法など見込んでいたが交渉前に私に対してなんと言った? まあ、どうでもいい。つまるところ私に交渉させる気を失せさせた。理解したか?」
「う、ぐぬ」
「交渉前から拒否したんだ。嫌なんだろ? こちらが譲歩することはもうない。話は以上だ。他のやつを当たるから行っていいぞ」
「ちょっと、質問良いすか?」
取り巻きの様に居た、顔色の悪い魔法使いが聞いて来た。
「なんだ? 言ってみろ」
「生活水準ってのは、つまりカッパーA止まり存在しないシルバーD級止まりなんて影で呼ばれてたの教えてくれたのは姉御っス。その姉御が教えてくれるって言ってたのはシルバーCへ上がるためのノウハウって事であってるっすか?」
「なんだ、そんなこと覚えてたのか。概ね合っている。お前らそこの戦士に交渉役とかさせない方がいいぞ盗賊か魔法使いの方が断然損せずに済む」
「俺がこのパーティーのリーダーなんだよ!」
「ボスがどっしり背後で構えてるパーティーだっているだろう」
「ぐぬぬ」
「で、そっちの魔法使いが交渉のテーブルに着くならさっきの話の続きをしてやってもいいぞ」
※ジェシカの名誉の為、救助した騎士団長が誘拐されかけた事にしてくれたので、公式では誘拐されかけた事になっています。
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いつもお読みいただきありがとうございます。
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